映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「ナポレオン」

2023年12月03日 | 歴史映画

リドリー・スコット監督。
ナポレオンの栄華と凋落を描く。
トゥーロン攻略のあたりから、彼の死まで。
21世紀に立身出世ドリーム!カリスマ!
権力!美女!酒池肉林!…てきな解釈もなかろうという判断か、
ジョゼフィーヌとの関係を中心に据えた展開をします。
大砲を効果的に使う非情な天才軍略家だが、
戦場を離れると、情緒の未発達気味な普通の男…というような。

ナポレオンをホアキン・フェニックスが、
ジョゼフィーヌをヴァネッサ・カービーが演じます。

注意:動物が残虐に死にます。

ラストまでばれ

死で始まり死で終わる。
毒殺説採用っぽい亡くなり方。
ジョゼフィーヌはジフテリアによる死って断言してた。

彼がジョゼフィーヌに宛てたお手紙は
船が拿捕されたり、流出したりして公になっているわけだが、
実際にちょっと情けない文や、えっちな文があったので、
なるほどこういう解釈もできるんだなあという感じ。

市民に向けて大砲を撃ってミンチにしたり
ピラミッドに大砲を撃って破壊したり、
たまげたが、ピラミッドのほうは創作か。びっくりした。







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「THE LEGEND & BUTTERFLY」

2023年01月30日 | 歴史映画


監督大友啓史
脚本古沢良太

キムタクが信長、綾瀬はるかさんが濃姫を演じます。
脚本が古沢良太さんなので見に行きました。
2人がどんな関係になるんだろう? とわくわくしていたら
文も武もビジョンの大きさでも信長を上回る濃姫に
高慢お嬢様の信長がトゥンクして、めろめろになっていくラブロマンスで、
大変に面白く、年始早々面白い邦画を見られて嬉しいわー、
スーパー攻様の綾瀬さん!見たかったこういうやつが!
キムタクのキャラクターが綾瀬さんに1歩譲ってるけど、
これを許容するとはさすがキムタク器が大きい…と思っていたら
後半から突然様相が変わってきて、
どんどん…こう…正気を疑う方向に…急展開して、
終わったあとは 「なぜ…」としか言いようがありませんでした。
本当に、なぜあんなことに?

嘔吐あり、流血表現あり注意。

ラストまでばれ

前半は良かったんです。 豪胆な濃姫と慎重な信長、
並外れた2人の能力が合わさって
「織田信長」という魔王を作っていく過程はすごく良かった。
でも中盤に貧民街に2人が訪れるシーンがあって
「民草を飢えさせない決意シーンか…」と思っていたら、
住人とのトラブルが発生して2人が貧民を大虐殺。
血がドバドバ出て、殺しに興奮した2人がそのへんの小屋で
まぐわい始めるという…。
目玉が飛び出たんですが、完全にホラー映画文脈じゃない!?
私はいいけど、お客の7割くらいは歴史ラブロマンスを見に来てると思うよ!?
どうしたの!?古沢さん体調が悪かった!?
それとも現場の人が薬でもキメて全面改変した!?
病気パート、入るのが早すぎてやたら長いよ。
「精霊の守り人」「奥様は、取り扱い注意」で鍛えた
綾瀬さんのアクションをもっと見せてよ!
ラストも、意図は分かるんですけど幻影部分長すぎない!?
ブラックアウトで本能寺の焼ける音がひたすら流れる…って、暗黒すぎん!?
大きな規模の映画でやっていい結末じゃないよ!?
SNSでのバズり狙い?

後半までずっと2人の共同作業で昇り詰め、
あと少しで天下統一という所で濃姫病死、
信長を狙う光秀が濃姫の代理を申し出るが拒絶されて逆上、
本能寺を焼き払い、あわや信長が光秀の魔の手にという所で
炎と共に濃姫降臨「下がれ。お前如き下郎が触れてよいお方ではない」で
矢も刀も弾き返し、微笑む信長を抱いて炎の中に消える…でええやない。
というか前半とのバランスを考えたらそれ一択でしょう…。

あの蛙の香炉、 実際に宝物として残ってるんですね。
主人公2人の暴走で印象が薄くなったが
明智"解釈違いは公式でも殺す"光秀くん、主役を食えるポテンシャルはあった。
中谷美紀さんの演技はとてもよかった。
斎藤工さんが出ているという情報を見かけた気がしたがいなかったぜ…と思った。(いた)



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「アルキメデスの大戦」

2020年05月19日 | 歴史映画

昭和初期、第二次大戦へ向かっていく日本で、
空母の建造を目論む山本五十六は、
巨大戦艦の建造を進言する対抗派閥に対し
予算を理由に自説を通そうとするが、
異様に低額な戦艦の見積が提出される。
戦艦案の撤廃のために白羽の矢が立ったのは
帝大を中退した主人公だったというあらすじ。架空戦記もの。

数学の天才で、美しいものは計測せすにはいられない主人公が、
妨害工作による窮地を頓知で突破していきます。
山崎監督作品、特に戦争ものはちょっと苦手なんですが、
これは嫌いじゃないです。
菅田将暉さんが天才天然のヤレヤレ系を演じていると
Wのフィリッブ君を思い出してとても懐かしい。

ラストばれ

当時の軍部の業者の選定って入札なかったんかとか、
最低制限価格はなかったんかとか、
工法は1種類しかないんかとか、疑問に思わないでもなかったけど、
まあよろしい。
原作は漫画で、まだまだ続くお話のようなので
それを思うとうまくまとめてある。

あほで咬ませの敵、大物だがあほな敵、冷静で賢い敵、
3層に分けてあって厚みがあった。
一度ひっくり返したのを再度ひっくり返され、
もう一度押し返し、結局は主人公を呑み込む形で押し切られる終盤の攻防、
テンポ良かったです。




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「キングダム」

2019年04月23日 | 歴史映画

ヤングジャンプ連載の長編漫画を実写映画化。
舞台は紀元前の中国。
続く戦乱の世に2人の少年が出会い、世界を変えるお話。
奴隷の少年が将来を誓い、片方が黒髪長髪で、悲劇的な別れ…
みたいなのがお好きな方は必見。
原作もそうですけど、映画はさらに信と漂の関係に絞ってあり、
本筋をちょっと削ってでも漂のカットは増やすという、
その姿勢やよしと思いました。

信を山﨑賢人さん、漂を吉沢亮さんが演じます。
吉沢さん、フォーゼでは流星くん、BLEACHでは雨竜と、
私の観測範囲では主人公大好きor尽くす役ばかりのような…。

全体的に衣裳、とくに山の民が良かった。音楽も。
役者さんも面白い顔ぶれだった。
ムタの橋本じゅんさんは新感線の舞台にこういう人がいた気すらしてくる(笑)
さすがの怪演だったし、左慈役の人が雰囲気あるなと思ったら
「HiGH&LOW THE RED RAIN 」でアクション指導なさってる
坂口拓さんだった。「RE:BORN」では監督主演もなさっているが
毎回なんか名前が違うので追いにくい。
大沢たかおさんは、なんか王騎というよりエレガントな大沢たかおさんだった。
まあちょっと王騎ってリアリティという点からすると難しいかもだけど。

脚本は黒岩勉さん、佐藤信介さん、原泰久さんの合作。
黒岩さんはドラマ「貴族探偵」の時に
原作を活かしつつ4割ほど内容をアレンジされていて、おっと思いました。

内容ばれ

原作で、将来のし上がれたら、
屋敷や、おいしいごはん、美女を手に入れる、というような内容を
信が語る場面があって、その並びに人間が入ってるのはどうだろう。
広義の奴隷制の肯定だけど、主人公も作者も気付いてなさそう、
ってちょっと気になったので覚えてたのですが、
映画ではセリフから美女が抜けてた。
現代風~って思ってたんですが、
そういえば最初のお屋敷の息子からの漂への好意とかも
スパッと切られてたので、
信と漂との間の不純物を全部取り除いただけだったりして…ふふ…
などと空想しました。

監督さんか誰か分からないけど、
黒髪長髪男性のフェチがいる。私には分かる。


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「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」

2019年03月18日 | 歴史映画

(原題:Mary Queen of Scots)

監督ジョージー・ルーク
脚本ボー・ウィリモン

スコットランド悲劇の女王、メアリー・スチュアートが、
最初の夫と死別してスコットランドに帰還し、
女王となって国を治め、再婚と出産と3度目の結婚を経て
政治的駆け引きに翻弄され、最後は斬首されるに至る過程が、
エリザベス1世とのやりとりを交えながら描かれます。

タイトルがふたりの女王なものだから、
エリザベス1世とメアリーの複雑な関係と対立メインの作品だと思っていたら、
エリザベスの登場シーンが少なくて、「……?」だったんですけど
最後英題が出て納得しました。「Mary Queen of Scots」
これメアリーの映画だったんですね…たぶん知名度を鑑みて
この邦題になったんでしょう。

メアリーをシアーシャ・ローナンが、
エリザベスをマーゴット・ロビーが演じます。
スコットランドロケにこだわったとの事、
人間が小さく見える広大な土地と装飾の少ない王宮が、
イングランドの場面とは対称的でした。

内容ばれ

メアリー・スチュアートといえば
JOJOで初めて知ったオタクは多いと思いますが私もたぶんそうです。
若く純粋で無力なメアリーと、年増で狡猾で残酷なエリザベス…
という描き方をしているフィクションが多いですが
この映画はそうではなく、メアリーの女王として統率力もある一方で、
衝動的でプライドの高い部分も描かれますし、
エリザベスの苦悩と従妹への親近感も描かれます。

女王の目前でお気に入りの秘書がメッタ刺しにされて殺されるのとか、
2番目の旦那が爆殺される(部屋が爆発して死体が見つかる)のとか、
全部史実なんだなあ。なんて物騒なんだろう。

戦闘シーンはどちら側からどの規模の軍勢が来たのか、
ちょっと分かりにくかったりしましたが、
監督はこれがデビュー作だそうで、だったら上出来です。



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