映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「攻殻機動隊 ARISE」

2013年06月27日 | アニメ映画

なんと脚本が冲方丁さんなんですよねー。
1時間ちょっとの短い作品ですが見てきました。
今回こそは原作テイストの映像化かと期待しましたが
やはり今回もそうではなく、でもこれはこれで面白かった。
サスペンス色の強いSFアクションシリーズにするなら、
原案に冲方さんがいるのはかなりの強み。

9課結成前の話でした。
少佐はまだ軍所属。
そんなに長い訳ではないけれど、アクションは良かった。
腕とか足とかが、予想を越えてぐぐっと手前に伸びてくる感じ。
強い人と対戦したら、きっとあんな風に見えるんだろう。
少佐の声は坂本真綾さんです。

内容ばれ

・あまりにも短すぎるので、あと1要素足して
 90分くらいにすべきだったのではないか。
・少佐の下着姿はいっぱい見られるし、全裸もあるよ!
 サービスサービス!
・銀魂の神楽ちゃんがいっぱいでてきた。
・少佐が降りるとき重量級の車のサスがめっちゃ沈んでて
 うむ、結構細かいなと思った。
・一ヶ所だけなぜか少佐が突然山岸涼子先生のホラーか或いは
 赤ん坊少女タマミちゃんみたいな顔になるシーンがあって、
 基本的に今回の少佐はロリ顔クール系デザインなのに
 どういう意図であそこだけあんな顔になったのか、
 すごく理由を問い詰めたい。


ED曲「じぶんがいない」

「きれい」
「とぎれとぎれ」
「きおく」
という音をリピートして、重ねるところは
おっいいな!と思いました。


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「華麗なるギャツビー」

2013年06月20日 | 古典名作

ヨーロッパの、王侯貴族を中心に培われてきた文化の絢爛豪華さも
素敵だなあ、って憧れるんですけど、
アメリカの、大富豪たちの絢爛豪華さも
うむむ、見応えあるなあと思います。
ゴージャスで、陽気で、パワーがあって、空虚で。

青年ニックを通して語られる、
ギャツビーという謎の富豪の物語です。
私はむかし原作を読んだとき、
「ギャツビーは女を見る目がないなあ」
「ギャツビーのどこがグレートなのか分からないなあ」
というのが2大感想でしたが(もう少し歳を取ってから読むべきでした)
この映画のデイジーは綺麗すぎたので、
これはギャツビーでなくてもころりと参るだろう、というのと、
あとラストで「あ、うん…グレートですね。了解です」って納得しました(笑)。

ギャツビーの城で繰り広げられるパーティーがすごかったです。
シャンデリアと音楽とシャンパンと、綺麗なおんなのひと、
タキシード、照明に照らされるプール、降ってくるスパンコール、カクテルの中に映る光、
何もかもきらきらと輝いていて、
大富豪のお屋敷に数日滞在していたかのような気持ちになる映画でした。
これは大画面で見た方がいいかもしれない。
(動画サイトの予告映像を貼ろうと思ったんですが、色が汚いのでやめた)

内容ばれ

ニックを演じたトビー・マグワイアさんの
あの堅実で謙虚で清潔な感じがギャツビーと真逆で際立ってた。
柔和に微笑したままでドン引きしていたり、
柔和に微笑したままで軽く非難していたりする表情が良かったです。

ギャツビーの名乗りと同時に花火が開くところ、
笑ってしまったけど、あの演出のために前日から予行で花火を上げて練習して
ギャツビーがニックに声をかけるタイミングを完璧に計算していたとしたらちょっと泣ける。

自分のことをよりよく見せようと
ニックに必死でマシンガントークをするギャツビーの表情を見て、
ああ…と顔を覆いたくなりました。
カラオケでも自分ばかり歌って
人にマイクを渡さなかったら引かれるのと同じで、
「自分を尊敬して!」「すごいと思って!」「信用して!」って
押しつけてはいけませんギャツビー…。あと息継ぎしようね。

デイジーは魂のない女性で、理想の女神像を投影しやすいのですが
その実、おしめが不快で泣いている赤子くらいの自我しかなくて、
自分を楽しませて快適な状態にしてくれるひとなら誰でも何でもいいんです。
でもギャツビーも、デイジーが何を考え、芯のところはどういう女性なのか
見る能力がないし見ようともしていなかったのでお互い様です。
デイジーなんかやめてニックにしておけばよかったのに……。


この映画の監督バズ・ラーマンは「ロミオ+ジュリエット」とか撮った人。
(あの映画すごく好きなんですよ)

フィッツジェラルドも、あまり幸せにはしてくれなさそうな女性を好きになり、
酒で体を壊して亡くなったんですね。
うんまあ平穏に天寿を全うさせてくれるパートナーと、
芸術的天啓を与えてくれるミューズは違いますもんね。

wikipediaを見たらヘミングウェイさんに
「フィッツジェラルドは変な所がいっぱいあるけど
あれだけ書けたらやっぱ友逹になって、
親切にしてあげないといけないよね!天才だもんね!」
って言われてる…。ヘミングウェイさんが大人だ…。

せっかくなのでハルキ・ムラカミ訳のギャツビーを読んでみようと思います。


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「コレクター」

2013年06月14日 | サスペンス映画

米フィラデルフィアで実際に起きた、
複数の女性が誘拐、監禁され暴行殺害された
事件を基にしたサスペンス。

誘拐される女性は売春婦ばかりだったが、
主人公の刑事の、17歳の娘は背伸びしたい年頃で
派手な服装と厚化粧、蓮っ葉な態度が仇となり誘拐監禁されてしまう。
娘を取り戻すために死に物狂いで捜査をする男の話です。
サスペンスを見て久しぶりに最後でびっくりしたので、
これはよいサスペンス映画。
監督と脚本をやっているモーガン・オニールさんは
作品がこれとあと1本しかないので新人さんなのかな。

内容は伏せますが勘のいい人にはネタバレ

なんでびっくりしたか、あとで考えると
ちゃんと感情を誘導されているんですよね。
しかもそこが伏線になっている。うまいなと思いました。

娘さんは、最初「オウフ…反抗期きっつー…」って思ったんですが
監禁されてからの不屈の闘志は輝いてましたね。
お父さんの才能を受け継いでいる。
なんのかんのいって自力で脱出できたんじゃないかという気がします。
あと「苺」って書いたシャツを着ているシーンがあって目が釘付け。
その下にもなにか漢字が書いてあったんだけど、ギリで見えなかった。
(娘さんのなかのひとは17歳では全然ない)

設定が設定なので明るい気分になる映画とかではないですが
サスペンスの好きな人にはおすすめです。
そういえば女性は、集団で閉じ込められると
互いに監視し合って監獄内での秩序を形成する傾向が
男性よりも強いと何かで読んだことがあります。
あと被洗脳適性があるとか。防衛本能の一種でしょうか。
まあな、抵抗するより従った方が楽だし、
常に疑っているより信じる方がストレスは少なそうだもんな。

「コレクター」(原題「The Collector」)という映画は
1965年のものが最初で
そのあと1997年の「コレクター」(原題「kiss the Girls」)
今回の「コレクター」(原題「The Factory」)と
女性監禁ものはとりあえず邦題「コレクター」にされるらしい。
そういえば女性が男性を収集する映画ってないですね。
ミザリー…は違うし…。黒蜥蜴…?

ジブリの新作「風立ちぬ」の予告がすごく長くて
ショートフィルムなのかと思った。
あと地震の描写(関東大震災)が結構こわくて、
苦手な人は見ない方がいいなこれは、と思いました。


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「アンチヴァイラル」

2013年06月05日 | ホラー映画

庶民の、セレブへの憧れが異常に強い世界で、
人々はセレブの患ったインフルエンザやヘルペスウィルスにまで価値を見出し、
金銭を払って自分の体に植えつけたり、
あるいは培養したセレブの筋肉組織を食用にしたりしていた。
セレブの病原菌を販売するビューティークリニックの社員の主人公は
ハンナという美しいセレブの病原菌にかかわったことから
徐々に生活が狂い始める……というあらすじ。

クローネンバーグ監督の長男、
ブランドン・クローネンバーグさんの作品です。
お父さん超リスペクト!
まるで数十年時間が巻き戻って、
若い頃のクローネンバーグが撮った作品を見ているような、
不思議な感じがしました。

あらすじを見れば分かりますが、
普通の映画では全然ありません。
ただ、息子くんはお父さんより美的センスが優れているので
本当に美しいです。万人が感じる美しさではなくて、禍々しい系。

主役の子はX-MEN FGで口から超音波を出して空を飛んでた子。
やっぱり万人向けの美形ではなく、癖のある顔立ち。
身体に散ったソバカスも、なんかこう…すごく…マニアックな感じです…。
最も似合う髪形、最も似合う服装で、細心の注意を払った角度からの撮影で、
ありとあらゆる酷い目に遭わされます(笑)
そして気絶した顔や、痛めつけられる表情、血を吐く姿を舐めるように撮られている。

内容ばれ

「ハイ体をえぐられるのキター!」
「血肉系へんてこりんオブジェキター!」
「衰弱かーらーのー、幻覚キター!」

たまやー!かぎやー!のノリでした。
本当になんというかクローネンバーグファンには懐かしいリズム。



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「オブリビオン」

2013年06月02日 | SF映画

トム・クルーズのSFです。
スカブという宇宙人の侵略を受けた地球は核兵器を使用して辛勝したが
代償として放射能に汚染され、荒廃した。
現在生き残った地球人は土星の衛星タイタンと、
宇宙空間に浮かぶ建造物テットに移住していた。
ジャックはパートナーのヴィクトリアと共に、地球の監視作業に従事していた。
という導入部。

感想を3つに分けます。

もうすでに見て、楽しかった。あるいは
これから見に行くけど、映画に特にこだわりのない方への感想。

トム・クルーズが20歳くらい若く見える!
CG…じゃないと思うけど何だろう。

ジャックとヴィカの住まう家がすばらしかったです。
あれ、本当に家を建てたらしい。
そして山の上から撮った雲と空の映像を内側の壁全面に映写したとか。
綺麗だった。
ヴィカのお洋服とか、パネルの上に置かれた飲み物とか、
ワイエスを飾った額とか、美術・道具が細やかだった。

下記はねたばれです


・宇宙人はアホ。
・荒廃した地球の映像でホンジュラス湾が映った!?
・げひんな話ですがキムタク版の宇宙戦艦ヤマトを思い出しました。
・5人の中に日本人がいた。
・ヴィカは奥さんがいても彼の事が好きだったんだなー。
 写メのとことか、気の毒すぎてしみじみとした。
 画像ソフトで合成写真をいっぱい作っていいよ。
・真ヒロインは私でした!的なおじいちゃんの登場の仕方で笑った。
・フライトレコーダーは前にあったの?後ろにあったの?
 離れていても音が拾えるの?
・49と52以外はどうすんの?

もうすでに見たけど、引っかかるところがあった方への感想。
(あとこれから見に行くけど、映画にはわりとこだわる派の方で
ねたばれ気にしない方、そして映画とか見ないネタバレ関係ない方もこちら)

わりと話の重要なオチが「月に囚われた男」と同じで、
この映画で知ってしまうのはもったいないので、
先に「月に囚われた男」をご覧になっていただきたいです。

1次でも2次でも創作の技術的な部分に興味がある人への感想。ねたばれです。
わたしが偉そうなことをグダグダと述べます。

あるネタがあって、そのアイディアが独創的なものであればあるほど
それが生きるお話というのは狭まっていきます。
残念ながらこのアイディアはハッピーエンドに向いていないものです。
ほぼ完璧にまとめた映画が「月に囚われた男」

煮詰め方が甘かったり、足りなかったり、
またはネタが実力に見合わなかったりすると
間違った構成、ストーリー、人物配置にしてしまい、
せっかくのネタは散漫に、ぼやけたものになります。
「オブリビオン」の場合、娯楽大作にふさわしいハッピーエンドにするために
絶対悪の宇宙人を出さざるを得ず、また「残りはどうすんだよ?」という
微妙な問題を残したまま終了しました。

そういう意味で「月に囚われた男」→「オブリビオン」の順番で鑑賞するのは
ネタの調理法を学ぶ点でとても勉強になると思います。

あ、ですが、両方見たけど「オブリビオン」の方が好き
または普通に「オブリビオン」を見て楽しんだ
というかたを否定する文ではありません。
優劣と好き嫌いは別のものです。



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