映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「危険なメソッド」

2012年10月30日 | 実話系

デヴィッド・クローネンバーグ監督が
精神科医カール・ユングとその恩師ジークムント・フロイト、
患者のザビーナ・シュピールラインの3者の間で起こった出来事を描く映画です。
元は舞台劇(その原作は事実に基づく小説)とのこと。

何が危険なのかよく分からなかった。
ザビーナは子供の頃父親にぶたれて性的に興奮したというくらい年季の入ったマゾヒストで、
ユングにプレイを望みますが、当時のモラルからすればとんでもない醜聞でしょうが
現代の感覚からすると「楽しそうでいいですね」くらいなので、
ユングとフロイトの間でスパンキングくらい行われるのかと思ったらなかった。
ユングはファスベンダー、フロイトは我らがアラゴルン、ヴィゴ・モーテンセンです。

内容ばれ
下世話な話を下世話な映画にしないよう、抑えて撮ってあるのですが、
あまりにも淡々としすぎていて少し物足りません。
出会って夢中になって語るあまり13時間が過ぎていたというユングとフロイトのシーン、
当時の紳士的にはああいう態度が正しいと分かってはいても
もうちょっと興奮して早口で幸福そうな表情でもいいと思うのです。
蜜月期と破局時でメリハリがほしかった。

そしてフロイトの友情に翳りがさすシーン、
船の客室がユングだけ一等って理由がちっちぇー。

あと、美しくて上品で貞淑で裕福な妻がいながら
ユダヤ人患者に2度までも手を出すユングは、
立っているだけでなぜか被害者に見えるファスベンダーが演じていなければ
鼻に鉄拳物件でしたよ……。
フロイトも含め全員ユダヤ人とか、ユダヤ人萌えなのかよ。

それからキーワードのすべてを性的なものと関連付けるフロイト先生は
著作から想像する通りのキャラクターでした。
上品な紳士ですが、先生と笑わずに会話できる気がしない。

キーラさんによる発作の演技は凄かった。
狂態を演じるのは役者さんにとって演歌のコブシ部分みたいなものかなと思う。
ていうかザビーナの結婚が唐突すぎて、2、3分抜けてるんじゃないかって気がしました。

全体的に笑顔が少ない映画だった。



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「踊る大捜査線 THE FINAL」

2012年10月28日 | アクション映画

前作の映画が酷かったので
今回は見るまいと思っていましたが、評判が悪くないので見てきました。
3よりは上!3よりは上です!
でも1や2を上回る程ではない、そんな感じ。

予告で青島くんが撃たれて倒れるようなシーンがあったので、
スローモーションで主人公が倒れてヒロイン絶叫、敬礼の流れはもう満腹…
と恐れていたら予告詐欺だったので逆にほっとしました。
OPがこれまでの様々なシーンをコラージュした映像でしたが、
それが懐かしくて懐かしくて。あと年月で顔の変わる人と変わらない人、
肌の変わる人と変わらない人がいてしみじみしました。

事件はシリアスですが、コミカルな部分も割と多く
重くなり過ぎないのがよかったです。

内容ばれ

・管理職が非情なのはまあよくある事なのでいいですよ。
 でも警官が銃を持ち出して人を殺した事件をもみ消すために
 アリバイのある別の一般人を犯人に仕立てて逮捕っていうのは、
 あたまがわるいのを通り越して判断能力がないレベルだと思うんです。
 その警官はまだ捕まってなくて
 新しい事件を起こす可能性があるにもかかわらずですよ。
 そんなの内部から告発する人がたくさん出るだろうし、
 証言する一般人だっていますよ。
 あの偉い人は仕事を辞めて何らかの病気の治療に専念すべきです。
・銀座方面には行けない、までは理解できたのですが
 そのあとのイベント会場から倉庫、バナナ倉庫!の流れが、よく…。
・逆にすみれさんが懲戒免職だろうと思うのですが、
 まあ最後だし、あれくらいの無茶苦茶っぷりでもいいかと思います。
 すみれさんは痩せすぎなので、もう少しお肉がついてもいいと思う。
・このひとは香取くんに似てるなあと思っていました。
 数日前のドラマで見た時よりも顔がかなりシュッとしてたよ?!
・誰か1人がメガンテを唱える事により、抜本的改革が進むこと=社会あるある。
・警察庁官房審議官……ってどれくらい偉いんだろう。
 官房長くらい?室井さんも官房長を見習って、
 裏取引で事件解決するくらいしてほしい。
・真矢みきさんや筧さんもちょろっと出てきた。


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「推理作家ポー 最期の5日間」

2012年10月23日 | サスペンス映画

あらすじ
怪奇小説家にして詩人のポーが、
自分の著作に擬えた連続殺人事件に巻き込まれてゆきます。

ポーの作品に関しては
マイナーな作品はちゃんとタイトルを言ってくれますし、
メジャーな作品は、にやりとする使い方をされています。
ポーと警部のコンビもなかなか萌える。

内容ばれ(歴史的事実)
小説家のエドガー・アラン・ポーは大変謎めいた死に方をしたひとなのですが、
実はこういう事件があったんだよ!という怪奇映画です。やや残酷。
死の状況を詳しく書くとねたばれになるので書きませんが、
彼がなぜあの土地であのようにして亡くなったのか、
また最後の謎の言葉はどういう意味だったのか、なかなか筋が通った話になってました。

内容ばれ(箇条書き)
・絞殺でついた指の跡ですが、「親指から人差し指の先まで20センチ」って言ってたけど
 それ大男かなあ…?親指の付け根から人差し指の先までが20センチって事かな?
 でもそれだとエイリアン並みのでかさだよね。
・彼女がウェストのあたりからゴソゴソと抜き取っていた何かはパニエの材料の藤か?
・ちょっと「SAW!?」って思う部分もないではなかった。
・彼女が仮面舞踏会で着用してたマスク、意匠が繊細だったなー。
 日常であれを付けて過ごしたい。紫外線対策とメイクの代用で……。
・あまり活躍できないヒロインの代わりに、なぜか警部殿ががんばって脱いでくれました。
・原題は「大鴉」ですが、まあ邦題の方がキャッチーですね。

内容ばれ(犯人について)
・普通に暮らしているだけで狂人に目をつけられて殺される現代、
 創作するというのは、その狂人の目に留まる確率を更に自分で上げる行為だな…
 という点で怖かったです終盤。
 (探偵小説の祖ポーと同等に考える訳ではないですが、二次創作でもそこのところは条件同じですから)
・ファンだと言ったり、私の作者はあなたなのか?と言ったり、
 芸術家同士、討論を楽しみましょうよキャッキャ!したり支離滅裂でしたが、
 まあ実際狂ったファンというのはあんな感じなんでしょうな。
・ヴェルヌの話をしていたが、彼は当時まだ20歳そこそこ。
 全然有名ではないし作品も発表されてなかったと思うのですがどうか。
 



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「エクスペンダブルズ2」

2012年10月22日 | アクション映画

往年のアクションスターが勢揃いして
おっさん無双をやって男子がキャーキャー言う映画が帰ってきました。
スタローン、シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリス、
ドルフ・ラングレン、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ジェット・リー、
ステイサム、に加えてスペシャルゲストのチャック・ノリス。

銃で血肉が吹き飛び、特に伏線も意外な展開もなく、
おっさんたちがあたまのわるい特攻をかまし、
敵を何十人も何百人も格好良く倒していき、
若いおなごはおっさんに惚れるけど、
おっさんはニヒルに去ってゆくという(あ、ラストまで書いちゃった)
全く男子仕様の映画ですが、うん、なんというかスターたちの華があって楽しめました。
アクションはとても良い出来です。
ジェット・リーの出番かなり少なくなっちゃったけど…。

チャック・ノリスについては、彼の伝説を知っていると登場シーンで大笑いできると思います。
「それ物理的に不可能だよね!?彼1人いたらこの映画の事件全部片付くよね!?」という強さでした。
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%83%AA%E3%82%B9

冒頭で、口喧嘩するスタローンとシュワちゃんにステイサムが
「ブロマンスはあとにしろ!」って言ったのですが
(字幕はたしか「男同士のラブコメはあとにしろ」)
60代後半の男2人にブロマンスとか…書いた奴は…デキる!
と思いました。あと言葉の浸透が早いアメリカ。
さり気ない女子サービスをありがとう。(どこでそんな言葉覚えたのクリスマス…)

内容ばれ

・シュワちゃんにはターミネーターねた、
 ブルースにはダイハードねた、
 スタローンにはロッキーねたのお遊びがあってファン大喜び。
 「抹殺(ターミネート)するぞ」っていう台詞は
 「溶鉱炉で溶かすぞ」と訳してあって、うまいと思った。
 「Yippee-ki-yay!」はなんて訳してあったか忘れた。
 ボクシングねたはちょっと苦しかった。
・最近小顔イケメンの映画ばっかり見ていたので、
 久しぶりに還暦スターを見ると顔が大きくて頭身が低いのにびっくりしました。
 いや、でもまあこれはこれで引きで撮っても表情がよく見えていい。
・今回ルーキーとしてマイティ・ソーの中の人の実の弟(notロキ)、
 リアム・ヘムズワースが出ていましたが、これがもう目がキラッキラで、
 おじさんがたと比べると、なんというか生まれたての赤子のようでした。
 (ハンガーゲームの時は普通のハンサムさんに見えました)
 赤子というか…犬?犬に似てます。あ、でも兄のクリヘムにもそっくりですね。
 そして彼も190センチ越えの巨神兵。
・斥候のために走って行く彼を見てスタローンとステイサムが「やるな」と感心していたのですが
 傾斜した道を、重い銃を下げて、安定した姿勢で、走る早さに感心してた?のかな?
 でもやっぱり狙撃最高ですよね。接近戦より遠距離攻撃ですよ。
・ヴァン・ダムのキックは綺麗でした。顔にくらったら一撃で顎外れるなと思った。
・ヤギの刺青は手裏剣かヒトデに見えました。うまへた絵。
・プルトニュウムの長期保管について…あとその扱いと輸送について…。
・テトラポッドを車両による突撃防止に使ってるのは初めて見ました。
 専門の機材を買うより安いのかな?というか近海からぱちってくるのかな?
・ステイサムのアクションが一番格好良かった。中2アクション!!
 コスプレもばっちり!

シュワちゃんは新作主演映画のCMも見ました。俳優復帰するのですねえ。


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「アイアン・スカイ」

2012年10月12日 | SF映画

バカ映画の傑作です。
「宇宙人ポール」を見たのが今年でなければ、今年のNO1バカ映画だったのに!

月へと逃げのびていたナチの残党が小国家を建設しており、
そこから地球へと侵略が開始されるという話。
格好いいアメリカ様が悪のナチをコテンパンにやっつけるぜ!
という映画かと思っていましたが、
アメリカはナチ以上に気が狂っていたのでした。

アーリア人的な、見た目の美しい子供達がカギ十字を身に付けて
総統を讃えるとか、これ反ナチ映画だとはいえ
ヨーロッパで上映出来るのか不安になりました。
当然ハリウッドではなく
フィンランド・ドイツ・オーストラリア共同制作映画です。
ともかくブラックジョーク満載で、アメリカ風刺がすごい。
ナチネタは勿論のこと、人種差別ネタ、下ネタオンパレード。
(私はミリタリーねたは全然分からないけど)細かいパロティがいっぱい。
例の北の国も平気で笑い物に!
一切出てこないのは…ユダヤねたくらいです…うん。

前半はヒラコー先生の描く漫画そのままで、
後半はややヘタリア風味でした。
(ヒラコー先生は今すぐこの映画を見るべき)

内容ばれ

「アメリカが、ちゃんと倒せたのはナチだけ」とか
「任期第一期で戦争を始めた大統領は必ず再選する」とか
へーへーへーの連続でした。
(あれ、北欧にとって第二次世界大戦の日本ってどういう…)

ナチのスローガンって適当に編集するとすごく舌触りのいい
魅力的なフレーズですね。
あのいかれた大統領のモデル、サラ・ルイーズ・ペイリンさんの写真を見ましたが
本人かと思うくらいそっくりだ!
(キリスト教福音派の熱心な信者で全米ライフル協会の会員…)

核兵器を搭載した攻撃型宇宙船の名前が「ジョージ・ブッシュ」で、
音楽とともに出撃する所はふいてしまいましたよ。
そして非戦闘員女子供関係なく爆撃という……。
そして日本の軍事宇宙船は地味にカミカゼ特攻かましてた…。

あと、北欧でも例の北の国のキャラ設定ってこれなのか!ってびっくりした。
そして堂々と侮辱していたのにもびっくりした!
黒人キャラに向かって「下等人種!」って言ったのもびっくりした!

唯一残念なのは、この映画は原題がそのまま「アイアン・スカイ」だけども
タイトルはどう考えても「スペース・ナチス」にすべきだったと思うのです。
(なにかコードに引っかかるのかな?)

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