映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「300 帝国の進撃」

2014年06月26日 | バトル映画

スパルタ対ペルシャ軍の、300人対100万人という
圧倒的に不利な戦いを壮絶に描いた前作ですが、
今回はあの戦いの前後で、他のギリシャの都市はどう動いていたかというお話です。
メインは海戦。
前作の監督ザック・スナイダーは「マン・オブ・スティール」の撮影の為降板、
脚本での参加となり、続編監督はノーム・ムーロとなりました。
密度と独創性においては、前作よりややパワーダウンした印象ですが、
流血&残酷描写、筋肉美の好きなひとには満足できる仕上がりになっています。

今回は女剣士にしてペルシャの海軍を率いるアルテミシアが登場。
バーンとヌードも披露してくださり、お色気シーンもばっちりあります。

内容ばれ&ちょっと歴史

今回の主役テミストクレスも、サブメインのアルテミシアも実在の人物で
テミストクレスは映画のお話そのまま、サラミスの海戦を勝利に導いた人物、
アルテミシアは映画とは違ってペルシャの将校ではなく、
史上最古の女海賊にして女王なのだそう。
実際の戦力差は、ペルシャ軍がギリシャのおおよそ2倍ほど。
各ポリスの船の数をネットで見ているとスパルタ18隻に対し、
アテナイ180隻と圧倒的で、アテナイって本当アメリカみたいね…って思いました。
(このへんの調べもの、面白くて終わりがないので危険です)

ギリシャ人は泳げたから、船が破壊されても泳いで島へ辿り着けたけど
ペルシャの人はほとんど泳げなかったので溺れて死んだそうです。
来なけりゃいいのに……。

テミストクレスは勝利のあと、ちょっと調子に乗ってしまって失脚し
アテナイを追われてしまったようです。史実しょっぱい…。
そして敵将を頼ったらしい。
この経緯、コリオレイナス(コリオラヌス)に似てますね。

この映画でびっくりしたのは、
ペルシャの金色のドラァグクイーン、クセルクセスが
マラトンの戦い前はごく常識的な格好をした好青年だったことです。
(しかも普通のイケメン)
ちょっと色々あって金色になりました。

それと嫁無双な……嫁あんなに強いなら、
亭主の散歩についてけばよかったのに。




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「超高速!参勤交代」

2014年06月24日 | コメディ

現在のいわき市にある、貧乏小藩 湯長谷(ゆながや)藩は
悪い老中に目を付けられ、参勤交代が終了し帰藩したばかりであるのに、
「今から5日以内に再び参勤せよ」という無理難題を突き付けられる。
日数も予算も、ないない尽くしの中、
呑気で人柄のよい名君と、その殿を慕う家臣団が団結して
なんとか江戸を目指すドタバタコメディです。
佐々木蔵之介さん、伊原剛志さん、寺脇康文さん、上地雄輔さん、
陣内孝則さん、西村雅彦さん、六角精児さん、深田恭子さん等が出演。

佐々木蔵之介さんは初主演映画らしいですが、実によかったですね。
切れ者なんだけど世話を焼かずにはいられない危なっかしさがよく出てました。
陣内孝則さんはベッタベタの悪老中を楽しそうに演じておいででした。
西村雅彦さんは、知恵者なんだけどいつも貧乏くじで苦労性でコミカルな
ああいう役が一番映えます!
忍者が出てきてアクションをしたりもする、サービスも満点です。
お客年齢層、ちょっと高め。
痛快時代劇お好きな方におすすめー。

内容ばれ

通常8日かかる道中を5日に短縮しなければならないのですが
どうするかというと、直線距離を走ります。つまりは山の中を。
参勤交代というよりもはやスポーツです。
あとで地図を見て、どのくらいの山だったのか確認しましたけど、
筑波連山北部を2~3日で縦断したってことでいいのかな?
筑波山877m
加波山709m
吾国山518m
きのこ山527.9m
とかなんですよね(きのこ山ってかわいい)。
うーん、きつそうだけど尾根伝いに行ったらちょっとは楽なのかな…。

弓使いの子がおいしかった。
レゴラスもびっくりの弓の使い方!!

原作小説もあるそうですが、わりと残酷描写ありの内容らしい。


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「ノア 約束の舟」

2014年06月20日 | ファンタジー映画

みんな知ってるノアの方舟のお話を、
ダーレン・アロノフスキー監督が壮大なスケールで描きます。
エマ・ワトソンが出ているので見に行った。
キリスト教徒、あるいは年配の男性なら感動できるかもしれませんが
仏教徒、または女性にはかなりしょっぱい内容なので覚悟が必要です。

内容ばれ

・正直壮大すぎてOP早々「そこからですか?」って思った。
・映画のオリジナル要素は主に2点。
 1.カインの子孫トバルカインが人間の悪徳の権化となって民衆を率いて舟を奪いに来る。
 2.ノアが、人間は悪だと判断して自分達一家も繁殖せずに死ぬべきという決断をする。
 前者は例によって演説!合戦!わーわーわー!なんですが、後者がきつい。
・エマ・ワトソンさんはノアの長男セムの嫁なのですが、
 子供の頃に腹に怪我をしたせいで子供が産めないのです。
 なのでそのことで悩んで「夫には子供を産める本物の女が必要!」って泣いたりします。
 抜群の映像美で描かれる発言小町案件です。
 姑も「息子が子孫を残せないなんてひどい!」って、
 ノアのおじいちゃんで神通力を持ったメトセラに相談に行きます。
 おじいちゃんは気のいいおじいちゃんなので、よっしゃ!と
 エマ・ワトソンの不妊を治してくれます。えー!?
・わーい!って励んで妊娠した喜びもつかの間、人類死すべし思想に憑りつかれたノアが、
 「生まれた子供が男だったらいいけど、女だったら繁殖するので殺す」
 とか言い出します。方舟の中でも常にエマ・ワトソンを見張っていて、
 若夫婦が逃げようとすると脱出艇に放火したりします。
 生まれた子供は当然女の子なので、刃物を持ってエマ・ワトソンを追い回します。
 閉鎖空間で父親の頭がおかしくなって
 ピャーピャー泣いてる女を追い回すこのパターン知ってる…
 と思いましたが「シャイニング」ですね。
 もういいじゃない。そのラッセルは海に還そう。
・ところでこの一家にはもう1人おかしいひとがいて、それは二男のハムです。
 元の物語では、息子3人にそれぞれ嫁がいる設定なのに、
 映画では嫁がいるのが長男だけなものだから、この人はともかく最初から最後まで
 ずっと「僕も女がほしい、女をくれ、女、女」と首尾一貫していて清々しいです。
 兄と兄嫁が絡み合っている所を覗き見したり、
 洪水が始まりつつあるのに悪徳の街まで女を探しに行ったりします。
・洪水のあと、酔ってマッパで寝ているノアの姿を、長男と三男は慎み深く目をそらしたが…
 というシーン、世界洪水を乗り切ったあとでおっさんが全裸で寝てようが踊ってようが、
 本当にどうでもいいという謎のエピソードですが、映画にもちゃんとありました。
 なぜいれたし!?
・良かったところも書こう。
 シェムハザを始めとする堕天使たちが、この映画では「番人」として登場し
 岩の巨人のような姿をしていて、ノアの舟作りを手伝ってくれます。
 というか舟のほとんどを作ったのはこの人たちだし、暴徒から舟を守ったのもこの人たちだ。
 かわいかった。
・あとおじいちゃんのメトセラもかわいかった。ずっと「野いちご食べたい」って言ってた。
 アンソニー・ホプキンスさんは座って喋るだけでも大変そうだった。大丈夫だろうか。
 映画に箔を付けたいのは分かるけどあまり無理をさせないであげて…。
・ノアの息子たち、それとエマ・ワトソンさんは全員美形だった。
 あほのハムもローガン・ラーマンが演じたのでやや許せた。
 特にセムの子供時代を演じたギャヴィン・カザレンニョくんが美しかった。
 Gavin Casalegnoで画像検索!

・宗教団体から資金でも出ているのかと思ったけどそうでもないっぽい。
 (監督が長年温めていたプランらしい)



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「女子ーズ」

2014年06月17日 | コメディ

キッチンなんか糞くらえ。野菜切らずに悪を切る!

前任者の戦隊が任期満了をむかえ、
「最近は女が強いらしい」「名前に色が入っている」という適当な理由で、
地球を守る「女子ーズ」のメンバーに
勝手に選ばれてしまった5人の若い女の子たちのグダグダとした戦いぶりを描きます。
女の子は5人ともすっごくかわいいですよー!
(私は知らなかったけど)「あまちゃん」の若い頃の春子さんとか、
「桐島、部活やめるってよ」の桐島の彼女とかを演じた人たちが出演なさってます。
勇者ヨシヒコの福田雄一監督による、ゆるーい特撮映画です。
始終ウフフフ…ヒョヒョヒョヒョ…と小さい笑い声が起こっている感じ。
あ、監督のファンなら楽しめますが、全然テイストを知らない人が飛び込みで行くのは危険。

地球を守る女の子系作品の正規メンバーが、大抵中高生なのに納得がいきました。
社会人の女性は、怪人が出たからって早々緊急対応できませんよねそう言えば…。
得てして一番のっぴきならない時にかちあいますよね…分かる分かる…。
そして、まつげエクステとか、彼氏との別れ話とか、
様々な理由で戦闘に集合できなくて、必殺技が出せない…。
うんうん、5人いたらそういう事になりそう。

内容ばれ

でもな!大事なプレゼンがある日は前もって全員に
この日のこの時間帯は絶対に抜けられないって
連絡をしておくべきだと思うんだ!それが大人だ!

怪人を倒して5人で打ち上げをやっていたら、
男性グループが「合コンイェーイ!」って割り込んできて
ウェルカムな子とイラっとする子がいるとか、女子グループあるある…。

ネットカフェで「20世紀少年」に夢中になったブルーを迎えに行って
「来てくれないと『トモダチ』の正体を言う」って脅すのですが、
笑ったのと同時に「そういえばトモダチって結局誰なんだっけ…」
って真顔で考えました。
最後まで読んでるけど途中のフェイクが多すぎて記憶が混ざってる…。

あと、女子ーズが全員揃うまでちょっと待っててお願い!
された怪人とその部下が、最初はキャッキャ盛り上がって待っているのに、
そのうちすることがなくなって昼寝とかしているの、受けました。
登場した怪人さんたちは、みな話の分かるいいひとだった。

女子ーズのコスチュームは島本和彦先生デザイン。


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「グランド・ブダペスト・ホテル」

2014年06月10日 | 美学系

ウェス・アンダーソン監督の偏執的な美意識はたっぷり発揮されているし、
観客が置いてけぼりになるシーンはないし、
いい具合の融合じゃないかと思います今回。

毒がきいてる、役者は怪演、笑いもある、ちょっぴり残酷、こっそり下世話、
でも中心にあるのが大ホテルのコンシェルジュと
戦火に国を追われたベルボーイの友情なので暖かい印象。
手を抜いているシーンが一つもないので、
びっしり書き込まれた凄い画風の絵本みたいです。
なのでモニタではなくスクリーン向き。
あ、でもなにぶん癖の強い監督なので
合う合わぬはすごくあると思います。
でもこの作品が駄目なかたは、
ウェス・アンダーソン監督作品は全部合わないかも…。
私は「ファンタスティック Mr.FOX」が一番好きです。
今回出てきた始末屋のジョプリングは、
「Mr.FOX」の用心棒ラットの生まれ変わりみたいでした。
(両方ウィレム・デフォー)衣装も仕草も決まってた!

あらすじ
(時間軸が3つあるのですがまあそれは重要ではないので割愛)
名ホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」を取り仕切る
コンシェルジュのグスタフは、
馴染みの顧客たち、特に裕福な老女たちに人気があり、
複数と関係を持っていた。
そのうちの1人マダムDが突然死亡し、
遺言として名画をグスタフに残したことから
彼は無実の殺人の罪を着せられ、ベルボーイのゼロを供にして
様々な冒険を繰り広げることになる。

出演者はレイフ・ファインズ(我らのヴォルデモート)、
エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー
ジュード・ロウ、エドワード・ノートン、シアーシャ・ローナン
ビル・マーレイ、ティルダ・スウィントンほかにもたくさん。
この監督さんは役者に好かれる性質なのか、
びっくりするような俳優さんがチョイ役で出てます。
(ところで銃撃戦のシーンで一瞬だけジョージ・クルーニー並みに
顔の濃い人がいたんですが、あれジョージ・クルーニーだったんじゃないの…。
ただのモブにしては顔が濃すぎるよ…調べたけど同意見多数、でもクレジットなしらしい)

内容ばれ

色々な楽しみ方のできる映画ですが
私は馬鹿馬鹿しいでたらめが好きなので
あのコンシェルジュ秘密結社のくだりとか最高でしたね。

友情の描き方も、
野蛮な暴力より文化的なものを愛する気骨の描き方も、
そっけないくらいあっさりしてますが
それがこの映画には丁度いい温度です。

びっくりしたのは、監督は猫派だから
毎回犬が気の毒な目に遭うのだと思っていたら
今回猫が惨殺された事!
(あと人間の身体欠損もちょっぴりあるので苦手な人注意)

舞台になったのは架空の国とホテルですが
撮影に使われたのはドイツのゲルリッツにある
「Art Nouveau department store」
というデパートなのだそうです。
画像検索すると猛烈に行きたくなります。
街並みも美しいです。丁寧に作られたミニチュアみたい。



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