映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「犬ヶ島」

2018年05月31日 | アニメ映画

ウェス・アンダーソン監督。
未来の日本、メガ崎市において
増えすぎた犬は深刻な問題となっていた。
そのうえ犬から人間に感染する伝染病が蔓延し、
市長はすべての犬を犬ヶ島に隔離する法案を通す。
彼はまず自分の飼い犬を島へと送るが
彼の義理の息子であるアタリ少年は、
愛犬スポッツを取り戻すべく単身犬ヶ島に向かい、
そこで出会った5匹の犬たちと協力関係を結ぶ…というあらすじ。
ウェス・アンダーソン監督のクレイアニメです。
豪華声優陣はリーヴ・シュレイバー、エドワード・ノートン、
ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、
ティルダ・スウィントン、フランシス・マクドーマンド、
渡辺謙、夏木マリ、等々。なぜかオノ・ヨーコさんが出演なさっている。

ずっと打楽器がドコドコドコドコ…って鳴り続けていて
緊迫感があったし、異国情緒があった。
群衆のクレイが動くところとか、手間を考えるとぞっとしました。
画集のような仮想日本だった。

犬のキャラクターがとぼけていてキュートだし、
動きもすごくいい(特に目!)けども、
犬好きの人に特別おすすめの映画、という訳ではない気がする。
人間も犬も等しくキャラクターで、
そのキャラクターが魅力的、というか。

内容ばれ

アタリ少年とスポッツの関係が主君と騎士(殿と家臣)のようで、
あのあたりの表情がとても良かった。
目と涙の表現とか。あれは人間ではできないものね。

しかしアンダーソン監督作品の登場人物は
時々気持ちの変化が突拍子もなさ過ぎてよく分からなくなるので、
そこは人間の役者が補完した方がいいのではないかと思ったり。
(今回は市長の終盤の気持ちの流れがよく分からなかった)
なので、どっちが好きかといえば、ほとんど人間の出てこない
「ファンタスティック Mr.FOX」のほうが好きです。

喧嘩するとき、あの煙がもくもく出て、
体の末端だけがぴょこぴょこ覗く表現ひさしぶりに見た。

日本語がわりとたくさん表示されますが
豆字なので、いつもより少し前の席がいいと思います。

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「ピーターラビット」

2018年05月29日 | 児童文学系映画

湖水地方で暮らすうさぎたちのお話、
お子様も親御さんも安心して楽しめる童話…では全然なくて、
ピーターたちの父を食べた宿敵マクレガーさんが心臓発作で亡くなり、
相続した家を売り払うためにやってきた身内のヤングマクレガーさんを
ぶっ殺すために手段を択ばないうさぎたちと、
害獣を退治するためにダイナマイトすら使用するヤングマクレガーさんの
真剣な殺し合いをコミカルに描いた作品です。
子供に暴力表現は見せたくないご家庭向きではありません。
ピーターラビットである必要性はあまり感じられなかったけど、
パンチの効いた動物ものコメディとして面白かった。

ヤングマクレガーさんの微妙にかわいい変人描写と、
恋をした彼の浮かれっぷりと、
全力で演じるドーナル・グリーソンさんの
意外なコメディとの相性の良さ、
全部合わさってマクレガーさんのキャラクターが良かった。
あとビア役のローズバーンさんが可愛らしく撮れてて嬉しかった。

内容ばれ

素敵だと言ったのは君のことじゃなくて!
あっ君が素敵じゃないとかそういう意味じゃなくて!
あっ今プロポーズすべき!?
鳩!鳩!鳩!みたいなマクレガーさん1人コントが面白かった。
ロンドンから戻ってくるところの大冒険を
ダイジェストでお送りしております…みたいなのも。

ネットでやや問題視されていたアレルギーの件は確かに、
親が注意しようがどうしようが、
人が変顔になって倒れる!おもしろい!ってやっちゃう子はいるだろうし、
そういう子が見るには向いてないかも…。
まあでも理解力のあるお子さんなら、
アレルギーについて話し合ういい機会になるかもしれません。
知らんぷりしたいけど、でも勇気を出して謝るシーンは
お子さんに見てほしいですけどね個人的には。

ハロッズの昇進の件で、階級社会が皮肉られたり、
マクレガーさんをアレルゲンで殺そうとしたとき、
「クレームのお手紙出さないでね!」って
ピーターが第四の壁を越えて語り掛けてきたり、
どことなく英国っぽいなと思いました(原作は英国)。
アメリカ・オーストラリア・イギリス合作なんですね。

ところで原作「ピーターラビット」が
100%お子様向けほのぼの動物ものかといえばそうではなく、
のちにベンジャミンとフロプシーが結婚して子供が生まれて、
おじいちゃんに子供を任せて夫婦で出掛けたら
訪ねてきたおじいちゃんの友達のアナグマが
子供を持ちかえっちゃって(もちろん食べるために)
嫁が怒ったらおじいちゃん不貞腐れて家族をシカトしたり、
嫁はおじいちゃんのパイプ隠したりとか、
そういうしょっぱい話があった気がする。(子供は助かった)
その子供を食べようとしたアナグマ氏、今回登場してた気がします。

 


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ナショナル・シアター・ライヴ2018 「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」

2018年05月28日 | 舞台

1966年初演のトム・ストッパードの戯曲より。
ローゼンクランツ役はダニエル・ラドクリフ、
ギルデンスターン役はジョシュア・マクガイア。
この演目は舞台も映画も見た事がなかったので初見です。
「ゴドーを待ちながら」っぽいという予備知識はありました。
「ハムレット」の端役ローゼンクランツとギルデンスターンを
主軸にした不条理喜劇。
かなりコメディ寄りだったのが意外でした。

タイトルからも明らかですが、とりあえず死ぬ!(笑)
話の流れは「ハムレット」と同じなので、
なにがどこまでネタバレなのかよく分かりませんが、
とりあえず反転なしで書きます。ご注意。

メタ的な笑いが時々あって、
背後の相手のほうを向かずに客席へ向かって話す不自然さや、
面白い登場人物でも出てもらわないと物事が進まない的な
台詞を笑うシーンがありました。
というか彼等はどことなく自分が物語内にいる事を自覚している節があり、
自分達が最終的にどうなるか薄々勘付いており、
(予兆があり、決定的証拠も見てしまう)
しかし悲劇的な結末から逃れられないように
認識能力がぼんやりとしていて、正常な判断力が与えられていない。
どんなに不安になって議論しても、
(表が出続けるコインのように、おそらく何度繰り返しても)
彼等は王の命令を受けてしまうし船に乗ってしまう。
幾らでも断って、去る事もできるのにそうしてしまう。
ぞっとするような物語の強制力も表現されていました。

どちらかといえばしっかりしたギルデンスターンと
ぼんやりしたローゼンクランツ。
本編とは違って、愛らしい人物でした。
左手と右手、どちらにコインが入っているかの賭けの時に、
ギルデンスターンを勝たせてあげるために
両手にコインを握るローゼンクランツ、とってもかわいかった。

英国の舞台のお客は見事に階層で分かれていて、
労働者層は絶対に芝居など見に行かないって最近エッセイで読んだのですが、
でもこのお芝居はダニエル・ラドクリフさんが出演されているので
客層としては特殊なのかも。
それとは別にお客さんの眼鏡率の高さに驚いた。



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「仮面ライダーアマゾンズ THEMOVIE 最後ノ審判」

2018年05月25日 | 特撮映画

Amazonプライムビデオでシリーズ2まで製作されていた
「仮面ライダーアマゾンズ」の完結編です。
一応決着はついたので、たぶん本当に完結編なのだと思う。

人肉食シーンはあるし、血は飛び散るし
もうびっしゃびしゃです。
4Cに追われた主人公と美月が迷い込んだ不思議な館。
そこでは身寄りのない子供たちが集団で生活しており、
新しい家族が迎えに来るのを待っているのだった…という話。

内容ばれ
予告編ですでに明らかですが、「約束のネバーランド」ねた。
しかしそのネタのために、現在この世界は食用肉不足であるという
ごっつい設定が追加された。
うーん、でも感染する話はどうなったんだろう。
私は食べるのいやだな…。
69ちゃんは、ぬいぐるみみたいなアマゾンで、
うわーかわいいー!なんだろ?と思ってたらリスだった。リスかー。

結局アマゾンズは悠と仁の物語で、
2人の間で完結して終わったなーという印象。
今回仁さんは上半身裸で鎖につながれ、
外付けの子宮のようなものを幾つも取り付けられ
知り合いの科学者に無理矢理に子を作らされていたので
ちょっと「なんだこれ…」ってなりました。
(その科学者の人は変身する前に上着を脱いでネクタイも外すBLアマゾンズ)
美月は足を撃たれて、物語の終盤までずっと動けずに
「悠…」って心配しているだけの役割だったので、
ヒロインは仁さんなのか?って思いましたね。

自分のために生きるのは醜いこと。
食べられて他の生物の血肉になるのは幸せ。という
アマゾンズのテーマ「食」に絡む子供達の主張へのアンサーも
ふんわりと一応結論のようなものを出した。

靖子さんが脚本じゃない…ってむくれてましたが、
引き継いだ人は頑張ったと思います。
高橋悠也さん、平成ジェネレーションズFINALの脚本の人だった…。
あれも靖子さんの「オーズ」に決着をつけた話だった。

レストランにいた客のおじいちゃん2人、手つないでた?



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「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」

2018年05月15日 | 淡々と暗い系

フロリダ州のディズニーランド近くに建つモーテル、
マジック・キャッスル。そのカラフルな色をした格安宿泊施設は、
ディズニーランドに来る客をあてこんで建てられたものだったが、
現在は貧困層が日銭暮らしをする場所になっていた。
母親と暮らす6歳の少女ムーニーは、
同じ年の子らと毎日楽しく遊んで暮らしていたが…というあらすじ。

女児のムーニーが毎日無邪気に、
車に唾を当てる遊びをしたり、牛を見に行ったり虹を見たり、
踊ったり歌ったり、木陰で食パンにジャムを塗って食べたり、
友達と幸せそうに遊んでいるシーンがずっと続くので、
あまり悲惨な印象ではないんですが、貧困の話です。
正義のヒーローが戦って倒せたりはしないので、
最後はちょっと苦しくなります。

ラストばれ

ムーニーが音楽を掛けてお風呂で遊んでいるシーンが何回か続きますが
私は最初全然分からなくて、男がトイレを使うために入ってきてやっと
「お母さんが売春してたのか!自撮りはそのためか!」って気付きました。

母子が楽しそうにしているので何となく意識にのぼらないけど、
でもナチュラルに観光客に小銭をせびっているし(かわいかったけど)、
ランド付近の行商は禁止されているだろうし、
公衆道徳の低さや言葉遣いの悪さ、盗品の売買、
あの環境がムーニーのためになるかといったら、ちょっと微妙だと思う。
フロントの女の人が言葉遣いの悪さに怒って「だから貧乏なんだよ!」
って言ってましたが、
貧乏だから貧乏しぐさになるのか、貧乏しぐさが身についてると貧乏になるのか
どっちが先なんでしょうね。
花火とケーキのシーン、美しかったです。

ウィレム・デフォー、いい演技でした。
助けるにしても限界があって、それを越えると「グラントリノ」になってしまう。

ラストはあれ、許可を得ない撮影だったそうです。
(上映していいの…?)
「お嬢さん」をちょっと思い出した。
この映画だと問題は何も解決していないけど
彼女たちは小さい子供だから仕方ない。
いつか再会してほしいです。



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