映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「ヒットマン」

2024年09月17日 | サスペンス映画

ニューオーリンズ大学で心理学哲学を教える主人公は
猫と野鳥を愛する変わり者で、
周囲からも地味でパッとしない存在だと目されていた。
教授職の傍ら、警察に協力しておとり捜査のスタッフをしていたが
ある日停職になった殺し屋役を演じる同僚に代わり
凄腕の殺し屋を演じてみると、それが意外と高検挙率をあげ…というあらすじ。
(殺し屋を演じた教授は実際にいたらしい)

冴えない中年男性変身ものです。
サスペンスブラックラブコメディー。
最近ひっぱりだこのグレン・パウェルさんの、
驚きの七変化が楽しめます。

ベッドシーンが何度かあるよ。

ラストまでばれ

保身のために人を殺した者同士のハッピーエンドでびっくりした。
お子さん、サラブレッドじゃないの!
嫌われ者のアホは殺されても司法が機能しないという内容なのだが
そこまで深く考えて撮られてないような気もする。
子供に暴力をふるったり、女に加害したりするやつはまあ死んでもいいか…?
と一瞬考えたが、いや、誰に対しても司法はきちんと機能しないとだめだ。

性格を決定付ける主要5因子、
「外向性」「誠実性」「調和性」「開放性」「神経質的傾向」
あとで調べたら面白かった。
でもこの映画の場合、性格とは固定しているわけではなく
明日にでも全く違う自分になれるという内容なのだが
「インサイドヘッド」や「スオミの話をしよう」と
どことなく地続きで面白い。

主人公のゲイリー、
最初はユーモラスで無害なキャラクターに見えるが
別に倫理観が高く共感性にあふれているわけではないところが
ロンの下地になっているのが分かる。

ミステリ的に考えると

・唾液や尿などが漏れていた場合、殺害場所が違うことがばれる。
・ビニール袋の入手先。いつどこで。
・移動途中監視カメラに写っているのではないか。
・胃の中のビールはいつどこで買ったものか。
 現金で?電子マネーで?目撃証言は?カメラ映像は?
・保険金の手続きをしたのは誰なのか。

という部分から崩せる気がするが、
嫌われ者のアホなので誰も調べなかったのだろう。

DP&Wに続いてホンダ(シビック)dis。
陰で笑われるレベルで、
つまんねー、だせー男の乗る車という認識になりつつあるのか?







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「スオミの話をしよう」

2024年09月16日 | コメディ

監督脚本 三谷幸喜
久しぶりの三谷さんの監督映画作品。
入場者も満席に近く、好調なスタートのようです。

スオミという女性が姿を消す。
彼女は有名詩人の妻であるが、
その前には刑事と結婚しており、
彼女の捜索はその刑事に一任される。
しかし現場にやってきた刑事の上司や
その家の使用人は悉く彼女の前の夫であり、
今でも彼女を憎からず思っている。
しかし前夫たちが話すスオミはそれぞれ大きな違いがあり…
というコメディ映画。

伏線の緻密な悲壮なお話、その中にも笑いがあるという
「鎌倉殿」のような作品と共に
今回のような、ちょっと寓話っぽいコメディは
三谷さんの両手のようなものですが、
私はどちらかといえば後者に三谷さんらしさを感じる。

演技、オーバーアクションで笑わせる系なので
舞台っぽい所作が苦手な人はやめておいたほうがいいかも。
登場人物の平均年齢が高く、人生を俯瞰して眺める要素があるので
大人向けかもしれません。私は好きです。
長澤まさみさんの「コンフィデンスマンJP」で磨かれた
色々な人物の演じ分けが遺憾なく発揮されてました。
西島秀俊さんの真面目さを生かした笑いもうまくハマってた。

ねたばれ

解決シークエンスのあと西島さんが、自分だけ呼ばれた時の
抑えがたい優越感の笑み、とてもとても良かった。
前夫だけが同席できる場所へ自分も行くと言い張る瀬戸さんの動きも笑った。

シリアスな意見になるが
男性たちは男性同士の連帯や信頼、ライバル心、崇拝、好意について
よだれを垂らすほど好きなのに、
男性同士の性的な関係は断じて許されぬと強烈に刷り込まれているので
そういう人にとってこれは究極の、理想的なボーイズクラブなのではないかと思った。
血のつながりはないが家族に近い、強いきずながある(スオミという)。
逆ハーレムとボーイズクラブという、
男女ともに夢の関係を合体させた話ではなかろうか。

薊さんに気付いたのはママ友のあたりだけど、
魚山さんの過去パートでふき出してしまった。
三谷さんの作品で、血のつながりのない女性同士の
シスターフッドが描かれたのって初めてじゃないだろうか。
(やっぱり猫が好き、紫式部ダイアリーは観てます)
夫が5人もいて、今後も増えていくだろうスオミだけど
歳をとったときに一緒にいようと考えるのは薊さんなのかっていう。
偶然ですが、女性が女性に「おばあちゃんになっても一緒にいたい」って言う映画を
連続で2本見たよ。

相手の期待している人格を演じるタイプの女性、
実際に現実世界にいらっしゃるけど、
元々の自我が薄くてそれが可能なんだろうなと思うことはある。
スオミは思春期の家庭環境で、ああいう技能を身に着けてしまったのかも。
私は映画を見ながら
「相手に合わせて自分の自我を曲げることは今後も絶対にしないし、
誰かに対してこうなってほしいという押しつけもしないぞ!」
と思いました。

スオミは「フィンランド」という意味で、
小林聡美さんの代表作のひとつ「かもめ食堂」に出てきたカフェの本当の名前。
(だったんだけど、映画を見てやってくる日本人があまりに多くて
「ラヴィントラ カモメ=かもめ食堂」に改名してた。2016年。知らなかった)
フィンランド、旅行するだけなら意外とお安く行けたように記憶してるので
まずは薊さんと1週間ほど行ってみればいいのに。
ヘルシンキの歌が耳に残って今もグルグルしてますが
最終的に執着するのが自分のルーツ、(嘘かもしれない)お父さんの話なのかと思った。
三谷さんが宣伝のために出演していた番組で
息子さんにムーミンの読み聞かせをしている話や
お父さんが子供のころに亡くなれられた話をなさっていたので
どうしてもつなげて考えてしまう。

最後みんなで歌って踊って夢のようにわーっと終わるの、
舞台劇みたいでいいですね。
薊さんの一人称で書かれた「スオミの話をしよう」を読んでみたいです。
「メタモンみたいな女だな、と最初は思った」から始まる感じの。






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「アビゲイル」

2024年09月16日 | ホラー映画

富豪の娘を誘拐して5千万ドルの身代金を手に入れようとした6人の男女。
しかし怯える少女の様子が徐々に変わってきて…というホラー。

「レディ・オア・ノット」の監督コンビ。
あれは当たりのホラーでしたが、今作も当たり。
予告編でもねたばれされてますが
誘拐した少女は殺人バンパイアバレリーナだったのです。
バンパイアでバレリーナ!新しい!
踊りながら襲ってきます。

嘔吐があるよ。

ねたばれ

女性主人公、身体能力高く推理力高く冷静、
弱者にやさしく、過去に傷がある。
ユニセックスな感じでいいです。

しかし犯罪で得た金、
平等に人数割って話があったら、それは警戒しなよ…。
あれしきの働きで9億8千万円はないよ…。
ああいうの、通常は話を持ってきた人が半分取るよね。

最近、倒すべき怪異との共闘が流行なのかも。
にんにくも十字架も効かないけど
それは効くのかよという驚きがあった。
あとわりと仁義を重んじるバンパイアで、
マフィアと吸血鬼の共通点について考えてしまった。
夜に活動する、人の生き血をすする、仁義を重んじる(new)。

お父さんが出オチ。
いかにも支配的な父かと思ったら
娘の反抗にワナワナ震えてて面白い。

献辞があって、どなたか亡くなったのかと思ったが
ジャンキー若者役のかたが亡くなっていた。







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「憑依」

2024年09月09日 | ホラー映画

チョン博士は助手と結託してトリックを使い
心霊現象に悩む依頼人から金を巻き上げている。
しかし5千万ウォンという大金を手付金として持ち込んだ謎の若い女性、
その依頼人の事件に乗り込んだチョン博士の様子が俄かに変わり…というあらすじ。

韓国ホラーのあの本当に怖いやつじゃなくて
どちらかといえばハラハラ心霊バトル系です。ジャンプっぽいやつ。
霊的な才能には恵まれなかったチョン博士、
観察眼と推理力でそれを補っていて、シャーロックの亜種ともいえる。

エンドロール序盤に終幕シーンあり。

内容ばれ

俳優さんといい、リスペクトといい、
「パラサイト」ネタが多いなあ…と思ったら
監督さんが「パラサイト」の助監督をしていたのか。

チョン博士と義理のお父さんの社長の関係、いいじゃない…と思いました。
彼の太鼓の音だけは聞こえるというシーン、
重要だから2回やったんだね。わかるよ~。

あの次々地域住民が襲ってくるシーン、
羽生蛇村みを感じた。
あと終盤のCGに潤沢な予算りょくを感じた。

今回のヴィラン、梵天くんなのだが
本当のブラフマーがあんなにしょぼいわけないし、
名前かぶり、または自称梵天ということなんだろうか。
(韓国の仏教徒の割合は日本ほど多くないので、
明王がいないのかな?と思ったがそうでもないようだし)




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「エイリアン ロムルス」

2024年09月08日 | ホラー映画


シリーズ7作目。
監督は「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレス氏。
過去作とは設定上のつながりだけなので、
今作から見て大丈夫です。
寄生型宇宙人、アンドロイド、巨大企業、閉鎖空間、
というシリーズのお約束をきっちり踏襲し、過去作ネタを多数織り込み、
手堅く作られた1作。
シリーズのおすすめは1と2です。

今回シリーズ随一と言っていいほどウェイランド社が巨悪。

注意としては、嘔吐あり。
ドゥルンドゥルンのなにかが人体から出たり入ったり。
(ホラー映画なので!)

劣悪な環境の惑星で労働させられているヒロインは、
同じく労働者仲間たちと違法な手段での脱出を試みる。
冷凍睡眠ポッドを奪うために立ち寄った、半壊した宇宙ステーションの中で
彼女たちは奇妙な生物と遭遇するというあらすじ。

ダン・オバノンとギーガーは、今作でもクレジットあり。うれいい。

ラストまでばれ

美術が良かった。
大きめのキーボタン、小さい2色モニタ、
1で描かれているテクノロジー、1周回って
レトロフューチャー的おしゃれ感がでている。
(温度表記が華氏でイラっとした。ユタニ社、もっと強く主張して!)

アンドロイドと人間の関係も工夫を感じました。
庇護の対象で、家族で、友達。

タイトルを見た時、ローマ建国神話?と思った。
怒ったリプリーがテヴェル川に流したエイリアンを、
ウェイランドユタニ社が拾って育ててやがてローマを築く、てきな。

1から描かれている格差社会と巨大企業の暴走だが、
今回は格差というか人権がなかった。
親子で働かされて離職できないというのはほぼ奴隷だ。
(まあおそらく惑星間移動費を前払い、「5年働けば返済完了ですよ!」
などと言われてサインするけど、
契約書の下のほうにフォントサイズ6くらいで何か書いてある…
とかそういう感じだろう。労働法にはふれないのか?
過去作でもウェイランド社は非人道的計画を実行してたが
少なくとも社員も災難に遭ってたし、表向きは労働者を人間扱いしてた。
今回は、強制労働させられている人が、
なんとか逃げようとしてエイリアンに出くわすので気の毒すぎた。
惑星の過酷な環境に適応するって言っても、
どうせ低所得者層だけでしょう。
ウェイランド社の上層フロアに
チェストバスターを10匹ほど放り込んでやりたいですわ。

上半身おじさん、アッシュと同機種だったのか。
オリジナルアッシュのイアン・ホルム氏は亡くなっているので
違う方が声をあてているんだな。

小さな不満としては
男も女も平等に暴力的に孕まされて強制出産させられるのが醍醐味なので、
めっちゃ性器性器していた今回、
男性キャラクターが産まなかったのはちょっとがっかり。



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