映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」

2019年06月30日 | バトル映画

リブートしたスパイダーマンの2作目、MCUとしては23作品目、
フェイズ3のラストの作品です。
前作「アベンジャーズ エンド・ゲーム」で起こった出来事の影響の濃い内容で、
見てないとちょっと分かりにくいです。
ぶっちゃけると死亡者が複数出ているので、ねたばれになります。
フェイズ3の長い長いエピローグであるのと同時に、
フェイズ4の長い長いプロローグのようでもあります。

半数の人口を失い、ヒーロー達によって取り戻された世界で、
人々は混乱しながらも生きていた。
高校生のピーターは学校の企画でイタリア旅行に来ていたが、
ニック・フューリーが彼の前に現れ、
正体不明の敵が現れたので、対処するように命じる。
夏休みを楽しみたいピーターは、反対するのだが
否応なしに事件に巻き込まれて…というあらすじ。

面白かったです。
サノスでインフレを極めた敵の強さをどうするのかと思っていたら
すごく巧い設定で、一旦リセットしてきた。
前作も巧かったけど、このシリーズはヴィランの設定がともかく巧い。
それと人の描き方が丁寧で、展開の都合上の不自然な発言や行動をする人がいない。
世界の孫、トム・ホランドくん演じるピーターは相変わらず細くて幼くて優しい良い子なのですが、
前作の出来事で深く傷ついており、そんな彼が少しずつ自分の足で立ち上がり歩き始める様子を、
全世界の心の祖父母たちが固唾を飲んで見守ります。

ねたばれ、エンドゲームばれ、祖母の感想

世界の人口が半分になって、5年後に元に戻りましたが、
めでたしめでたしとはならずに、作中でもあったように、
消滅したと見せかけて別の男と逃げた奥さんとか、
同級生は卒業しちゃって、同じ学期をやり直す学生とか、
様々なドラマがあったと思います。
たぶん生き返ったはいいものの、恋人や配偶者や職や住居はすでになく、
立ち直れなくて死を選んだ人がそれはもう大勢出たと思いますが
さすがにそこまでは描かれなかった。

なので何とか元気に、旅行でテンションを上げている子たちがかわいかった。
好きな子と隣の席になりたい、二股プラグで同じ映画を見たい、
2人っきりになってプレゼント渡したい…なんてキラキラした…ピュアな願望。
そこにやってくる眼帯ハゲ!帰れ!

今作は前作よりもピーターの怪我が酷いんですが、
傷んだ桃みたいで見ちゃいられませんでした。うちの孫になにをする。
だいたい16歳に世界を守らせようとしないでいただきたい。
あの大量破壊兵器の継承も、せめて成人するまで待って頂きたい。
バスのシーン、先生が機転を利かせて下の様子を見に行ったから脱出できたけど、
脱出してなかったらあそこで全員死んでいたので!
ピーターの心も壊れていたので!そこのところシールドはよく考えてほしい。
ピーターが成長して強くなるのは喜ばしいけど、
あの最後のヴィランの企みを看破した表情、これまでのピーターの顔とは違っていて、
無条件で人を信じていた彼はもう失われたんだなと思うと悲しくもあった。
彼に、アベンジャーズのヒーロー達のようになってほしいかというと、私はそうでもない。

ピーターのトラウマが大きくて、沈みがちなお話が
それでもトータルすると明るくなっていたのは、
MJとネッドとメイおばさんと先生とハッピーのおかげだと思う。
特にハッピー。トニーの残した子たち全員のお父さんをやろうとしているのかな。
スーツをカスタムしているピーターを見ている目が良かった。
感覚的に設備を使いこなしている様子に、トニーを見たんだろうな。
突然恋の告白とかして高校生たちに「今そういう流れだった?」「何言ってんの?」
って目で見られてるのかわいい。
何よりキャップリスペクトありがとう!(その盾、たぶんヴィブラニウム製のより重いんじゃ…)
美しすぎるメイおばさん、今回は魔性すぎるメイおばさんだった…。
2人の仲を怪しんでいるピーター、最高にかわいいかよ。

私たちはアベンジャーズのヒーロー達がどれほど苦悩して様々なものを失ったかを
4~50時間かけて見てきたので、ふつふつと怒りのわくヴィランでしたね今回…。
でもちょっとメタ的でもあり、1人では成立しない、チームによる存在って面白い設定でした。
なかのひと、いつも瞳にハイライトのない猟奇殺人鬼の目なんですけど、
あの親身に相談に乗っているのに何となく温かみを感じられない演技って
計算してできるものなんだろうか。
というかトニーを恨んでいるヴィラン、あと998人はいるな。

余談
予告段階で、ナターシャに対する言及一切なしだったらどうしようって
ずっとグチグチ言ってましたが、ちゃんとヒーローとして悼んでくれていて本当によかったです。
(キャプテン・アメリカに対する言及がなかったら腹にダイナマイトを巻いて劇場に立て籠りました)
(というか、世間的にはキャップは死んだことになっているのか???)
(ソーとストレンジ、キャプマの名が出ましたが、ハルクと新キャップの名が出ないのはなぜ?)

エンドロール後に2シーンあります。(どうなっちゃうのー!?)



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「ザ・ファブル」

2019年06月28日 | バトル映画

南勝久さんの同名漫画を映画化。

裏界隈で伝説とされる「ファブル」という殺し屋がいた。
彼は殺しの天才で、あらゆる武器を使いこなし、
あるいはあらゆるものを凶器に変えて
6秒で仕事を終えるという噂だった。
ある日、ファブルは彼を育てた師から
1年間の休業を言い渡される。
彼は与えられたインコと、仕事仲間の女性と共に
大阪へと向かうのだった、というあらすじ。

岡田准一さんの格闘が好きなので見に行った。
残念ながら今回は突きや蹴りよりはガンファイト中心だったが、
福士蒼汰さんとの一騎打ちはダンスみたいに綺麗だったので
チケット代の元は取れた。

ファブルは殺しの天才だけど、
常識には疎く、それこそ普通の食事の仕方も知らない。
なので周囲の人から1つ1つ学んでいくんですけど、
その部分がいい具合にコメディになってます。

ただし邦画なので、男性に性加害を受けそうになって
助けられる若い女性とか、そういう要素があります(脱がない範囲で)。
あと虫が苦手なひと注意。

内容ばれ

射撃に必要な筋肉と、
アナログ絵を描くのに必要な筋肉は同じらしいので、
たぶんファブルはすごい勢いで画力が上がると思う。
あと、人物の顔がちゃんと描けてるし、
絵の大きさも位置も適切なので、
精神状態もとても健康そう。

しかしボス、1年間すごして普通になれたらいいけど
なれなかったら殺すってどうして!?
自分でそういう風に育てたのに!
原作ではそこのところが描かれるのかな?

エンドロール後に1シーンあります。


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「ハウス・ジャック・ビルト」

2019年06月27日 | R18

ラース・フォン・トリアー監督

殺人鬼ジャックが
過去に殺した女たちの話を老人に語る話。
小動物への虐待、子供、女の残酷な殺害、
死体の激しい損壊、冒涜、様々な要素を含みます。
あとウルトラギャラクティカマグナムミソジニー映画なのでご注意。
(昔はちょっとは隠してあったけど最近はもう丸出し)
(男性の被害者に知性はあるが、女性は全員足りない風に撮られている)
(あと女性の犯罪被害について超理論が展開する)

実際のシリアルキラーの詳細な回顧録よりも
この架空の映画のほうがリアルで刺激的かもしれない。
それは単にシリアルキラーは表現の天才じゃないって事なんだけども。
しかしこの作品の核はグロ描写じゃなくて、
この世あると言われている愛とか善とか、それらは存在しなくて、
便宜上善良な人といわれているあれは実は単なるバカで、
この世はバカと、多くの性悪なバカと、
少数の性悪な利巧しかいない最悪の場所だから、
みんな全てを憎め、さっさと殺すか死ぬかしろ、
ワシのこの苛立ちと絶望を、類まれなこの才能で共感させてやる、という
メッセージ性、圧力だと思う。

さすがに監督もお年なので、若干支配力は衰えてきて、
それを残虐性で補おうとしている風に感じられた。

内容ばれ

鈍ったのか?って思ったのは、
例えば狩猟のエピソードからスッと切れ味鋭いラストにつなげていれば、
世界中の影響されやすいイキったひとが複数
ジャックなりきりで女を殺すほどの強い影響力があったと思うけど、
エピローグがかつてないほど無駄冗長グダグダで、
いい具合に気が抜けたラストで大丈夫そうだし、
あと老人への告白っていう形式は前作でも使ったし、
(わざとかもだけど)
肝心のジャックの家は、初見なら感嘆しただろうけど、
もう類似品をドラマ版「ハンニバル」で見てるからな…
美術ではあっちに軍配が上がるし…とか色々。
(あとブレイクもグールドもレクター博士のシリーズに出てくるね)

でも潔癖症コントとか、
コントの音楽に凡人はユーモラスな曲を合わせて過剰にしてしまうところを
打楽器のみにするという渋いセンス、
死体写真アートにコメディ要素を取り入れたって自分で悦に入るジャック、
果実まるごとすりおろし国道、
きちんと分類されている獲物の鳥瞰、
あのあたりの尖り具合はさすがだなって感じでした。

帰ってから「ダンテの小舟」と間違い探しをしたけど
川の男性のハンサム平均値がさりげなく上がっていた気がする(笑)
あとダンテが影響を受けた詩人だから「神曲」に出ただけで、
別にウェルギリウスは地獄の案内人を仕事にしている訳じゃないよ…。
迷惑よ…。
(あっでも中の人が「ベルリン・天使の詩」で天使を演じたから、
それも重ねているという説をネットで読みました。なるほど)
(ブルーノ・ガンツ氏はこの映画のあと3本ほど撮って、亡くなられたようです)



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「X-MEN ダーク・フェニックス」

2019年06月23日 | バトル映画

製作のフォックス社がディズニーに買収されたので、
長く続いたX-MENシリーズも今回で一旦終了。
(この先はMCUに合流するのではないかと噂されています)
製作に携わっていたブライアン・シンガーさんが色々な事情により
離脱したため、サイモン・キンバーグさんが監督脚本をされました。
(ファイナル ディシジョンやフューチャー&パストの脚本をされた方)
(今回初監督)

アポカリプスから10年、X-MENの活動により
ミュータントの地位は向上し、人々に受け入れられるようになっていた。
異常なフレアで危機に陥った宇宙船から乗組員を救出するミッションで、
フレアを浴びたジーンの能力が不安定になる。
そして同時に彼女は、過去にあった恐ろしい記憶を取り戻し…というあらすじ。
ダークフェニックスのお話は3で一度やって、評価が良くなかったのですが
過去改変物語があってリセットされたうえで、今回は雪辱戦になります。

ジマーの音楽が良かったです。
あと能力バトルがXMFCと並ぶほど良かった。
能力バトルは格闘とはまたちょっと違って場所選びや相手の能力との相性があるんですが
X-MEN過去作品は、「えっ飛べるキャラクターをその場所で使う!?」
「遠隔攻撃できるのにそういう戦い方!?」みたいなのが多かった。
でも今回は最適な場所ですごく格好いい戦いが展開してワクワクしました。

内容ばれ

マグニートーのバトルがピカイチ良かった。
金属を飛ばして遠隔攻撃、盾にして防御、デカイ物を落とす、潰す、
彼の能力はそもそもがチートですけど、今回は手足の延長のように使用して
接近戦で無双するのがプラスされて本当に格好良かった!

あとヘルメットが大破して、
ほぼ私服のマイケルファスベンダー状態になったので、
トンチキヘルメットとお衣装に毎回ぐぬぬしていた私はとうとう報われました。
というかヘルメット、爆散するために持ち出したような感じなので、
キンバーグさんもヘルメット嫌いだったのかな?と思いました。

愚痴!色々ばれ!(けなしています)

ケブラー製じゃないのかよ!いまのスーツはファッション性を重視した麻とかシルクとかかよ!
それとも柵がアダマンチウム製なのかよ!
私は彼女がX-MENを正しい方向に導いてくれると考えていたので、
これは本当に絶許ですよ。彼女の判断ならまだしも、あんな不本意な。

あと今回チャールズの扱いがひどい。
予告の段階からデッドリージェネシスを混ぜるんだろうなと思ってましたが、
案の定バチボコです。
人の役に立たなければ排斥されるという考えは、彼の怯えであり、
(ミュータントがマイノリティーの暗喩である以上、あまり感心しませんが)
一概に間違っているとも、ましてや悪であるとは言えない。
ジーンの過去を隠蔽したのもやはり微妙なところだけど、悪ではない。
でも現場のレイヴンの指揮を否定して無理な指示を強引に出したこと、
あの表彰式で1人で栄誉を独り占めしているような描写と、
人の批判を聞かない描写、酒に逃げる描写で、ぐぐっと悪寄りになってる。
この映画が初見の人にチャールズがどう映るか非常に不安です。
表彰式で陰りのある表情、仲間の献身をアピールするセリフ、
薄っぺらく聞こえる弔辞ではなく泣き崩れて物も言えないようなシーンがあれば
また違ったと思いますが、完結編でなぜそこまでチャールズを下げないといけないのか?

エリックに関しては、とうとうテロ行為はやめて
集落を作って隠れ住んでいるような様子に一安心したんですが、
ジーンとの会話で、大切な人を失い復讐のために人を殺したが
少しも楽にはならなかった、的なことを彼が言って、
えっそれは前作の、過失でエリックの家族を殺してしまった人と、
殺害に関与していない周りにいた人を激情のままに殺して、
あと職場の工場の人間、誰が密告したか分からないから全員殺した件も含まれる…?
えっ彼らにも配偶者や子供や友人がいて取り返しのつかない事をしてしまった…ではなくて
自分の気持ちが良いか悪いかなの…?えっ?ってワナワナしました。
そもそもあの件なぜ、刑事責任が問われてないの…?なんでなんで?
別に操られてやった訳ではなかったですよね。
あとその流れでジーンを復讐で殺そうとするのは、分裂してない?

いや、今回の地下鉄ゴゴゴも死者…かまあ運が良ければ重傷者が何人も出てるのではないか?
人間の間でどのように恐怖と排斥が広まっているかは恐くてちょっと考えられません。
前作でもそういえば同じ事を思った。
このシリーズ、ミュータント以外の人間がいるようでいない。必要な時だけいる、みたいな感じ。

あと大好きな先生を殺した人の名前が付いた学校に通うのはなかなか地獄だと思う。

色々ありすぎたのでラストシーンが心に入って来なかった。
エリックが自分の行動について言葉にしてきちんと説明しており、
うん…よかったね…とは思いました。

や、でも人は間違うし、それを許しやり直せるのは美しい、
X-MENはそういうシリーズだったようにも思います。
でも許されるからこそ忘却してしまい、同じ間違いを何度も繰り返す、
そういう負の面もあるとも思う…。

長く親しんだシリーズでした。
関わった製作や役者の方、ありがとうございました。


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「メン・イン・ブラック インターナショナル」

2019年06月17日 | SF映画

子供の頃にMIB捜査官を目撃し、記憶消去を免れた女性が、
どうしてもMIBに就職したくてあらゆる手を尽くし
強引に受けた面接をパスし、念願かなって
見習いとしてロンドン支局で仕事をするという話。
先輩エージェントHをクリス・ヘムズワース、
新人エージェントMをテッサ・トンプソンが演じます。
マイティ・ソーシリーズでも、
型破りな王と飲んだくれのヴァルキュリーを演じた2人ですが、
今回の映画で再タッグを組んでチャラ男と新人女子コンビを演じます。

脚本は「アイアンマン」のアート・マーカム&マット・ホロウェイ。
なるほど、という感じ。
クリス・ヘムズワースの上司がリーアム・ニーソンなんですが、
マイティ・ソーの上司がマスター クワイ=ガンとか面白すぎる。
嫉妬した同僚に、特別な関係じゃないかとか皮肉られて、
なにこれウヒャヒャヒャって心の中で笑ってました。
2人とも身長190代で、並んで立つと巨神兵です。

素行不良な男の先輩と真面目な女子のコンビですけど、
口だけ達者で無能な女子がキャーキャー足を引っ張って、
実力派の先輩にメロメロという、カビの生えたパターンには行かずに
エージェントMがめっちゃ優秀で度胸もある子なので
そこはストレスなく見られました。

結末までばれ

エージェントHのトンカチねたと(あとスティーヴも?)、
ハイTの宇宙が導いてくれるという口癖は
パロディなのかなと思いました。

裏切者のミスディレクションのために
Hのキャラクターがよく分からない人になっちゃった感はあります。
あとヴァンガスが何の説明もなくブツをMに渡して
結局どうしたかったのかというのと、
ツインズがヴァンガスを処刑しようとしてたのが謎なんですが
必要な説明を切ってしまったのかな?

Mが子供の頃に出会った凶悪な宇宙生物は
もっとラストの大きなネタにするのかと思ったけど
案外あっさりしてた。



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