映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「ジョゼと虎と魚たち」

2020年12月27日 | アニメ映画
原作:田辺聖子さん

海洋生物おたくの主人公は大学で学ぶ傍らバイトを掛け持ちし、
将来メキシコへ行く夢のために努力していた。
ある日バイトの帰り道に、車椅子が止まらなくなった女性を助けた主人公は、
ジョゼと名乗る女性と、その祖母と知り合うというあらすじ。

原作はとても短い話なので、9割がオリジナル展開です。
でも今の中高生が好みそうな話だな、ヨシ!という感じだった。
絵もとても奇麗だった、特にジョゼのお部屋が。
高級そうな部屋と調度を美しく描くのはおそらく簡単でしょうけど
ああいう、狭い和室を予算に限りある女性が
自分の感性で集めた小物で少しずつ飾ったみたいなのは難しいだろう。
山村家の内装は使い込まれてる感が出てました。
あと、いつもTOKYOばっかりキラキラアニメになってずるい!
って少し思ってましたが、
今回道頓堀になんばパークス、HEPFIVE、海遊館、てんしば、
知っているところが沢山出てきて嬉しかった。キラキラOSAKA!
海だけ「知らん…どこ…」ってなりましたけど、須磨でした。

実写映画版は、男と女の…業…肉欲…にんげん!みたいな解釈でしたが、
21世紀の人からすると、あれはただ気持ち悪い話に感じられるかも。
今回のアニメ版は令和だなあと思いました。
誠実の平均値が昔より上がって、人権意識もしっかりしている。
家族でもカップルでも、誰と行っても大丈夫です。

内容ばれ

アニメの良い点は、
ジョゼに同性の友人ができて、ちゃんと関係が結べているところ。
ジョゼの自立までちゃんと描いたところ。

ん?と思ったのは、退院の出迎えをすっぽかして、
冬の夜にリハビリ中の足の悪い主人公を駆け回らせたところ。
盛り上げのためとはいえ、あれはいかがなものか。

原作ではハンデキャップを持つ人に対する悪意と、
貧困が書かれていましたが、
アニメでは前者を残して後者は削られた。
妥当な判断だと思います。

主人公のバイト先の友達「その声に顔、そのセリフ、髪型、
実はイイ奴の主人公の友達を100人煮詰めて固めたようなやつだな」と思ってました。
当てウマ子ちゃんも、とてもいい子だったので、
司書子さんも入れてみんなで末永く仲良くしてほしい。

いま鬼滅にドラえもんと非常に固いやつが上位なので苦戦すると思うけど
さわやかな良作なので頑張ってほしい。


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「約束のネバーランド」

2020年12月21日 | ディストピアもの
ジャンプで連載された同名漫画の映画化。
孤児院グレース・フィールドでは様々な人種の子供たちが
里親が見つかるまでの間、
優しい「ママ」に愛情いっぱいに育てられ幸福な生活を送っていた。
優れたカリキュラムを受けられる院の中でも
ずば抜けて優秀なエマ、レイ、ノーマンは皆のリーダー格だったが
ある日、孤児院の本当の目的と自分たちの末路を知ってしまう。
彼等の命懸けの脱出劇が始まる、というあらすじ。

「鬼滅の刃」とほぼ同時期に開始した「約束のネバーランド」、
少し遅れて「Dr.STONE」、3本がジャンプ中堅として同じくらい面白くて
どれが当たってもおかしくないなと思ってました。
この漫画はめずらしく女子主人公で、知能の高いパワータイプ、
ラストまでお色気消費なし、頭脳戦多めで楽しめました。

とくに序盤は寮で暮らす子供たちに危機が迫り
優しい保護者だと思っていた人物が実は……
というダリオ・アルジェントのホラーでよくある鉄板パターン
子供たちが知恵を絞って生き延びようとする展開は
やっぱり惹きつけられます。
脚本も、うまくまとめてありました。

内容ばれ

原作では全員11歳の主役3人、
エマ役の方が20歳、ノーマン役の方が18歳、
レイ役の子が14歳なので
原作では12歳の出荷を16歳に変更してある。
微妙に人道的な施設になってしまった。
あと、ちょっと演技的には難しい役だったのかもしれない。
シスタークローネ役の渡辺さん、
人種が違うんですがニュアンスはなんか合ってた。
北川景子さんも同じくニュアンスは合ってた。お美しかったです。

エマの頭の突起、よく見るとあった。
2次元と3次元の妥協点という感じ。

ハンガーでの滑空は危ないよって最後注意書きが出た。




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「ワンダーウーマン 1984」

2020年12月20日 | バトル映画
世界大戦から人類を救ったダイアナは、博物館勤めの傍ら
凶悪犯罪をひそかに未然に防いでいた。
ある日、出所不明の大量の古美術の鑑定が
FBIよりダイアナの同僚へ依頼され、
その中には謎めいた、願いを叶える石があったが、
それをきっかけにダイアナの周囲が変貌を始めるというあらすじ。

冒頭の1984年、ファッションも音楽も人の行動もやたらに過剰で
まさに1984年!という感じでした。倫理もいまよりやばかった。

どこまで書いていいのか難しいですけど、
アメコミやアクションに興味なくてラブロマンス好き!というタイプも楽しめる、
幅広い層に受けそうな内容です。
ダイアナのデート、とっても可愛かった。

音楽はジマーです。

内容ばれ
冒頭、冴えなくておとなしい眼鏡女子とダイアナの夢映画が始まったかと思った。
出会って、ごはん食べに行って、悪漢から守ってもらって、ポーッとなるという…。
でも、エンドロール後に、友達になってください
と眼鏡女子が言うシーンは入れるべきだったのではないかしら…
でないと眼鏡女子がかわいそうすぎる。
冒頭のショッピングモールのウィンクなどから
女児エンパワメントも意識してると思うんだけど
みんながみんなダイアナになれるわけではないので、
優しい眼鏡女子タイプの女児がショックを受けそうで心配。

2mに1人くらい声をかけてくるアメリカのキャットコーリング、
現実でもあんな感じだったらあれは歩きにくかっただろうな。
あの酔っ払い声かけオヤジ、すごいエンカウント率だけど
1日に500人くらい声かけまくってるんだろうか。
声かけオヤジが叩きのめされたりする一方で、
スティーブには、「あなたは特別ね。私にはできない」
「あなた以外愛せない」という感じの褒め・デレもあり、
男性が見ても楽しめる(感情移入できる)バランスだと思う。
まあダイアナのほうが強いって知ってても、
ブレイクダンスから彼女を庇おうとしたり
彼は本当に理想的な男性なのですけれども。

無知なパートナーを愛でながら優しく教えてあげるパターン
前回と逆ですね。
デートパート可愛かったのでDVD特典で倍くらいオマケにつけてほしい。
しかしイケメンは変な格好をしていてもイケメンだなあ。

邪神邪神言われてましたが、願いのキャンセルを受け付けるなど、
良心的な神様だと私は思いました。
ダイアナとか、普通に戦える程度の弱体化で済んでたし、
スティーブとデートして旅行してウフフキャッキャ暮らしても
キャンセルしてくれるんですよ?最近の通販会社だってそんな甘くないよ。
アベンジャーズのあの石の容赦なさと比べたら菩薩だよ。
でも、ジャスティスリーグの中で、「大切な人か、世界を守る力か」
という過酷な選択をさせられたのってダイアナだけなので、
みんなもっとダイアナを労わって!
(「ジャスティス・リーグ」の2017年はまたもや塩対応に戻ってたので
30年ほどの間にまた何かあったんだろうか…)

アクションは冒頭が一番良かった。
終盤になるにつれ、ちょっと…という感じに。
せっかくの黄金聖衣はほぼタケコプター扱いだし。
アステリアのアイディアはとても良かったので
どうしてもいれたかったのでしょうけども。
ああいう、旧版とリンクしていたり、
前作の秘書子さんと交流があったりするねたは良いですね。
(写真の年配のご婦人、前作のエッタの老いた姿だと思ったけど違うかも…)


エンドロール中に映像があります。


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「新解釈・三國志」

2020年12月13日 | コメディ

福田雄一さん脚本監督。
主人公劉備を大泉洋さんが演じます。
脇はムロツヨシさん、佐藤二朗さん、山田孝之さん、等々いつものメンバー。
小栗旬さん橋本環奈さん一ノ瀬ワタルさんも出ておられるので銀魂っぽくもある。
他メインキャストは城田優さん、岩田剛典さん、渡辺直美さん、橋本さとしさん等。
西田敏行さんが語り役

お話は桃園の誓いから赤壁まで。
劉備が、酔っ払うと大言を吐くが普段は面倒くさがりの小心者という設定で
バラエティのノリでわちゃわちゃやります。
なかなかの客入りでした。

内容ばれ

呂布って5mくらいある人外イメージだったので、
城田さんでびっくりしました。

田中芳樹さんの著作で、諸葛亮孔明と表現する人間の非見識を
ボコボコに貶す文があるのですが、映画でめちゃ諸葛亮孔明連呼していて
それが懐かしく思い出されました。

文章、漫画、音声と映像ではそれぞれ面白いと感じるネタが違いますが、
映像と音声ではやはりスピードが命だなと思いました。
しかし美人がくると思っていたら不美人が来たときの男性の反応って
いまだにギャグとして有効なんだ!?
いや、中身は現代の価値観での美人だったところまで含めて
ルッキズムへの皮肉という意図なんかしら…分からん…。

赤壁の時の疫病ってそういえば何だったんかしらと調べてみたが
結局不明のままなんだな。




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「魔女がいっぱい」

2020年12月07日 | 児童文学系映画

ロアルド・ダール原作、ギレルモ・デル・トロ脚本参加、ゼメキス監督作品。
不幸な事故で両親を亡くした少年が祖母に引き取られ、
やがて明るさを取り戻すが、運悪く魔女の集会を目撃してしまい…というあらすじ。
アン・ハサウェイが大魔女を演じています。
少年の祖母がオクタヴィア・スペンサーで、さすがの存在感。
こういうお話の場合、添え物になりがちな高齢女性ですが、
この映画では主演といってもいいくらいの活躍をします。
魔女相手に一歩も引かぬ子供たちの機転と勇気、
子供さんにぜひ見て頂きたいが、魔女が結構怖い。
口が裂けたり、頭の皮膚がただれていたり、腕が延びたり。
こわがりさんだと夢に出るかも。

衣装がかわいらしくて、特に祖母と大魔女のドレス。
どちらもお着替えが多く、双方の肌の色や体形に合った色柄でした。
ゼメキス監督と長年仕事なさってきたジョアンナ・ジョンストンさんのお仕事。

不思議にティム・バートンぽかった。
プリンに醤油を掛けるとウニになるよ!みたいな感じです(やったことないですが)。
ダール原作をトトロが脚本に起こして
ゼメキスが監督すればティム・バートン風味になるよ!…てきな。

ねずみが苦手な人にはちょっとつらいかも。

ラストまでバレ

ヴォルデモート女体化ハリーポッターという感じもした。
アンハサウェイ、美女役と違うポジションを模索中なのか、
本当に思いきった表現だった。特に子供の匂いをかぐとき、鼻の穴が大きくなるところ。

作中の魔女の手の表現が、先天性の欠指症に似ているという批判が出てワーナーが謝罪した。
原作通り、尖った鋭い手にしておいたほうがよかったかもですね。
ちょっと色を変えてカエンタケみたいにするとか。
主人公とおばあちゃんの人種を原作と変更したり、
魔女団の人種のバランス等には配慮が感じられた。

普通ラストは元の姿に戻れてハッピーエンドなんですけど
ネズミのまま暮らしていくのにはびっくりした。
ネズミの寿命の話もでたし、楽しそうではあったけどうっすら夕暮れエンドですね。
それにしてもおばあちゃんの肺病フラグは一体なんだったの。




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