映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「思い出のマーニー」

2014年07月28日 | アニメ映画

あらすじ
誰にも心を開かず、孤独だった杏奈は
周囲の人間と自分自身を嫌っていた。
持病のぜんそくの治療のため、海辺の町で暮らし始めた彼女は、
不思議な洋館を見つけ、そこに住まう少女マーニーと出会う。

冒険譚ではないので動的な・派手なシーンが一切なく、
予告でかなり損をしていますが、丁寧で繊細なお話です。
ガール・ミーツ・ガールものなので、主要キャラに男性がおらず、
感情移入先がないことにより男性の評価は落ちるかも。

浅瀬を歩く少女の素足、バスケットに入ったクッキーとジュース、
月明かりの下の白いドレスの少女、キノコ狩り、少女2人の秘密の約束、
あなたが大好きという告白、そういうのがお好きな方におすすめ。

内容ばれ

大きな謎が1つあって、それが最後に明かされ、
主人公の内面が変わり状況が改善されます。
不明点が残らないように、ちゃんと丁寧な説明もしてくれる。
シンプルだけどしっかりしたお話。ラストも明るい。

子供時代に人より健康に恵まれなかったり、
親と何かしら擦れ違いがあったり、
思っていることを言えなかったりした経験がある人ほど
強く感情移入できると思います。

下記疑問

・マーニーは「出会った女の子の中で一番好き」って言いましたけど
 じゃあ久子さんのことはどう思ってたの…とちょっと考えた。
・太っちょ豚のシーンは「ハイこれでおあいこ!」と大人の対応を見せて、
 おっ、この子はさっぱりした性格なの?と思わせるも
 あとでカッターで脅されたなどと親に嘘を言ったりなどして
 結局どういう子なのかよく分からなかった。
・かずひこはサイロにマーニーを呼び出して何がしたかったのか…。
 己の恐怖と闘わせたかったのか…?原作を読んだら分かるかな?
・お金をもらっているから愛情がないという理屈はよく分からない…。
 少女特有の潔癖な感性…?でも子供は雲や霞では育たないのよ?
・これは疑問ではないけど、児童虐待を行っていたばあやとねえやが
 ぎゃふんと言わされぬまま終わったのでちょっと物足りない。
・というか一族に呪いでもかかっているのか。

映画オリジナルの、CM映えするようなシーン(大きなものが浮かぶとか飛ぶとか建造されるとか、
人物がものすごく高速で動く、沢山のものが同時に舞う)
それに必要な1エピソードが足されてプラス15分程度の上映時間であれば
ますます良かったんじゃないかなと思った。けどそれを足すと
映画全体の静かな雰囲気が損なわれてしまうかな?




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「複製された男」

2014年07月27日 | 学園物


平凡な毎日を繰り返す中年の歴史学教師が、
ある日同僚にすすめられて見た映画のDVDに
自分に瓜二つの男が出演しているのに気付き、
その俳優に接近するが、
彼は顔や声だけではなく誕生日や体の特徴までまったく自分と同じであり
次第に彼は恐怖を感じる……というあらすじ。

上質のミステリーとか、2回見れば答えが分かるとかいう売り出し方をされていて、
そしてこのタイトルなので、ダンカン・ジョーンズ監督作品系の話なのかな?
と思ったけども、どっちかといえば不条理寄りでした。
特にラストとか「ハァ??」って声出るくらいの。
もうアルバトロス・フィルムのことは信じないんだから!
(というかモックバスター映画を配給する会社か…)

原作はポルトガルのノーベル文学賞作家、ジョゼ・サラマーゴ。
この人は「白い闇」も「ブラインドネス」として映画化されていますね。
「複製された男」は原作の邦題ですが、
映画原題の「ENEMY」のほうが内容には合ってる気がします。

直球おちばれ、やや下品注意ー!褒めてないー!

結局のところ某有名作品とオチは同じだと思うんですが、
チャック・パラニューク原作の例のあれは、
登場人物およびそのやりとりの1つ1つが魅力的だったのに対し、
この人たちは、状況を把握するや否やなぜか
すわっ!ぴんぐ!に異様に執念を燃やし(片方はそれに唯々諾々と従い)、
へぇー…あ、そうなんだ…って思ってるうちに終わりました。

蜘蛛は映画オリジナルの暗喩で、
家庭における女の支配的な面や母性をひょうげんしたそうです。
そうですか……。

ジェイク・ギレンホールは目の造形がすごい。
こんなに立体的な目の人ちょっといない。
そして左右非対称なんだけど、画家が計算して少し歪めた、みたいな絶妙なバランス。

やけに数字のプレートが強調されるシーンが多かったですが
(「74」とか「3650」とか?色々)
これもまた聖書のどうたらこうたらなんでしょうか。面倒なので調べない。



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「聖闘士星矢 Legend of Sanctuary」

2014年07月13日 | アニメ映画

さとうけいいち監督による、十二宮編のリメイクです。
3DCGアニメーション。FFのムービーシーンみたいな感じの。
お話は登場人物集合して、すぐにサンクチュアリに向かって、12宮突破という
超タイトなスケジュールです。

黄金聖闘士のみなさんは全員イケメンになってホスト集団のようでした。
ムウ様とか、メガネキャラになっとった!(笑)
あと辰巳がシュッとしたナイスミドルになったりとか、
みんな光政の子じゃなかったりとか、
あ、あとミロ様が女性になってたのはちょっと残念でした…。
ミロカミュの友情話が結構好きだったんですよ。
注目すべきは巨蟹宮の演出です。ミュージカルになってた!
デスマスクの平田さんもすごい気合の入った演技でしたし、
巨蟹宮のところだけでも見るべきです。スタッフに蟹座がいるのか…。
そのかわり、ちょっと残念なことになったのは魚座と天秤座…。

全体的に上手にまとめてあって、聖衣も金属っぽくて格好良かったんですが
ただ1つ残念なのが沙織お嬢様が、
まったく普通のホイミ系けなげに頑張る守られヒロインになっていたところ。
聖闘士星矢のすごいところって、いくつかあると思うんですが、
30年前の漫画であるにもかかわらず、
ヒロインが少女時代に、少年に馬になるよう命じて真顔で乗馬ごっこするという
エピソードが入るところは確実にこの漫画のキモだと思うんですよ…。
別にあとでギャフンと言わされたりすることもなく、
帝王な性格のまま成長あそばし、守りたいヒロインというより、
支配者のヒロインであり続けた沙織お嬢様…。時代を先取りすぎてた…。
原作を再読したくなりました。

音楽、タイバニっぽい!と思ったら池頼広さん。
というかこのかた、相棒の音楽も1からずっと担当してらっしゃるのですね。
しらなかった。


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「渇き。」

2014年07月10日 | 暴力orハードボイルド系

地雷映画だろうなーと分かっていて見ました。
深町秋生さんの原作「果てしなき渇き」が
第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しているので
一度読んでみたかったのですが、
私が確実に途中で読むのを投げるだろう内容なので
逃げ場のない映画版を見てみました。地雷だった!やっぱり!

えーと同意を得ない暴力的な性行為がともかくたくさんあります。
男性も2人ほど被害にあっているシーンがありました…男女平等…。
義務教育期間中の未成年に対する淫行も盛りだくさんです。
主人公はクズの中年男です。
うーん、韓国映画…「オールド・ボーイ」と
イギリス映画の「フィルス」を足して3で割ったような…。

事件を起こして警察を依願退職し、妻に逃げられ、警備会社に勤める主人公は
ある日別れた妻から、娘が失踪したという連絡を受ける。
彼女の行方を追っているうちに、主人公は
グロテスクな娘の本性、何人もの人間を破滅させた恐ろしい怪物と
向き合うことになるというあらすじ。

ねたばれ

どうせ近親相姦なんでしょ!
ハイ出た!娘が誘ってきた!ワァー魔性ですね!とか
後半は怒りながら見ていました。
逆に娘に奪われて開発されて俺は…とかだったら平服したんですけどね…。

役者さんはどなたも頑張っておられました。
特にどんな陰惨なシーンでもずっと笑っていた刑事役の妻夫木さんが怪演だった。
話の中心となる娘さん役のひともすごい存在感。
そういえば娘の本棚が一瞬映って「あ、私の好きな系統の本ばっかり!」
って思ったのですがタイトルが見えたのが「ずっとお城で暮らしてる」だけだったので
動体視力の衰えを自覚しました…。

監督の女性ファンは、今回かなり離れたと思うんですが、
どうせやるなら、もっと深刻に狂った作品を原作にしてほしかったな。

私、タランティーノ監督等の描くところの、クズが大はしゃぎして
人を殺しまくって血がバシャーって出る世界は平気なんですが
アジア系のクズ無双はなぜか苦手です。
「ワーイ!クズ楽しいワーイ!」と
「クズな俺、さいていだぜ…でもみんなそこにシビれてるに違いないぜ…!」の違いかな…。
あと湿度な。アジアのクズ映画、なんかべちゃっとしてる。

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「オール・ユー・ニード・イズ・キル」

2014年07月10日 | バトル映画

日本のラノベ原作、トム・クルーズ主演。
宇宙からの未知の生物による侵略の危機をむかえた地球は
世界各国の共通戦線により必死の抵抗を続けていた。
初出撃ですぐさま死亡した主人公は、ふと意識を取り戻すと。
時間が出撃前日に戻っていることに気付く、というあらすじのループもの。
よく作りこまれていました。

原作の主人公は若い新米兵なのですが、
トムの年齢をどうごまかすのかと思っていたら、
すごくナチュラルに溶け込む設定になっていて、さすがーと思いました。

内容ばれ

何回死んでも出撃前日に戻れるという自分の特性を理解したトムは
ループを打破するべく、軍の最強の兵士と接触し、
かつてはループ状態にあったその兵士から情報を得て、
自分の戦闘能力をひたすら上げて最終決戦に臨むのですが、
繰り返しを飽きさせない工夫が大変良かったです。
トムが何回もトライして何回も死んだミッションを
ショートカットして成功例だけを見せてくれたりとか。
あと最初は新米兵なので何の緊張感もなかったトムが
何度も死を経験して雰囲気が変化していくのを演技力で表現してくれたりとか。

ラストはかなり力技の終わり方でした。
「これ絶対原作と違うよね!?」と100%の自信を持って調べましたが
やっぱり原作の終わりは犠牲を伴うものだった。

駐屯地で日本語のアナウンスがちょっと流れましたが、
(あとパワードスーツのガイドボイスでも日本語があった)
完全にネイティブの、綺麗な日本語でした。

関係ないがトムさまはこの映画のプロモのために
道頓堀で船に乗って、「トム・クルーズがクルーズ」
というアレな宣伝文句を付けられていらっしゃいました。
お暑いなかお疲れ様でした。


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