映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「ビッグ・アイズ」

2015年01月29日 | 実話系

ティム・バートン監督
60年代に、大きな瞳の子供を描いて有名になったモダンアートの画家キーン。
実は絵を描いていたのは彼ではなく妻で、キーンは画家を騙っていただけだったという
ドラマのような実際の事件とその裁判を描いた映画です。
ティム・バートン監督はマーガレット・キーンの絵のファンで、
どうしても映画にしたかったとのこと。
(でも映画としてはあまりティム・バートンっぽくない)

自分で創作をする人と、しない人では見かたがちょっと変わると思う。
しない人はモラルハランスメント被害に遭った、
ちょっと意志の弱い女性の映画に見えるだろうし、
創作をする人にとっては自分の作品を奪われて
作品を描いた理由や意味などをどんどん捏造される恐怖の映画に見えます。

口が達者で虚言癖のある夫の役を
クリストフ・ヴァルツさんが楽しそうに演じられました。

ラストばれ注意

2人はバツイチ同士、共に画家として出会うのですが
夫が結婚前に描いていた風景画も、
実は別の画家の作品にサインだけを足したものだと分かるシーンが終盤にあってゾーっとしました。
うそつきは泥棒の始まりって言いますけど
虚言癖は色々な精神疾患の始まりだと、私は個人的に思います…。

最後、裁判で双方の主張が真っ向から対立して埒が明かないから
1時間で絵を描いてください。ということになって、
それまで立て板に水の如くぺらぺら喋っていた旦那がぴたりと黙って
椅子を調整したり、持病の腕の痛みが!ってやりだして、
対するマーガレットが女王のように堂々と、生き生きと絵を描いて
真実を証明したところ、すごいカタルシスがありました。
現実とは違うんだろうけど、さすが映画、感動的に盛ってくるなー!って感心してたら
1時間ドローイングも、持病の腕の痛みが!も全部現実にあったことだった!!
旦那、なぜ勝てると思ったんだ…。
旦那は最後まで主張を変えず、無一文で亡くなったそうです。

マーガレットさんも、結婚に2回失敗して、そのあと宗教に傾倒して
3回目のご結婚でとうとう幸せを勝ち取って、と波乱万丈の人生ですが、
自分の作ったものを奪われ
他人が苦労を語ったり、創作秘話を披露したりする環境は、
歯を永久にドリルで削られ続けるような地獄ですから
いま伸び伸びと創作されているなら良かったことです。

素敵な60年代ファッションは、ティム映画お馴染みのコリーン・アトウッドさん。
娘さんのお洋服が特にかわいかったな。


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「ジャッジ 裁かれる判事」

2015年01月28日 | サスペンス映画

リーガルサスペンスだと思っていたら違って、
厳格な判事の父親と、反抗的な弁護士の息子の、
関係修復、家族再生の物語でした。
「有栖川有栖の映画はミステリー」最終回で紹介された映画です。

突然亡くなった母の葬儀のために帰郷した主人公は
兄や弟との再会を喜ぶ間もなく、相変わらずつらく当たってくる父親と衝突し、
すぐに出て行こうとするが、
そんな父が殺人容疑で起訴されるという話を聞き彼の弁護を申し出る。というあらすじ。

劇的な出来事があって父よ!息子よ!ってなるのではなく、
歩み寄って、ちょっと考えなおしたり、でもやっぱり失望したりと
じわじわ前進後退するのがリアルでした。(駄目押しはありますが)
微妙な表情で感情表現するシーンが多かったので
役者さんの腕の見せ所だなという感じ。

内容ばれ

私はてっきり最初に車を取り上げられたロクデナシ夫の犯行で
弟の撮っているフィルムにその証拠が映っていた!って流れだろうなと思っていたら
全然違った!!

父も息子も1つ言われたら倍にして返す性格で、
しかも普通はこれは言っちゃいけないとセーブするような事も
躊躇なく言い放っちゃうし、父親は癇癪持ちだし
これクッション役のお母さん大変だよっていうか長年のストレスで…。

お父さんにするなら「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」のお父さんの方がいいです私は…。

飴や、国旗や、アジサイ、釣り等々、細かいアイテムやエピソードをこれでもかと重ねてくる
血のつながりや家族の歴史の描き方は圧倒的です。

本筋とは全く関係ないが、RDJの元カノがお店を持とうと決意したときの貯金額が
4000ドルで、アメリカ人の貯蓄についてまたしばらく考え込んでしまった。
それと、200万円くらいの資金でカフェをオープンさせたって事だろうか。
田舎だから土地が超安いとしても店舗は…店舗も安いのかな?
日本だったら10倍の資金があってもあの大きさのカフェは買えないよな。

舗装された地面ではなく芝生に吐けば服の裾に飛沫がかからない。豆知識。
ていうか口からヴェェェェェェってする映画を3本連続で見た。不思議な偶然。
(チャーリー・モルデカイの予告も…)


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「アニー ANNIE」

2015年01月27日 | ミュージカル映画

お話がかなり現代風にアレンジされていますが
なかなかうまいな、と思いました。

スタックスさん(=ウォーバックスさん)は市長選に出馬予定の
携帯会社社長で、票集めのための話題性を必要としていた、とか
ハニガンさんは政府から支給される週157ドルのお金目当てに
孤児たちを複数引取って里親になっていたとか。
あとSNSの使い方とか。

冒頭、クラクションやドリル、自転車のベルが音楽の一部になっているのを聞いて
すでにテンションが上がってました。歌とリズムの力って大きいです。
「tomorrow」は名曲ですね。
この曲はプロの歌手が歌うよりも子供の声の方がいい。

内容ばれ

・わー、みんな歌がお上手だなーと思ってたんですが
 スタックスさん役のジェイミー・フォックスが図抜けて美声だったので
 ふきました。ていうかミュージシャンと兼業でいらっしゃるのですね。
・ハニガンさん役はキャメロン・ディアスですが、よく受けたなこの役…
 でもハニガンさんは悪役じゃなくて実は良い人に改変されてました。
・マイケルJフォックスが本人役で!
・スタックスさんが、まずいマッシュポテトを
 口からヴェェェェェェってやったシーン、中国でパロディ動画が作られて
 パンダやドラゴンにヴェェェェェェってやってましたが、
 パロディ動画といえば世界的には中国なのか!
・半魚人の名称が「サカナ族」でしたが、日本語…?
・カンノーリって聞いたことあるけど何だっけ…って検索しましたが
 写真を見ても食べたことがあるようなないような…。
・最後、車から逃げるアニーが
 思いっきりサンディ(犬)を置き去りにしていたのを見逃さなかった。
・スタッフロールで撮影の合間に踊っている風な映像が流れますが
 みんな大層可愛かったです。

エンディングの後で1シーンあります。
でもまあ見ても見なくてもどっちでもいい(笑)。


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「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」

2015年01月26日 | コメディ
ジェマイン・クレメント、タイカ・ワイティティ 監督脚本

379歳、183歳、862歳、そして8000歳の吸血鬼4人が
ニュージーランドで同居生活をするブラックコメディです。
密着取材の撮影映像という体裁です。

デジタル目覚ましで夕方に目覚め、
ミーティングをして生活態度を改め合い、
夜はナイトクラブに遊びに出掛けたり、
時には喧嘩したり、とても楽しそうです。
彼等にとって人間は餌なので、結構容赦なくひとは死にますし
それなりに血は大量に出ますが、
ブラックコメディ好き、吸血鬼好きさんは必見です。
日光、十字架、銀製品、等の弱点と
鏡に映らない、招かれないと建物に入れない等の特性について、
吸血鬼いじりは、ばっちりあります。トワイライトねたもあるよ。

たぶんすごい低予算映画で、浮いている吸血鬼のワイヤー感は半端ないですが
(吸血鬼4人のうち2人が監督だし)
ビルが破壊され、大軍同士がぶつかるビッグバジェットだけが映画じゃないですし!

内容ばれ

中盤にスチューという人間がマスコット的な立場で仲間に加わるのですが、
彼の愛され方がすごくてですね、
噂に聞くオタサーの姫ってこんな感じなのかしら…って思いました。
日本の漫画だったら絶対スチューが主役になってるよ!
平凡な中年男性のスチューがなぜあんなにモテるかって、
主張しない、闘争本能が薄い、何でも受容する、と女性的なんですよね。
ホモソーシャルな集団では爆モテするのも当たり前だ。
(彼等のあまりのホモソぶりに切れた登場人物の女性が
「〇〇〇好きの集団なの」って言ってました…)

人間の食べ物をちょいとつまみ食いして中毒を起こし
ヴェェェェェェって未消化の血を吐きだしたり、
コウモリになって飛んでいくシーンで「コンドルは飛んでいく」がかかったり、
反応に困るギャグ多めでしたが、不思議と嫌いじゃない。

ヴィアゴの恋がかわいかった。招待されてない建物に恋愛パワーで入った。

スタッフロールのあとで1シーンあります。


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「シン・シティ 復讐の女神」

2015年01月16日 | 暴力orハードボイルド系
原作者フランク・ミラーとロバート・ロドリゲスがダブル監督で作り上げる、
コミックの世界そのままのようなモノクロ(一部カラー)映画です。
「シン・シティ」の続編。あれからもう10年か…。
バラバラ死体が出てきたり、
眼球をえぐったりするので万人向けではない。

私はハードな世界観と主人公の優しさを表現するために
とりあえず女を痛めつけとけ殺しとけみたいなのは苦手なのですが
シン・シティは何となくオッケーなんですよね。小2ノワールだからかな。

突き抜けたサイコパスが前作よりも減り、
ややしんみりした話が増えたので、私は前作の方が好きです。
しかし、劇場によるかもしれませんが本編上映前に
30秒くらいの前作のあらすじダイジェストを上映してくれて、
ひねくれ盛りの小学生男子が考えたような、あまりにも頭の悪い話に
ふきだしてしまいそうになりましたが、
うん、まあまとめるとそういう話だったな…。

内容ばれ

みんな同じことを考えたと思うんですが
シャマランの例のあれ…うん…。

私は最強の娼婦ミホが好き(日本刀を持った娼婦がくるくる回ったら、
首がぽんぽん飛ぶのが嫌いな人なんかいるかしら)で、
再登場にワーイ、と喜んだのですが、
中の人がおめでたで代役さんだったのですね。気付かなかった…。

ジョゼフ・ゴードン=レヴィットは、
役柄は「あほなのかおまえは!?」と言いたくなる男でしたが
イケメンに撮ってもらってましたね。



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