映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「トラップ」

2024年10月27日 | サスペンス映画

M・ナイト・シャマラン監督
優秀な成績を出した娘へのお祝いとして彼女が神聖視するシンガーのコンサートへ連れてきた平凡な父親。
しかしそのコンサートには異様な数の警官が配備されていた。巷を騒がせる猟奇殺人鬼「ブッチャー」が観客の中に紛れていると聞いた父親は…というあらすじ。

腕利きFBIプロファイラーが全成人男性をチェックする体制をとっているので、殺人鬼は会場から逃げるために試行錯誤します。
殺人鬼視点かと思えばカリスマシンガー視点ぽくもなり、なんとなく安定してない印象。

カリスマシンガー役をシャマラン監督の娘さん、サレカ・ナイト・シャマランさんが演じます。
今回の監督のカメオは、カメオって言うか大アップで映ったし、もう完全に登場人物でしたな。

ラストまでばれ

うーん、奥さんが主犯オチかと思ったら違った。それで男性被害者が多いのかなと。

殺人鬼がしぶとすぎた。
とくに有効な手ではない残虐ピタゴラ加害が多くて、いきあたりばったりSAWみたいだった。もうちょっと全体のビジョンを具体化してから行動したまえよ。
子供の成長をこの目で見られないことをガチで嘆いていたが、
お前のせいで子供は生涯重いハンデを背負うことを分かっているのか????と聞きたかった。
主観から出られないタイプの人だったな。

レイヴンは、父から加害を受けて(?)それを克服し、強く、優しく、そして美しく、完璧な存在。アメリカ女子たちにとってのプリキュア枠なのかもしれない。
(でも父は故人って、シャマラン監督?)



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ソウX」

2024年10月21日 | ホラー映画
監督はSAW6監督のケヴィン・グルタート。
ソウシリーズ10作目です。
あれ…?10作もあったっけ?と思いましたが「ジグソウ ソウ・レガシー」「スパイラル ソウ オールリセット」も含めての10作でした。

ジョン・クレイマーは医療詐欺被害に遭い、その組織のメンバーをゲームに参加させるというあらすじ。いいんだけど、クレイマーさん、様々な被害に遭いすぎ。クレイマーさんが主人公なので、時系列的には2の前後ですね。

エンドロール途中に1シーンあります。

ラストまでばれ

ポスターになっている目の管のやつ、まさかクレイマーさんの妄想だとは思わなかったなー!
わりとゆっくり展開で、クレイマーさんが医療詐欺被害に遭う一部始終が丁寧に描かれます。30分以上。

うーん、悪くはないんだけど、涙ながらにアマンダと抱擁を交わすクレイマーさんとか、子供に巨額の金を渡すクレイマーさんとか、解釈違いなんですよね…。あんな大金手に入れたらあの子の人生めちゃくちゃやろ…。
あとあまりにもゲームが苛烈すぎる。詐欺に加担した役割別にいくつか段階を設けるべきでは?
だいたいあんなちょろい医療詐欺に引っかかるジグソウは嫌だ…。

ジグソウのファン的には、日頃そういう風にアイディアスケッチ(絵が上手い)にネタを書き留めてたのか!とか、あの短時間にアステカの意匠まで取り入れる凝りようはさすがです!とか色々あった。

主演トビン・ベルさんは約82歳。今後もお元気でいてほしい。

エンドロールが始まると同時にお客さんがどんどん退席しだしたのですが、明らかにあと1人残ってるやろが!と不思議になりました。
以前からもしかして映画の序盤にあったことを忘れている人が多いのでは?と思ってましたが、疑念は強化されました。

この映画でジグソウが騙し取られたお金は25万ドルですが、貯金をしないアメリカ人(映画知識)の割にはすぐに動かせるお金がたくさんあってよかったですね。

ジグソウって理念に共感した人が名前を継いでいく形式なので、なんか仮面ライダーみたいだなと思いました。30周年には全員そろってキックするといいですよ。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「破墓 パミョ」

2024年10月20日 | ホラー映画
アメリカに渡った富豪の生れたばかりの息子が理由の分からない奇病にかかり、また富豪自身もおかしな体験をするようになったとのことで、腕利きの巫堂が呼ばれる。彼女の見立ては、祖霊が墓を居心地悪く感じているというもので、墓の移動を薦める。彼女は信頼できる風水師、葬儀師を集めるが…というあらすじ。

「私は」面白かったです。巫堂の儀式と祈祷がじっくり見られて嬉しかった。言葉の抑揚やリズムが軽快で、私が霊でもこれは楽しい気持ちになって出てきてしまうな!と思った。
韓国の土着信仰や冠婚葬祭、霊に対する考え方、知識がなかったので全部興味深かった。

人を選ぶ要素(すごくねたばれなので反転)

日本が完全悪役。
あと嘔吐、というか吐血表現あり。

ラストまでばれ

4人みないい人なので、なんとか生きてくれー!と祈ってました。特に眼鏡の人。

韓国のお墓事情が特に気になって、風水的にナイスな場所だからって墓にしていいの…?土地の持ち主は…?って思ったんですが、あとで検索したら山ごと買うんですね。そんなバカな!?韓国には一体いくつ山があるんだ!?
墓の位置は風水師が決めて、葬儀を取り仕切るのはキリスト教で、困りごとがあれば巫堂を頼るって、色々な宗教がミックスされていて面白いです。日本もそうですけど。

面白いと言えば墓掘り男は亥年とか、悪いものを豚に移して祓うとか、馬の血で邪気を祓うとか、分かりそうで分からないところにゾクゾクしました。西洋文化圏の人が見たら完全に分からなくて蛮族の風習に見えるのかも。
あの、トッケビ遊びもよかった。ごちそう、ちょっと多いわね…でも3人で食べちゃいましょう!チラッチラッってやってると来るんだね。食いしん坊か。

「日本の鬼は近付いただけで殺される。巫堂では祓えない」というようなセリフがあったが、「えっ?他の国の怨霊は近付いただけで殺さないの?」と思った。何の落ち度もない人間を祟るのは日本の怨霊だけ…?

あの鉄杭の話は有名な都市伝説らしいが、戦死した武将を埋めてその役割にするという発想は良い。関ケ原で首を切られて大徳寺に埋葬されて、鮎が好物で、兜がムカデの意匠って誰よ!?ってめちゃ検索した。たぶん三成をベースに複数の武将をミックスしたんだろうね。縦向けに(座った状態でだけど)埋葬されたのは家康だもんね。ネットで「朝鮮出兵=豊臣方」という意見を見てなるほど、と思ったりした。
死んだ爺さんは売国奴なのでその子孫は死んでもええやろ、という死亡基準なのだと思うが、お寺の住職さんは気の毒すぎた。病院で棺を開封した奴が死ぬべきでしょう。
ところで御当主殺害から赤ちゃんの側に出現した際の経過時間から時差を引いて、距離を割ったら、霊の移動速度が判明するぞ!

ボンギルは「にげて……」がよかったです。野球やってて突然神が降りて巫堂の道に入るなんてことが普通にあるんだね。あの師弟の設定はほぼ語られなかったのでシリーズになってもいいと思う。お祖母さんや師匠の師のお話とかも知りたい。

5億ウォンでは割に合わない仕事だったな…。ピンハネ分を入れたとしても。(まあ損得ではなく祖国の次の世代、子孫たちのために己を犠牲にしようとする滅私の心があったからこそ4人とも生き残ったのでしょうけど)



公式がお祓いのシーンをあげてくれてた。
このシーン繰り返し見たかったんですよ!やったー!
https://www.youtube.com/watch?v=cLLe7ccXSWc



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」

2024年10月14日 | ミュージカル映画

2019年「ジョーカー」の続編。
前作は社会的に不遇の立場にあり、不満を持った中年男性から熱狂的に支持されました。
日本では彼のコスプレをした男が電車の中で人を刺した事件もあった。

アーカムに収監中のアーサーだったが、
彼の崇拝者たちの熱狂はますます激化していた。
ある日、音楽療法のクラスで出会った女性と恋に落ちるアーサー。
しかし彼女の話は嘘が多く…というあらすじ。

謎の女リーをレディ・ガガが演じます。

少し内容に触れますが、
今回はミュージカル映画でした。
ゴッサムララランドでした。

ラストまでばれ

アメコミ映画のキャラクターではなく
アーサーという精神疾患を抱えた中年男性を描こう、という方針だったんだと思います。

人を支配するのとは真逆に、弁護士や検事、裁判長、看守、信奉者たち、かつての同僚、中でも美しいリーに翻弄される彼。
虐待され、笑いの発作が起き、コントロールできない肉体。
彼の脳内ではきらびやかな歌と踊りが展開しているが現実はそうではない。

しかし「ジョーカーは俺だ」と強く感情移入や投影を行っていた層には、悪い意味でブスっと刺さったのではないでしょうか。知らんけど。
とくに「複数の女性にもてている空想をしてた」「交際経験なし」って箇所が、厳しいにも程があると思いました。

ハーレイの描き方はこれまでになかったもので、常にジョーカーに支配され、または影響されていた彼女が、今作ではジョーカーを支配していた。その支配力の強さと魅力を本職歌手キャスティングで表現するのは面白かった。
ジョーカーさんは異性との交際はおろか同性との交友もないから分からなかったんだろうけど、急速にグイグイ来る人と、話の大半が嘘の人は大概やばいんだよ…。

予告で予想して、デント検事は覚醒ジョーカーに顔を焼かれるんだろうなーと思っていたが、アーサーの物語だったので無事だった(たぶん)。ヨカッタネ!
(ところで自分で自分を弁護というとテッド・バンディが思い出されるが、アーサーは全然タイプの違う犯罪者なんだけどな…?)




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「シビル・ウォー アメリカ最後の日」

2024年10月10日 | 精神系
監督脚本アレックス・ガーランド

強権を発動する大統領に対して、複数の州が合衆国からの独立を宣言し、政府と西部連合の武力衝突の始まったアメリカ。敗色濃厚なホワイトハウスの大統領への単独インタビューを狙って、4人のジャーナリストが1400キロを移動する、その道中を描く内容。

地獄の黙示録(闇の奥)、自分の国バージョン。
内戦状態で秩序を失ったアメリカがどうなるかを何種類かの地獄的サンプルで見せてくる。
それと同時に、中立を貫き神の目のように振る舞うジャーナリストという特異な立ち位置にも疑問を投げかけている。

議事堂襲撃事件が3年ほど前にあったばかりなので、(というかあれが発想元だと思う)荒唐無稽な話とは思えない。右傾化、移民排斥、貧富の差。

げろがあります。
死体もたくさん映ります。
性暴力シーンはなかったので良かった。それを目当てに行くと無駄足になりますよ。

ラストまでばれ

みんなそうだと思いますがジェシー・プレモンスがこわい。「憐みの3章」を見たばかりなので怖さがさらに倍増。あの拳、どんだけ人を殴ったらあんなになるんだろう。
アルジェ・モーテル事件を描いた映画「デトロイト」のフィリップ・クラウスと同じ匂いがする。出身地を激詰めしているシーンにもし先住民族ルーツの人がいたらどうするんだろう。あと石灰は消臭目的なんだろうけど、家庭菜園じゃないんだから、そんなチビチビ撒いても意味ないよ!ドバッといけドバッと。

非常時の何がこわいって、他国との殺し合いも悲惨ですけど、国内のサイコパス、子供を殺したいとか女をなぶりたいとか、若い者をこっぴどく虐待したい、俺を私を馬鹿にしたあいつを酷い目にあわせたい、我が物顔の移民を処刑したい、平常時は己を制御しているそういう類の人々がヌロヌロと出てきてやりたいことをやり始めるところだと思う。

・キルスティン・ダンストの危機回避能力がすごい。
 師匠譲りだろうか。爆発の予兆とか全然分からなかった。
・若い駆け出しとベテランの対比、昔なら若い女+中年男性だった。
・300ドルはサンドイッチだ、のところ
 カナダドルのほうがレートが低いと思うんだけど
 内戦状態で米ドルが暴落したという事かな?
・タイヤネックレス(処刑方)って名前通り肩にかけると思ってたが
 腹周りに付ける場合もあるの?
・買ってない洋服の写真を撮るのNGって世界共通マナーかと思ってたが日本だけか?
・場末のレジャーランドみたいなところだけ突然のホラーテイスト、
 突然のA-24でしたけど、むしろホラーのほうがほっとしました。
 何と戦っているか、はっきりしないまま殺し合うのって、あり得そう…。
・おじいちゃん師匠の危機察知能力も高い。
 死体が軍人か、民間人かって成程、それは重要。
・戦場カメラマンって、あんな突入部隊と一緒に中に入るの!?
 兵士もあんなに親切に面倒見てくれるの!?どういうメリットがあるの!?
・殺した死体を囲んでピカピカ笑顔で記念撮影するの、あり得そう…。
・誰のことも助けず、誰にも賛同せず、ただただ記録するだけなら
 もうドローンでよくない?

キルスティン・ダンストの最後の行動はよく分からなかったが、
折れてしまったんだろうか心が。
ケイリー・スピーニーは若き天才として評価されるだろうので、
いつか折れるまでは撮り続けるしかない。
(でも死神とかそういう二つ名が付きそう。彼女を助けるために2人死んでるから…)





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする