映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」

2013年12月27日 | 美学系

吸血鬼ものなのですが、どちらかと言えば
吸血鬼<夫婦愛なので、
美意識の高い「ツレがウツになりまして」(吸血鬼版)という感じ。
アダムとイヴは何世紀も連れ添った吸血鬼の夫婦で、
現在は人間を襲わず、血液を購入して生きている。
音楽や文学、美しいものをこよなく愛する彼等、とりわけアダムは
人間たちのあまりの下品さ、野蛮さに厭世的になっている。
というあらすじ。

「トワイライト」がティーン~20代向けなのに対し
こちらはアラサー以降向けです。
ひっそりと夜を生きる吸血鬼の夫婦が、
チェスをしたり、音楽を聴いたり、ダンスをしたり、ドライブをしたり。
そして満月や、廃墟や、楽器の美しさを共に喜び、仲良く毎日を過ごします。

ねたばれ

・彼等があんなに愛し合っていられるのは、普段離れて暮らしているからだと思う。
・ティルダの美しさは天井知らずで、長い手足にまっ白な肌、白蛇の精みたいでした。
 カジュアルな服を着ていても、中世のドレス姿でいるような気品があった。
・トムヒはやや抑え気味というか、譲った演技だったのかな、
 でもアダムの面倒くさい感じを熱演されてました。
 美意識の高さって中2病と非常に近いところにあるのですね。ふふ。
・「クリーブランド出身か?」は分からなかった。
 その地域の人は得体が知れないという意味?
・視覚モチーフは回転なのね。
・イヴが書籍を選択しているシーンで日本語の小説があった。
 でも作品までは分からなかった!女性のセリフがあるな…くらいしか。
・血のアイスキャンデーには目玉がポーンした。はじめて見た!
 吸血鬼のクックパッドがあればね!
・エジソンよりテスラ推しなのね…うん分かるわ…。
・イヴの妹エヴァは、他の吸血鬼ものだったら粛清されているところ。
・イヴは、エヴァの享楽的で前向きな面も理解できるし
 アダムの悲観的で繊細な面にも同調できるし、精神の面積の広いひとなのだな。
・最近覚えたばかりのイエーガーマイスターが出てきた。
・アダムは、犬のように無心に忠実なマネージャーに冷たく振舞っていたくせに
 あんなことになって一番しょんぼりしているのも彼だった。かわいい。
・タンジールってモロッコなのかー。
・マーロウに関しては家に帰ってから検索しました。
 謎に満ちた人生の方ですね。(シェイクスピア盗作説採用なのかな?)
・たぶん映画内の選曲のセンスとかすごくクールなのでしょうけど、
 残念ながら私に素養がなくて分からず…ざんねん。



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「ゼロ・グラビティ」

2013年12月22日 | サバイバル系

息子さんと協力して脚本を書かれたらしい。ほんわか。
スティーブン・キングといい、息子とラブラブ創作が流行りなのか。
医師(医療技師?)のライアンは、客員として宇宙開発事業に参加していたが
船外でのミッションの途中、ロシアが爆破処理したスパイ衛星の破片群に見舞われ、
シャトルは大破、彼女は船員のマットと共に宇宙空間に投げ出される。

リアルな映像表現としっかりした物理考証に裏打ちされた
SFサバイバルです。登場人物は2名。
私は最初にサンドラ・ブロックが流されたところで
「あ、もうだめだこれは助からない」って思ったし
途中で3回くらい「絶対助からない」って思いました。宇宙ヤバイ。
これはモニタで見ると価値が半分くらいになってしまう映画なので、
大きなスクリーンの、できれば3Dで見た方がいいでしょう。
閉所恐怖症のひとは絶対無理です。あとちょっと怖いシーンもあります。
それから、ゲーム画面でぐるっと周囲を見回すと
気持ち悪くなっちゃうタイプの人にも向いてないかも。

女性客の7割くらいが「ジョージ!けっこんして!」って思う気がします。
私もです。ジョージ!けっこんして!(ジョージ・クルーニー)

内容ばれ

たぶんフルCGだと思うんですが、
「どうやって撮ったんだろうこれ!?」と考え込むあまり
画面をガン見しすぎて、珍しく映像酔いしました。
宇宙空間だから上下左右がないんですよね。
あと無重力の船内空間の火花が魔法みたいに綺麗だったり、
無造作に浮いているように見える無数のアイテムが
ちゃんとそれぞれ別の慣性で動いていたりとか、
涙がどういう風に流れるかとか、いちいち珍しくて
じろじろ見ました。
こんな細やかで鮮明な宇宙空間の映像、滅多に見る機会がない。

余談ですが最初に亡くなったかたの顔が割れていたところ、
すごくすごく悩みました。
そういえば体内にも気圧があるって聞いたことありますが、
ゼロ気圧によって中身が全部出ちゃったということ…?首から下の中身は?

専門のかたによると、サンドラ・ブロックがロープを握った段階で
ジョージは静止するので彼は金具を外す必要はなかった、という点と、
あと中国の宇宙ステーションまで飛んだ起死回生の頓智、
あれは不可能だ、という点を除いてはすごくリアルだそうです。
でもこの2点はドラマに必要な部分だしな。

臨死体験というか、主人公が宇宙空間を漂っている間、
様々な記憶が(私の)走馬灯のようによぎりました。
FF8のリノアの宇宙キャッチ、失敗したなあとか、
マルディグラって言葉は最近覚えたばかりだなあとか、
「宇宙兄弟」で左利きの人間がパラシュート畳むチームに1人入っただけで
上手く開かなかったって言ってたなあとか、
この宇宙服一着約10億円って言ってたなあとか、
そういえば宇宙飛行士は文武両道人格高潔、瞬発力も持続力もある、
コミュ力ゲージがフルでメンタル最強の完璧超人だっけ…
ジョージの天使っぷりも納得だわ…けっこんして…とか、
スペースデブリ回収業のSFアニメ見てたな…たしかプラネテス…とか、
このあとに映画「ファイナルファンタジー」上映したら公開処刑だなとか、
あ、中国はやっぱりボタンに漢字書いちゃうんだ。カトー…とか、
保険会社が幾つも倒産しそうだなとか(記憶じゃないけど)。

エンジェル・クルーニーの導きによってライアンが再生する物語です。
(私はメタファは完スルー派です)
キュアロン監督は、旅の果て、行程の果てに
何かを得たり得なかったりする話がお好きなのかなと思います。
製作費は100,000,000ドル!パシフィック・リムの約半額!
登場人物が2名とはいえ!


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「47RONIN」

2013年12月12日 | ファンタジー映画

キアヌ・リーブス主演、ハリウッド版忠臣蔵堂々の完成!
オープニング早々赤穂の武士たちが怪獣と戦っているので、
どういう映画なのかはすぐに理解できました!
おなじみのファンタジー日本。衣装や鎧は中華風、美術は無国籍風。
魔女とか竜とか出てくるヨ!
まあ要するに指輪とかナルニアのような軍団がわーわー戦う系素材がほしくて
何でもよかった感じなのでしょう。
制作期間がやたら伸びて、予算が足りなくなって、プロデューサーが心を病んだとか
色々妙な噂も流れていました。でもともかく完成してよかった。

話はあんまり面白くない!(ズバッ)でもまあ笑って許せる面白くなさ。
前半ひたすらキアヌがいびられるので、そういう性質のひとにおすすめ!
それからほのかに大石×キアヌだと考えられなくもない。

内容ばれ反転なし

・監督の人が切腹にロマンを感じているのか切腹シーンが妙に長かった。
 そしてドリーム切腹なのでなんだか愉快だった。
 (さすがに真田さんの切腹シーンは所作が綺麗なので緊迫感があったけども)
・あとやたら多用されるOJIGI。
 何が悪いのかは分からないのですが丁稚風。
 背中が曲がっているからか顔が上がっているからかまたは膝が曲がっているのか、
 小僧寿しのイラストのようでした…(小僧寿しと言って今でも通じるのか知りませんが)
・しかしハリウッド映画で改めて見ると、
 どんな国のどんな騎士団より軍隊より、
 日本の武士道がダントツでSM度高いわ…と痛感します。
・菊池凜子さんって悪役を演じると、
 ちょっとヘレナ・ボナム・カーターみたいでした。
・キョウリュウグレーさんが出ていた。掛け持ち大変だったろうね。
・筆を持っているシーンを見て、キアヌが左利きって初めて気付いた。
・大石と吉良による、戸板と日本刀を使っての「殿さま危機一髪!」
・吉良の首を入れる袋が白のやや半スケ素材で、
 ちょっとストッキング強盗みたいで笑いをこらえるのに難儀した。


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「かぐや姫の物語」

2013年12月06日 | アニメ映画

竹取物語のあらすじにはそのままに、登場人物を深めに掘った感じ。
前半は山里でのびのびと育つかぐや姫、
後半は都に出て窮屈なしきたりと
女性という性別に縛られるかぐや姫が描かれます。
なんか…バッドエンドのハイジという感じ…。
前半の、丸々と太った赤ちゃんが動く様子や自然描写が見ていて楽しいです。
後半の姫が追い込まれていく様子は、
たぶん成人した女性なら誰でも共感できる所があると思います。
しかし登場する成人男性の9割は悪かアホなので、
男女で意見は割れるでしょうねこれ。
泣いてすっきりするタイプの方もいらっしゃるので一概には言えませんが
現在悩みのある人は見ない方がいいような気がします。

ラストばれー

化粧をされるときのあの悲しそうな顔とか、
自分を品定めする話を聞かされている姫の憤怒の顔とか、
帝に触られた時のあの超嫌悪、超拒絶の顔、
べつに姫ほどの美人でなくても、
あの手の嫌な目に遭ったことのない女性なんか珍しいだろうから、
あー…、うんうん…。って気持ちになりますね。

最後の月からの使者が、どう見ても来迎図で
仏さまとペア席とか、臨終の人としか思えない訳です。
かぐや姫死亡説を推す人が多いのも分かります。
輪廻から解脱して悩みのない楽園(月)にいたのに、
地上にあこがれて、人間として生を受けたものの、
辛いことが多すぎて、帝に襲われたときに自死した。
なのでもう遅い。取り返しがつかない。
でもそれだとあんまりにも酷すぎるし、
姫が周囲のものを何でもトレースしてしまう?
(蛙の真似をしたり、捨丸と瓜を食べるところは
彼の顔を見ていないのにそっくり同じ食べかた同じ表情をしている?)
という設定?が浮いてしまうし
もっと早い段階で彼女の周りに飛天(空中のクリオネのような)が
いるシーンがあったので、彼女は神のうちの1人で、
単純に帰っちゃったと思いたいところです。

しかしかぐや姫はだめんずすぎた……。
5人の求婚者の中で唯一本気になりかけた上川隆也さん(声)は
超ド級の女癖の悪いひとだったし、
捨丸にいさんに至っては、
もう遅いというエピソードだから仕方ないとはいえ
あんたモロ妻帯者やありませんか。2人で逃げようヒャッホーイ!
ってやってる場合やありませんよまったくもう。
この映画は、資産家でまともな男が1人でもいたら
丸く収まってハッピーエンドだったというのがなんかやりきれない。

しょうもないこと箇条書き

・とったどー!(雉)
・姫は怒り狂うと突然白土三平先生のタッチになって
 超アクションをかますので目が離せない。
・あと帝のひとは、しりあがり寿さんの描かれるイケメンみたいに
 目がキラキラで、顔の半分くらいが顎、という特殊なキャラデザで、
 出てくるたびに笑いをこらえた。
・宮本信子さんが媼の声で出られてます。なつばっぱ!
・立川志の輔さんの声だって気付かなかったけど、
 名付けのおじいちゃんか!
・お屋敷で何年も座って暮らしていたのに、
 まだ逆立ちができるとは何というマッスル。
・姫のおつきの子の顔がかわいかったけど、人間なの…?
 あの子は何年もずっと姿が変わらなかったけど一体…?
・不老不死の妙薬のくだりはカットか…。




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「清須会議」

2013年12月04日 | 歴史映画

いつもの三谷さん映画のシチュエーションコメディではなく、
どちらかと言えば「組!」系の、
史実をそのまま使いつつ、それを面白い方向に
ゆるーく曲げる感じの話です。
流れは原作小説ほぼそのままですが、
領地分配のシーンと(私の好きな)イノシシ狩りのシーンはカット。
まあ…イノシシ狩りを入れるとロケ地の手配や
撮影期間の延長で製作費が嵩んだでしょうから
仕方ないのは分かりますが…
佐藤さんのコメディシーンが増えたからいいですが…
イノシシ…。

光秀を討取ったあと、織田家の跡取りを誰にするか、
古参の家臣や成り上がり者の家臣、
仇討で功をあげたもの、あげられなかったものが一堂に会し
城の中に籠って協議をするという、いわば密室劇です。

皆さん楽しそうにのびのびと演じられていて実にいいです。
特に寧役の中谷さんがキュートだった。
原作では秀吉に対してもうちょっとニュートラルだったのですが
映画では明るく献身的な、ツキを運んでくる女性という感じ。

柴田勝家の役所さん、丹羽長秀の小日向さん、
秀吉の大泉さん、池田恒興の佐藤さん、このあたりは安定した演技で
芝居と笑いを回してらっしゃいました。
しかし西田敏行さん、松山ケンイチさん、天海祐希さんはすごいチョイ役で
それでよかったの!?本当に!?と聞きたくなりました。

内容ばれ

妻に関する丹羽のアドバイスとか、
原作にないシーンがちょいと足され、
逆に勝家の空涙などが削られて、
円満なラストになるよう、映画っぽいカタルシスが得られるよう
工夫がしてありました。
麿眉と鉄漿が殊の外お似合いだった剛力さんの例の告白も
寧さんが受け手だったのでちょっと丸くなった。

1人称小説って映像化は難しいと思うんですが、
さすが作者だけのことはあります。
(原作・脚本・監督=三谷さん)

最後に「さまざまな声:山寺宏一」って出たんですが
さまざまな声ってなんだろう…。


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