裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

世界のつくり/意識編・7

2024年03月28日 09時13分41秒 | 世界のつくり

7・自然淘汰、って

外洋に出ていく際に、彼は温度変化に適応できるタイプのものをごく少数だけ生み出した。
その変異は、いろんなコピーミスを犯すうちにたまたま起きたもののひとつだ。
だけど、他のほとんどのものは温度変化には適応できないままだった(というか、関係のない別の変異をした)。
そこに、これまたたまたま冷水の環境が目の前に迫った。
冷水適応タイプと不適応タイプのどちらもそこに飛び込んだけど、おびただしい数がいたはずの後者は子孫を残せず、前者は着々と増殖することができた。
こうしてハイブリッド種※1だけが生き残って繁栄し、他者は絶滅する。
これが、適者生存による自然淘汰のメカニズムだ。
塩基配列のバグによるダーウィン進化は無作為で全方向、と書いた。
彼は、分裂して世代を下っていくごとに、あらゆる変異を自分の肉体に試す。※2
無作為全方向にわたるいわゆる「進化」をあらかじめしておいた上で、たまたま新たな環境にアジャストできたものだけが、あるいはたまたま生存に有利な機能を獲得してたものだけが、生き残っていく。
つまり、環境にアジャストしようとして、あるいは生存に有利な機能なので、という理由で進化は起きるわけじゃない。
すべての進化は、まったく意図せず発生した偶然なんであり、そこには計算も予測もデザインも介在しない。
高い木の葉っぱに届くようにキリンは首を長くしたわけじゃなく、たまたま首が長くなってしまったキリンがたまたま高い木の葉っぱを食べることができ、首の短いタイプよりもたまたま生存に有利となった、の順序だ。
生存に有利な首の長いタイプは、旧態依然のタイプよりもモテるため(異性も自分の子孫の生存を求めるのだ)、世代を経るごとにキリンの種全体の首が伸びていき、首の短いものはすたれて、長いものが後世を席巻することになる。
ダーウィン進化は、こんな残酷な淘汰をともなう。
が、結果得られた機能性のアップデイトは、種全体の生存確率を劇的に上げていく。

つづく

※1 交配がないのでこの表現は厳密ではないが、古い機能と新しい機能の交雑種、と解釈しよう。
※2 何度も書くように、変異は偶然の産物だが、ここでも進化の作用を彼の主体性と能動性に還元できるものとして表現させてもらう。なにしろ、物語なもので。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園