裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

世界のつくり/生命編・23

2023年12月26日 08時40分40秒 | 世界のつくり

23・細胞分裂、って

たくさんの細胞からできたぼくだけど、かつては小さな小さな生殖細胞だった。
父ちゃんの精子細胞がくっついた母ちゃんの卵子細胞。
ふたつがひとつになったこの一個の受精卵が、最初期のぼくの姿。
ぼくは、もともと母ちゃんと父ちゃんだったわけだ。
ぼくは実際に、父ちゃんと母ちゃんの肉だったんだ。
ふたりにつくられたんじゃなく、ぼくはこのふたりだったんだよ。
それがいつの間にか分かれて、ぼくというアイデンティティを獲得して、ぼくになった。
父ちゃん細胞が這い込んだ母ちゃん細胞が分裂し、さらに分裂活動を繰り返すうちに、父ちゃんと母ちゃんのアイデンティティが打ち消え(忘れ去られ、と言ってもいいかもしれない)、別個性であるぼくちゃん細胞になったわけだ。
父ちゃんと母ちゃんをさらにさかのぼると、(ふた組の)じいちゃん細胞とばあちゃん細胞に行き着く。
ぼくはかつて、じいちゃんとばあちゃんと、別のじいちゃんとばあちゃんという、四人だったんだ。
さらにさかのぼる。
ぼくのご先祖さまは、すべてがぼくのかつての姿だ。
ご先祖さま細胞はおさる細胞から分裂したものだし、おさる細胞は原初哺乳類細胞から分裂したものだし、さらにさらにさかのぼれば、ぼくは原初真核生物に行き着き、もっともっとさかのぼれば、最原初の単細胞=彼にたどり着く。
最もシンプルで、必要最小限の装備しか持たない、スタートアップな原形質の細胞に。
この原形質が細胞分裂をした瞬間に、生命体は生命体の体を成し、彼はぼくになったんだ。

つづく

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園