裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

東北さすらい人助け旅・5

2011年07月24日 04時51分13秒 | 被災地ルポルタージュ
バス車中の前夜にまともに寝てなかったので、晩メシを食ったら、こてんと就寝。
・・・と思いきや、またも件のおっさんが、隣で高いびきをかきはじめる。
耳元の異様な近距離だ。
おまえ、絶対わざとやろ。
オイルサーディンのような雑魚寝状態の部屋内で、場所を求めてさすらう午前1時さ。

さて、翌朝は午前6時の起床。
ワゴンに機材をつめ込み、ごはんとみそ汁をかき込んで、さらに昼飯用のおにぎりを各自につくって出かける。
急がなければならない。
前日に引き続き、大潮なのだ。
午後3時には作業を終わらせるため、スタートから出力全開。
この日は、前日とは別の家屋のがれき撤去と、崩壊した納屋の屋根の解体、その他もろもろ。
まっ黒な泥に長靴を踏み入れ、魚アミを引きちぎり、庭中に散乱するあれやこれやを運び出す。
「リーダーはいない」「自己判断」と口を酸っぱくするこの団体。
だったらオレが指図してやらー、と積極的に声を出す。
さあみんな、カワラ運ぶよ、バケツリレーの列つくって、はいそこもうひとり入って、ライン詰めてね、声出していこー、はいよーそれそれ。
女子にバールを渡すと、嬉々として屋根の解体をはじめる。
格子のすき間に刃先を叩き込み、テコの原理でクギごと引きはがしてく。
建材を分割したら、何人かでかつぎ上げ、あるいはネコをつかって、撤去場所に移送。
前日のようにバラバラじゃなく、今日は全体が有機的に連結して動いてるよ。
ひとりがかけ声すれば、効率は劇的に上がるのだ、と学習したね、ヨシヨシ。
それにしても、ものすごい暑さ。
空気が小揺るぎもしないこの日の作業は、ただ立ってるだけで体力の消耗いちじるしい。
15分働いては水を入れるが、たちまち汗腺からだだ漏れ。
クラクラして倒れそうになるところを、周囲のがんばりに支えられて、自尊心だけで動きつづけた。
昼飯のおにぎりを手にすると、ただの塩にぎりだったはずが、おこわ(あずきごはん)のおにぎりになってる。
はて?と思って口に近づけると、あずきたちはいっせいに飛び去り、銀シャリが現れる。
ハエの活躍もおびただしい。
そんな環境で、道路が海水面に沈み込むまで働きつづけた。

崩れた橋を渡って、撤収。
夕刻、堤防を車でぶっ飛ばしたはるか先にある銭湯に向かう。
ここは津波にやられてない地区。
なかなか立派な天然温泉だ。
が、中に入ると、ボランティアたちなのかな?ひとであふれかえってる。
洗い場には十数人もが列をなし、順番待ち。
あきらめて、湯舟につかるだけにした。
湯上がりに体重を量ると、衝撃の数値!二日間で5キロも落ちてた。
完全なエンプティだ。
そういえば、ビールも飲んでねーや(飲める体力も残らない)、と思い至る。
都会生活の、なんという自堕落よ。

青々とした水田が、かぐわしい酸素を放つ。
このいとおしい風景を守らなくちゃ。

つづく

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園