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弱者を守る遺伝子(DNA)検査に

2014年02月05日 | 一考察
 遺伝子検査で、一番傷つくのは誰なのか。一番得をするのは誰なのか。

 もしも新聞やニュースで、次のような見出しが見られたとしたらどうだろう?

・乳がんリスク回避のための乳房切除後、DNA検査結果がインチキだったと判明
・DNA格付けで「遺伝子差別」
・子どもの才能に関するDNA情報 児童売買のブローカーが利用し誘拐
・検査で子どもの将来を悲観 育児放棄・子どもを捨てる親が増加
・美肌のための検査のはずがDNAデータ流出 探偵の調査で婚約解消に
・DNA検査会社の社員 DNA情報からストーカー
・親の婚活代行 釣書(身上書)の代わりにDNAデータで婚活
・DNA情報付き精子・卵子バンクで理想の子どもを計画

 SF(サイエンス・フィクション)の世界だけで済まない時代が、気がつけば「今」なのかもしれない。


 最近、遺伝子検査に関するニュース・記事を相次いで目にする機会があった。(参考:下記リンク)
 自分自身も遺伝子検査について多くのことを知っているわけではないけれど、報道を見ていると、遺伝子検査・DNA検査の持つ危険性に日本という国が鈍感なのじゃないかという不安を感じてしまう。
 「知る権利」だけではなく、今こそ「知りたくないことを知らないでいる権利」「自分以外に知られない権利」を、きっちりと議論しなければ、検査によって人生を狂わされる人も出てきてしまうだろう。

 今、もっとも気になっているのは以下の3つ。
・子ども本人の同意なしに、親がDNAを検査する権利はあるのか?
・DNA検査の結果が検査した機関から情報流出する危険性はないのか?悪用される可能性はないのか?
・検査結果が、本当に信頼できるものなのか?


 DNAによって、親子関係だけでなく、将来かかる病気、芸術やスポーツの素質、美容的な傾向などまで分かるのだとか。
けれど、その膨大な情報を持つ遺伝子を検査することによって、誰にでも見ることができるデータにしてしまうことの危険性は、まだ十分に議論されていないように思う。
 私は、検査データを扱う人に知られることに嫌悪感を覚え、ましてや、それがデータとしてパソコンに保存されることには不安と恐怖を感じるのだけれど、多くの皆さんの意見はどうだろう。
 また、たとえ実の親子であっても、子どもの遺伝子に関して「検査する権利」「情報を見る権利」があるのか、非常にデリケートな問題ではないだろうか。(誰にでも「親にも知られたくないこと」は確実に存在するはず。)一人検査しただけでも、親子だけではなく血のつながりのある多くの人に少なからず波紋を起こす可能性のあるのが遺伝子検査であることも、少し想像すれば分かるはずだ。
 究極の「個人情報」なのだから、検査をする側・検査される側の双方が、究極の危機意識を持つべきであるのは間違いない。現在の検査ビジネスは「遺伝子のデータ化」のはらむ危険性に、あまりにも無頓着であり無防備ではないだろうか。

 たしかに、遺伝子検査がもたらすメリット・利点も、たしかに存在する。
 将来の病気のリスクに備えることもできるだろう。
 しかし、検査の精度に対する国の認定制度の整備や、情報流出の防止に関する罰則など法的な整備、検査前のカウンセリングの徹底(カウンセラーの養成)など、遺伝子検査の分野にはまだまだ課題が山積している。

 弱者を傷つける・誰かが困るような可能性が少しでもあるならば、夢のような技術であっても、しばらく寝かせておいてもよいのではないだろうか。



<関連ニュース>
“遺伝子検査”その広がりと課題
NHKニュース おはよう日本 2014年1月27日(月)

「遺伝子ビジネス:ルール作りに着手 経産省が研究会」
毎日新聞 2014年01月23日

「特集ワイド:DNA 親子鑑定最前線
毎日新聞 2014年01月20日 東京夕刊
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