MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』

2018年02月28日 | BOOKS
『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』
くどう みやこ
主婦の友社


 近い将来、生涯子どもを持たない女性の割合(生涯無子率)は3割になるという推計があるそうです。
 この本では、そんな「子どものいない人生」を多面的に取り上げています。
 「少子化」「人口減少」対策に取り組む政治家の方々、公務員の皆さんも必読の1冊ではないでしょうか。

 著者も「子どものいない人生」を生きている一人。
 第1章では、著者の体験を振り返りながら、時代の流れと女性の生き方の変化、理想と現実と葛藤、そして「子どものいない人生」に向き合っていくプロセスが描かれます。
 第2章は、子どものいない30代から60代までの女性13人とそのパートナーである男性2人による、「子どものいない人生」体験が語られます。それぞれの事情、そして現在の心境。けっして一つとして同じではない人生のバックグラウンドを知ることが、「子どものいない人生」に対する固定観念や偏見への一番のワクチンになるように思いました。
 第3章は、「子どものいない女性の意識調査」。
 全国85名の女性へのアンケート結果から、原因や理由、悩み、メリット、傷つく言葉、子どもがいないことによる苦しみや社会的なプレッシャーへの本音を知ることができます。無意識に相手を傷つける発言をしていなかったか、恐くなりました。
 第5章は、5人の専門家(脳科学・不妊研究・母性研究・心理学・社会学)からの「子どもがいない女性」へのアドバイスと応援メッセージ。「子どものいない人生」による不安感、息苦しさ、劣等感に対する、学術的な知識にもとづいた「優劣はない」というアドバイスは、社会の多くの人が共有すべき知識です。
 第6章は、「子どものいない女性の心得(人生を好転させる9つのヒント)」と題して、「子どものいない人生」をプラスに生きる心の持ち方が紹介されています。それは、子どものいる人生であっても参考になることばかりでした。特に「人間的に成熟した大人の5つの『せ』」は、胸に刻みたいと思います。

 私には、子どものいない大叔父夫妻がいるのですが、実の子には恵まれなかったけれど、私の父を実の子どものように愛してくれ、私たち姉妹を実の孫のように大切にしてくれました。二人とも人格者で、夫婦仲がとても良く、いつも笑顔で、趣味を楽しみ、自然を楽しみ、食事を楽しみ、若い世代を可愛がってくれる、理想の夫婦です。そんな大叔父夫妻のおかげで、私たち姉妹は「子どものいる人生こそが幸せで優れている」と思わずに大人になることができました。この本が、読者にとって同じような役割を果たしてくれることを期待します。

 子どもの有無・未婚既婚、人種や国籍、育った環境。
 本当に人生は千差万別です。それぞれの立場は「知ろうとしなければ分からない」「伝えようとしなければ伝わらない」のだと思います。「他人には分からない」のかもしれませんが、相手の立場を思いやること、理解しようと努力することを続けていきたいと思います。

<関連資料>
「日本の将来推計人口(平成29年推計)」 - 国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来推計人口」推計手法と仮定設定に関する説明資料(PDF) - 国立社会保障・人口問題研究所(平成29年推計)
「日本における無子率の動向と無子女性の特性に関する分析」(PDF) - 日本人口学会公式webサイト(2016)
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『髪がつなぐ物語』

2018年02月22日 | BOOKS
『髪がつなぐ物語』
著者:別司芳子
分研出版


 髪の毛を寄付する活動「ヘアドネーション」。
 この活動でつながる人々の思いを伝える本ができました。
 
 小学生中学年から大人まで、とても読みやすい1冊です。
 この本の著者印税は、この本に登場する団体「NPO法人 JHD&C(JAPAN HAIR DONATION & CHARITY 愛称:ジャーダック)」に寄付されるということです。

 寄付するかどうか悩む女の子。
 寄付のために髪の毛を伸ばす男の子。
 医療用ウィッグを待つ女の子。
 活動を取材する高校生。
 活動を始めた方と、それを応援する人たち。
 高校生の取材を機会に、活動に協力を始めた企業。

 それぞれの立場の思いを、優しい視線で描いていきます。

 私が初めて毛髪寄付をしたのが5年前。そのころは、周りの人でヘアドネーションを知っている人はほとんどいませんでした。
 昨年2回目の寄付をしたときは、「女優さんがしたって聞いたことある」とか「うちの娘も寄付したよ」という声をあちこちで聞くようになりました。
 久しぶりにジャーダックのホームページを見たら、サポーター企業も増えていて驚きました。

 捨ててしまう髪の毛を、寄付に。そして、病気の子どもたちへ。
 この本が、また多くの人に伝わる一助になると思います。

<関連サイト>
JAPAN HAIR DONATION & CHARITY (ジャーダック)| ヘアドネーションを通じた社会貢献活動
 「NPO法人 JHD&C(JAPAN HAIR DONATION & CHARITY 愛称:ジャーダック)」のホームページ。
 髪の毛の寄付をしたい人、医療用のウィッグを希望する人への情報があります。
 
 
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『発達が気になる赤ちゃんにやってあげたいこと』

2018年02月10日 | BOOKS
『発達が気になる赤ちゃんにやってあげたいこと 気づいて・育てる超早期療育プログラム』
 著:黒澤礼子
 発行:講談社


 小学校でボランティアをしていると、気になるお子さんに出会うことがあります。
 関わっていて思うのは、「もっと小さいときから、何か手助けできていたらよかったのじゃないか?」ということ。
 小学校に入る前からの支援の必要性を感じることが しばしばありました。
 「子どもは放っておいても勝手に育つ」というのも一つの事実ではありますが、小学校入学時の「困り」や「疎外感」「劣等感」を少しでも少なくできることがあるのであれば「やって損はない」のではないでしょうか。

 この本は、表紙にもあるように「0歳から」「小さいうちだからこそ できることがある!」という考えで書かれています。
 けっして「発達が気になる赤ちゃん」だけではなく、全ての赤ちゃん・子どもたちに有効な、親子のコミュニケーションのためのプログラムだと感じました。
 保護者だけでなく、保健師さんや保育士さんへのメッセージもあり、乳幼児からの「療育(治療+教育)」の必要性が伝わります。
 そして、乳幼児だけでなく、もう少し大きくなってからでも、気付いたときから参考にできる1冊だと思います。

 まず、巻頭に「赤ちゃんの発達で気になることがありますか?」というチェックリストがあり、気になる項目がどの章で取り上げられているか紹介されています。
 巻末には「1歳6ヶ月検診表モデル」も掲載されています。
 本文イラストもカバーイラストと同じで、エピソードの紹介や遊びの例も、やさしい温かいイラストになっています。

 特別な対策が必要でないお子さんにも「おこなってプラスにこそなれ、マイナスになることはけっしてありません」と書かれています。難しい療育の方法が紹介されているわけではありません。家庭で、多くの保護者ができるちょっとした工夫がほとんどです。
 たとえば、
  ・子どもを見守り、気付いてあげること
  ・次の段階に、スモールステップで進むこと
  ・落ち着いた環境を整えること
  ・大人が伝え方を工夫すること
  ・一度に多くを要求しないこと

 どれも、どんなお子さんを育てるうえでも大事なことだと思います。
 そのほかにも、家庭でできる子育てのヒントがたくさんあるので、多くの保護者の皆さんに読んでいただきたいと思いました。

 産婦人科の待合室にも置いてもらえたら……と思う1冊です。
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『手ほどき七緒 [永久保存版] 着物 おたすけ 辞典 』

2018年02月05日 | BOOKS
『手ほどき七緒 [永久保存版] 着物 おたすけ 辞典 』
プレジデント社


 季刊誌『七緒』という、着物と暮らしの雑誌の別冊ムックなんだそうです。
 雑誌のほうは読んだことがないのですが、本当に「今、着物を楽しみたい!」という人に、読みやすくてためになる1冊です。

 表紙も可愛いですが、中のイラストも良い意味で気が抜ける、肩肘はらない着物の本になっています。

 着付けの説明はありません。
 それよりも、着物を着るときのちょっとした疑問について、いろいろと答えてくれているのがありがたいです。
 着物や帯の種類についても、優しく丁寧に説明。
 着物と帯や小物との合わせ方も、いろいろな写真があって、見ているだけで楽しめます。

 洋服のコーディネートと比較して、「この組み合わせなら、こんな集まりに行けますよ」という、付け下げ・訪問着のコーナーも。
 「礼装○×判定会」という特集は、着物に詳しい4人による解説で、フォーマルな場面の着物のTPO・格、オススメやNGについて、分かりやすく学ぶことができます。
 簡単な「切らないつけ帯」の作り方もありますし、自分でできる小物のお手入れの方法や、着物愛好家の皆さんの様々な収納方法も参考になります。

 昔は普段着でもあった着物。
 もっと気軽に楽しめるようになるといいですよね。
 私も昨年は1度も着なかったので、今年はどこかで着たいなぁ。

 
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