MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『クレヨンからのおねがい! 』

2015年07月27日 | BOOKS
『クレヨンからのおねがい! 』
ドリュー・デイウォルト 文
オリヴァー・ジェファーズ 絵
木坂涼 訳
ほるぷ出版


 ある日、ケビンに、12色のクレヨンから、それぞれの気持ちがこもった手紙が届きます。
 どの手紙も一生懸命で、可愛くて、面白くて……、そして自分のクレヨンを大切にしたくなる絵本です。

 私のクレヨンから手紙が届いたら、なんて書いてあるでしょう?
 きっと、いろいろ言われちゃうなぁ。

 低学年クラスでの読み聞かせでも好評でした。
 クレヨンたちの言い分を聞いて、子どもたちも笑ったり考えたり。
 自分たちの身近にある文房具、小さいころから使っているクレヨンだからこそ面白いのかもしれないですね。

 続編(英語版)も、この夏出版されるようです。
「The Day the Crayons Came Home」 - Penguin Random House
 日本語だと、『クレヨンがやってきた日』?『クレヨンがやってきた!』ぐらいかなぁ?


Oliver Jeffers The Day the Crayons Quit
 画家のオリヴァー・ジェファーズさんのサイトでは、この本から何枚か紹介されています。(イラストをクリックすると、ほかのイラストも表示されます)
 書いてある紙の質感だとか、勢いある手書きの文字の英語とか、とっても素敵です。
 英語だと、持ち主の男の子の名前が「ケビン」じゃなくて「Duncan」(ダンカン)なんですね!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『クエスト にじいろの地図のなぞ』

2015年07月24日 | BOOKS
『クエスト にじいろの地図のなぞ』
作: アーロン・ベッカー
講談社



『ジャーニー 女の子とまほうのマーカー』の続編です!
 ちゃんとお話も続いています。

 Amazon.comでは、数ページですが、中を見ることができます。
「Quest: Aaron Becker」 - Amazon.com

 裏表紙はこんな感じ。



 物語は『ジャーニー』と同じ異世界へ、前作にも登場した女の子と男の子、そして紫色の鳥が旅をするというストーリーです。
 今回は、前回以上に大冒険になっています。

 文字がない絵本ですが、見る人にしっかりと物語が伝わってくる作品です。
 今回は「まほうのマーカー」の色も増えますし、ドキドキする展開の中で、ふたりが協力し合う様子に感動しちゃいます。

 細かいところにも注目!!
 ページをめくり、また戻り、ページをめくり、また戻り、『ジャーニー』も持ってきてページをめくり、何度も何度もページを往復して、雨宿りをする歩道橋の場面にはニヤリとし……。
 本当に、大人でもたっぷり楽しめます。

 「紫色の鳥の役目は、たぶん……」なんて考えちゃうのは、大人だからでしょうかね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『Life(ライフ)』

2015年07月16日 | BOOKS
『Life(ライフ)』
作:くすのき しげのり
絵:松本 春野
瑞雲舎


 ちょっと体調を崩していた友人へ、素敵な絵本を見つけてプレゼントしました。
「とても心の温まる絵本。絵もキレイで、何度も読み返したり、手を止めては絵に見入ったりしてました。」と、嬉しいメールが届きました。


 物語の舞台は、小さい街の街はずれにある小さなリユースシステムのお店。
 自分の使わなくなったものを、心のこもったメッセージとともに置いていき、その代わりに、何か自分が使えそうなものをもらっていくお店です。
 
 悲しみに沈んだおばあさん。
 少年。
 小さな子供を連れた若い夫婦。
 二人の道を歩き始めたばかりのカップル。
 少女。
 ……それぞれがそれぞれの想いを持って、小さなお店を訪れます。

 置いていった品には「今までの物語」があり、持ち帰られた品には「これからの物語」があるのです。
 ひとりぼっちのようで つながっている、深い悲しみもあるけれど 静かな喜びもある、そんな「ライフ=人生」を、言葉は少ないけれどはっきりと描いています。

 子どもはもちろんですが、大人に読んでもらいたい1冊です。
 悲しみを抱えている人の心に優しく寄り添ってくれる、そして文字はなくても雄弁に励ましてくれる絵本がたくさんあることを、もっと多くの人に知ってもらいたいと思います。


ちなみに、図書館などで検索するとき「ライフ」や「Life」だと、該当する書籍が多すぎて表示されないことがあります。書籍名のところに「ライフ」、著者名のところに「くすのき」と入力するだけで、ぐっと絞れて、簡単に見つけることができるのでお試しください。
 くすのきしげのりさんの『おこだでませんように』も名作です。子どもと接するときに、思い出したい1冊です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『かたづの!』

2015年07月03日 | BOOKS

『かたづの!』
著者:中島 京子
集英社

『かたづの!』特集ページ - 集英社WEB文芸 RENZABURO
中島京子さんインタビュー - BOOK SHORTS

 女領主と聞いて、『剣と紅』を思い出したのですが、あちらは戦国時代。こちらは江戸時代で、東北を舞台にした物語です。

 歴史小説なのに、伝説を盛り込んだファンタジーでもあります。
 遠野の伝説「片角様のお叱り」と「河童八戸起源説」が、ドロドロと暗く陰鬱になりそうな史実を、ふんわりと持ち上げて支えています。

 武力ではなくて知恵、そして「人」こそが国を支える大切な宝であること。
 恨んだり泣いたりするだけではない、前向きに「考える」生き方は、現在の不安定な世の中を乗り切る私たちにも勉強になります。

 そして、どんなに強く賢い人でもやっぱり支えがいるということも、忘れてはいけない気がします。


 なんと、フランスの有名なユニコーンのタピスリー(タペストリー)「貴婦人と一角獣(La Dame á la licorne)」まで登場します。物語の流れにはあまり関係ないですが、この本を読んだらきっと「貴婦人と一角獣」を見たくなると思いますので、見ることができるサイトを下記に紹介しておきますね。
 タピスリーを見た後に『かたづの!』の表紙を見ると、また違った印象になるかもしれません。

<関連サイト>
Tenture de la Dame á la licorne - Musée de Cluny(クリュニー中世美術館)
 画像をクリックすると、ほかの連作タピスリーも、拡大された画像・動画も見ることができます。
MMM - クリュニー中世美術館
《貴婦人と一角獣》展 - NMAO : 国立国際美術館 過去の展覧会
貴婦人と一角獣 - Wikipedia

<追記>
 『かたづの!』は、第3回河合隼雄物語賞を受賞したそうです。
 選考委員がまた素敵。「上橋菜穂子 小川洋子 宮部みゆき」……すごいですねぇ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする