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「頁」「ページ」は新しい訓読み?

2023年09月13日 | BOOKS
『遊遊漢字学 中国語には「鰯」がない』
著者:阿辻哲次
発行:日本経済新聞出版


「頁」の字を漢字変換するとき、みなさんはどう入力しますか?
音読みだと「ケツ」で変換されますが、「ページ」でもちゃんと変換されますね。
(部首名の通称「おおがい」では変換されないんですね…)
でも「ケツ」って音読みを知ってる人の方が少ないような気もします。
前から「『ページ』って音読みでも訓読みでもないよなぁ」と思っていたのです。

今回の本『遊遊漢字学』に「『頁』がページになったわけ」というコラムが入っています。
紙の枚数を数えるときに画数の多い「葉(ヨウ)」を使う代わりに、音が同じ「頁」を「当て字」として使うようになったということだそうです。西洋式の製本技術が使われるようになって、紙の枚数ではなく1枚の表も裏もそれぞれ数えるときにも「頁」の字を使うようになったんだとか。(和綴では「第○葉の表」「第○葉の裏」と言っていたわけですね…)
つまり「ヨウ」という音読みを「ページ」という意味で使っているんですね。

『遊遊漢字学』には「ちょっと大きな漢字辞典には」と書いてありましたが、我が家の辞書(小学館『新選漢和辞典 第六版』1996年第3刷、小学館『現代漢語例解辞典』1999年第4刷)にも、音読み「ケツ」と「ヨウ(エフ)」がありました。
※「エフ」は「ヨウ」の歴史的仮名遣い。

私の住む街の大きめの図書館で、大きな漢字辞書をチェックしてみました。
音読み「ヨウ」が載っていたのは、下記の4冊。
大修館書店『大漢語林』(1992年初版)
講談社『新大字典』(1993年第1刷)
旺文社『漢字典(大活字版)』(2000年発行)
三省堂『全訳 漢辞海 第三版』(2011年第1刷)

とくに「大漢語林」には「1.漢:ケツ・呉:ゲチ 2.ヨウ(エフ) 慣.コウ」と4つの音があって、「ケツ」「ゲチ」のときは、「かしら。こうべ。頭。」「首筋。うなじ。」の意味で、「ヨウ」と読むときは「ページ。書物の紙面で、その片面。またそれを数える語。北方の近代音で葉と同音であることから借り用いた(ただし、葉は枚の意味)。=葉」と詳しく記載されています。「ヨウ」は北方の近代音なんですね。
※「漢」は「漢音」、「呉」は「呉音」、「慣」は「慣用音」。

「訓読み」を「漢字を『和語』で読んだもの」とすると、外来語である「ページ」を「訓読み」と分類できないのでしょうけれど、すでに日本で日常に使われている言葉なので「新しい訓読み」と言えるんじゃないかなぁと思います。
「外来訓」という言葉はないのかもしれませんが、「米=メートル」「麦酒=ビール」も「外来訓」といえるんじゃないでしょうか。
コメント
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