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大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『男性の非暴力宣言 ホワイトリボン・キャンペーン』(岩波ブックレット)

2016年01月31日 | BOOKS
『男性の非暴力宣言 ホワイトリボン・キャンペーン』(岩波ブックレット)
著者:多賀 太,伊藤 公雄,安藤 哲也
岩波書店


『男性の非暴力宣言』MORE INFO(書籍情報・目次など)

 「ホワイトリボン・キャンペーン」とは、「男性が、男性の女性に対する暴力に反対の声を上げる」運動です。
 初めは「?」と思ったことが、この1冊で「!」となりました。
 「自分は暴力を振るわない非暴力系男子も、女性に対する暴力に反対して、きちんと声を上げていこう」という活動なのです。

 今までは「被害者」である女性が声を上げていました。
 しかし、以前として男性が優位である社会において、男性が声を上げることで、もっと多くの男性に強いメッセージが届けられるようになるかもしれないと、暴力を否定する側の男性たちが立ち上がったわけです。

 この本では、海外での「ホワイトリボンキャンペーン」(WRC)の活動の歴史や、暴力の現状、日本で始まった活動、そしてこれからの全国的な展開の予定について書かれています。

 とくに、「フェアメンになる12のアクション」が心に残りました。
 男性だけではなくて、女性も心に留めておく必要がある12の行動ではないでしょうか。
 多くが、子育てにも共通すると感じました。
 一回読んだ後、次は「相手」「女性」の部分を「男性」「子ども」に置きかえて読んでみてください。

フェアメン(fair men)になる12のアクション
1.相手の話を最後まで聞いて受け止める
2.自分がうまくいかないことを相手のせいにしない
3.相手の「NO」を受け入れることができる
4.嫉妬を理由に相手の行動や人間関係を束縛しない
5.相手の仕事、やりたいことを応援する
6.相手を自分のモノだと思わない
7.相手の友人、家族、人間関係を大切にする
8.自分のことを最優先にしない
9.大事なことは相手と一緒に話し合って決める
10.お互いの違いを認め、自分の考えを無理に押しつけたりしない
11.家事や子育てをともに担う(その予定)
12.固定的な女らしさや女性の役割を押しつけない

 「フェアメン(fair men)」とともに、「フェアウィミン(fair women)」「フェアペアレンツ(fair parents)」が増えれば、暴力による負の連鎖がもっともっと減るのではないでしょうか。

 「男らしくあるべき」というプレッシャーがあって、「強さ=暴力」という形で表現してきたのだとしたら、暴力をふるう男性も「被害者」なのかもしれません。

 暴力は「言葉の暴力」も「態度の暴力」も含むのですから、まずは「人にも物にも八つ当たりをしない」「相手がきつく感じる話し方をしない」というところから、家族みんなで大事にしていきたいと感じました。


<関連リンク>
ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン
 一般社団法人「ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン(WRCJ)のホームページです。
NPO法人ファザーリングジャパン
 「“暴力をふるわない”“暴力で苦しむ人を助ける”“暴力のない社会をめざし活動する”」という、「男たちの非暴力宣言、White Knight Project 」が紹介されています。
(・ホワイトリボンキャンペーン・KANSAI
 ※2016年4月一般社団法人「ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン(WRCJ)」が設立し、「ホワイトリボンキャンペーン・KANSAI」は「発展的解消」とのことです。
White Ribbon(英語)
 ホワイトリボンキャンペーン発祥の地、カナダのホームページ。
 「16 Ways in 16 Days | White Ribbon」(英語)
 12のアクションならぬ、16のアクションが紹介されています。
WhiteRibbon Australia's campaign to prevent men's violence against women(英語)
 この本でも紹介されている、オーストラリアのホワイトリボンキャンペーンのホームページ。

<追記>
 「ホワイトリボンキャンペーン」「ホワイトリボン運動」という同じ名称で、違う目的を持った活動が複数あります。
ホワイトリボンキャンペーン - Wikipedia
 「白」という色は、非暴力や平和のイメージなのかもしれませんね。

コメント (2)
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『大村智ものがたり』

2016年01月16日 | BOOKS
『大村智ものがたり ~ 苦しい道こそ楽しい人生』
 (オオムラサトシモノガタリ クルシイミチコソタノシイジンセイ)
馬場錬成 著
毎日新聞出版


 2015年のノーベル賞受賞者 大村智先生の半生を描いたノンフィクションです。

 難しい漢字にはふりがなもついていて、小学生の高学年ぐらいから読めると思います。
 もう少し小さいお子さんには、親御さんが読んで「頑張って、たくさんの人や動物を病気から救った人なんだよ」と説明するときの参考書としても、非常に分かりやすい内容になっています。

 章ごとの見出しの付け方も分かりやすくて、それだけを読んでも興味がわきます。
 巻頭には大村先生からのメッセージもあり、是非これからの子どもたちに手に取ってほしい1冊です。

 つい大人が期待してしまうような、挫折のない「優等生の最短コース」では得られない出会いやチャレンジが、全世界を驚かす発見につながっていきます。

 ご両親の勤勉さなど、「親」としての生き方を顧みることも多い1冊でした。
 「たくさんの回り道や失敗も人生には必要だ」ということを肝に銘じて子どもと接するためにも、子育て中の大人にも是非読んでいただきたいと思います。


<関連書籍>
 同じ著者の方が別の出版社からも、大村先生のノンフィクションを出しておられます。
『大村智物語 ~ ノーベル賞へのあゆみ』馬場錬成 著 中央公論新社(2015/11/27)
 新書版で、「中学・高校生から大人まで幅広く親しめる普及版」ということです。
 大村先生からのメッセージ「若き日の君たちに伝える」が特別収録されています。
『大村智 ~ 2億人を病魔から守った化学者』馬場錬成 著 中央公論新社(2012/2/10)
 こちらは受賞よりも3年以上前に出版された単行本版です。
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『白をつなぐ』

2016年01月08日 | BOOKS
『白をつなぐ』
まはら三桃 著
小学館


 毎年1月にある、全国都道府県対抗駅伝大会。
 女子は京都で、男子は広島で開催されます。

 私には京都、都大路を走る女子駅伝や高校駅伝のほうがなじみがあるのですが、男子のほうには母校の選手が出ることもあって、毎年リアルタイムでテレビを見ています。

 『白をつなぐ』は、全国男子駅伝を舞台にした小説です。

 社会人だけでなく、下は中学生から、高校生・大学生も、都道府県の名前を背負って、1本のたすきをつないで走る駅伝。
その大会前の合宿から物語は始まります。

 当日走る選手だけでなく、指導者・補欠メンバーもだんだん紹介され、ちょっとした出来事から、それぞれの微妙な心の動きと抱えるものが見えてきます。
 一人で走るのではない、年齢もバラバラな人たちがつながる競技を描く面白さでしょうか。連作短編集のようで、つながっている面白さ。「白」をつないで、物語は最後まで走ります。
 緊張も不安も焦りも後悔も、そして喜びも伝わってくる、そんな物語です。

 一人一人違うこと。
 選手だけでなく多くの人が関わっていること。
 「駅伝」は当日だけではないこと。
 そんな当たり前のことを、今まで意識せずにいたことに気が付きました。
 
 今年は、また違った気持ちで男子駅伝を見ることができそうです。


<関連リンク>
天皇盃 全国都道府県対抗男子駅伝競走大会[ひろしま男子駅伝]
 第21回大会は2016年1月24日開催。
皇后盃 全国女子駅伝
 皇后盃全国都道府県対抗女子駅伝競走大会のページ。
 第34回大会は2016年1月17日開催。
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『みちこさん 英語をやりなおす am・is・areでつまずいたあなたへ』

2016年01月05日 | BOOKS
『みちこさん英語をやりなおす am・is・areでつまずいたあなたへ』
益田ミリ(著)
ミシマ社


 毎年、「英語をやりなおさないとなぁ」と思う年の始めです。

 今回紹介しますこの本は、英語の初歩的なところでつまずいている、「なんで英語ってこうなんだろう?」という疑問でいっぱいになって学習が進まなかった人たちに、非常に簡単なところから説明してくれる「最初の一歩」ならぬ、「手前の一歩」といった感じの1冊です。
 
 英語学習の入門書というよりも、英語と日本語の違いについて再発見する言語学の本として読んでも面白いと思いますし、教育学的観点から読んでも面白いと思います

 みちこさんのセリフ。
 「簡単かどうかは 先生じゃなくて わたしが決めることだと思います」

 これって、心にグサッときます。子どもたちに「簡単でしょ」って、何気なく言っていないか反省しました。
 教える側が、勝手に「簡単」って決めちゃいけないですね。
 「簡単でしょ」は「分かっていて当然」「そんなことも分からないの?」と、分からない人を傷つける言葉。
 分からないことを素直に聞いてもらえる先生であるためには、「簡単でしょ」は禁句ですね。

 「分からないことを先生に説明することが難しい」ということも、改めて認識しました。
 「どこが分からないのか」を察する技術も、教える技術と合わせて必要になりますね。

 つまずいた人に、時間をかけてゆっくり寄り添う教育が、どこまでできているか、どうやったらできるようになるのか。今年はそんなことも考えていこうと思います。
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大福梅ご飯

2016年01月02日 | 料理&美味しいもの
 北野天満宮でいただいた「大福梅(おおふくうめ)」。
 元旦にお茶か白湯に入れて飲むと、「年中の疫病邪気を除き長寿幸福を得る」という縁起物の梅干しです。
 (12月の「事始め」の日から授与されています。)
 京都では梅干しのほかに、結び昆布も入れたりするそうです。年始用に「大福茶(おおぶくちゃ)」というお茶も売ってます。

 家族で「大福茶」を飲んだ後の「大福梅」を、炊き込みご飯にしてみました。

<下準備>
 まず、お茶やお湯に少し浸けただけでは硬い「大福梅」を数時間から一晩お湯(水)に浸しておきます。
 (こうすると果肉がやわらかくなります)
 飲まないで残っている、余った「大福梅」も使っちゃいましょう。

<材料>
・お米 3合
・大福梅 5~6個
・大福梅を浸けておいた水 適量
 ※大福梅の塩分に注意。あんまりしょっぱかったら、炊飯器に加える量を加減してください。
・昆布 5センチ角1枚
・酒 大さじ2

(1)お米は洗って、ざるにあげて30分ほどおいておく。
(2)お米を入れた炊飯器に、お酒と大福梅を浸けておいた水を入れた後、普通の3合の水加減にする。
(2)昆布は細切りに、大福梅の果肉はちぎって、お米の上に載せて炊く。
(3)炊き上がったら、全体を混ぜ合わせて出来上がり。
   お好みでちりめんじゃこやゴマを混ぜても。


 「大福梅」の果肉がついたまま捨ててしまうのがもったいなくて、考えました。
 「残り福」までいただいちゃうような、ご飯です。お試しあれ。

 水の代わりに、番茶やほうじ茶で炊いても良いかも。(節分の「福豆ご飯」にも似てますね)

<関連リンク>
北野天満宮
 北野天満宮のサイトです。「大福梅」についても紹介されています。

 
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「南天九猿」は「難転苦去」

2016年01月01日 | 季節
明けましておめでとうございます

 2016年、申年ですね。

 今年の我が家の年賀状は「南天九猿」のデザインにしました。
 緑の葉に赤い実のつく「南天」と9匹のサルがいるデザインです。

 「南天九猿」は「難転苦去」
 「難は転じ、苦は去る」という願いを込めました。


 今年から年賀状は、主に親戚と「年賀状だけでしか交流できない人(メールやネットで近況報告できない人)」にだけ出すことにしました。
 年賀状という風物詩は好きなんですけれど、やっぱり自分の許容範囲を超えての交流が負担になってきてしまって……。
 あしからず、ご理解いただけたらと思います。

 皆さまの新しい一年も、良いことがいっぱいありますように!
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