MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『花だより みをつくし料理帖 特別巻』

2018年10月27日 | BOOKS

『花だより みをつくし料理帖 特別巻』
高田郁:著
角川春樹事務所


 「待ってました!」と声をかけたくなる1冊。
 「みをつくし料理帖」シリーズの特別巻です。

 シリーズ完結から4年も経つんですね。
 大好きな登場人物たちの その後を伝える特別巻は、最終巻10巻『天の梯』の内容と巻末に付いていた料理番付との間を描いた、どれも切なさと喜びがある 幸せな物語です。

 1つ目の表題作「花だより」は、「つる家」の旦那さん種市さんの絶望と奮闘のお話。
 2つ目「涼風あり」は、小松原さまこと、小野寺さまと不思議な奥様、そしてお子さんのお話。
 3つ目「秋燕」は、野江ちゃんと又次さんの出会いと、新しい「明日」を描くお話。
 4つ目「月の船を漕ぐ」は、澪と源斉先生が大坂での大きな試練を乗り越えるお話。

 どれもこれも、胸いっぱいになりながら、涙をこぼしながら読みました。
 「つる家」の旦那さんの愛情に、ほろり。
 小松原さまと奥様の不器用な心の交流を知り、この ご夫婦を好きになりました。お子さんがまた可愛い!
 野江ちゃんの新生活と、やっと手に入れた幸せに一安心して、思わず「よかった、よかった」と誰もいない部屋で独り言。
 そして、最後の「月の船を漕ぐ」では、いつも通りの澪の一生懸命さと料理への愛が描かれ、「花だより」と「秋燕」のエピソードともつながって、本当に本当の大団円です。
 表紙の澪の笑顔は、ラストシーンでしょうか。

 幸せな気分になりたいときに読む本が、また増えました。


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『ひと』

2018年10月15日 | BOOKS
『ひと』
著者:小野寺史宜
祥伝社


 「ひと」の優しさ・あたたかさを描いた1冊です。
 ちょうど私の息子と同じ世代、20歳の青年が主人公。
 両親をなくして、大学を中退し、生活が困窮しているところから物語は始まります。
 本当にさりげない、人を思いやる気持ちがつながって、そのつながりが生きる力を生み出していく、そんな1年間を描いています。

 誠実で真面目な主人公と、人情にあふれる商店街の人々。もちろん、嫌な人物が出てこないわけではないけれど、「良い出会い」の方が勝っている物語です。

 全ての若者たちに、この本のような、あたたかい出会いがありますように。
 そして、私たち大人は「出会えて良かった」と思ってもらえる人間でいたいものです。
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