MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『アスペルガー症候群との上手なつきあい方入門』

2015年11月27日 | BOOKS
コミックエッセイ 『アスペルガー症候群との上手なつきあい方入門』
僕がこの病気を乗りこえてきてわかったこと
著者:西脇俊二/イラスト:アベナオミ
宝島社


 「変わった立派な人をめざしましょう」という言葉が印象的。

 著者の西脇先生ご自身がアスペルガー症候群ということで、当事者の気持ちに寄り添った本になっています。
 以前「アスペルガー症候群によって、どれだけ周囲が迷惑するか」という視点のコミックエッセイを読んだことがありましたが、これは違います。
 副題も「僕がこの病気を乗りこえてきてわかったこと」ということで、どうやったら生きやすくなるかを教えてくれる良著です。

 もちろん、程度の差が大きい(スペクトラムな)側面のあるものですから、誰でも簡単に楽に生活できるようになるわけではないのでしょうけれど、知識や情報で救われることも多いと感じます。

 もちろん、当事者だけでなく、家族や職場の人にも読んでいただきたい内容です。

 「なんであんな行動をするんだろう?」「困ってるみたい」
 そんな人がいる時に、ちゃんとした知識を得たうえで「アスペルガー症候群かもしれない」と思うことは、けっして差別や偏見ではないと思うんです。
 もちろん、症状や傾向をきちんと知らずに決めつけるのは間違っているのですが、知っていることで工夫することができますから、組織を管理する上司の方にこそ読んでいただきたいですね。

 ここ数年、「実は私(うちの家族)、アスペルガーだったんだ」という人が増えています。
 私も少し「傾向」があると感じることもあって、この本に書かれている工夫もいろいろ参考になります。

 みんなが「横並び」で「普通」なんて、そもそも無理。
 ひとりひとり違うのは当たり前で、その違いを生かせる社会になるといいですね。
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『50歳前からのココカラ手帖』

2015年11月20日 | BOOKS
『50歳前からのココカラ手帖』
高橋陽子
サンクチュアリ出版

 35歳を過ぎてから40歳を前に、「最近、体が変わってきたなぁ」と思う今日この頃です。
 図書館でふと手に取ったのが、この本。

 「50前」というと、ちょうど10年後ぐらい。
 女性の体が、自分の体がどうなるのか知りたくて、コワいもの見たさ(?)もあって借りてきました。
 でも、借りてきてよかった。
 年齢に関係なく、きっと20代ぐらいから読んでもためになります。

・「更年期だから」と勝手に診断する前に、自分の疲れを自覚すること。
・ちゃんと睡眠をとって体を休めること。
・健康でいるためにも、綺麗でいるにも、栄養と休養と適度な運動、そして何よりストレスをためないこと。

 メイクや肌のお手入れ(シワ・たるみ・ほうれい線対策)も、今読んでも参考になります。

 今の50代の女性って、本当に綺麗で、しかも頑張り屋さんの人が多いように思います。
 だからこそ、この本は「頑張りすぎないで!」「リラックスタイムを作って!」といっている気がします。

 私も、子どもが巣立って「母」じゃない「私」の時間に向き合うことになった時、どう乗り越えていけるか。
 とりあえずは、今から毎日を丁寧に生きていこうと思いました。

 
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『跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること』

2015年11月15日 | BOOKS
『跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること』
著者:東田直樹
イーストプレス


 東田直樹さんのことを知ったのは、NHKのドキュメンタリー番組「君が僕の息子について教えてくれたこと」でした。
 「絶対家族みんなで見るべきだ」と、姉から言われたのが昨年の秋。
 再放送もあったのに、我が家のテレビの調子が悪かったこともあって、最近やっとDVDで見ることができました。

 「これは、小学生ぐらいの時にみんなが学校で見るべきなんじゃないか」「教員免許を取る人やこれから子どもを育てる人は全員見たほうがいい」と、私も思いました。

 人と会話することができない重度の自閉症。口から出てくるのは奇声や雄叫び、意味のないひとりごと。
 そんな彼の中にある、豊かな言葉・知性・品性・優しさ。
 「どうして跳びはねるんだろう」そんな世界中の自閉症の方々の家族の疑問に、彼の言葉が光のように届いていく様子は、本当に感動的で、涙が出てきました。

 そして、感動すると同時にショックを受けました。
「私は、特別支援に関する研修を受けていても、特別支援学級にボランティアに行っていても、何にも分かってなかったんだなぁ」と、恥ずかしくなりました。

 会話が難しい自閉症の方々の気持ちは、今まで私たち健常者が理解することの難しいものでした。
 今、「東田さんがパソコンで言葉を紡ぐことで、自閉症の皆さんの世界が見えてくる」という奇跡のような瞬間に、私たちは立ち会えているんじゃないでしょうか。

 この本は、22歳の東田さんが書いたエッセイ。
 家族への感謝や、自閉症があるからこその視点での世界の見方など、私たちに多くの発見・気付きを与えてくれる1冊です。
 言葉の美しさ、丁寧さも、本当に心地よいです。
(言葉を簡単に扱える私たちは、言葉を大切にしていないのかもしれませんね。)

 「人類への大きな貢献」がノーベル賞の授賞理由なら、東田さんはノーベル文学賞に値するぐらい、「人類へ新しい視点を与えてくれる文章を書く」という貢献をしていると、私は思います。

 これからも、書き続けていただきたい。伝え続けていただきたい。
 今後も楽しみです。
 

<関連サイト>
東田直樹 オフィシャルサイト「自閉症のぼくが跳びはねる理由」
東田直樹 オフィシャルブログ「自閉症の僕が跳びはねる理由」 会話のできない重度の自閉症者が自分の想いを伝えます
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小さいカメムシ マルカメムシ

2015年11月14日 | 季節
 秋です。
 ベランダの洗濯物にカメムシがつく季節になりました。
 日が当たってあったかい洗濯物が好きなのかなぁ?

 先日は、小さい小さい丸っこいカメムシが娘の黒いスカートに付いていました。
 サイズは5ミリ以下。小さくて丸くって黒いので、カメムシだと思わず手でつかんでしまって大失敗。

 くさい臭いが、手を洗ってもしばらく手に残ってしまいました。

 調べてみたら、「マルカメムシ」っていう種類のようです。
 そのほかにも、小さいカメムシって結構種類があるのですね。
 あの、緑色や茶色の盾のような形のカメムシとは大きさが違っても、ちゃーんとくさいんですからスゴイ。
 小さい虫だからって、油断禁物!!

 マルカメムシは真ん丸ではなくて、小さいおにぎりに海苔を巻いたみたいな形と色です。
 可愛いんだけどなぁ……。
 次に出会ったときには手でつかんでしまわないように気を付けようっと。

<参考サイト>
昆虫図鑑:カメムシ亜目 - 岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)
 カメムシって、こんなにいろんな種類がいるんですね。
 マルカメムシの画像もあります。「マルカメムシ科」です。
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「ソーシャル・インクルージョン」 は、「国民総 "生きがい" 社会」

2015年11月13日 | BOOKS
 簡単に言うと、「ソーシャル・インクルージョン」とは「弱者を切り捨てないこと」
もっと分かりやすく言えば、「全ての人が『生きていてよかった』と思える社会になること」ではないでしょうか。

 「ソーシャル・インクルージョン social inclusion」は、辞書などでは「社会的包摂」と訳されます。
 「包摂(inclusion)」とは、「包み込むこと」。英語の動詞「include(含む・包括する)」の名詞形ですね。

 EUなど欧米の国々は、10年以上前からこの「ソーシャル・インクルージョン」に取り組んできました。
 日本ではまだあまりなじみのない言葉ですが、先月、菊池桃子さんが「1億総活躍」の定義の一つの見方として「ソーシャル・インクルージョン」を取り上げていらっしゃいました。
 「一億総活躍」というと「国民が国のために頑張る」というイメージがありましたが、本来は「すべての国民が活躍しやすい社会にするために、国はいったい何ができるか」という意味でとらえないといけないということに、あらためて気が付きました。

 今回、何冊かの「ソーシャル・インクルージョン」に関係がありそうな書籍を手に取りました。

 『ユニバーサルを創る! ソーシャル・インクルージョンへ』
著者:井上滋樹
岩波書店

 この本で、著者の井上滋樹さんは、「ソーシャル・インクルージョン」を、
「何らかの事情により、社会で生活していくうえで、本来、すべての人に与えられるべき生活水準を保てない、また、仕事、教育などの機会を得ることなく、社会のインフラやサービスを十分に享受できない環境にいる人を、同じ社会の構成員として、社会に包括していくこと。または、そのための仕組みをともに創っていくこと」と定義しています。(p.viii)
 これを読んで、やっと「ソーシャル・インクルージョン」が分かった気がしました。
 「インクルージョン」をハンディキャップのある人・障害者の人のための単語だと思っていたのですが、こう言い換えていただくと納得です。
 「『ソーシャル・インクルージョン』ってなんだろう?」と思ったら、まずはこの本が分かりやすいかもしれません。

 『不安社会を変える』
著者:暉峻淑子・宇都宮健児・阿部彩・篠藤明徳
かもがわ出版

 この本では、第2章の「現代日本の貧困と社会的包摂への道」で、「ソーシャル・インクルージョン」を取り上げています。
 「いままでの政策は、異質な人々、例えば、職を失ってしまった人を、徹底的に訓練し直して「おぎょうぎのよい、生産性の高い労働者」に仕立て上げることでした。そうではなくて、この人でも働けるようにするには、職場をどう変えるべきだろう、と考えるのが『社会的包摂』的な政策です。」(p.101)
 「どのような不利を抱えていても、それぞれのできるやり方で働き、それで『人並み』の最低限の生活ができる、そのように、職場や社会を変えていかなければならないと思います。」(p.101)
そのほかにも、「教師の質を高めること、そのために教師にゆとりを与える必要があります。」(p.112)だとか、「包摂というのは、それぞれの人に生きる意味があり、生きがいがある生活をするということですよね。」(p.123)というところは、メモを取りながら読みました。
「1億総活躍」ではなくて、「国民総 "生きがい"」じゃないか?と、ふと思いました。

 『弱者はもう救われないのか』
著者:香山リカ
幻冬舎新書

 こちらは、前の2冊と違って「ソーシャル・インクルージョン」の難しさを扱っている本です。
 「自己責任論」や「格差の拡大」について論じたり、憲法改正案に疑問を投げかけたり、「なぜ人は弱者を助けるのか?」という宗教・道徳・倫理な問いにまで話は及びます。
 この本を読むと、「弱者を助ける心の余裕が、今この国にはないのかもしれない」とすら感じてしまいます。

「全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」(憲法第25条1)

 障害のある人も、病気を抱える人も、一度道を外した人も、どこかで必要とされて、生きがいを持って生活して、健康的で文化的な生活を送る社会になるように。
 「ソーシャル・インクルージョン」が、当たり前の世の中になるといいですね。

 
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 『「地下鉄に 乗るっ」シリーズ1 京・ガールズデイズ ~太秦萌の九十九戯曲~』

2015年11月10日 | BOOKS
 『「地下鉄に 乗るっ」シリーズ1 京・ガールズデイズ ~太秦萌の九十九戯曲~(うずまさもえのつくもぎきょく)
 著者:幹(もとき)
 イラスト:賀茂川
 講談社ラノベ文庫


 京都市民にはもうおなじみの「地下鉄・市バス応援キャラクター」太秦萌ちゃんの出てくるライトノベルが講談社から出ました。
 公共交通機関のキャラクターが、ラノベとはいえ小説になる事って、今まであったんでしょうか?
 京都市交通局、なかなかやりますね。

 今回、しっかり京都地下鉄烏丸線と東西線両方の車内で読んできました。
 (もちろん、用事があったついでなのですが……)

 内容は、女子高生の友情もの&ファンタジックな京都観光案内になっています。
 ラノベですから読みやすいですし、中高生・とくに修学旅行生にもおススメしたいところです。
 色恋ゼロなのは、アイドル的なキャラクターとしてのお約束かもしれませんね。

 ちなみに、上の写真で本の横に置いてあるのは、京都市交通局の磁気カード「トラフィカ京カード」で作ったしおりです。
以前から使用済みの磁気カードでしおりを作っていたのですが、こうやってシリーズになるとなんだか嬉しくなります。
 新しいキャラクターのカードが出たら、また作ろうと思います。
(烏丸ミユちゃんと、太秦麗さんのカードが出るのを期待しているのですが)
 

<関連サイト>
「京・ガールズデイズ」公式サイト
 なんと壁紙ダウンロードもあります。
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『るきさん』

2015年11月07日 | BOOKS
『るきさん』(新装版)
高野 文子/著
出版:筑摩書房


 1993年に出版された単行本の新装版。
 巻末に、歳を重ねた「るきさん」たちの出てくる番外編があります。(ほんのちょっぴりですけれど)

 まさにバブル期。1988年から1992年まで雑誌「Hanako」に連載されていた漫画です。
 ちなみに、バブル景気は1986年12月から1991年2月まで。
 この本も終わりの頃には「景気が悪い」なんてセリフも出てきます。

 「Hanako」という雑誌は、「ある程度資金があって、ぜいたくをしようと思えばできる20代後半女子向け雑誌」という位置付けだったようです。私は一度も購入したことがないのですが、高校生の頃に憧れていた(なれるとおもっていた)都会のOLさんたちが買う雑誌というイメージです。

 在宅ワークで病院の保険請求の仕事をしている主人公の「るきさん」。
 1ヶ月の実働は1週間で、仕事が済んだ後の3週間は趣味の読書をたっぷり楽しんでいるという設定だから、なんとも羨ましい。
OLさんではないこともあってか、とてもストレスフリーな生活をしています。小さなことに喜びを見つけたり、好奇心を発揮したり、マイペースに自分の人生を生きています。
 対して、準主人公ともいえる友人の「えっちゃん」はバブル期のOLさんのイメージそのもの。オシャレや健康食品、恋など、普通の煩悩たっぷりの女性の気持ちを代弁してくれているキャラクターです。とはいえ、家の中ではとっても地味なのですけれど。
 真面目な女子二人の、スリルも冒険も色恋沙汰もない日常のやり取りではあるのですが、それが今読むと新鮮に感じます。

 今また新装版で復刊されるのには理由があるような気がします。
 人と比べない幸せ、お金を使って贅沢することじゃない幸せに、若い人たちが気づいているからではないでしょうか。


 それにしても「るきさん」って、どんな漢字なのかしら。平仮名なのかな。
 不思議な名前だけど、彼女にはぴったりのように思えます。
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