MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『青の王』

2017年06月27日 | BOOKS
『青の王』
廣嶋 玲子
東京創元社

 
 異世界を描いた「ハイ・ファンタジー」を読む度に、一つの世界を作り上げる人の想像力というものに感激するのですが、この1冊も大きな驚きと喜びを与えてくれる1冊です。
 表紙に書かれている英語タイトルは「The King of Blue Genies」。
 「青い精霊たちの王」、物語を貫くもう一人の主人公とでもいいましょうか。

 ストーリーは「天空の城ラピュタ」を思い起こさせるような、少年少女の逃避行。
 空を行く羽ばたく翼を持つ船、様々な姿を持つ魔族、少女の血族の悲しい運命や、大きな犠牲を伴う決断などなど、「脳内長編アニメーション映画」化しながら読むのが、じつに楽しい物語です。

 心晴れやかに終わるラストまで、異世界にどっぷりひたれるように、時間と心の余裕のある日に読んでいただくのがオススメです。

 装丁も、じつに素敵。
 装丁は、内海由さん。イラストは、橋 賢亀(はし かつかめ)さん。
 色合いも、線の柔らかさも、おはなしにピッタリです。中の白黒のボールペン画のようなイラストも世界観が伝わります。

 美しいのも、汚いのも、恐ろしいのも、気高いのも、「生きているものの心」なのだと、現実世界とは違う世界を舞台にした物語の中で、私は40代になっても学習しているように感じます。
 子どもたちにも、たくさんの物語を読んで、喜びや苦しみや悲しみを学んでほしいと思いますし、それを心の糧にしてほしいと思います。
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『ぼくの死体をよろしくたのむ』

2017年06月22日 | BOOKS
『ぼくの死体をよろしくたのむ』
著/川上弘美
小学館


 収められた18編の短編は、万華鏡みたい。
 いろいろな色があって、違う見方を与えてくれて、そして優しくて。
 この本の中の不思議な物語たちは、私の奇妙でヘンテコでどうしようもないトコロも、穏やかに受け入れてくれているような気がして、ホッとしてしまう。

 私たちの世界は「正しいこと」や「普通のこと」「常識」だけじゃなくて、とっても混沌としていて、人間も皆みんな不完全で不可思議なのだと思う。
 なのに、多くの大人が「より幸せな人生」を追いかけて迷子になって不安な気持ちでいるのが、今の時代なのかもしれない。

 子どもたちが、この本を読んだら、どう感じるだろう。
 大人にとっての「より幸せ」ってなんなのか。

 本当に、威厳のある大人になんて、死ぬまでなれない気がするなぁ。


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『怪物はささやく』

2017年06月17日 | BOOKS
『怪物はささやく』
著:パトリック・ネス
原案:シヴォーン・ダウド
イラスト:ジム・ケイ
訳:池田真紀子
あすなろ書房


 この本は、予防接種なのだと思います。
 「本の中で体験する」というワクチンで、心に免疫をつけるための予防接種。
 多くの本が、そういうワクチン的な要素を持っているけれど、この本は本当に、本の形をした「心のワクチン」です。

 最愛の人を失うことへの恐怖、同情されることへのいらだち、必要とされないことへの悲しみ、そして自己嫌悪。
 大人でも耐えられずに苦しむ、そんな現実を一生懸命抱えている男の子が主人公。
 彼が守るのは、「よい子」であること、「病気は治る」と信じること。
 そんな毎日に「怪物」が現れます。

 理不尽で、救いがないような物語を語る怪物。
 この怪物の語る物語が「心のワクチン」として少年の心に届くまでの間、心の副反応に苦しむ姿は、けして読んでいて楽しい物語ではありません。それでも、彼の心の動きと成長を丁寧に描いていて、最期まで見守らずにはいられません。

 私は母親なので、この物語も母親の立場で読んでしまいます。
 子どもの心の葛藤を心配し、子どもを残していくことに不安を感じ、「自分だったら最期に何ができるだろう」と考えてしまいました。

 お互いが健康なうちに、この本を子どもにも読んでおいてほしいと思うけれど……。
 ちょっと表紙や挿絵が恐いので、手に取ってくれるかどうか。
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入れ歯洗浄剤で「水筒の中栓」掃除

2017年06月12日 | 家事のおはなし
 画期的な「水筒の中栓掃除法」を発見しました。
 
 毎日パッキンを外してブラシで洗っていても、水筒の中栓の中の見えない部分に汚れがたまるようです。
 とくに、麦茶を水筒に入れるわが家では、茶渋が付くようで……。

 先日、ずいぶん前に間違えて購入してしまった「入れ歯洗浄剤」を洗面台の下の収納で発見。
 「これは、使えるんじゃ」と思ってやってみたら、感激の洗浄力でした。
   
 40〜50度の温かいお湯に入れ歯洗浄剤を入れて、ブクブクと泡が出ている中に、水筒の中栓とパッキンを入れて放置。 
 しばらく浸け置きして、水を換え、水の中で中栓を振ってみたら……大きな茶渋のかたまりが隙間から出てきました。
 しっかり水ですすげば、ピカピカ。あぁ、なんでもっと早く気付かなかったんでしょう。

 なんといっても、口に入れる入れ歯を洗うための「入れ歯洗浄剤」ですから安心。
 高発砲洗浄で除菌も出来て、臭いもとれる。良いコトずくめです。
 うちの水筒の説明書きには「塩素系漂白剤は使わない」とありましたが、この入れ歯洗浄剤は「中性」でした。
(弱アルカリ性のものもあるようです)
入れ歯洗浄剤の箱には「入れ歯洗浄以外には使わない」と書いてあるので、使用は自己責任になりますけれど……。 
 もちろん、水筒と洗浄剤の説明書きを十分に読んでからお試しください。

 毎日はしなくていいでしょうけれど、時々やってみたくなる、そんな洗浄力です。
 
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「おばけ美術館」シリーズ

2017年06月06日 | BOOKS
      

 柏葉幸子さんの「おばけ美術館」シリーズ(ポプラ社)、現在5巻まで出ています。

(1)『おばけ美術館へいらっしゃい』(2006年7月)
(2)『妖精ケーキはミステリー!?』(2007年6月)
(3)『ふしぎ列車はとまらない』(2008年8月)
(4)『ドールハウスはおばけがいっぱい』(2017年1月)
(5)『おばけ遊園地は大さわぎ』(2017年3月)

 ふしぎな美術館の館長は「10歳以下の女の子にかぎる」という条件付き。
 美術館には、子どもにしか見えない秘密があって、毎回おかしくて、やさしくて、楽しい騒動が起こります。

 10年近くお休みしていたシリーズが、今年になって2冊も刊行されました。
 1巻が出てころに生まれた娘も、主人公の まひるちゃんの年を越えてしまったんだから、なんだか不思議。
 それでも、まったく古くならない、相変わらずの面白さです。

 子どものころから大好きな柏葉幸子さんの物語。
 人の温かさと優しさ、そして切なさや悲しみも、人を思いやる想像力も……、より多くの子どもたちが、こういう児童文学から学んでいけたらと思います。
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