MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『マイ・ストーリー』

2020年03月31日 | BOOKS
『マイ・ストーリー』
ミシェル・オバマ 著
集英社


 厚みのある本です。
 各章で何度も伝えられるメッセージは、「誰かに必要とされること」「価値がある人間だと認めてもらえること」、そして「適切な教育を受けられること」の大切さ
 世界中の子どもたちにとって 本当に必要で大切なことを、彼女の半生を描くと同時に強く伝えてくれる1冊です。
 「アメリカ大統領夫人の半生」というだけで「私とは世界が違う」と思ってしまう人もいると思いますが、難しそうな選挙や政治の部分を飛ばし読みしてしまったとしても、読む価値があります。

 英語でのタイトルは「BECOMING」。
 各章のタイトルも「BECOMING ME」「BECOMING US」「BECOMING MORE」となっています。

 第1章「BECOMING ME」は、まさに『私』になる時期。
生い立ちから学生時代、仕事に向き合う日々と、のちに夫となるオバマ氏と出会い、恋に落ちるまで。

 第2章は「BECOMING US」。『私たち』の時期。
自分の生き方の見つめ直しと、恋愛から結婚。そして仕事と子育ての両立と、オバマ氏が大統領選挙で当選するまで。

 第3章は、「BECOMING MORE」。『私』から『私たち家族』を超えて、『もっと多く』。
一人の女性として、一人の母として、ファーストレディになることが決まってから、その終わりまで。

 そして、「エピローグ」では、ホワイトハウスを去り、新しい人生の旅を始めるまで。

 親族の家に間借り暮らしをしていた少女時代から、懸命に勉強しつつも楽しんだ学生時代、そして法律の仕事を経て、社会に役立つ仕事への転職、仕事と子育ての両立、そしてファーストレディになってからの忙しい日々の中での子育て。
 多くの葛藤・壁に出会いながら、前に進んでいく姿は、けっして日本で育つ女の子たちからも遠い存在ではありません。

 アフリカ系アメリカ人であること、女性であること、裕福な家庭の生まれでないこと。
 今なお、社会に大きな格差がある中で、生まれつきの「恵まれた側」ではなかった著者がいかに彼女の人生を歩んだか、その「BECOMING」こそが、私たちにとっても大きな希望だと感じます。

 この本を読んで私が反省したのは、私たち母親が政治に対して嫌悪感や拒否反応を示していることが、次の世代にどんな悪影響を及ぼしているかということ。
 著者は「政治家になるつもりはまったくない」「もともと政治を好きになったことは一度もなく、この10年を経てもその気持ちはほとんど変わっていない」(p.570) と書いていますが、次の世代の(とくに女の子たちが)政治の道に希望を持てるような、嫌いにならずにすむような変化を作り出さなければ、いつまでもガラスの天井が頭上にあり続けるのじゃないかと感じました。
 政治家にならなくても、政治を好きになれなくても、私たちの世代こそが「変わるんだ。変えるんだ。」と強がりでも言い続けていくのが大切なのかもしれません。
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『学びの技』

2020年03月01日 | BOOKS
『学びの技 14歳からの探究・論文・プレゼンテーション』
(YA アカデミック・シリーズ)
著者:後藤 芳文・伊藤 史織・登本 洋子
出版:玉川大学出版部
2014年


 中学1年生の娘の「総合学習」の教科書です。
 あまりにも良書なので、驚きました。

 大学に合格して、まず何をしようか考えている受験生に、この本を熱烈にオススメしたい。
 私は「大学に入学する前に、これを読んでおきたかった!」と思いました。
 この本に書かれている内容を中学生から実践している学生と、知らずに大学に入学した学生には、スタートに大きな差が出ると思います。
 副題に「14歳からの探究・論文・プレゼンテーション」とありますが、18歳でも大人でも遅いことはありません。

 これからの社会は、「一生学び続ける社会」です。
 まず、手にとって、大学生活(そして社会生活)で実践してください。
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