MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『東大夢教授』

2013年05月30日 | BOOKS
 どこまでホントで、どこまで虚構?

『東大夢教授』 遠藤秀紀 リトルモアブックス

 東京大学総合研究博物館教授という肩書の遠藤秀紀氏の日記風小説・エッセイ……といっていいのかな?
 ちょうどニュースになっていたマダガスカルの巨鳥「エピオルニス」についての記述を見つけて、手に取ってみたら、なかなかに面白い1冊でした。
 いいなぁ。専門分野の能力だけじゃなくて文才もあるなんて。


 動物の解剖という、知らなかった分野について知ることができたのも面白かったですが、「大学教授」が研究に専念できない実情や、大学の中のしがらみなど、自分の周りにいる研究者たちのことも考えながら読んでしまいました。
 事務的な手続きや、業者さんとの結びつき、学習意欲のない学生、そして粗探しばかりするマスコミや保護者たち……。
研究者って大変だなぁ。


 調べてみたら、こんなページを発見。
視点・論点「幻の鳥"エピオルニス"の謎に迫る」2012年06月04日 (月)
NHK解説委員室 解説アーカイブ

 こちらもとても面白いです。

 
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『旅屋おかえり』

2013年05月28日 | BOOKS
 旅代行業「旅屋」を始めることになった売れない30代女性タレント「おかえり」ちゃんの人情&成長物語です。

『旅屋おかえり』  
著者:原田 マハ  集英社


 人生を「旅」と表現したりもしますが、人生の旅はなかなか大変。
 この物語のように、旅が人を癒してくれることが確かにあるのだと思います。
いつもと違う街、人々との出会い、静かに流れる時間、初めて見る風景……、非日常が与えてくれる不思議なチカラがあるのかもしれません。
 「旅屋」という設定は、ぬいぐるみの旅行代理店・ウナギトラベルさんを思い出しました。
 旅を代行する人の思いやりが、依頼する人を喜ばせるのですね。


 読み進めるうちに、主人公と事務所の社長さんとの結びつきに胸がじーんとして、そして周りのスタッフの優しさ・温かさに「私も周りの皆に感謝しないといけないな」と反省。
「実際の人生はこんなにうまくはいかないよ」とは思うのですが、読後感が非常にすっきり。ちょっと疲れているときの「ビタミン読書」におススメします。
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『大卒だって無職になる』

2013年05月26日 | BOOKS
 なんて「そのままズバリ」直球のタイトル。

『大卒だって無職になる  “はたらく”につまずく若者たち』
著者: 工藤啓 (NPO法人「育て上げ」ネット理事長) 
出版社: エンターブレイン



 私にも、大学を出ても正社員になれずにいる・離職してしまった・精神的に参ってしまってリハビリ中という友人たちがいるので、この本の中身が他人事に感じられませんでした。
 大学の成績も優秀で、人当たりも良くて、一生懸命で、仕事もできるのに働けない、そんな若者が確かにいるのです。

 たしかに「仕事」は、あちこちにあるのだと思います。 
 それでも、多くの人が就職できずに悩んでいるのです。
 百姓の子は百姓で「家族がひもじい思いをしないように朝から晩までひたすら田畑を耕す」という時代であれば、なかった悩みかもしれません。「仕事を選ぶことができる」ということは自由や権利であると同時に、現代の就職の難しさを生み出したようにも感じます。

 職種のミスマッチや劣悪な労働環境も大きな問題です。
ただ最近気になるのは、仕事に対する差別観・優劣の感情を、大人たちが子どもたちに知らず知らずのうちに教え込んでいるのじゃないかということ。「社会的に認められる仕事・やりがいのある・自分に合った仕事を見つけなくちゃダメだ」というプレッシャーが大きいことが、より一層ミスマッチを生んでいるような気がするのです。
(私にもそういう感情があって「どんな仕事でもいいから働きたい」とは言えないところがあるのも事実です。


 就職活動は、受験や大学卒業とは違って、周りがサポートすることが難しい、個人個人の試練になってきます。この初めての人生の試練が、20歳を過ぎてからやっと訪れることも、実は、若者にとって不幸なのかもしれません。
 例えるなら、舗装されている道を、ずっと周りの大人たちの運転する車に乗せてもらい移動していた子どもが、舗装が途切れ開拓されていない土地に着いたところで「ほら、ここからは自分で進むのよ」と放り出されているような世界……。転び方もよく知らないのに、不安な顔をして道を探して歩き出す……。なんだか、ひどく心配なことに思えます。
 小さいころから放り出して厳しい道を歩かせることが必要だとは言いませんが、「いろいろな道があること」「生きていくために必要なことは勉強ばかりでないこと」「生きがいや幸せは、職業で決まらないこと」「失敗してもやり直せること」など、まず子どもよりも育てている大人たちが、しっかり自覚しておくべきだと、つくづく感じました。
 子どもが後々楽なように苦労しないようにと親が御膳立てしすぎることが子どもの人生にとってマイナスになっていないか、少子化の今こそ見直さないと、ますますミスマッチは増えていくのでしょう。苦労しない人生・失敗のない人生・全ての人が希望の仕事に就ける世の中なんてないんですから。

 自分の子どもたちに対しても「若い時の苦労は買うてでもせえ」と言えるお母ちゃんにならないといけませんね。


<関連サイト>
NPO法人「育て上げ」ネット ホームページ
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『哲学はランチのあとで』

2013年05月23日 | BOOKS
 別にランチのあとでなくても良い本なのですが……。某小説のタイトルと似ていて手に取る方もいるのではないでしょうか。


   『哲学はランチのあとで』内藤理恵子 風媒社


 大学で哲学や倫理学・現代文化を教える研究者が書いた、気軽に読める哲学入門エッセイです。
最近、私よりも若い学者さんの本が増えてきて、手に取りやすい学術本が増えてきたように思います。
 これも、堅苦しくないエッセイという形ですし、装丁もオシャレで落ち着いてます。

 副題は、『映画で学ぶやさしい哲学』。
各章で、さまざまな邦画・洋画の心理的・哲学的要素に触れながら、人間にとって哲学が身近であることを教えてくれますし、ちょっとした「映画紹介」の本にもなっています。
 もちろん映画評論ではないので、それぞれの映画の物語は詳しく語られず、さらっと進んで行ってしまうのですが、「こんな悩みの時は、この映画を見てみるのもいいかも」と思わせてくれます。
 人間が人間であるゆえに「悩むこと・考えてしまうこと」が映画にも散りばめられているということですし、「悩むこと・考えてしまうこと」こそ、まさに哲学なのですね。

 一番のおススメは、哲学者の名言の引用です。
 いきなり哲学書を全部読むのは抵抗がありますが、こうやって「美味しいトコどり」をして哲学に触れることから始めれば、哲学に興味を持てるのではないかと感じます。


 著者の研究テーマは「先祖祭祀・お墓・葬儀」ということと、月刊『仏事』(鎌倉新書)などに掲載されたコラムで構成されていることもあって、後半は「生と死」に関するエッセイを集めています。
 「死ぬこと」って、やはり人生の最大の関心事であって、哲学の重要なテーマなのですね。
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『七夜物語』 (ななよものがたり)

2013年05月21日 | BOOKS
 これは、『不思議の国のアリス』で『はてしない物語』のよう。
  『七夜物語』上巻  川上弘美 朝日新聞出版
  『七夜物語』下巻  川上弘美 朝日新聞出版

 「しちやものがたり」ではなくて、「ななよものがたり」です。
  (『質屋物語』に聞こえてしまうからかな?

 不思議で理不尽で腹立たしくもある世界を旅して自分の内面と向き合っていく過程を描いた、子どもを主人公としたファンタジーの「定番」ともいえるストーリですが、子ども時代を忘れてかけている大人にもお勧めします。

 今の小学生ではなくて、私たち30~40代前後が小学生だった頃の、……そう、懐かしい半ズボンの少年がいたころの「昭和の小学生」が主人公です。
大人になってふと思い出す、小さな断片にちぎれてしまった夢のように儚い記憶が再構築されていく……、そんな物語に、自分の小学生時代を思い起こすお父さんお母さんも多いのではないでしょうか。

 誰にでもある、劣等感・暴力衝動・自立・親子関係、そして男女の関係まで。様々な心理的ステップが次から次へと出てくる「七夜」の物語。
 私たちが、ゆっくり時間をかけて通過してきた「大人への階段」がギュッと詰まっているのかもしれません。


 新聞連載時のイラストなのか、本当にたくさんの絵があって驚きます。
酒井駒子さんの描く綺麗な子どもたちは、主人公たちの年齢よりもずっと幼く見えて、上下巻を通してずっと心細そうな様子で、せつなくなってしまいます。
 「子どもたちの抱える不安」、母としては、エプロンをしたネズミのように見守るしかないのでしょうね、きっと。
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『和菓子のアンソロジー』

2013年05月19日 | BOOKS
 『本屋さんのアンソロジー』と同じく、今人気の作家さんがほかの作家さんに、テーマを決めてリクエストして執筆してもらう「リクエストアンソロジー」シリーズの1冊です。
 本作のテーマは「和菓子」。

『坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー』
坂木司 光文社


 『和菓子のアン』のアンちゃんも出てきます。

 登場する作家さんは、以下のとおり。(五十音順)

  小川一水
  木地雅映子
  北村薫
  近藤史恵
  坂木司
  柴田よしき
  日明恩
  恒川光太郎
  畠中恵
  牧野修

※作品の収録順とは異なります。

 アンソロジー物のよいところは、好きな作家さんだけでなくて知らない作家さんの作品にも触れることができるところ。
 どれも面白く、意外性があったり、ほろりとしたり。

 創作和菓子の詰め合わせのような感じですね。
 ちょっと温かい日本茶と一緒に、味わってみてはいかがでしょう。
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びっくりたくさん双子玉子!

2013年05月16日 | 料理&美味しいもの
 5つの卵で作った目玉焼き。「双子玉子」(二黄卵)が3つありました。

 この前の日のオムレツに使った卵3つも「双子玉子」だったので、なんと1パックの中の10個中6個が「双子玉子」!!

 LLサイズの卵を買うと時々入ってるんですけど、1パックに6つも入っているのは初めて!
 なんだか嬉しいです。


 でも、同時に買ったもう1パックは、10個とも「一人っ子玉子」だったのですよね。(同じLLサイズだったのに)
やっぱり、「たまたま」で「ときどき」だからこその、嬉しさですね。


 ついつい、起きてきた子どもたちに「ほらほら、3つも!」って見せて、写真まで撮っちゃいました。
一日の始まりが明るくなる出来事でした。
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ミニキャラメルワッフル(ストロープワッフル)

2013年05月14日 | 料理&美味しいもの
 輸入食品のお店で見つけました。

 ミニキャラメルワッフル(200グラム=約24枚)の袋入り。
 「Daelmans Mini stroopwafels met bourbon vanille」

 商品名の中の「bourbon vanilla(バーボンバニラ)」は、香りの良いバニラビーンズの品種名なんだそう。
 たしかにバニラの良い香り。そして、シナモンの香りも。

ゴウダズギルドのカラメルワッフルよりも、一つ一つが小さいので食べやすいです。
 (直径 4.5センチです


 なんといっても、オランダ土産でも有名な青と白の陶器「デルフト陶器」のようなパッケージが素敵。
 パッケージの上の方、風車やキス人形のモチーフがオランダらしくて可愛いですよね。


 オシャレですし、今度お友だちの家に行くときにでも持っていこうかな。
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1日3枚 カッターシャツ

2013年05月12日 | 家事のおはなし
 次男が中学生になって、我が家の洗濯には1日3枚カッターシャツ(ワイシャツ)が出るようになりました。

 毎朝、襟と袖をブラシ洗いして、洗濯機へ入れて、干して……。
 1枚増えただけなんだけど、なんだか手間がかかります。

 次男のワイシャツは、袖汚れが「勉強汚れ」。シャープペンか鉛筆の汚れなんだろうなぁ。
(事務員さんの「袖カバー・腕抜き」を付けてもらいたいぐらい……
 夫はパソコンだし、長男はペンだから、こういう袖汚れもなんだか懐かしい感じ。


 実は、アイロンがけは長男が引き受けてくれているので、お母さんはらくちん。
 父親の指導の下、だんだん上達しています。

 1日3枚なんて、ほんの数年のこと。
 ひとりふたりと大学生になったら、もう母が3枚も洗うことはなくなるんだろうなぁ。
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『つるばら村の魔法のパン』

2013年05月09日 | BOOKS
 茂市久美子さんの「つるばら村」シリーズ、10冊目。いよいよ完結です。

『つるばら村の魔法のパン』 講談社
著者: 茂市久美子
画家: 中村悦子


 「つるばら村」シリーズは、大人にも読んでほしい、森林浴のように癒される物語たち。
児童書コーナーだけにあるのはもったいない、大好きなシリーズです。
 「本当は子供向けではないのじゃないか?」と思うぐらい、忙しくて疲れてしまった大人にこそ読んでもらいたい、けっして甘すぎないファンタジーです。
(恋がなかなか進展しないのも……
 1つの本に、短いお話がいくつか入ってます。教科書の1単元を読むように、するりと読めてしまうのも忙しい大人にぴったりじゃないでしょうか。

 かくいう私も、このシリーズがスタートした時には、すでに大人でした。
読み始めたのも30歳を過ぎてから。
 本をあまり読まない実家の母にも、今度すすめてみようかな。

<「つるばら村」シリーズ>
(1)つるばら村のパン屋さん  1998年 2月
(2)つるばら村の三日月屋さん  2001年 5月
(3)つるばら村のくるみさん  2003年 5月
(4)つるばら村の家具屋さん  2004年 4月
(5)つるばら村のはちみつ屋さん  2005年 3月
(6)つるばら村の理容師さん  2007年 3月
(7)つるばら村の洋服屋さん  2008年 7月
(8)つるばら村の大工さん  2009年 9月
(9)つるばら村のレストラン  2010年12月
(10)つるばら村の魔法のパン  2012年11月

 イラストはシリーズを通して、中村悦子さんと柿田ゆかりさんのお二人が描いてらっしゃるのですが、私は中村さんの優しい筆運び、細かい色の置き方が大好き。お店へやってくる動物たちの絵もさりげなくて可愛いのです。


 講談社のページでは、下の2冊も心があたたかくなる「つるばら村」セットに入っています。

・ゆうすげ村の小さな旅館
・おいなり山のひみつ

 私は、『こもれび村のあんぺい先生』(あかね書房)も、このシリーズが好きな方なら気に入るんじゃないかと思います。
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