行雲流水

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上座部仏教

2010年03月16日 | 禅の心
一昨年に、スマナサーラ長老の、『般若心経は間違い』という著書が話題になりました。

スマナサーラ長老の提言には賛否両論がありますが、私は、決してまちがってはいないと思います。

間違ってはいないとは言っても、宗教一般から言えばのことで、日本の大衆部仏教の立場から言えば違和感があると思います。

私は、そもそも東南アジアなどの上座部仏教と日本や中国の大衆部仏教を同じものとして考えるのが間違いで、異なった宗教として考えるべきだと思っています。

それは、ユダヤ教とキリスト教ほどの違いがあると思っています。

ユダヤ教とキリスト教の関係は、上座部仏教(小乗仏教・テーラワーダ仏教)と大衆部仏教(大乗仏教)の関係に似ています。さらに言えば、密教というのは、イスラム教の立場に似ています。

上座部仏教は、原始教典を元にしていますが、大衆部仏教も原始教典は基礎となるものです。これは、ユダヤ教でもキリスト教でも旧約聖書が読まれているのに似ています。

しかし、上座部仏教は出家主義という点で、大衆部仏教と大きな違いがあります。
また、般若心経のような教典に違和感があるのも確かでしょう。

上座部仏教と、大衆部仏教は、同じ仏教と言っても、大きな違いがあることを認識しておく必要があると思います。