しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

バスの車掌

2023年09月12日 | 失われた仕事

バスとは「運転手」と「車掌」がいるのが、あたりまえで
乗合バスには「運転手」と「車掌」、
観光バスにも「運転手」と「車掌」(バスガイドと呼んでいた)がいた。

高3の時、広島に行ってバスに乗ると、車掌がいなかった。
乗る時小さな紙きれを手にして、降りる時運転手さんの前でお金を払った。
「ワンマンバス」というそうで、
これには、ほんと、びっくりした。
それから1~2年すると、笠岡でも福山でも岡山でも、
車掌さんのいる乗合バスは皆無へと変わった。

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城見を通るバスは笠岡駅~福山駅で、
大冝の為乗~新店(しんみせ)~アメリカ屋~加藤店がバス停だった(ように思う)。

井笠バスの場合、車掌は男性だけだったが、女性の車掌さんもいた。
たぶん、観光バス用にバスガイドさんを雇用したのが原因だと思う。
その頃、歌が好きな女性、いい声をしている女性はバスガイドが定番
という時代がちょっとの間あった。
 

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日活青春歌謡映画「仲間たち」松原千恵子

 

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「昭和の消えた仕事図鑑」  澤宮優  原書房 2016年発行

乗合バスの車掌

自動車が増え始めたため、路線バスもリストラを余儀なくされ、
運転手が車掌を兼ねて、一人で運行するようになった。
これをワンマン運行という。
東京都では昭和40年からワンマン運行を開始し、車掌の姿が消えた。

 

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「失われゆく仕事の図鑑」  永井良和他 グラフィック社 2020年発行
バスの車掌

バスは、運転手・車掌・お客で成立していた。

バスに乗るには、
バス停で切符を買う。
バスに乗ると車掌が切符を切る。
車掌が次のバス停を案内する。
切符を車掌に渡して、下車する。

車掌の仕事は、もひとつある。
踏切では、必ず降りて、笛を吹きながら、バスを誘導する。

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車掌カバンには、
切符に穴をあけるパンチ、
お釣りの小銭が入っている。
路線はさまざま、異なる運賃を判断し、現金を受け取り、つり銭を返す。
少々混雑した車内でも客の合間を縫い歩く。
「お降りの方はございませんか」と確認する。
客の乗り降りの度にドアを手動で開け閉めし、その後
「発車オーライ」と合図する。

狭い道で対向車があると、バスを降り、運転手を誘導
「オーライ、オーライ」を連呼した。


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「とんび」

2023年09月12日 | 失われた仕事

家では、祖母が真田を編む(組む)でいた。
真田の仲買人が定期的に家に来ていた。

真田を編むのは、おばあさん、こども、のイメージが強い。
管理人が高校生の頃まで、
仲買人が村々の得意先を一軒づつ立ち寄る風景が見られた。

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「金光町周辺の民俗」 岡山民族学会調査報告  昭和46年発行
真田を買い集める人を「とんび」と呼んだ。
とんびは真田を集めて問屋へ運んだ。

 

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「寄島町史」

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「金光町周辺の民俗」 岡山民俗会  昭和46年発行

この地方は、ハッカ、まゆ、米、真田の盛んな所であったので
仲買人は多く出入りしていた。
その中でも、麦稈真田の仲買人がよく知られている。
真田を買い集めるひとの事を「とんび」と呼び、
とんびは真田を集めて問屋へ運んだ。

とんびは真田を組んでいる家に行き、
「真田はないか」と尋ねる。
寄島の人が多かった。
柳こおりに二十反の真田を入れ、神戸まで持っていきアメリカへ輸出していた。

麦稈真田は明治17年頃から副業として制作され、
金光町では明治25年頃から組み始めたということである。
日清戦争後真田の需要が増したので組子(女工)を香川・愛媛方面から多く雇ってきた。
組子の中にはこの地方で結婚した人も多くいるとのことである。
その後も真田の需要は増し品種も多くなったが、
原料は麦稈であり、
組み方も容易なところから製造者も増加し、
昭和10年頃には生産量は金光町で15万反に及んだとのことである。
その盛況ぶりがわかるといえよう。

 

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「金光町史 民俗編」 金光町  平成10年発行

仲買人

どの集落にも真田を買って問屋に持って行く仲買人(真田買い・トンビともいう)がいた。
仲買人は、その場で現金を渡す。
自転車に乗って定期的に得意先を回ってくるので、農家にとっては大変喜ばれた。
小田郡の問屋は、
笠岡--甲の屋、西江、野沢組
金浦--仁科商店、栄達
小田--原田、筒井
貿易商が輸出真田の総集荷を行っていた。

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