「鴨方町史・民俗編」昭和60年発行、より転記。
(2019年2月21日・笠岡市北木島町)
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鴨方地方の山地は、花崗岩で形成されている。
この花崗岩を石材として切り出している丁場が、随所に見られる。
『六条院町誌』によれば、明治25年頃鴨方駅付近の山で掘り出したのが始まりといわれている。
石材の硬度は、北木島産よりは硬く、香川の庵治石よりは軟らかい。
丁場で石を切り出す人々を、山石屋と呼んでいる。
山石屋になっている人は、香川県・愛媛県・広島県・岡山県(北木島・白石島)の島々で技術を習得したり、その地方がから出稼ぎに来ている人が多い。
切り出しは、め・二番・三番・しわと呼ばれる「め」にそって、大きな石を割っていく。
製品は墓石・地形石なで、注文に応じて割っていくが、だいたいは一サヤ(一尺角)に割っていく。
しかし、げんのうで割れない荒石には、煙硝穴を掘る。
この煙硝穴を掘る時には、6分・7分・8分・一寸など大きさの異なる多くのノミを使う。
この石を基に石垣を組む石屋を、つきまえ石屋といい、石塔・墓石をつくる石屋を彫刻石屋と呼び、鴨方町にもみられる。
彫刻石屋は、自分の家を仕事場にしている。
一方、つきまえ石屋は、注文された場所が仕事場になり、石を仕上げていく。
石屋は仕事が多様なために、道具も多い。
石を割る道具と共に、ノミ・コテなどは自分の身体に応じて製作したり、修理のために鍛冶屋の道具を持っているのが特色である。
石工は危険な仕事であるため、丁場の入口には、「山の神」が祭られている。
正月・5月・9月の9日は仕事を休んで、「山の神」を祭った。