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股関節痛は怖くない!~変形性股関節症の新しい考え方

変形性股関節症の常識には間違いが多く、怖さを抱えている人が多い。
常識の間違いを理解して人生を楽しみましょう!

股関節の筋肉 

2019-08-31 09:52:06 | 股関節の基礎
🍓筋肉を包む筋膜には痛みを感じる神経がありますが、筋肉も筋膜もレントゲン写真には写りません。
筋肉の内部構造では、筋原線維が集まって筋線維となり筋線維の集まりが筋肉となります。
 
筋原線維は筋膜に包まれ、筋線維も筋膜に包まれ、筋線維の束も筋膜に包まれ、筋肉自体も筋膜に包まれています。
この筋膜には痛みを感じる神経が豊富で、この筋膜も股関節痛の原因となっています。
つまり、筋肉は表面だけでなく内部も痛みを感じる組織なのです。
筋膜の主な役割は、筋肉が収縮するときに摩擦熱が発生しないように筋線維と筋線維、筋肉と筋肉がスムースに動けるようにすることです。
筋肉が骨に着く場所を腱と呼びます。
腱もレントゲン写真に写りませんが、痛みを感じる神経があります。
 
 
 
 
 
以上の筋肉群を説明する場合、おおまかに前面、後面、外側面、内側面に分けて説明すると理解しやすいと思います。
股関節に関する筋肉は以下の22本です。
 
1、股関節前面の筋肉群(屈筋群)
 大腰筋、腸骨筋、大腿直筋、縫工筋
2、股関節後面の筋肉群(伸筋群)
 大殿筋、梨状筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、大腿方形筋
 大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋
3、股関節外側面の筋肉群(外転筋群)
 大腿筋膜張筋、中殿筋、小殿筋
4、股関節内側面の筋肉群(内転筋群)
 恥骨筋、短内転筋、長内転筋、大内転筋、薄筋
 
股関節に関する筋肉群とは、筋肉が股関節をまたいでいる筋肉を意味し、股関節を動かす筋肉です。
 
 
 
 



股関節の靭帯 

2019-08-28 15:34:12 | 股関節の基礎
一週間札幌に出張していまして、本日銀座に帰ってきました。
札幌は非常に忙しかったですが、たいへん過ごしやすかったです。
 
【治療家の先生方へのお知らせです】
『股関節に対する深圧実技講習』開催のお知らせです。
    (募集1名)
日時 10月13日(日)
 10時~17時
場所 松本深圧院 銀座店
担当 松本 渋谷
 ✳️日頃、股関節疾患の施術に悩んでいるプロの先生を対象としています。
  (ご応募があり次第、締め切らせて頂きます。)
▪️お問い合わせ先▪️
   松本深圧院のホームページまで宜しくお願い致します。
 
 
🍓股関節の靭帯
 
股関節には主に3本の強靭な靭帯があります。
1、腸骨大腿靭帯  →人体最強の靱帯
2、恥骨大腿靭帯
3、坐骨大腿靭帯
 
 
 
股関節の靭帯には痛みを感じる神経がありますが、レントゲン写真には写りません。
 
股関節をレントゲン写真で見ると、骨盤と大腿骨だけ写りますので、少しの外力で脱臼してしまうように見えるかもしれませんが、骨盤側の腸骨、恥骨、坐骨からそれぞれ靭帯が伸びて大腿骨にくっついて股関節が簡単に脱臼するのを防いでいます。
 
皆さんも経験したことのある捻挫は股関節でも起こります。
足首の捻挫は足関節の靭帯の捻挫のことですので、股関節の捻挫とは3本の靭帯が損傷されることを指します。
股関節の靭帯には痛みを感じる神経がありますので、股関節を捻挫すると当然股関節は腫れて熱を持ち股関節痛が出ます。
 
股関節は体内の深くに存在しますので、股関節の腫れや熱感はほとんど表面の皮膚からはわかりません。
 
股関節の靭帯が損傷されて硬くなると、股関節の関節可動域が制限され、関節を動かしたり脚に体重をかけた時に股関節痛(靭帯の痛み)が出ることになります。
 
 
 



 

第三章 股関節の外の話 股関節の外の構成要素 

2019-08-21 22:15:20 | 股関節の基礎
札幌から第三章の始まりです。
札幌は涼しいですが、今回は史上最も忙しいのでなかなかブログが書けません。
 
 
 
🍓股関節の外、つまり股関節関節包の外側にある組織の説明です。
 
股関節関節包の中には軟骨と骨があり、関節の隙間には関節液が満たされていました。
 
股関節関節包の外側にはまず靭帯があります。
その外側には筋肉があり、その外側に脂肪組織と皮膚があります。
 
 
第三章では、股関節が脱臼しないように準備された靭帯と、人体の40%に相当する筋肉について説明しますが、そのほとんどは股関節痛との関連が大きい筋肉について説明します。
 
筋肉は自分の意志で動かせ収縮と弛緩をします。
一方の靭帯は自分の意志では動かせず、股関節が動く角度によって緊張と弛緩をします。
 
靭帯や筋肉は痛みを感じる神経が存在しますが、レントゲン写真には写りません。



 
 
 
 

滑膜と関節液

2019-08-16 09:36:11 | 股関節の基礎
🍓関節包外層の線維膜は股関節を補強する役目があるのに対して、関節包内層の滑膜は滑液を分泌する役目があります。

この滑液が関節にたまりますので、関節液とも呼ばれています。


関節液(かんせつえき)】
関節包(かんせつほう)の内部にある透明で粘り気のある液体。
関節がスムーズに動くよう、潤滑液の働きをする。
滑膜(かつまく)によってつくられ、ヒアルロン酸やたんぱく質等を含んでいます。


関節液の役割は関節の潤滑と軟骨への栄養補給です。








線維膜と滑膜

2019-08-12 09:32:36 | 股関節の基礎
子供の頃の『お盆』の記憶はありますか?
私は落雁と提灯と盆踊りかな。



🍓骨の表面には骨膜という神経が豊富な膜があります。
その骨膜は関節では関節包になりますので、骨膜と関節包は神経が豊富な同様な組織となります。

関節包は外側の線維膜(せんいまく)と内側の滑膜(かつまく)の二重構造になっています。



【線維膜:せんいまく】
関節包の外層は骨膜の表層部に続き、線維膜(線維層)と呼ばれ非常に丈夫な層で股関節を補強しています。
つまり、外層の線維膜は骨膜と一緒で神経が豊富な膜になります。


【滑膜:かつまく】
関節包の内層は柔らかい結合組織からなる滑膜(滑液層)です。
滑膜に慢性的な刺激があると、滑膜から滑液が多く分泌され股関節の中に関節液がたまります。
滑膜はさらに表層の滑膜細胞と、弾性線維、血管および神経が含まれる固有層とからなります。
血管が豊富なことは関節の活動と直接の関連があり、活動の盛んな関節はあまり活動しない関節よりも血管が多いです。
滑膜の役割
 ①関節液〔滑液(かつえき)〕の産生
 ②関節液との物質交換
 ③関節の安定性(関節の隙間を埋める)
リウマチ性関節炎では関節の中でも特にこの滑膜がおかされて炎症を起こし(滑膜炎)、痛みや変形の原因となります。
変形性股関節症による関節炎でもリウマチ性関節炎とは原因は異なりますが、滑膜に炎症が起こり、痛みや変形の原因となります。








股関節の関節包 

2019-08-08 13:44:12 | 股関節の基礎
股関節の中の話を書いています。
股関節の中とは、今回の記事にある関節包の中という意味になります。
今までは、股関節の中にある骨、軟骨の話を書いてきました。
今回から関節包の話です。
この関節包の話が終わると、股関節の外の話へ移っていきます。



🍓関節包(かんせつほう)は『関節を包む袋』と説明されることが多いと思います。


実際は『関節を包む袋』とはちょっとイメージが異なります。
大腿骨頭は骨盤側の寛骨のくぼみに入り込んでいます。
この寛骨のくぼみと関節包によって袋状になって、中に軟骨の栄養源である関節液をためています。(役割1)
従って袋の半分が関節包となりますが、袋の中はほとんど骨が占めているので正常な状態の股関節では関節液がたまるスペースは非常に狭い場所になります。

“関節に水がたまる”という一般用語は、関節の中に必要以上に関節液がたまった病的な状態を意味します。
必要以上に水が溜まる原因は炎症です。
炎症の熱を冷やすために水(関節液)が血管から抜け出して集まってきます。



関節包の大きな特徴は、痛みを感じる神経が豊富なことです。


関節包は関節液を貯める役割以外に股関節に異常が起こったことを脳に知らせるためのセンサーとしての役割があります。(役割2)
このセンサーには、痛みを感じるセンサーの他に、股関節が今どの角度に曲がっているのかを知らせる関節覚(位置覚)センサーも持ち合わせています。

骨の中の神経数の1000倍の神経の数が存在しますので、股関節痛の多くはこの関節包で感じていることになります。
しかし、この関節包はレントゲン写真には写りません。

関節包は外側の層と内側の層の二重構造になっています。

股関節の外にある靭帯と共に、股関節の脱臼を防ぐ役割もあります。(役割3)

【股関節の靭帯と関節包】 
股関節の外にある靭帯


靭帯の中にある関節包






軟骨は必要なのか?

2019-08-07 12:34:17 | 股関節の基礎
🍓もちろん、軟骨は必要です。
では、どの程度の軟骨があればいいのでしょうか?


「軟骨が全く無くなりましたね。」という説明はほとんど嘘です。
もう一度軟骨軟化症の経過を見てみましょう。


最後の象牙質化が重要です。

象牙質化というくらいですからほぼ骨の状態のようですが、一般的には硝子軟骨(がらすなんこつ)と呼ばれています。

軟骨が減ることへの対策を行わないと、最終的にレントゲン写真で見ると1mm程度の隙間が見られる方が多いです。
この状態でも、病院の先生は「軟骨は全くありません。」と説明されると思います。
特に、正面からだけでなく斜めから撮ったレントゲン写真ではしっかりと隙間があることが多いです。

1mm程度でも隙間が見られるということは、明らかに骨ではありません。
この状態でも小走りできる方はいますので、これだけの軟骨でも十分生活は可能です。
ここまでの説明は、皆さんの軟骨の状態が最悪の時の説明になります。
もちろん、軟骨軟化症は全ての方が象牙質化の段階まで至るわけではありません。
途中で止まる方もいます。


軟骨軟化症が最悪の象牙質化まで進んだ場合の軟骨は、元々の軟骨(線維軟骨)とは成分が異なるので摩擦はやや大きくなるでしょう。
従って、股関節を動かすことによって摩擦熱が発生しやすくはなるでしょうが、時々休みを入れるなどの工夫で日常の生活や旅行等にほとんど支障は無くなります。

皆さんにとって重要なことは、軟骨軟化症が進行することへの対策を行って、軟骨軟化症を予防改善させることです。
残念ですが、病院勤務時の私にはこのような考え方はありませんでした。
現在の病院でも、このような考え方は無いように思います。






軟骨の病気

2019-08-03 09:51:18 | 股関節の基礎
暑いですね。
皆さん、溶けないようにしてくださいね。


🍓軟骨にも病気があります。
軟骨軟化症と呼ばれています。
変形性股関節症に関して、軟骨軟化症という言葉を使って患者に説明する整形外科の先生にはまだ一人しかお会いしたことがありません。

ネット上で『軟骨軟化症』について検索すると、不思議なことがわかります。
軟骨軟化症は膝のおさら(膝蓋骨)と大腿骨の間の大腿膝蓋関節にしか起こらない(膝蓋軟骨軟化症)かのように説明されています。
そして、膝蓋軟骨軟化症は繰り返し膝に負荷がかかるとき、特にジョギングなどのスポーツをおこなう場合に発症しやすいのではないかと説明されています。
そんな単純な理由で軟骨軟化症が起こるなら、もっと患者数が増えると思います。
軟骨軟化症についてはまだ十分に解明されていないというのが真実だと考えています。

私はすでに明らかになっている軟骨軟化症の経過を参考として、軟骨細胞の栄養面から軟骨軟化症の原因や予防法について次のように考えています。

■軟骨軟化症の経過 (私の赤本152ページ) 
   (九州労災病院整形外科 井原秀俊 理学療法学 第21巻第2号 1994)
     
 
■軟骨軟化症の原因
軟骨が機械的刺激による摩擦によって擦り減らないように人体に準備されたのが軟骨でしたね。
従って、軟骨が摩擦で擦り減るということは考えない方が良いでしょう。
むしろ、軟骨細胞に栄養が行きわたらない為に軟骨細胞が壊死に陥ると考えた方が自然だと考えています。
血管の無い軟骨細胞の栄養の取り方を考えると、軟骨細胞が壊死する原因は軟骨細胞が栄養を吸い込めない状態しか考えられません。
    
荷重:脚に体重をかける状態 
   免荷:脚をあげて体重をかけない状態)

股関節を動かす筋肉は、股関節より上から始まり、股関節より下にくっ付きます。
この筋肉が病気になると、筋肉は縮んだまま(筋短縮)となり、結果として股関節の関節面を継続的に圧迫し続けます。
そうなると、硬いスポンジのイメージを持つ軟骨では、老廃物の排出は起こっても栄養の吸収がでなくなります。
この軟骨細胞の栄養不足が軟骨を減らす原因と考えています。


■軟骨軟化症への対策
唯一の対策法は、筋肉の病気による筋肉の短縮を取り除くことです。
筋肉をストレッチングで伸ばして弛緩できれば、股関節の圧迫が減り栄養の吸収が可能になると軟骨の新陳代謝が可能になり軟骨の修復力も働きだします。

軟骨にも自然治癒力があるので、自然治癒力が起きやすい関節環境を整えることが軟骨の維持には最も重要です。






軟骨に神経と血管無し!

2019-08-01 13:57:57 | 股関節の基礎
急に夏になったので、身体が暑さになじめない状態です。
負けへんで!


🍓軟骨には神経が無いので軟骨が減ろうが裂けようが全く痛みを感じません。
この真実は結構有名になりつつありますね。

「軟骨が擦り減っているから痛い。」というのは全くの嘘ですからね。
軟骨の隙間が狭くなること自体は股関節痛と直接的には関係が無いのでビクビクしないで下さいね。

軟骨には神経が無いだけではなく、実は血管も無いのです。
血管とは栄養と酸素を含んだ血液を輸送するための管ですから、軟骨には血液による酸素と栄養の運搬が無いということになります。


軟骨の新陳代謝は、人が生まれてから亡くなるまでずっと繰り返されていますので、軟骨も他の組織と同様に生きていかなければなりません。

では、どのような方法で軟骨は酸素と栄養を取り入れているのでしょうか?

人の関節には液体が詰まっています。
関節液といいます。
この関節液内には酸素と栄養分が含まれています。

軟骨は硬めのスポンジをイメージすると理解しやすいです。
この硬めのスポンジに股関節内の関節液を吸い込んだり吐き出したりしながら酸素と栄養を軟骨細胞内に取り入れています。

人が歩く時、脚に体重がかかると軟骨は押しつぶされて軟骨の中から老廃物が吐き出され、脚が宙に浮いた時に新しい関節液を軟骨の中に吸い込んでいるのです。
つまり歩く時一歩一歩ごとに栄養の取入れと老廃物の排出が繰り返されて軟骨は生きているのです。



軟骨には神経も血管もない真実をご理解下さい。
すると、軟骨が減っても痛くないことが理解でき、次の項目に書いている軟骨細胞が減る本当の理由が理解しやすくなります。








軟骨の役割

2019-07-30 10:05:58 | 股関節の基礎
九州へ行っていました。
九州から帰ったら東京も夏になっていました。






🍓一般的に『軟骨の役割はクッションです。』と言われています。

しかし、股関節に加わる大きな衝撃を吸収するにはあまりにも貧弱過ぎます。

人が動くとき、軟骨と軟骨はこすれ合い、筋肉と筋肉もこすれ合います。
人体で一番困るのは、人が動くときに様々な組織がこすれ合うことによって起こる摩擦熱が起こることです。
動けば動くほど体温がどんどん上昇してしまいます。

こすれ合う様々な組織の摩擦熱をできる限り無くすために、人体には様々な対策が準備されています。
各筋肉には筋膜が準備され、摩擦熱を抑えています。
同様に、関節には軟骨が準備されて摩擦熱を抑えています。

つまり、軟骨の真の役割は関節の骨と骨がこすれ合うときの摩擦(摩擦係数)を小さくして摩擦熱が起きないようにすることなんです。
関節のツルツル感を出すのが軟骨の役割なんですね。

軟骨は摩擦で擦り減るものではなく、摩擦で擦り減らないように軟骨が準備されているのが真実なんです!

軟骨にはクッションとしての役割が全くないわけではありませんが、実は人体にはもっと巨大なクッションが準備されてます。

その軟骨には血管がないので、血液による栄養補給ができません。
軟骨は独自の他の方法で栄養を補給しているのですが、この栄養が十分とれているかどうかが摩擦熱をおさえる秘訣になります。






第二章 股関節の中の話 股関節の中の構成要素 軟骨 

2019-07-25 09:26:09 | 股関節の基礎
前回までは股関節の中にある組織で『骨』について書いてきました。
今回からは『軟骨』の話となり、『関節包』の話につながっていきます。
股関節の中にあるものは骨、軟骨、関節包だけになります。
その後は第三章 股関節の外の話 となり、靭帯や筋肉の話へとつながっていきます。


🍓人の関節を構成する2つの骨にはそれぞれに軟骨があります。
股関節の場合は寛骨臼蓋に軟骨があり、大腿骨頭にも軟骨があります。


正常股関節のレントゲンを見た時、股関節の隙間の部分が軟骨になります。





軟骨には血管がありませんので軟骨は関節の中にたまっている水(関節液)の中に含まれている栄養を吸収しながら生きています。
また、軟骨には神経もありませんので、軟骨が傷ついても痛みは感じません。

正常股関節の場合、軟骨の幅、つまりレントゲン写真で見た時の股関節の隙間は上下の骨の軟骨を合わせて5mm~7mmになります。

成人の関節軟骨は、表層、中間層、深層、石灰化層の4層から構成され、最深層の石灰化層の下には軟骨下骨と呼ばれる骨組織があります。 







股関節で音が鳴る

2019-07-19 01:11:29 | 股関節の基礎
年内に本を書こうとしてこのブログに大雑把にまとめている状況です。
現在、第二章 股関節の中の組織の話で、今回の記事で骨の話が終わり、次回から軟骨の話になります。




🍓皆さんの股関節周囲では様々な音が鳴る時期があります。
その音は痛みを伴わないことが多く、また、その音が悪さをすることはほとんど有りませんが、体内から音が聞こえてくるのは心地よいものではないでしょう。

股関節で骨と骨がぶつかって音がすることはほとんどありません。


股関節周辺で鳴る音は主に4つです。

1、筋肉が骨に弾かれて起こる音。
2、軟骨と軟骨がこすれ合う音。
3、骨と骨がこすれ合う音。
4、関節が鳴る音。
これらの音を聞き分けることはできますが、言葉で表すことは困難です。


皆さんの股関節で鳴る音で原因が3のことは殆んどありません。
この状態は骨盤側にも大腿骨側にも軟骨が全くない状態の時を意味します。しかし、「軟骨が無いね」という先生は多いのですが、軟骨が全くないことは非常に稀だからです。

4、の関節が鳴る音は一回鳴ったらしばらくは鳴りません。
みなさんの指の関節がポキッと鳴る音の大きな音と考えればよいと思います。

皆さんの股関節で鳴る音で一番多いのは、1の筋肉が骨に弾かれる音ではないでしょうか?

実は4を除く1~3の音は、正常時には鳴りませんが、音が鳴るおおもとの原因はひとつです。

それは、筋肉が病気になり縮むことです。
筋肉が縮むことによって、筋肉の両端の腱が硬く伸ばされて。動くときにその腱が骨によって弾かれて鳴る音が1です。
筋肉が縮むことによって股関節内の圧迫が強くなり摩擦音が強くなるのが2と3です。
2と3の違いは軟骨が残っている(2)か全く無いか(3)です。
4に関しては、皆さんの指の関節が鳴るように正常範囲と考えられます。

1の筋肉が弾かれる音は、筋肉が緩めば腱も柔らかくなって骨に当たっても弾かれる音が無くなるので徐々に音がしなくなります。
また、2と3の軟骨や骨の音は、軟骨や骨が擦り減ることはなく、むしろ摩擦によって軟骨や骨の表面がツルツルになりやがて音がしなくなります。

最も多いのは1で、いわゆる『筋(すじ)が鳴る』レベルのものから『弾発股』と呼ばれる大きな音がする症状まで起こります。
弾発股が起こりやすい場所は主に二か所で、腸腰筋が腸恥腸隆起という骨の出っ張りに弾かれる場合(内側型)と大腿筋膜張筋が大転子に弾かれる場合(外側型)があります。


どちらが多いかということは、様々な報告によって異なりますが、外側型の方が多いと書いている情報の方が多いようです。
内側型の場合は腸腰筋を、外側型の場合は大腿筋膜張筋を軟らかくほぐすことが根本的な治療法になります。
病院では、各筋肉に注射を行う治療も可能だと思われます。


このような音のほとんどは、いつの間にか鳴らなくなるものです。
これも、自然治癒力のなせる業です。








子供の頃からの変形

2019-07-16 09:27:00 | 股関節の基礎
今年の夏は異常気象ですね。
東京ではお日様が当たりません。

股関節(関節包)の中の話を書いています。
そろそろ骨の話は終わります。

先日から初めてお会いした患者さん3人のうち2人はタイプ2でした。
そのタイプとは?



🍓変形性股関節症には様々なタイプがあり、個人差は非常に大きいです。

変形が何歳から起こったのかということも非常に重要な個人差の要因になります。


一般的にこの個人差は次の2つのタイプに分かれます。(松本分類)


【松本分類】

タイプ1 
子供の頃は股関節の異常は全く感じなく、40歳頃から変形が起こるタイプ

タイプ2 
赤ちゃんの頃や小学生の頃から股関節に異常があり、それが原因で子供の頃から変形があるタイプ

一般的に説明される変形性股関節症は、主にタイプ1についての説明です。

✳️変形性股関節症はタイプ1の人しかいないと考えられていると言っても良いくらいなんです。

このタイプ1の方々は、子供の頃は何とも無かったのに大人になってから変形が始まるわけですから、変形が落ち着くまでに数年かかかります。

一方のタイプ2の方々には一般的な変形性股関節症の説明では辻褄が合わなくなります。
タイプ2の方々は、すでに子供の頃に変形が落ち着いていますので、大人になってから変形が進むことはありません。
ところが、タイプ2の方々も変形性股関節症という同じ診断名になりますので、タイプ1の方々と同様に今後徐々に変形が進むと考えられることが多いです。

赤ちゃんの頃に股関節脱臼があった方や、子供の頃にペルテス病という成長期に起こる病気になったことのある方々はタイプ2に当てはまるケースが殆んどです。

タイプ2の特徴は、子供の頃に病院にかかったことがあるという他に、左右の脚の長さに差(脚長差)があることが多いです。
しかし、子供の頃からの脚長差のため、本人は脚長差に気づいていないこともあります。

子供の頃、病院にかかったことがあるタイプ2の方々は、経過が長く既に骨の変形は落ち着いているというメリットがあります。
ただし、経過が長い分、筋肉への負担は大きく、筋肉の痛みが出てくるケースが多いです。
特に小殿筋、中殿筋というお尻の横にある筋肉が股関節痛の原因になっていることが多いです。

タイプ2の方々は、股関節痛という共通の症状はタイプ1の方々と似ているのですが、実は一般的に説明されている変形性股関節症とは症状も経過も異なる、まるで別の病気と考えた方が理解しやすいです。

皆さんはどちらのタイプでしょうか?

タイプ2に方々には、変形性股関節症に対する一般的な説明に惑わされないように気をつけて頂きたいと思います。
股関節痛の原因は筋肉である確率が高いので、筋肉ほぐし(ストレッチング)を工夫してみて下さい。

タイプ1の方々も炎症のピークを過ぎると徐々に股関節痛は改善しますので、それまで筋肉ほぐし(ストレッチング)に励んでください。





変形の後遺症 

2019-07-12 03:53:30 | 股関節の基礎
このブログは2006年に始まり、既に14年目に入っています。
皆さんが読んでくださったおかげです。
現在までにのべ1940729人の方々が見てくれています。
ありがとうございます。



🍓骨や軟骨の変形は起こらない方が良いのは事実ですが、様々な原因が引き金になって変形が起こり始めてしまうと骨は自然治癒力を発揮して変形を落ち着かせようとします。

最初の頃は、炎症の方が強いので骨や軟骨に自然治癒力が働いていないかのように感じますが、炎症自体も自然治癒力の一つです。
炎症の鎮静化に伴って骨や軟骨の自然治癒力が勝ってきます。

その結果、骨や軟骨は変形した状態で落ち着きます。
私はこの状態を『骨は変形して治った』と説明しています。

骨はある程度変形すると落ち着き、徐々に股関節痛も改善します。

しかし、その一方でいくつかの支障が残ることが多いです。
一種の後遺症です。

その支障は脚長差(きゃくちょうさ)関節可動域制限(かんせつかどういきせいげん)です。

脚長差とは、片方の脚に変形が起きた場合、骨の変形で骨自体の長さが縮んでしまい、左右の脚の長さに差が出ることです。
一般的には、1~2cm程度の差が出ます。
(本来、骨盤の傾きは別問題となります。)
その場合、骨の変形によって短くなった方の靴の中に中敷きを入れて長さの差を補正することがあります。

もう一つの支障である関節可動域制限とは、股関節の動く範囲が狭くなることです。

稀に骨と骨が当たって関節可動域を狭くすることはありますが、一般的には関節可動域制限とは関節の袋(関節包)や靭帯や筋肉といった軟部組織が硬くなるのが原因と考えます。

股関節の炎症が落ち着き股関節痛が落ち着いても脚長差は戻りませんが、関節可動域は改善することもあります。


このように、人は自然治癒力によって変形や股関節痛を改善させるですが、その代償としていくつかの支障が残ることがあるのです。







骨密度 

2019-07-09 18:17:42 | 股関節の基礎
🍓骨密度は骨量とも呼ばれ、骨の量を指します。
皆さんも骨密度を計測したことはあると思います。
最近流行ってますね。
しかし、最近は骨密度(骨量)だけの計測や治療では不十分と考えられています。

骨は常に骨を作る骨芽細胞(こつがさいぼう)による骨形成と、骨を壊す破骨細胞(はこつさいぼう)による骨吸収を繰り返して再構築(リモデリング)を続けて常に新しく生まれ変わっています。

この骨のリモデリングを活発にするには骨に負荷(体重・重力)をかけることです。
脚の骨の場合は、脚にしっかりと体重をかける機会を増やすことが重要になります。
考え方を変えると、脚をかばわないことが重要だということです。

『骨に負荷がかかると骨は強くなり、かからないと弱くなる』これが骨の大きな特徴です。

骨は重力や衝撃などの負荷を感知してはじめて骨作りの指令を出します。

骨にかかる負荷を感知すると、骨表面にあるライニングセル(静止した骨芽細胞)に骨を作れという指令を出します。
するとライニングセルは骨芽細胞に変身し骨作りが始まります。
十分な骨ができたら、骨芽細胞から骨作り休止の指令が出るのです。

逆に骨への負荷が少なくなると新しい骨を作らなくていいという指令が出ます。
重力が無く脚に負荷のかかりにくい宇宙飛行士の骨がもろくなるのはこのためです。
基本的には骨に負荷をかけることが骨密度を高く保つ秘訣となります。

骨密度が低下する骨粗鬆症という病気があります。
骨粗鬆症は破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れる病気です。
最近では骨密度が高くても骨折する人が多かったことから、骨粗鬆症は骨量(骨密度)が70%、骨質(骨皮質と骨梁 )が30%関係していると説明されるようになりました。
つまり骨粗鬆症は、骨密度の低下と骨質の劣化、その両方が影響しあって骨折リスクが高まる病気といえます。

レントゲン写真では黒く映るのが骨密度が低く、白く映る場合は骨密度が高いと判断できます。

骨量も骨質も体重をかけると増加しますので、皆さんは必要以上に脚をかばったり、杖をつくことを避けた方が良いということになります。
体重をかけたくらいでは骨や軟骨に支障は出ませんので、怖がらずに体重をかけましょう。

脚に体重をかけることは骨量(骨密度)の改善だけでなく、骨質(骨皮質と骨梁)の改善にもつながるのです。