イワン・アサノヴィッチの一日  畑と映画の好きな卒サラ男。

政官業癒着体質の某公共事業職場を定年退職。鞍馬天狗・鉄腕アトムの人類愛に未だに影響を受けっ放し。孫には目がない。(笑い)

新聞記事から バアバと一緒にあの世に・・

2016-05-14 13:36:04 | 社会・経済
「全盲の夫(92歳)の介護疲れか」。小見出しは「 妻が遺書 ごめん 」とあった。東京新聞(2016年5月11日)
10日、東京・町田市の都営アパートで92歳の全盲で軽度の認知症の男性が首を絞められ死亡していた。87歳の妻はベランダで首を吊って死亡していたとのこと。
室内には遺書があった。
「 じいじ、ごめんなさい。 バアバは大変だった。 堪忍。 早く楽になろうね。 
 じいじ、助けてあげられなくてごめんなさい。 バアバと一緒にあの世に行きましょう。 」 
警察署によると、夫婦は二人暮らし。介護に疲れた妻が無理心中を図ったとみている。

「高老介護」とか「老々介護」という言葉が頻繁に現出している日本社会。
「少子高齢化社会」という問題も、数十年前から専門家は指摘してきた事である。
すなわち本事案の社会的な背景は、従前から予想されていた課題なのである。
しかし、今回のような事件は近年、毎日のように起きているのである。

90年生きていて、長寿を喜ぶこともなく挙句の果てが無理心中・・とは、一体何なのか?  どう考えて良いのかイワン・アサノヴィッチは整理不能に陥ってしまう。
在宅看護という言葉はレトリックではないかとイワン・アサノヴィッチの脳を過る。すべてとは言わないが、核家族化した現今の日本社会の中にあっては在宅介護の限界はハッキリしている。

せめて本事案のように87歳の老妻が92歳の全盲・軽度認知症の夫を介護しなくてはならない過酷な事態は避けたい、避けねばならないのではなかろうか?

自己責任だと強弁する輩も居る。表だって発言はしないまでも、この夫婦にも良い過去は在ったはずだ!承知のうえで最後は自身の責任で決めた事だと。

自死は高齢化社会に切り離せないことなどではない。そんな見方は政治の貧困が一方に存在することを見逃している。
パナマ文書によれば、日本人セレブは昨年一年間で五兆円の租税回避をしていると報道されている。その税金で何百棟の特養老人ホームが建設された事だろう。そして、何千人の老夫婦の残り少ない人生を全うすることができたことであろうか。