イワン・アサノヴィッチには2歳半になる孫娘がいる。家族はみーとかみーたんとか呼んでいる。
ブログを読んでくれている、イワン・アサノヴィッチの昔を知るひとは「好々爺もほどほどに…」と言うほどにイワン・アサノヴィッチはみーにイカレてしまっているのである。
みーもまた『じィじ!じィじ!』とイワン・アサノヴィッチを慕ってくれている。嫁曰く『じィじとみーは相思相愛だから、もう仕様がない』と言う状態なのである。
みーが熱を出した過日、保育所には連れていけないので預かることになった。嫁と二人で我が家に来たのであるが、みーはいつものとおりじィじの家に遊びに来たと思いこんでいる。
しかし、嫁が『ごめんね、みーたん!ママこれからお仕事に行くからじィじと待っててね。』と少し深刻なニュアンスで語りかけた。
ムリもない、遊びに来たと思っている我が子の気持ちを慮れば母親の気持ちにも忍びがたい思いが入り込んでしまうものであろう。
じィじの家に来てハッピーな気持ちで一杯のみーは、じっとママの言葉を聞いていたが見る見る眉はゆがみ悲しげな表情に変わった。
イワン・アサノヴィッチは直ぐさまみーを抱き上げ『ママお仕事だね、じィじとお留守番してようね。』と優しく告げた。
みーは泣きはしなかったものの黙ってイワン・アサノヴィッチに抱かれていた。『じゃあ!みーたんママにイッテラッシャイしようね!』と玄関に出た。
車は動きだし嫁は車窓越しに手を振っていた。
『みーたん、ママがバイバイしているよ』とイワン・アサノヴィッチ。みーは健気にもしかし淋しそうに手を振っている。
人には人生の中で愛する人と別れなくてはならない苦しみがある。恰も「愛別離苦」と言う釈迦の教えを悟っているかの如くである。
みーはイワン・アサノヴィッチの観音様なのである。