業界誌「土地改良260号」に評論家・森田実の記事「公共事業必要論」があり興味深く読んだ。
理由は不明だがマスメデイアから久しく遠ざかっていたように思える。久しぶりに接する氏の論文は実に明確で大方の御用評論家の言とは全く異にした焦点も研ぎすまされている。
即ち言われている「グローバル化」とはアングロサクソン化に過ぎず、本場のアメリカでも2008年には基本路線が転換し、米追随の日本経済・社会は行き詰まると述べている。
この間の構造改革も愚かなことだったと手厳しい。氏は経済回復の大きな要素に完全雇用を挙げている。
非正規雇用者が30%を超え国民の納税能力が極端に低下した現状では、財務省やお抱え評論家・学者の言う財政再建は消費税率の引き上げと行政サービスの圧縮しかない。と指摘し現在の経済成長率(1.4%)では永久に再建不可能と論じている。
リストラと雇用不安・失業者増大は社会の道徳の乱れを招いていると言う指摘も、多くの国民がTVニュースで放映される陰惨な殺人事件や無理心中の頻発・増大化で薄々知らされていることである。
財務省やその取り巻きは「プライマリーバランス」計画が実現出来ないと日本は潰れるとデマを流している。米からのクレームに対しても毅然とすべきだとして頼もしい。
農業と環境に的を絞った公共事業の展開を実施し、完全雇用と納税をする中流層の再構築(リストラ)が必要だと力説している。氏の凛としたスタンスと久々の発言に敬服する。