Photo:日の暮れた終着駅ザグレブに到着した396列車
サラエボ発ザグレブ行き396列車の停車駅と走行ルート表
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真夏の午後の陽もすっかり傾いて、西陽に照らされながら396列車はひた走る。
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午後5時45分、定刻より30分ばかり遅れてボスニア・ヘルツェゴヴィナ領内で最後の停車駅Dobrljinに到着。
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この駅でボスニア・ヘルツェゴヴィナの出国審査が行われる。
車内に乗り込んでコンパートメントを巡回してきた審査官が乗客全員のパスポートを預かって、駅のプラットホーム上にあるプレハブの国境事務所に持って行ってしまうのを眺めて、暫しぼんやりと車内で手続きが終わるのを待つ。
数十分後、乗客の手元にパスポートが返されると列車は出発。
無事に戻ってきたパスポートのページをめくってみたが、どういう訳だかボスニア・ヘルツェゴヴィナ出国のスタンプはどのページを探しても見つからなかった。
ひょっとしたら、無害な日本人のパスポートにまで一々スタンプを捺すのが面倒になって省略したのかも知れない。
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国境地帯を走り、国境の川を渡って…
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午後6時10分頃、クロアチア領内で最初の停車駅Volinjaに到着。
駅構内にはザグレブ中央駅行きの行き先電光表示を出した最新型の近郊電車が停車しているが、東ドイツ製の30年選手の中古オンボロ客車で編成された我が396列車と比べたら乗り心地も良さそうだし速そうだし、何より冷房完備で涼しくて快適そうなので、思わず暑苦しいコンパートメントから飛び降りてあちらの電車に乗り換えたくなる…
だが、Volinjaではクロアチアの入国審査が行われるので、不用意に不審な行動を取らずに入国審査官が車内に巡回して来るまでおとなしく待っていないといけない。
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スルプスカ共和国鉄道の朱色の電気機関車とも、ここでお別れ。
すぐに、クロアチア鉄道の機関車が代わりに連結される。
コンパートメントまでやって来たクロアチアの入国審査官にパスポートを見せて、入国スタンプを捺してもらったら、定刻より約30分遅れのままで18:45にVolinjaを発車。
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今朝サラエボに昇った太陽が、クロアチアの大地に沈もうとしている。
長い長いバルカン半島の、旧ユーゴスラビア横断の鉄道の旅の一日が終わろうとしている…
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遠きクロアチアの山野に日が落ちて、自転車で家路を急ぐクロアチアの人。
今日もお疲れさま…
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ザグレブ行き396列車も、車体を夕陽に染められながら家路を急ぐ。
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午後7時過ぎ、最新型近郊電車と並走しながらSunja駅に到着。
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流線型の最新型電車と、SL時代の古めかしく重厚な給水塔の組み合わせが鉄道好きには楽しい。
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駅構内に、日本のJR貨物の最新鋭ハイブリッド機関車HD300形そっくりの入れ替え用ディーゼル機関車を発見。
Sunja駅では所定のダイヤでは1分停車ですぐ発車する筈なのだが、接続する近郊列車が遅れていたらしく15分ほど停車して結局定刻より50分遅れで発車。
こうして、ボスニア・ヘルツェゴヴィナから引きずっている遅れはクロアチアでもどんどん拡大していく…
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午後8時頃、Sisak駅を発車。
駅構内の扇形庫を備えた転車台には、SLの保存機も顔を覗かせているのが見えた。
状態が非常に良さそうなので、動態保存機で復活運転も行っているのかもしれない。
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さぁ、終点のザグレブまであと少し。夕陽を追いかけてラストスパート!
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すっかり日の暮れた午後8時50分、396列車は定刻よりちょうど1時間遅れで、夜の終着駅のザグレブ中央駅に到着した。
サラエボ駅からおよそ10時間の列車の旅だった。
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すぐに入れ替え用のディーゼル機関車が連結され、396列車だったボスニア・ヘルツェゴヴィナ連邦鉄道とスルプスカ共和国鉄道の客車たちはザグレブ中央駅裏の操車場に引き上げていく。
ザグレブで一晩休んで束の間の休息を取ったら、明日には再びサラエボ行きの397列車になってボスニア・ヘルツェゴヴィナに戻る旅に出るのだろう。
お疲れさま、サラエボとザグレブを結ぶ唯一の国際列車…今日はありがとう。
さて、僕も一昨日泊まった駅前のビジネスホテルに戻って休むとしよう。
シャワーを浴びて一晩ぐっすり眠ったら、僕もまた明日の朝にはザグレブを発って新しい旅に出る事になる。
→15:国際列車MIMARA号の旅に続く