憑 神
6月27日(水)、午後、なんばパークスシネマ
原 作 浅田 次郎
監 督 降旗 康男
主な出演者 妻夫木聡、西田敏行、赤井英和、香川照之、森迫永依、夏木マリ他
時代は、幕末の激動期。将軍家の家臣で、将軍家の影武者を代々勤めてきた別所家の次男・彦四郎(妻夫木聡)は、婿養子先で罠にはめられて失職し、離縁される。
妻子とも離れて実家で居候ぐらし。 いわゆる現代的に言えば、ニートとかフリーター。 出世を望んだ彦四郎の前に現れたのは、貧乏神(西田敏行)、疫病神(赤井英和)などのとんでもない神。
第3の神・死神(森迫永依)と会い、彦四郎は、自分らしい生き方を見つける。
それは、徳川慶喜将軍とウリふたつの顔を活かし、歴史の中に身を投じることであった。
降旗監督は「現代も、戦後60年を経て、また戦争のできる国になろうとしている。今の若者達が、そういう時代の変動を敏感に感じ取っているのではないか。自分の意思で、自分の道を決める彦四郎のような生き方はどうかと、若者に問いかけてみたい」と言っている。
職のない若ざむらいが、悪戦苦闘して、自分らしい生き方を見つけようとする姿は、今に通ずるものがあるのではないか。
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
6月13日(水)、午後、梅田ピカデリー
原 作 リリー・フランキー
監 督 松岡 錠司
主な出演者 オダギリジョー、樹木希林、内田也哉子、松たかこ、小林薫 他
才人りりー・フランキーの210万部を越えるベストセラーを映画化したもの。
舞台は九州の小倉。東京での夢破れて故郷に帰ったオトン(小林薫)は、酒に溺れていた。オカン(樹木希林)とボク(オダギリジョウ)は、オトンの元を出て、筑豊のオカンの実家に移る。
やがてボクは、東京芸大に入学する。だが、その生活たるや、マージャンに明け暮れ、ギャンブルに通い、女にうつつを抜かす、まるで大学生とは縁のない生活。
だが、オカンは、食堂で働き、息子の大学卒業をひたすら念じて送金する。
その金が、浪費されてるのも知らず。
それでも、ボクは、1年留年して卒業する。
オカンは、卒業証書を額に入れ、宝物のように大事にする。
所が、ある日、オカンが倒れる。
ガンであった。 その頃、ボクもイラストレーター、エッセイストなどの仕事が順調になってきていた。 そして、オカンを東京に呼び寄せる。
オカンは、日々弱っていく。 オトンに連絡すると上京してくる。
オトンは、昔の夢に思いを巡らす。
やがて、オカンは、「東京タワー」の見える病院で亡くなる。
この映画は、ガンによってもがく姿をリアルに表現し、逃げていない。
それゆえに、返って、家族の愛が深く感じられるのかも知れない。
三度泣いた。 何か、子どもの頃のボクが、私の子どもの頃と重ね合わされるような錯覚を覚えた。