わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

作品の「そり」「歪み」に付いて(土の記憶性)

2009-08-01 14:03:40 | 失敗と対策
作品を作った時は、「そり」や「歪み」が、無かったのに、乾燥と伴に、又 窯から出した時に、

「そり」「歪み」「ねじれ」等が出てくる場合が、多く有ります。

特に、「手捻り」作品に多く見られる現象ですが、轆轤作品にも有ります。

 (逆に、本焼き前まで有った、「そり」「歪み」が、無くなる場合も有ります。)

その原因と、対策を考えたいと、思います。

原因は、以下の事が、考えられます。

1) 粘土の性質による場合(土の記憶性)

2) 乾燥の仕方による場合

3) 作り方に原因が、ある場合

では、順番に、見ていきます。

1) 粘土の性質による場合(土の記憶性)

   陶芸は、土の塊から、色々な形に、土を変形させて、作品に仕上げる作業です。

   土には、変形前の形に、戻ろうとする、性質があります。 これを、「土の記憶性」と、言います。

   特に土が、乾燥していくに従い、この性質が、顕著に現れてきます。

   これは、「手捻り」でも、「轆轤」でも、同じです。

 ①  即ち、曲げた物は、真っ直ぐな状態に、戻ろうとし、曲げが弱く(甘く)成ります。

 ② 「電動轆轤」で、皿などを作る際、底を作った後、周囲を、寝かせる様にして、径を広げると伴に、

   深さを、浅くします。作品を挽いた後、乾燥すると、周囲が、徐々に立ち上がり、深さが増します。

 ③ 「電動轆轤」で、細長い筒状の物を、挽き上げると、土は、轆轤の回転方向と逆方向に、

   螺旋状に、移動しながら、上に伸びます。乾燥するに従い、螺旋が「ほどける」様に、

   元に戻ろうとします。 特に、細くて、背が高い物が、顕著です。

   例として、「急須の注ぎ口」や、「取っ手」などが、有ります。
   
 土の記憶性は、素焼前の、乾燥時に強く、現れますが、本焼きの際にも、若干この性質が現れます。

対策として

 「土の記憶性」を、無くする事は、出来ません。出来る事は、一度元に戻ろうとして、動いた土を、

 再度、変形させるか、戻りを見込んで、より強く変形させて置く事です。

 ①の場合、再度、曲げるか、最初から、曲げを強くしておきます。

  再度曲げる際には、乾燥度合いに、注意して下さい。無理に曲げると、「割れ」「ひび」が入ります。

 ②の場合、浅皿では、強く寝かせる事は、縁が落ちてしまい、皿作りが失敗に成り易いです。

   乾燥し始め、土が立って来たら、再度、寝かせる様にします。

   その際、糸を入れて、轆轤より切り離すと、再作業が難しく成ります。(中心が取り難い)

   なるべくなら、切離さないか、亀板を使うと、便利です。

 ③の場合、作品が円であれば、撒き戻しが有っても、さほど問題に成りません。

   問題は、その作品に、方向性が有る場合です、例えば、急須の注ぎ口が、斜めにカットした時

   などで、 乾燥や、本焼きで、撒き戻され、カット面が、斜めに成る可能性も有ります。

   それ故、前もって、その戻りを見込んで、本体に取り付けます。

以下、次回に続きます。

尚 この記事は、以前述べた事と、重複しているかも、知れません。

ご了承ください。

陶芸作品の歪み
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