わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

大物を作る4(轆轤で作る1)

2011-06-17 22:12:24 | 失敗と対策
大きな作品(大物)を作る話を、続けます。

4) 轆轤で大きな作品を作る。

 一般に、轆轤は電動轆轤を使う事が多いですが、蹴り轆轤や、その他の轆轤を使う事もあります。

 ここでは、電動轆轤についてのみに、限らせて貰いますので、御了承下さい。

 ・ 大物を作る際の轆轤は、馬力(トルク)の強い事です。馬力が弱いと、大量の土を

   土殺しする場合や、作品を作る際に、回転が止まって仕舞う恐れが在ります。

 ・ 大きな作品は、重く成ってしまいますので、その重みに耐える構造でなければなりません。

   又、重みで、「ガタガタ」と揺れては、作業は出来ません。

 ・ ターンテーブルも、ある程度径が大きくなければ成りません。

   一般に、径が30cm程度の物が多いですが、大皿を轆轤挽きする際には、小さいので、亀板を載せて

   使用します。大きな亀板では、轆轤の周囲の、「ドベ受け」を取り除く必要があります。

   亀板を使う利点は、挽き上がった作品を、亀板ごと轆轤上から、持ち上げる事が可能で、

   轆轤をいつまでも、独占し無い事です。

 ① 背の高い作品を作る。

  轆轤は、常に遠心力が働いている為、径を大きくするのは、さほど困難では有りませんが、

  土を上に伸ばして、背の高い大きな作品を、作るのは、かなりの熟練を要します。

  ・ 背の高い作品の作り方には、大量の土を、一気に挽き上げてから、形を作る方法と、

    数個に分割して下から、積み上げて行く作る(繋ぎ合わせる)方法、紐作りで、高く円筒状に

    巻き上げた後に、轆轤作業で、綺麗に成形する方法、又は、厚めの、タタラ板を、太い筒状に

    巻き付けて、円筒形を作り、その後轆轤で、形作る方法等があります。

    以下順次述べたいと思います。

  a) 単に、土の量が増えれば済む問題ではありません。(一気に挽き上げる場合)

    土の量が増えれば、大きな作品に成りますが、必ずしも、背の高い作品に成る訳ではありません。

    一度に、挽き上げられる、土の量と高さの関係: 当然土の種類、土の硬さ、作者の腕前にも、

    関係しますが、私の経験から割り出した値です。

    (4~5本指が入る径の筒状で、底の厚みを約1cmとした場合です。)

    500gの土では、高さは15cm程度に成ります。

    1Kgの土で、高さが22~23cm程度(細ければ30cm程度)

    1.5Kgで、高さが27~30cm程度です。

    1.5Kg以上に成っても、1Kg増える度に、ほんの2~3cm程度しか、上に伸びません。

    5Kgの粘土で、約40cm程度上がれば、上々とも言われています。

    但し、壺などの様に、胴を膨らませれば、高さは低く成り、鶴首の様に細くすれば、

    高く成りますので、出来上がった高さが、この寸法と言う事ではありません。

  b) 背の高い作品を、轆轤で作る場合には、高く挽き上げる必要があります。

     それ故、一気に形作るには、大量の土を必要とします。これでは、作品は重く成ってしまいます。

     (見た目以上に、重たい作品は、余り歓迎されません。)

  c) 大量の土を使い、一気に挽き上げる作り方の利点は、出来上がり時の、全体の形を確認しながら、

    作陶できる事と、繋ぎ目が無い事と、及び、一日で作品が出来る事と、思われますが、

    それほどの利点とも感じられません。

    但し、土を高く挽き上げる、練習としての、意味は有ると考えられますが・・

 b) 繋ぎ合わせて、高い作品を作る。    

以下次回に続きます。

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