わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 釉(薬)について10(フリット2)

2018-04-20 19:20:11 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
4) フリットの調合

 食器用の釉に鉛が入る事は、一部楽焼を除き使用が認められていません。

 その為、今日無鉛釉が使われています。しかしながら、現在でも酸化鉛に匹敵できる原料

 が見つかっていないのが実情であると言われています。酸化鉛の良い点は、著しく光沢が

 出、透光性があり、更に、顔料の発色と色調を良くする働きがあります。

 無鉛フリットは、流動性に乏しく表面を平滑にするのに時間が掛ます。更に焼成温度範囲も

 鉛フリットほど広くは取れません。顔料の発色もさほど良くもありません。

 但し、現在は酸化鉛の変わりに、硼酸や硼砂などが多く用いられ、遜色の無い物と成って

 います。

 ① 標準的な無鉛釉で使用される原料は以下の物です。

  硼酸又は硼砂、石英、炭酸ソーダ、長石、石灰石、カオリン、亜鉛華、炭酸バリウムなど

  です。

 ②  標準的なフリット釉の調合例。SK-2a(1120℃)~ SK-4a(1160℃)で作成

  ⅰ) 硼砂: 57 部  硼酸 1 部  長石: 56 部   石英: 54部 

     石灰石: 35 部  注:部は体積ですが、合計は100部には成りません。

  ⅱ) 硼砂: 22.2 %  長石: 16.6 % 炭酸ソーダ: 11.5 %  

     石英: 23.7 %  石灰石: 12.0 % カオリン:  11.0 %

     注: 割合は体積比です。合計で約100%になります。

  ⅲ) 硼砂: 14.7 %  長石: 16.9 % 炭酸ソーダ: 17.9 %  

     石英: 24.1 %  石灰石: 11.2% カオリン:  15.2 %

  ⅳ) 低熔融用のフリット

     硼酸: 21.4 %  炭酸ソーダ: 26.2 %  石英: 21.1 % 

     石灰石: 12.0%  カオリン:  14.5 % 硝酸カリ:4.8 %

5) フリット色釉

  釉は塩基成分(アルカリとアルカリ土金属の酸化物)と酸性成分(酸化物)が反応し

  ガラス質を生成した物です。更にガラス質の性質を調整するアルミナを加えます。

 ① フリットを用いた色釉が比較的広く用いられているのは、以下の理由によります。

  ⅰ) 塩基成分の種類と量を広く選択できる。

  ⅱ) 焼成温度範囲が広い。

  ⅲ) 硼酸が発色を良くする働きがある。

  ⅳ) 酸化鉛を使う必要が無い。

  但し、これらの効果は、顔料によって左右されます。

 ② フリット色釉を作るには。

  基礎になるフリットに顔料を混合する。又は、フリットを作る際に顔料を添加する方法を

  取ります。

6) 顔料(着色材)

  陶芸材料メーカーや材料店では、釉に直接混入させて色釉が作れる各色の顔料が市販され

  ています。それ故、必ずしも御自分で顔料を調合する必要は無いのですが、何かの参考に

  して頂ければと考え、調合例を挙げたいと思います。  

  顔料は酸化鉄、酸化同、酸化錫、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化クロム等の金属類と

  長石、石英、カオリン、石灰石などを適宜混合させて作ります。

  各色の顔料に付いては次回にお話致します。

 
   参考資料: 図解 工藝用陶磁器 -伝統から科学へー: 

         著者; 素木洋一(しらき よういち): 技報堂出版社

以下次回に続きます。
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