わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

大物を作る4(手捻りで作る3)

2011-06-16 22:47:29 | 失敗と対策
大きな作品(大物)を作る話を、続けます。

3) 手捻りで作る。

 ④ 大きな鉢や袋物(壺、花器など)を作る。

  大きな作品は、長い紐を積み重ねて、作る事が多いです。

  この紐作りは、どんな形の作品にも、対応できる万能の方法と言えます。

  小さな物から、大人が一人入れる程の、大きな物まで可能です。

  余談ですが、近頃、温泉地や、日帰り温泉(スパ)などへ行くと、壺湯と言って、信楽焼きの

  直径1m以上の湯船があります。どの様な方法で作られたのは、不明ですが、この様な大きな物も、

  紐作りで、作る事が可能です。

 ・ 手回し轆轤の上で、作業すると、作業効率も改善します。

 a) 最初に、底に成る陶板を作ります。作品の形によって、形も変化します。

 b) 次に粘土で、紐を作ります。なるべく、太さが均一に成るようし、断面も円に成る様にします。

   紐を作るのも、慣れない方には、結構難しく、円にならずに、扁平に成ったり、中央に長い溝が

   出来たりします。更に、太さを揃え、長くするのも、結構難しい作業です。

   (一般に、テーブルの上で転がして、丸くて長い紐を作ります。テーブルは、きつく絞った

    スポンジで、濡らし土の乾燥を、防ぎます。)

   作品の大きさに合わせて、紐の太さも変化します。径が1cm位~10cm位まで、千差万別です。

 c) 紐作りの方法には、より丁寧な、輪積みと言う方法と、ぐるぐる巻きの方法が在ります。

   輪積みの方が、作品の厚みや高さの差が少なく出来ます。但し手間がかかります。

   3~5段積み上げたら、指で均して、紐と紐の境目の線を、消します。その際、空気を閉じ込め

   無い様にします。

 d) 紐作りの基本は、下部から形を作り始め、乾燥し強度が増したら、その上に数段積み上げる事で、

   高く大きくして行きます。

 e) 注意点は

  イ) 乾燥させる際は、最上部(上部に土を積み上げる部分)は、乾燥させない事です。

    土同士が、強固に繋がる為には、お互いの乾燥具合が、同じでなければ成りません。

    さもないと、この境目より、「ひび」が入り易くなります。

    日にちを置いてから作業する場合には、濡れた布を、口縁に被せて、乾燥を防ぎます。

  ロ) 一度乾燥させると、変形し難く成ります。それ故、全体の形が見通せ無いうちに、下部の部分を

     決定しなければ成りません。今どの部分を作ていて、どんな形なのかを、常に考慮しながら

     作業します。

  ハ) 上に載せる土は、下段の土の厚み方向の、中心よりやや内側に、積むのが「コツ」です。

     中心や外側に載せると、径が太くなる(広がる)事があります。

     又、上に載せる重みで、変形し無い程度に、乾燥していなければ成りません。

  ニ) 載せる土は、その下の土に、強く押し付け、隙間に空気が入らない様にします。

     土を平らに伸ばす際にも、隙間に空気を閉じ込めない事です。

 f) 土を単に載せて行くだけでは、肉厚で重い作品に、成ってしまいます。

   そこで、壁の土を両手で摘み、薄くしながら、土を締めたりします。

  ・ 土を締め、肉を薄くする方法に、唐津焼きの、「叩き」と言う技法があります。

    内側に支えの半円形の、コテを押し当て、外側から、叩き板で内側のコテの部分を、叩きます。

    叩き板には、紋様が刻まれていて、土を締める役割と、叩き紋様が表面に残り、一種の装飾と

    成ります。

  乾かしては上に載せる事を、繰り返しながら、縦に長い大きな作品を、作って行きます。

 尚、紐作りの後、轆轤作業で、軽い作品を作る方法もありますが、この件は、後でお話します。

4) 轆轤で大きな作品を作る。

以下次回に続きます。
    

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