わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

大物を作る6(轆轤で作る3)

2011-06-20 21:51:34 | 失敗と対策
大きな作品(大物)を作る話を、続けます。

4) 轆轤で大きな作品を作る。

  一般家庭では、大きな作品を作っても、出番が少なく、余り役に立た無いかも知れません。

  置く場所が無い事と、一度仕舞い込むと、取り出すのが、面倒な為も有りますが、何よりも、使い難い

  事が最大の、理由かと思われます。

  大皿でも30cm程度までが使い易く、花瓶や壷なども、高さが30cm程度までの物が多く使われます。

  陶器で背の高い物は、傘立て位です。高さが42cm~50cm程度の物が普通で、外径も16cm~

  25cm程度の物が一般的な寸法です。

  傘立ては、持つ物ではありませんから、重量があっても、さほど問題には、成りません。

 ・ 大きな作品は、展示用に作る事が多いです。即ち、陶芸展の様に、広い会場で展示するには、

   ある程度の大きさでないと、見栄えがしません。それでも壷などは、高さが30~35cm程度が

   中心で、稀に40cm以上の物がある程度で、45cm以上は、ほとんど見かけません。

   但し、器ではない作品(オブジェ等)では、50cm以上の作品も珍しくはありません。

 前置きが長くなりましたが、前回の続きをお話します。

① 背の高い作品を作る。

 b) 繋ぎ合せて、高い作品を作る。 

  ) 下段を形作り、乾燥させ強度を持たせてから、上段に土を載せて、轆轤成形する方法。

     下段の成形した物に、更に積み上げる段数は1~2段が多いです。即ち繋ぎ目が1~2ヶ所です。

     出来上がり寸法が、高さで30cmならば、生で34cm程度必要で、35cmならば、

     約40cm近くの寸法が必要に成ります。(縮み率を、12~13%程度としての話です。)

   い) 作品の形や、胴の径にもよりますが、生で34cmの高さにするには、土の量は2~2.5Kg

      程度必要です。生で40cmにするには、約2.5~3.5Kgの粘土が必要に成ります。

     (一塊の土を、一気に挽き上げる方法では、5~8Kgが必要に成ります。)

   ろ) 土の量が2Kg未満でしたら、一段繋ぎ、それ以上なら2~3段繋ぎにします。

      一段繋ぎの場合、下部に約2/3、上部に約1/3と土の量を分けます。

      二段繋ぎの場合には、下:中:上=5:3:2程度に土を分けます。

      三段繋ぎの場合には 下:中:上:最上=4:3:2:1程度に分けます。

      (あくまでも、目安です。)

   は) この作り方は、上に載せても変形しない状態まで、下部を乾燥させて、上に載せる為、

      下部の形を再度、形成する事が困難に成ります。それ故、全体の形を頭に入れ、現在

      どの部分を、形作りしているかを、しっかり確認しながら、作業する必要があります。

      繋ぐ回数が増えれば増える程、設計した形から、離れてしまいますので、注意が必要です。

   に) 実際の作業は以下の様にします。

      轆轤作業は最下段から轆轤挽きします。次に中段を、その後上段を、最後に最上段を

      轆轤挽きします。但し轆轤挽きは、下の段の形が、出来た後の方が良いでしょう。

    ・ 亀板の上で、最下段を轆轤挽きし、形を整えます。口縁の径を測定し、乾燥させます。

    ・ 轆轤上より、上記亀板を取り除き、中段(又は上段)部を底が抜けた筒状に挽き上げ、

      底の径を下段の口縁の径に合わせます。挽き上げたら、直ぐに糸を入れ轆轤上より、

      取り上げます。少々変形するでしょうが、気に懸ける事はありません。

    ・ 下段の轆轤挽きした亀板を、再度轆轤上にセットします。

      (ワンッタッチで、取り外せる亀板を、自作するか、市販の物を使うと便利です。)

    ・ 中段の成形品を、下段の上に載せ、繋ぎ目を消し、滑らかにします。

      (消す方法や、滑らかにする方法も、前回説明していますので、参考にして下さい。)

      中段が変形していたり、中心が出ていなくても、轆轤を回転させて、修正する事が出来ます。

    ・ 次に下段のカーブに合わせて、形を作ります。当然一体感が出る様にします。

      形が出来たら、更に上に載っても、変形しない程度に、乾燥させます。

    ・ 同様の方法で、上段、最上段を積んで轆轤成形します。形はこれで出来上がりですが、

      繋ぎ目が凸凹し、綺麗でない場合は、全体にカンナを掛けて、一皮削り取ると、綺麗に

      する事も出来ます。
  
 この方法では、2Kgの土があれば、高さが生で30cmの壷も、容易に作る事が出来ます。

 難しい所は、繋ぎ合わせる作業ですが、慣れれば容易に繋ぐ事は、可能です。

以下次回に続きます。
   

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