ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

自殺と謝罪

2009年03月19日 | ひとりごと
ハッピー、ししははさん、PSママ、前々回の記事にコメントを残してくれてありがとう。
あなた方に返事のコメントを書いているうちに、なんだかどんどんどんどん長くなってしまったので、こちらに書くことにしました。


自殺の勧めを口走った上院議員のニュースを聞いて、まず1番に思ったことは、この人なんにも分かってない、ということでした。

自殺はしてはいけません。
けれども、わたしは若かった頃、数回試みています。
恐がりだったのと想像力がたくましかったこと、そうして勇気と狂気がそれぞれに充分でなかったことが幸いして、
思いきりやってしまえなかったり、ものすごい偶然から、たまたま出くわした人に助けられたり、だからこうしてここで生かせてもらっています。

自分ではどうしようもない、変えようがない、そして逃れようもない状況に陥ったままの状態が何ヶ月も何年も続き、希望の光も抜け道も見えない毎日が繰り返しやってくると、よほどの強靭な精神力を持たない限り、人は絶望してしまいます。
その絶望を経験したことのあるわたしは、自殺に追い込まれる、あるいは追い込んでしまう人の気持ちが、少しはよく分かります。
でも、だからこそ、そんな情けない自分だからこそ、自殺だけはしたらあかんよ、と心の底から思います。

ハッピーの話とは少し違うけれど、わたしはある人から、こんなことを聞きました。
「自殺するとね、その人はそこに留まって、自殺する瞬間の、我に返ってすごく後悔したり、ものすごく恐かったりする気持ちと、実際に自分の体に襲いかかってくるとんでもない痛みや苦しさを、無限に、何回も何回も味わうことになるんだよ」
恐がりで痛がりのわたしは、それを聞いた時、あ~失敗して良かったと、心の中でホッとしたことを覚えています。
息子達にも何回もこの話をしました。ハッピーと同じように、子供に先立たれてたまるか!と思うからと、自殺をきれい事として考えて欲しく無いからです。

謝罪会見のコーディネイターなんかがいるなんて、ししははさん、この世も末ですね。
そんな罰当たりなことをして、よく普通に眠れるもんだと思います。まあ、中には眠れない夜を過ごしてはる人もいるんでしょうけど。
テレビ画面に、会議用だかなんだか知らないけど、長机が置かれて、その前に何人かのおっさんが並んだのが映ると、ああまたか、と思うご時世。
中にはもちろん誠実に悔いている人もいるんでしょうけどね。

今回のこちらの大きな企業の重役の皆さんのこと、会社はなにを勘違いしているのか、優秀な人材だと思っていて、
彼らが機嫌を損ねて会社を辞めていかれると困るからってんで、ボーナスを契約書通りに払ったのだそうですが、
そいつらの強欲と自己顕示欲と無能が祟って、その会社だけではなく、繋がっているすべての事柄に従事している人達が途方に暮れてしまったのに、
まだそんな戯れ言をシャアシャアと言い訳している、おい、お前ら、会社もろともいっぺんサックリ消えて無くなれ!(死ねということではありません)

PSママ、ああいう輩のほとんどは、常識がすっぽり抜け落ちてしまっていてどうしようもないけれど、
わたし、一昨年車で事故った時、2回とも(何回やっとんねん?!)、車から降りてきた瞬間に、向こうから謝ってもらいましたよ。
アメリカンでも、謝ることができる人がいるんだなあ……としんみりと感動したのを覚えています。
けど、この家に住むアメリカンはねえ……もうほんま『謝りキャンプ』とか『謝り教』とかいう宗教があったら放り込みたいぐらいの男ですが……。


なかなか重いテーマではあるけれど、無視したりしないで、機会があるごとに、いろんな人と話し合っていきたいと思います。

折れる心、支える心

2009年03月19日 | ひとりごと
昨日とても久しぶりに、三才年上の仲良しいとことスカイプして、もう遅くなったからまたね、と切った直後、今後はTからチャットメッセージが入りました。

「かかあ、野球やっとるで。スポーツ専門チャンネルの第二で」
「おうよ、ほなこっちもつけてみるわ」
と調子良く応えたものの、時計を見てみるともう夜の11時。昨日もとんでもなく遅くなって、今日はすでに寝不足がたたっているというのに……。
同じ国なのに、時差が3時間もあるってのがあかんのですよねえ。どうしたもんだか……と思いながら、とりあえず台所の小さなテレビをつけました。

え?なんか画面が変?
「なあなあ、画面曇ってへん?霧かな?」
「多分。あ、今アナウンサーが霧やって言うた」
Tもわたしも、テレビとパソコンは違う場所にあるので、コマーシャルやタイムの時間を使ってチャットで話しながらの観戦です。

家族の中で、Tとわたしは、同じレベルまでに盛り上がる日本応援しまっせコンビ
Kと旦那は、別にどこが勝っても負けても、みんな頑張ってんからええやんコンビ
なので、今はわたしだけがなんとなく浮いてます、この家の中で……

途中からもう眠くて眠くて、足の指先から溶け出したような気がしたんだけど、独り打てないままのイチローの復活(完成された日本チーム)を観てからでないと寝れん!と思い、眠気覚ましにTとチャットをしながら踏ん張って観戦しました。

「イチロー打てへんな」
「もうかなりヤバいな」
「打線から降ろすのかな」
「いや、それは無いやろ」
「けど、本人自らってことも」
「いや、それも無いやろな」

カメラはイチローを執拗に追いかけています。アナウンサーも想像の範囲に過ぎないけれど、いろんなことをコメントしています。
このまま続くわけがないけれど、それにしてもしんどい展開だなあと思いながら観ていました。
そういう中の、ピッチャー岩隅さんの、穏やかな、時折見せる笑顔は、なんともいえない救いになりました。彼も大きな山をいくつも越えてきた人です。

待って待って、ようやく7回に小さなヒットが出て、そうして9回、とうとうのとうとう、皆が待っていた復活記念ヒットが出ました。



今日のウェブニュースに、こんなコメントが載っていました。

『五回のバント失敗で「折れかけていた心がさらに折れた。僕だけがキューバのユニホームを着ているように思えた。流れを食い止めていたのは完全に僕だった。本当に支えてくれて、ありがとうと思った」』

イチローも人間。
彼の大ファンでもないけれど、極めた人として興味があるので、彼に関する記事はよく読んでいます。
Tは多分彼の大ファンで、たま~に「イチローに似てるな」、なんて言うと、「アホか」と怒ったふりして喜んでたりします。
Tもきっと、心からホッとして、昨日はよく眠れたかも。
けど、親子してこんな寝不足して……あっちだって今日も朝の早よから授業があっただろうし、わたしも朝一番からレッスンがありまして……、
もちろんちゃあんとやりましたけど、頭にドヨヨンと膜が張っているような……今夜は韓国戦……始まりが2時間早いから、なんとかいけそうです。

とにもかくにも、ここでちょっと感謝をこめてワンフレーズ歌わせていただきます。
「夜霧よ~昨夜は~あぁ~りがぁ~とぉ~!」

応援するぞ~