ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国自殺の勧め事情

2009年03月18日 | 米国○○事情
あ~あ、とうとうこんなこと言う人まで出てきちゃって……。

発言の主は共和党のチャールズ・グラスリーという上院議員さん。
地元アイオワ州のラジオ局WMTとのインタビューで、米国企業は日本企業を見習うべきだと力説したのはよかったのだけど、
「(AIGの幹部が)日本での例を見習っていれば、彼らに対する私の気分も少しは良くなる。深々と頭を下げて謝罪し、辞任か自殺するということで、日本人の場合は謝る前にたいてい自殺する」との自説を展開しちゃいました。

これを車のラジオから流れるニュースで聞いた時にゃ、ちょ、ちょっとちょっと待ちなはれ、自殺するのが普通やってそれ、メチャクチャでんがな~!とかなり動揺してしまいました。
そりゃね、わたしもかな~り頭にはきてますよ、今回の件。自分らの経営手腕のお粗末さと強欲さが原因して、会社がこけそうになってきたら、
こんなおっきな会社を潰したら国がコケるなどとやんわり脅迫して、血税をたんまりもろて首をつなぎ、
それでちょっとは反省してしおらしくやってるのかと思たらなんのなんの、契約書に書かれてある権利とかなんとかを逆手に取って、巨額のボーナスを密かに手にしてニンマリ、どぉ~しよぉ~もないアホども。

こういう事態が起こると、わたしも無意識に日本の会社の経営者の、米つきバッタみたいに頭を下げて謝る姿を思い出したりします。
あれはあれで、マジですまんと思てるんあんたら?と、妙に疑いたくなるような映像でもあるのですが、あれに慣れてるわたしからすると、ここはねえ……。

グラスリー議員は発言後かなりのひんしゅくを買い、CNNの取材に応えて、自殺発言はたとえで言ったまでだと弁明し、「もちろん自殺してほしいとは思っていない。ただ、日本企業のような態度が米国の企業にも欲しいと思った」と話しているそうです。
そうしてさらに、「(日本では)株主や納税者の信頼を裏切って経営を悪化させた企業経営者が深々と頭を下げ、謝罪し、遺憾の意を示し、反省し全責任を負う」と同議員は言い、
「このような謝罪、遺憾、反省の言葉はわが国では聞いたことがない。米国の企業経営者の口からも聞きたいものだ」と締めくくったそうですが、
うう~ん、うちの旦那は両方を知っている者として、どんな意見を持っているのだろ?前に一度、謝罪しているどっかの社長の姿を見ながら、「あんなんしてなんの意味あるん?」ってボソッと言ってたような気もするし……。


恐ろしいほどに規模が大きくなっていた会社は救済され、小さな企業は潰れるにまかすしかなく、どちらの会社に所属している人達にも、同じように守らなければならない家族があり、その数は毎日毎週毎月増えていく一方で、だからといって税金を払わなくてもいいよ、なんて誰も言ってくれません。
もちろん今は我慢。我慢して、この山場を乗り越えよう。文字通り歯を食いしばって生きてる人がうじゃうじゃいて、そしてみんな、程度の違いこそあれ、心に怒りの炎を燻らせています。

そんな日常に、チャールズさん、えらい過激な、そして思いっきり事実から外れたことをツルツルっと言っちゃって……、
謝る前にたいていは自殺するって……破綻した会社の責任者のたいていがそんなことしちゃ、いったい誰がどうやって責任取るんでしょう?
公共の場で発言する時は、ちゃあんと勉強してからにしないと、ね、政治家の皆さん。