ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

種をまくということ

2010年08月31日 | 音楽とわたし
「まうみ~、ヘレンよ、久しぶり。うちの息子、ウィル、覚えてる?彼からSOSなの。助けてやってもらえないかしら?」
 
ウィルは2年前に完全にピアノをやめた男の子。うちに来始めた頃は、金髪のクリクリヘアも可愛い、ハンサムな小学生だった。
彼はもともと、来たり来なかったり、続けたり続けなかったり、なかなか決められない子で、けれども母親の強い望みに引っ張られて通っていた。
中学生になってとうとう、自我が表にはっきりと出たのか、母親がついに諦めて休憩を申し出てきた。

「まうみぃ~!どこに住んでるのぉ~!」

彼らはわたし達が以前住んでいたモントクレアの家に行ってしまったらしい。
そういやわたし、引っ越したこと話してなかった。慌てて家までの道順を説明した。

部屋に入ってきたウィルを見て仰天!
見上げんばかりの背ぃ高のっぽ君になっていた。
顔もすっかり大人顔。そしてクリクリヘアはチョンチョンに短く刈り揃えられていて精悍な雰囲気。もう立派な青年じゃん。

「かなり厳しいジャズバンドのピアノ担当を狙ってるんだ。オーディションを受けるのはボクとあとひとり。絶対に負けたくない」

ふむふむ。じゃ、オーディションで弾く曲を聞かせてもらおうじゃないの。

びっくりした!
なんて力強い音。正確で切れ味のいいリズム。ウィル君、成長したね~、わたしのレッスンやめてから……(ちょいと複雑だったりして……)

「まうみ、もういっぺん、オーディション前に来てもいい?」
「もっちろ~ん!」

階段を下りながら振り返り、「もしかしたら、あと一回だけじゃなくて、ちょくちょく来るかも」とにっこりするウィル。
よかよ~、いつでも来んしゃい、待っとるけんね~





昨夜、夕飯を作っている横で、かなり暇そうにしていたKとガールフレンドのRちゃんに、余っているクリームチーズを使ってなんかケーキを作ってとリクエストしたら、こんなのを作ってくれた。ホワイトチョコチップクッキー……なんでやねん……クリームチーズ、まるまる残ったままやし……美味しかったけどさ……。
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かっこ悪いわたし

2010年08月31日 | 音楽とわたし
わたしの心の中で、カーネギーで演奏できるということの意味はとても大きくて、だからつい、本当はほんの小さな出来事が妙に大きな事件に膨れ上がる。

タイソンの引っ越しが急に決まり、彼と一緒にフランクのソナタが演奏できないとわかった時、
かわりの演奏者を探しても探しても見つからず、いよいよフランクは演奏できないとわかった時、

何日も、真夜中までかかって、ネイティヴからすると不可解なメールを送り続けた。かなり落ち込みながら。

ほとんど諦めていた時、A子が、会の規定からすると違反ギリギリの、留学中だから一応生徒として見なしてもいい、というわたしのごり押しに応えてくれて、一緒にやろうと言ってくれた。
居心地の悪さが否めないまま会員になってくれたA子と組んで、なんとかオーディションを受ける資格を得た。
A子が歌いたい歌、わたしが演奏したい曲、というよりも、会の方からのリクエストに応じた形で曲が決まった。
A子は、自分はゲストで、立場的にもズルいっちゃあズルいということで、会に要望に従いつつも、わたしの演奏のことも考えて曲を選んでくれた。

練習が始まり、わたしはとても勘違いで筋違いな練習を重ねていた。
合同リハーサルの4日前に、A子とH師匠に目を覚ましてもらい、ようやくまともな練習ができるようになった。
そしてリハーサルが終わり、会の役員からの講評をもらい、録音された演奏を聞いた。

ひとグループ10分以内、というのが厳然たるルール。
わたし達の演奏は11分強かかった。
前々から、曲を減らしてはどうかとわたし達に言いたかったのだろう。アルベルトから送られてくるプログラムの原案には必ず、我々の曲の4曲中、2曲しか書かれていなかった。
どうしても歌って欲しいと懇願された日本歌曲。そしてドヴォルザークの『ジプシーの歌』からまとまりのよい3つの曲。
その日本歌曲は残して、『ジプシーの歌』から1曲(最後の曲)を削って欲しいとメールが送られてきた。
その直後に送られてきた新しいプログラム案には、すでにその曲はカットされていた。
そしてそのプログラムに初めて、アンコール曲が2曲載っていて、そのために10分の時間を使うことがわかった。

我々の会のアンコールは、その日、決して安くはないチケット代を払い、会場まで足を運んでくださったすべてのお客さまに感謝の意を示す為のもの。
それは理解している。いいことだと思う。
けど、わたしもA子も、最後の曲をカットしてもいいか、他の曲の可能性はあるか、わたし達が話し合えていなかったので返事をしていなかった。
なのにすっかり変更されてしまっているのに怒りを覚え、下に目を移すと、のほほん顔のアンコール曲……憎たらしくて仕方がなかった。

当の演奏者からの返事も待たずに、さっさとカットされていたことに無性に腹が立ち、旦那の助けを借りてメールを書いたのだけど、立った腹はなかなか横になってくれない。昨日はとても寝苦しかった。
わたしからチケットを買ってくれた60人あまりの人達に、なんだか中途半端な構成(これは単にわたしがそう感じているだけなのかもしれない)の音楽を聞いてもらうのはなんとも哀しいではないか……などと、やっぱりグズグズ思ってしまう、なんともあきらめ下手な自分が情けない。

アルベルトから、メールでは意思がちゃんと伝わらないから、直接話そうと電話がかかってきた。
彼が心配してくれているのは充分わかっている。役員のひとりとして、彼の大変さを重々知っているので、こんなふうにごねたくないと思っている。
いい年してかっこわるいし、そこにはなんの進歩も発展も調和も幸福も無い。

だから、『ごめん、曲のカットは了解したけど、どんなふうな気持ちで了解したかをただ話したかっただけやねん』というメールを送った。

ふたたび、いや、三たび、いや、四たびか?の、かっちょ悪いおばさんなのであった……。



そんなおばさんの気持ちを、ゆるりんこ~としてくれる家猫。気ぃ使ってくれてるのか、ただのふて寝なのか、それは本ニャンしか知らない。






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米国ししとう事情

2010年08月30日 | 米国○○事情


沖縄ししとう。でかい。ちなみに、この手はわたしの手ではない。わたしの手の親指は、この方のように美しくなくて扇子のように平たくて不細工。

H師匠と一緒にファーマーズマーケットに行った時、きゅうりとししとうを買った。
「きゅうりを味噌につけてポリポリ食べたい」
「ししとうを軽く油で炒めて、醤油をさっとかけて食べたい」
あまりに明快な望みだったし、わたしも久しぶりにそういう、シンプルな野菜料理を食べたくなったので、できるだけ新鮮なのをと、あちこちのテントを回って探した。

キュウリは、アメリカンサイズではない、へたの部分が生き生きしているもの。
ししとうは……う~ん、見つからない。
三つ目のテントで、ししとうとそっくりの、けれども三倍はデカいのを見つけた。
店の人に、何度もしつっこく聞く。
「これってどれぐらいの辛さですか?」
「ああ、それはそれほど辛くないよ。少しピリッとするぐらい」

そうか!それはまさにししとう!ししとう君見っけ!
でもまあ、調子に乗らず、食べたいだけ買おう。縁起のいいところで7本、しめて75セント。安ぅ~!

けれども結局、師匠はきゅうりの胡麻味噌つけで満足して、ししとうは冷蔵庫の中で出番を待っていた。

最近、冷蔵庫の掃除週間に入っていて(←ただ買い物に行ってないだけ、ともいふ)、冷凍庫も冷蔵庫もなかなかいい感じに空いてきた。
そこで今夜は、だぁ~いぶ前に買った冷凍の肉団子と少しくたびれてきた野菜達で、甘酢あんかけを作ることにした。
赤いパプリカと緑のししとう、う~ん、なかなかいい感じ。
炒め油の香り付けのために、ニンニクと生姜とネギをみじん切りする。
パプリカは種を取り除きざく切り。玉ねぎもざく切り。
そしていよいよししとうの出番。
パプリカ同様中の種を取り除き、適当な大きさに切り分けていると、

ん?

なんか喉がいがらっぽい。ゲホン!しばらくするとまたゲホン!
おかしいなあ~、風邪なんかひいてないしなあ~。
そうこうしていると、今度はおでこから汗が流れ落ちてきた。

え?

みるみるうちに汗があちこちに吹き出してきた。なんじゃこりゃ?

その時になってやっと、もしかしてコレか?と思い当たった。
そう、ししとう君……。取り除いた種がシンクいっぱいに落ちている。

恐る恐る、既に切り分けたししとうの端っこをかじってみると、

からぁ~!!

たまたま遊びに来ていたKのガールフレンドのRちゃんにもかじってもらう。
だって、彼女は辛いもの好きだから、辛さを見極めることができるから。
「あ、辛っ!これはだめだよ~まうみ。まうみは辛いの苦手でしょ?わたしでも辛いよこれ!」

まるでハラペーニョ……誰やね~ん!それほど辛ない言うたんは!どこがちょっとだけピリッとやねん

モノは冒頭の写真とそっくり。写真は沖縄産のししとうで、辛いのに当たる時もあるけれど、だいたいはししとう味の巨大ししとう。
アメリカはなんでもデカいし、だからそれと一緒やろ、と思たわたしが甘かった……。

食べる頃になって、手の甲が軽くやけどしたみたいにヒリヒリし出した。
アロエさんに登場してもらい、やれやれと一息ついた頃、今度は指先の爪の奥の辺りがヒリヒリ。

恐るべし唐辛子。
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危機一髪!

2010年08月30日 | お家狂想曲
あと数分遅かったら、今頃うちの二階の洗濯室の床は水浸しになっていて、それが床下にしみ込んで、一階の天井や階段を伝ってポタポタジャアジャア、えらいことになっていた。

わたしが何の気無しに、そろそろ終わる頃かしらん?と鼻歌混じりに二階に上がった時、洗濯機さんはひとり格闘していた。

ドラムの中の洗濯物にひとつ、めちゃくちゃ分厚くて重いラグが混じっていたので、他の物と一緒にうまくまとめて、乾燥のための高速回転に入りたいのだけれど、それがなかなか難しかったようだ。

少し位置を整えては低速でお試し。うん?こりゃうまくいきそうだとソロソロと中速にもってって、とぉ~りゃ~、一気に高速だぁ~というところでまたガタンゴトン、シュルシュルシュル~ッと回転を弱める洗濯機さん。ものすごく悩んでいる様子。

大変だなぁ~と同情しつつ、ふと洗濯機さんの横の洗い場に目をやると、

ぎゃ~!!

あと数ミリで泡が混じった汚水が溢れ出るところだった。

さすがにその時は写真なんて撮ってる場合ではなかったので、これはすっかり掃除してしまった後の写真。



右横の灰色のホースから、洗濯機さんが吐き出す水が出てくる。
それをまずこの洗い場で受け取り、底の真ん中にあるちっちゃい穴からパイプで地下に流す。
パイプがつまらないようにきめの細かい網を穴につけてあるのだけれど、それがくせ者。洗濯物から出てくる糸くずやほこりが詰まって、水が流れなくなってしまうことがよくある。
今日の洗濯物は、かなり長いこと洗っていない敷物だったので、埃の量も多かったんだろう。
それにしても危なかった。冷や汗が出た。

今日の危機は、洗濯機さんがいろいろと悩んでくれていたので回避できたんだと信じてる。
本当にありがとう!


唐突ですが質問です。

みなさんは、家事をしてくれる家電の中で、なにが一番好きですか?
わたしは洗濯機。
なんだか一所懸命働いてくれる感じがするし、実際、かなりの労働を担ってくれてるし、なのに寡黙で文句言わず。
わたしがとんでもない時間に洗濯物を持ってっても、「えぇ~今からっすかぁ~!?」なんてことも一切言わない。
だから、洗濯機さんが働いているそばで、なにかをするのが好きなんですよね~。例えば掃除機をかけるとか、アイロンをかけるとか。
あなたも頑張ってくれてるのだから、わたしも頑張る!みたいな、仲間意識がふつふつと熱くわいてくるのです。

みなさんはいかがですか?
 
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ひとり餅つき

2010年08月29日 | ひとりごと
今夜は独り。ものすごく独り。

お腹が空いてきたけど、な~んも作る気無し!

夕飯に餅!っつぅ~のができちゃう独りの夜。

まず餅米を炊く。炊飯器さんが全部やってくれる。ありがとう炊飯器さん!

そして、ただただ突く。無心に突く。



汗がじんわり。少しずつ餅らしくなってきた。



さて、つぶあんはどうしたものか……な~んて、こんな楽々パック時にわざわざ豆から炊くわきゃない。もちろんこの方に登場していただく。



なんちゅう~手抜き!なんちゅう~自由!なんちゅうええ加減!

ちょっと食べ過ぎて胸やけ中。
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猛暑ふたたび

2010年08月29日 | ひとりごと
先週、雨が続いたからか、気温がぐんと下がり、夜などは秋の虫の鳴き声が聞こえてきて、長袖に靴下、夜具は少し厚めの掛け布団などに変えていました。

ああ、もうこのまま秋になるんやな~。別にそれもええけど、もうあと一日二日、夏があってもよかったのに……。

などと、今年、体温より高い外気に包まれっぱなしですごいことになっている日本の皆さんから、総スカンを食らうようなことを思ったりしておりました。

ところがところが、昨日の夜から少し気配はあったのですが、今日から再び猛暑再開。一週間かんかん照りの予報です。

一週間分の冷えた空気をしっかりため込んだ煉瓦の家は、一階だけはまだ涼しくてありがたいのですが、二階と三階は早くもサウナ状態。
久しぶりに、洗濯しているだけで汗がタラタラ流れました。

旦那はまたまたマンハッタンへ。夏は楽しむための季節を体現するべく、三日間連続のお出かけです。
ニューヨークのジャズフェスティバルもいよいよ終盤を迎え、今日はイーストヴィレッジの大きな公園でコンサートがあるそうな。
わたしは今日はどうしても家のことがしたかったので、少しだけ迷ったけれど留守番です。
朝だけちょっとゆっくりして、昼からフル回転でやってます。
床の隅っこにフワフワと丸まった埃がたまり、家猫のトイレもいつもより汚れていて、洗濯物の山が四つできていました。
ついでなので大きな物も洗うことにして、敷物やシーツもサラサラの肌触り。

やりたくてやる、気の入った家事は、やってて楽しいしテンポもいい。
……なんてことが言える年頃になりました。
子供が巣立つということは、寂しくも爽快な気分を味わえる、ということなのでしょうか。

日中は暑いのですが、夜には半分ぐらいの気温まで下がります。
そんなんは猛暑とは言わんっ!!
と、遠く東の国から、大声で怒鳴られそうですが……。
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ちっちゃいの

2010年08月29日 | ひとりごと
今朝もきれいにスッカ~ンと晴れ。けれども今日からグングン気温が上がるらしい。

昨日、あ~疲れた!と家の中に入ると、TとTの友人D君が、カレーの残りを食べながらテレビを観ていた。

「あ、どうも、初めまして。お邪魔してます」とD君。
「はいはい、いらっしゃい」と旦那とわたし。

Tから事前に何の説明も無かったので、どういうふうに知り合った子なのかさっぱりわからないまま(いつもこんな感じで物事は進んでいくのだけれど……)話をしていたら、彼は日曜の朝、マンハッタン発のバスに乗り、ナイアガラの滝見物四日間の一人旅をすることだけはわかった。

そこへKも昔のガールフレンドを連れて帰ってきて、家の中はいっぺんににぎやかに。


そして今朝、さっさと起きてきてシャワーを浴び、出かける支度をしているT。
D君はまだ起きてくる気配ゼロ。

「じゃ、行ってきま~す!」とTがさっさと出て行こうとするので、
「ちょっとちょっと、あんたら一緒にマンハッタンに行くんちゃうん?」と聞くと、
「え?ちゃうで。僕は9時の電車に乗るけど、あいつは11時」
「ふ~ん……」

なかなか起きてこないD君。たまりかねて、10時40分に起こしに行った。
「あ、どうも、おはようございます」
ボサボサ頭で起きてきたD君。急いで身支度を始める。
「駅まで行ける?」と聞くと、「はい」と答えたが、なんせTのこと、きちんと説明なんかしているはずが無い。
心配だったので、一緒に駅まで歩いて行った。

「D君さあ、駅までの道、Tからちゃんと説明してもらってた?」
「う~ん、もらったようなもらってないような……昨日と逆行ったらいいって」
「やっぱり……」
「けど、もし僕ひとりだったら、さっきの曲がり角、反対側に曲がってました。だから助かりました」
さもありなん……

「で、D君は、アメリカで住んでるの?」
「はい、今は。コネチカットのニューヘィヴンで」
「大学?」
「いえ、ホームステイをしながら語学学校に通ってます」
「そっか。いつまで?」
「11月まで」
「じゃあ、Tとはどうやって知り合ったん?」
「こないだの、マンハッタンであったジャパニーズフェスティバルのボランティアで」
「ああ!炎天下の中で一日中立ちっ放しでなんか配ったやつ?」
「そうそう、あれ。僕なんか気合い入ってて、前日からマンハッタンに泊まり込んで行ったんです。めっちゃバカにされちゃいました」
さもありなん……

駅に着いて、長い階段をテクテク上っていると、上からどんどん人が降りてくる。
え?!もう電車が着いてたっけ?!と焦ると、「マンハッタン行きの電車がね、反対側のホームに着くってアナウンスがあったよ」と教えてくれた。
けれども、券売機がマンハッタン側にしか無いので、とりあえず券を買いにホームまで上らなければならない。
「アメリカって不便っすね~」
「そうだよ~、アメリカは電車については超原始国だよ~」

D君を見送ってホッと一息。家の外階段の側に露草の群生を見つけ、急にちっちゃいのを撮りたくなった。



あ、ここにもちっちゃいの。



どれどれ、後ろの庭にもあるかしらん……とドライブウェイを歩いていると、



はいはい、きみもちっちゃいよね、確かに。



無心過ぎて、わたしがけっこう近づいているのにも動じないリスくん。



葉っぱがついてるのもゲット!ちっちゃいけどよく食うなあ~。








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合同リハーサル第一回目

2010年08月28日 | 音楽とわたし
昨日のA子との二回目の合わせが終わり、とりあえず及第点をもらってホッと一安心。
旦那は例の『タパスバー』に出かけるため、マンハッタンに戻るA子と一緒に電車に乗ってった。

よっしゃ~、今夜はひとりで気ままに、練習したり食べたり、ほんでもってまた練習したり食べたり、好きなよぉ~に過ごすぞ~!と思いきや、

「おかあさま、今日の予定、いろいろあったのがぜ~んぶキャンセルになりまして」とKが言い、
う~ん、それなら作ってやらねばな~、でも、Tは多分飲みに行くだろうから、ふたりだけやったら外食もいいな~とTに電話すると、
「あ、今夜は家で食う」

あかん……作ろ。

ちょっと上等の牛肉の塊を買って、それを角切りに小分けしたのが冷凍庫にあったので、それを急いで解凍して、日本式カレーを作った。
旦那はこのカレー粉を使うのを好まないので、彼が居ない時(非常~に少ないのだけど)を狙って作るカレーなのだ。
次々におかわりする息子達を見ていると、なんだか昔を思い出して、ちょっとほっこりした。

食べてから1時間だけ練習。A子からの新しい注文や教えを、どこまで体にしみ込ませることができるか、それが明日の本番までの課題。
けれどもかなり疲れてきたので、明日の午前中にできることを残して体を休めることにした。

そして今朝、6時15分に(今朝は少し時間がずれた)またまた4回目のビービーが鳴り響き、けれども根性でもう一度寝直してから起床。
ゆっくりと朝食をとり、お腹の調子も整ったところで、さて練習すっか~と、着替えも歯磨きも洗顔もしないままピアノに向かった。
それほどマジでするつもりが無かったのに、やり始めるとつい熱中していて、時間がわからなくなってきた頃、

「ハロー!」という声が玄関の方から聞こえた。ドアは思いっきり開けられていた。


誰やろ、こんな時間に?とピアノの前で訝っていると、姉弟の生徒達と、彼らのお父さんとおばあちゃんがゾロゾロと部屋に入ってきた。

が~ん……またやってもたがな……

土曜日に変更したのをスケジュール帳に書き込んだのだけど、それが来週の土曜日の欄だった……。
わたしの服装は、よれよれの薄手のパジャマズボン(昨夜は気温がグンと下がって寒かった)と、真っ赤なこれまたお古のTシャツの上に長袖の、もちろんよれよれのカーディガン。よれよれ三兄弟をまとっていて、しかもノーブラ。顔も歯も洗ってなくて、髪の毛も多分ボサボサ。普段のだらし無さが恨まれる一瞬とは、このような時を言うのかしらん?

こうなったら仕方が無い、見学している父親と祖母には、わたしの表側ができるだけ見えないようにしながら、レッスンを進めるっきゃない。
時間がどんどん過ぎていく。今朝の練習時間が刻々と削られていく。
生徒はふたりとも、被爆ピアノのコンサートに出そうと思っている生徒達なので、いっぱい伝えたいことがあるし簡単に妥協もできない。

レッスンが終わるともうお昼過ぎで、シャワーに入って身支度すると、もう出発の時間が来てしまった。

今日のリハーサルは『パールスタジオ』。初夏にゴスペルの合唱のリハーサルがあった所で、部屋もドンピシャ!同じ部屋だった。
ACMAの役員だけの写真と、コンサートに出演する演奏者のグループ写真を撮り、いよいよリハーサル開始。
今年の演奏者のレベルは去年のそれと比べるとかなり上がった。選曲もなかなかおもしろくて、カーネギーではどんな響きになるのかがとても楽しみ!
部屋には2台ピアノがあったのだけど、残念ながら2台ともアップライトで、しかも調律が狂っていた。
マシな方を選んで、それぞれのピアニストが弾いたのだけど、やっぱり音の響きや全体のバランスを調整するのがとても難しかった。

わたしとA子の番が来て、ピアノと格闘しつつも、せっかくできたことを弾き逃したくなかったし、A子に気分良く歌っても欲しかったので、音楽の神様に祈りながら弾いた。
それなりの演奏しかできなかったけれど、わたしにとってはあの4日間の意味がとても大きいので、これが次のステップへのきっかけになると、とても楽しみにしている。

でも……ジプシーソングの2曲目、『母の教えたまいし歌』の中の、最も大切な響きを作る左手の、ピアノでいうと1番低い『レ』の鍵盤が、いくら押し込んでもスカッという哀しい物音しか出なくて、まあ、H師匠の話の中の、鍵盤そのものが一本欠けていたピアノに比べたら鍵盤があるだけマシじゃん、と言われてしまいそうだけど、あっても音が出なきゃ意味ないやん、とも思うわけで……。

なんてこともあったけれど、ほんでもってコケたけれど、楽しめたので嬉しかった。緊張していたけれど、ワクワクしていた。
これからもっともっと良くなるからねA子。よろしくね。

でも、明日から13日までは、『被爆ピアノコンサート』に向けての練習が中心になる。
ブラームスとショパン。歌うぞ~
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間に合った!

2010年08月27日 | 音楽とわたし
今日までほんとに、文字通り必死だった。

あの悲しくて苦しくて腹立たしくて惨めだった、A子の歌との初回合わせの後、時間を見つけてはピアノの前に座った。

パートナーをあんなに不安にさせてしまって、それが恥ずかしくてたまらなかった。

歌詞を楽譜に書き込み、情景を想像した。

絶壁や岩山、高い空をスウッと横切っていく鷹、満開の花びら、疾走する馬、緑の森の広間、子供を抱く母親、日焼けした肌をつたう涙……。

歌わずにはいられない、自由に向けての永遠の束縛と自由への執着に運命づけられたジプシー達の声を、A子が見事に歌い上げる。

わたしも歌いたい!切実にそう思いながら、4日間、音を作る練習を重ねた。

A子が喜んでくれた。
いいね~いいね~と盛り上げてくれた。まるで別人だよと褒めてくれた。

「もっと遠くに音を響かせるように」「そこでバタンと終わってしまうんじゃなくて、次につなげていかないと」
彼女の注文はとてもわかりやすい。なぜなら全身で、その言いたいことを見せてくれるから。

今日もいっぱい学ぶことがあった。いろいろ教えてくれてありがとうA子。

今はとにかく、明日に間に合うことができてよかった。今夜は安心して眠れそう。

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行くべきか行かざるべきか

2010年08月27日 | アホな小話
旦那はここ数日間、密かに、けれども真剣に悩んでいた。

行こか、いや、やっぱり行かんとこか……。

その先は、マンハッタンはとある所にある『トップレスバー』

大学時代からの友人Lが夏の休暇でマンハッタンに来ていて、彼の弟の誕生日パーティをするので、一緒に行かないか?という誘いを受けた。
彼とは土曜日にも、軽くお茶を飲む約束をしている。
旦那は彼の弟とはあまり面識が無い。だから、どちらかというと、友人について行く程度の軽めの勢いなんだけど、なんせその行き先がトップレスバーなので、ちょっと話がややっこしくなった。

旦那は男だ。当たり前だけど。
そして、おっぱいが嫌いな男はこの世にいない。ですよね?
なので、旦那もおっぱいが大好き。なはず。
たま~に、マンハッタンを歩いていて、トップレスバーの話が出たことはある。多分、店の近くを通った時とかに。

「いっぺん行ってみてもええよな」
「別にええけど、わたしがおらん時にして」
「ええやん、別に一緒でも」
「わたしはそんなもん見たないねん」

と、短い会話で終わってしまい、幻の宮殿と化していたトップレスバーが、なんと突如、旦那の目の前にドド~ンと現れたのだ。
そりゃ混乱するだろう。
ちょっと嬉しかったり、恥ずかしかったり、ワクワクしたり、けど、なんとなく微かに罪悪感みたいなもんもあったり。
そんなこんなの感情の渦をココロの海にいっぱい作りながら、旦那は悩みに悩んでいた。

行こかな~、やっぱり行かんとこかな~。

あんまりグズグズしてる夫を、「ええやん別に、行ってみても。入ってみて居心地悪かったらその時点で出たらええんやし」などと励ます妻。

けど、世の中にはそんなけったいな場所で誕生日会をする男がいるんやな。
離婚して独りモンになったLやったらともかくも、彼の弟って既婚者やのに……などと思ったりもした。


そしてとうとう、当日の今日になった。
昼過ぎに、仕事場から旦那がメールを送ってきた。
「やっぱりやめる。これからLに断りのメールを送っとく」

あ~あ、もったいない!せっかくの社会見学のチャンスを……と思ったけれど、わたしはその時、A子と合わせるためにピアノをガリガリ弾いていたので、読み逃げしたまま返事を送らなかった。

そして少し時間が経ち、そろそろA子が来る時間だとパソコンをつけると、また旦那からメールが入っていた。



思い余った旦那がLにメールを送ってからすぐに、そのメールを読まないまま、Lから電話がかかってきた。

「今日、行くだろ?」
「う~ん、それなんだけどさ~、やっぱそういう色っぽい所はどうかと思ってね……」
「……なんだって?」
「だからさ~、そういう色っぽい所がね……」
「ちょ、ちょっと待って、今弟と代わるから」
「もしもし、ええと、場所がわかんなくて迷ってるのかな?いい焼酎を置いてるので有名なジャパニーズの店で」
「……」(えぇっ!そ、そんな……日本人のトップレスならなおさら行かれん!←心の中で咄嗟に思った旦那)
「テンっていう名前の居酒屋なんだけどさ」

「へ?」

こちらでは、居酒屋のような、ちょこちょことしたおつまみを出す店のことをタパス(スペイン語でおつまみという意味)バーと言う。
旦那はタパスをトップレスと聞き間違えたらしい。
そして数日間、おっぱいプリンプリンの女の子の姿を思い浮かべながら悶々と悩んだのだろう。
こういうのも、骨折り損のくたびれ儲けと言うのだろうか……。

お疲れさん。


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