ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

サイレント・フォールアウト・伊東英朗監督「アメリカを変えること。僕はそれしか方法がないと思っています」

2024年07月23日 | 日本とわたし
放射線を浴びたX年後 Ⅲ
サイレント・フォールアウト 乳歯が語る大陸汚染

ネバダ州の核実験から広がった“見えない放射性下降物”
アメリカ大陸の放射能汚染の実態に迫る渾身のドキュメンタリー

1951年、アメリカ大陸ネバダ核実験場で大気圏内核実験が始まった。
計100回に及ぶ実験は、アメリカ大陸を放射能汚染。
それを実証しようとしたのは女性たちだった。
「子どもの命を守りたい」。
彼女たちの思いと行動が国を動かした歴史的事実とともに、放射能汚染に向き合う30人の証言と当時の文書から、いまなお潜む、“サイレント・フォールアウト、見えない放射性降下物”の実態をあぶり出す。
元ローカルテレビ局ディレクターで、ドキュメンタリー映画監督の伊東英朗によるシリーズ映画「放射線を浴びたX年後」第3弾。
過去2作品では、アメリカによる太平洋核実験で被曝した、マグロ漁師たちの被害を取り上げてきた。
今回は、1950年代から60年代にかけて、アメリカ・ネバダ州で実施された核実験による、アメリカ大陸の放射能汚染を追った。
本作は、子どもを被曝から守るために女性たちが始めた「乳歯検査」を中心に取材。
4000ページを超える文書と、2022年夏に米国内の被爆者、研究者30人に行ったインタビューをもとに、今も続く放射能汚染の現実を伝える。

以下は、この映画について書いた、昨年の11月の記事です。興味がある方は覗いてみてください。


そして先週の土曜日に、マンハッタンで行われた上映会に行って来ました。
軍事拡張のためと言って、空いてる場所ならどこでもできるとばかりに、周りに暮らす人々の健康や命のことなど無視して、核実験を繰り返す人たち。
核爆発を見せ物のように宣伝し、そこに集って見物する人たち。
狂っているとしか言いようが無いけれど、そうやって人類は破滅と皮一枚隔てたところで、仮想世界の平和につかまりながら生きてきた、そして今も生きているような気がします。

前に書いた記事から引用させていただきます。
映画監督でありTVディレクターである伊東が、2004年から追い続けているテーマがある。
それは、原爆、原発、核、水爆実験などと切っても切り離せない放射線だ。
1942年から始まったマンハッタン計画は45年の原爆投下に繋がり、続く核実験、54年のビキニ環礁水爆実験で被曝した第五福竜丸は氷山の一角で、62年にかけて米国や英国が太平洋で行った水爆実験の数々で被曝したであろう日本人たちは数知れない。
このテーマを追い続けているのには理由がある。
ビキニ事件における放射線の被害を調査し、報道を続けている人が他にいないからだ。
「僕が止めてしまうと、この調査はストップしてしまいます。放射能がいかに私たちの生活にとって脅威であるかということにみんなが気がついて、事実を突き止めようと動き出してくれる人が出てくるまで、僕がやるしかないと思っているのです」

伊東は元々、奏者になることを夢見てトランペットを演奏していた。
養護学校で音楽を教えたかったが、それが実らず、就いた仕事は幼稚園の先生。
映像について勉強をしたこともない伊東は、映画監督になるとは夢にも思っていなかった。
「もともと、僕は子供たちに教えることが好きで、幼稚園の先生を16年やっていました。いわゆる公務員です。40歳の時、教育委員会への異動が決まり、現場で教えることにこだわっていたので、退職届けを出しました」
自称「変な人」を名乗るように、幼稚園教師から映画監督になった人間は世の中に数えるほどしかいないだろう。


その伊東監督が、今回の上映会でお話しされた内容(質疑応答も含む)を文字起こししました。

いきなり冒頭から前略ー(なぜかというと、録画のボタンを押すのを忘れて、隣の人に教えてもらって慌てて録画を始めたので😅)

まず日本の話をする前にアメリカの話をします。
これは線量計です。いつも持ってます。
こうやって測ります。
2年前アメリカ全土を取材しました。
その多くのポイントで、安全基準値を上回っています。
今現在がその状態です。
皆さんは、そのアメリカに暮らしています。
じゃあ日本はどうなのか。
日本はとてつもない状態です。
それはなぜかというと、アメリカの水爆実験のフォールアウト、ロシアの水爆実験の影響、それはでも、1963年にケネディ大統領が中止宣言をして、ロシアとアメリカとイギリスが中止しました。
だから63年でその影響は終わっています。
ところが翌年、中国が核実験を始めます。
1980年代まで、中国は大気圏内核実験を行いました。
日本は、ひどく、長く、放射能汚染をし続けています。
その上に、1980年代にチェルノブイリの事故が起こって、相当強く放射能汚染をしました。
そして、今お話しされた、2011年、福島第一原発事故は、想像を絶する放射能汚染を日本に撒き散らしました。
科学的に言うと、東京の東側は人が住めません。
ところが日本政府は「安全です」と言います。
だから何も問題はありません。
今日、皆さんにお話をしている僕は日本人です。
なんで日本人に俺たちは言われなきゃいけないんだと、そう思う人もいるかもしれません。
でもちょっと待ってください。
僕は人類の中の一人です。
だから言う権利があります。
皆さんに事実を伝えたいと思っています。

また二つ、お話をしたいことがあります。
5分間辛抱してください。
アメリカの奇跡に気がつきましたか?
アメリカのネバダでは地下核実験が828回行われています。地下です。
もし、1950年代、60年代、自分たちの子どもの安全を確保したいお母さんたちが、女性たちが、もし動かなかったら、もしケネディ大統領が大気圏内核実験を中止することを決断しなかったら、もし828回の地下核実験が地上で行われていたら、アメリカ大陸は人の住めない大陸になっていました。
これはアメリカの歴史上最も重大な事実の一つです。
だけど、アメリカの多くの人たちはこの事実を知りません。
今日皆さん、映画を観て事実を知りました。
何をするか、分かってますよね。
知らせてください、皆さんに。
悲しい話ばかりじゃないんです。
アメリカには希望があります。
奇跡が起こる国なんです。
来年、原爆がアメリカで生まれて80年になります。
(この会場には)女性がたくさんいます。
奇跡を起こしましょう。

そしてもう一つだけ、大切なことは、自分たちが被爆者であるという自覚を持つということです。
これが全てのスタートです。
遠い話ではありません。
放射能の問題は遠い話ではないんです。
皆さんの国は核兵器を持っています。
世界で最も強い国と言われています。
ちょっと皆さん、聞きたいんです。
核兵器は、国を守るためのもの、ですよね?
でも、核兵器を持つために、皆さん自身、皆さんの子ども、お父さんお母さん、兄妹、友だち、親戚、皆さんの健康と命を差し出しています。
じゃあ一体、核兵器は誰を守っているんですか?
アメリカ国民ですか?
アメリカという国?
国と国民は違うんですか?
そして最も大切なことは、その事実を知らされていません。
いいんでしょうか?
僕は、そのことに怒りを感じます。
もし怒りを感じたら、ぜひ議論をしてほしいんです。
殴り合うんじゃないんです。
議論をしてください。
日本人としておこがましいですが、人類の一人として皆さんにこのことを提案したいんです。
だから、この映画を作って(感極まって言葉に詰まる伊東監督…彼のこれまでの奮闘を思うと、こちらまで胸が熱くなる)アメリカで上映をしています。

映画を作る過程で驚いたこと。
それは女性の名前を、そこにどう記録するかということです。
その当時、女性の名前は、夫の名前がフルネームで書かれます。
その後ろに、その妻、と書かれます。
あの当時、女性は夫たちの持ち物だったと、そういう人権だったということです。
その女性たちが、力を合わせて、行動を起こして、ケネディ大統領を動かしました。
今だったらもっともっと、行動を起こして成功できる可能性が高い時代です。
僕はアメリカに来て、アメリカで、先ほど言いましたが、議論をしてほしいんです。
これは友だちでもいい、家族でもいい、職場の人でもいい、その声を大きくしていくことが今必要です。
そして僕が最終的に目指しているのは、アメリカ議会でこのことを議論することです。
そして皆さんの中に、バイデンの友だちの人はいませんか?
ようバイデン、聞いてくれ。
(会場から、「でも、トランプの可能性もありますよ」と言われ)、トランプも(と苦笑)。
なんでもいいです、とにかく皆さんで声を上げて議論をして、この世論を大きくしてください。
僕はこれ、アメリカの人たちにお願いしたいことです。
今ここに、成功例は残念ながらありません。

僕が測って驚いたのはセントルイスです。
普通に歩いている時はそんなに高くないです。
でも、雨が落ちて、雨樋を通って、雨樋の下に水が落ちます。
そこで測ると基準値を超えています。
なぜかというと、放射性物質が風で運ばれて、雨で落ちて、落ちたものがその場所に溜まり続けるからです。
それを飲んでいるわけです。
それは、ミツバチがセシウム137を一生懸命集めて、濃縮してしまうのと同じ原理です。
アメリカでも日本でも同じですけども、オーガニックの野菜を気をつけて食べておられる方がいらっしゃると思いますが、オーガニック野菜には農薬は入っていません。
でも、放射能はもれなく入っています。

今の世代の子どもたちの乳歯テストが行われているかどうかは知りません。
でも調べることはすごく大切だと思いますが、核を推進する人たちにとってみると、それはやって欲しくないことです。
調査をしないということは『無い』ということとイコールなんです。
だから調査はしません。

視聴者からの質問
ネットで観られる、例えばNetflixとか、アメリカの多くの人たちに観てもらえる方法があれば、せひ教えてください。
伊東監督
今、YouTubeにもし流したとしても、誰も観てくれません。
視聴者
YouTubeからでも始めたら、それはいいきっかけになると思う。
伊東監督
ありがとうございます、やってみます。
視聴者
乳歯検査については、ジョー・メンガーノ氏に尋ねてみたらどうか。
www.radiation.org

社会に蔓延る問題に抗議し、それが相手に伝えられ、問題の解決に取り組ませる、あるいは止めさせる有効な方法というのは難しいと思います。
なぜかというと、日本だと私たちの政府がどう考えるか。
アメリカだと、皆さんの政府がどう考えるか。
そこに全て、あります。
日本政府は、汚染水を、安全だと言っています。
安全だから海洋に流す。
それを止めることはすごく難しいです。
日本でもたくさんの人たちが、福島の問題で頑張っています。
東京電力や日本政府を訴える裁判がたくさん行われています。
でも、ほぼ、全て負けています。
だから何をしないといけないのか。
だから僕はここにいます。
すごく遠回りなように見えるんですけども、アメリカの人たちが変わることで、その日本の問題も、世界の放射能も問題も、変わっていくと僕は考えています。
僕は、映画を、今回の映画は3作目です。
2作の映画は、日本国内で、300カ所で上映されています。
上映会場に行って、呼びかけています。「行動を起こしてください」
残念ですけど、一件も行動が起こりませんでした。
僕は絶望感を持っていました。
でも、そんな中、アメリカのルイーズ・ライスさんたちが起こした奇跡を知りました。
アメリカには希望がある、そして奇跡が起こると、僕は確信しました。
原子爆弾が生まれたこのアメリカで声が上がれば、世界の核の問題が大きく変わると、僕は考えています。
こんなことを皆さんに押し付けて申し訳ありません。

今回の、この北米上映ツアーの目標があります。
まず、アメリカ議会でこの問題を議論してもらう、ということです。
例えば、今、ロバート・ケネディさんにもアプローチをしています。
でも、彼は忙しい。
そして、もう一つはSDDs、国連が決めた環境問題のルールです。
その1番の目標は今、カーボンニュートラルになっています。
CO2の問題が、世界の環境の中で、最も重大な問題だというふうにSDDでは決められています。
でも皆さん、映画をご覧になって違うと分かりましたですよね。
CO2の問題、カーボンニュートラルも大切なんだけども、今、最も緊急性を要するのは、放射能による環境問題なんです。
今、SDDのメンバーにもアプローチをしています。
その1番の目標に、放射能による世界的な環境汚染という文言を入れてもらう。
そうすれば、世界の企業、いわゆる経済で動く企業が、放射能にエクスキューズをしていかないといけないようになるんです。
経済が変わることはすごく大切です。
軍事予算で儲けるんじゃなくて、放射能による環境汚染を改善することで儲けましょう。
大切なのは、反核、反原発、強い言葉を言うだけではなくて、経済を変えていくことがすごく大切です。
僕はそのことを実現したいと思っています。

日本では、hahaプロジェクト、ピースピースプロジェクト、それから歯歯(母・マザー)プロジェクトというものがありました。
活動しましたが、歯はほとんど集まりませんでした。
それから、1950年代、60年代、日本からも5000本以上の歯が、ルイーズ・ライスさんのところに贈られています。
集めたのは、国立衛生研究所、日本国の機関が集めました。
残念な結果ですけど、その歯にもストロンチウム90が入っていました。
ちょうど、僕たちの世代です。
僕は63歳です。
ちょうど僕らの歯です。
それで、歯の乳歯プロジェクトのこともまた映画化したいんですけども、僕はアメリカに来て、ほんとに驚くことばっかりなんです。
アメリカには放射能の問題がありすぎて、僕はもう頭が爆発しそうなんです。

例えば一つ、撮影の時のエピソードを話したいと思います。
(映画の中で)ラスベガスで車を運転してくれたジムさん、マスクしてましたですよね。
しかも、医療用のマスクです。
なぜ彼はマスクをしているか。
ラスベガスは、条例で、砂埃を上げてはいけないということになっています。
ジムさんは、軍を退役してから30年間、水を撒く仕事をしていました。
砂埃と水撒き、皆さん想像できますよね。
彼は、砂埃がたたないように水を撒く仕事をしていました。
なぜ水を撒かないといけないのか。
砂埃の中にプルトニウムが入っているからです。
プルトニウムは、地球上で最も危険な物質と言われています。
半減期が2万年以上です。
生まれると永久に人体に影響を及ぼします。
最も危険な状態は、気化した状態です。
0.0003グラムを吸い込むと肺がんになります。
だからジムさんは医療用のマスクをしています。
僕も彼の家に行くと、彼が急いで、マスクを僕たちに渡して、早くしろと。
観光客に言ってるのかと言うと、全く言っていないと。
みんな知らないで、カジノで遊んでいます。
それからもう一つ、ラスベガスの話で言うと、ラスベガスって今、人口4~5百万人ぐらい、相当大きな都市ですね。
ジムさんも言ってましたけども、元々は3~4万人の小さな町でした。
なぜ大きな街になったのか。
核実験ツーリズムです。
核爆発が起こる前に、ちゃんと告知をして、何月何日何時に爆発するというふうに宣伝をします。
そうするとアメリカ中から観光客が、キノコ雲を見るためにやって来ます。
ホテルのベランダで、ワインを飲みながら、核実験を見ます。
それが全米で大流行りしたんです。
それがきっかけで、ラスベガスは大きな街になりました。
そういうこともアメリカの人たちに知ってもらいたい。
そんなことがアメリカにはあり過ぎて、僕は何から手をつけていいのかわからない。

視聴者からの提言
・オペレーション・ベイビートゥース(乳歯作戦)というタイトルの映画を作ってみては?
・誰も聞きたくない話ではなく、お説教にならないような内容の映画を作ってほしい。
・放射能フリー経済を推進する企業を育てるというプロジェクトを立ててみては?

今までの間に、2000回以上の上映をしています。
人が生きていく中で合理性を追求すると、やっぱり今電気なんですよね。
やっぱり少し、アナログになってもいいんじゃないかな。

ドクター・ライスのことは、(今日も会場に来ていた)ジョセフ・マンガーノという方が書いた書籍で知りました。
彼女のことだけでも映画が一本できると思います。

わたしは、伊東監督は本当にすごい人だと思います。
人類の健康と命を脅かし続けている放射能汚染の現実と実態を世に知らしめ、知らず知らずのうちに被曝させられた人々にその自覚を促し、汚染を発生させた犯人に補償させる。
放射能汚染を、国際的な環境問題として捉え、実践的で現実的な改革を起こす。

その目標を達成するために人生を賭けておられます。
この映画を世に広めようと行動し続け、1000万円以上もの赤字を抱えてもなお、前に進もうと闘われています。
2度に渡り、クラウドファンディングが行われましたが、コロナ禍の発生や円安が続く中での海外取材や上映会には、予想をはるかに超える費用がかかります。
今現在は終了したクラウドファンディングのページを紹介させてください。
ここに全てが書かれています。
どうか目を通してください。
そして、再度ファンディングが行われる際には、お知らせをさせていただきますので、皆さんのご協力を心からお願い申し上げます。


米国『バイデン大統領、大統領選から撤退を表明』事情

2024年07月22日 | 米国○○事情

バイデン大統領が大統領選からの撤退を発表しました。
先日、オバマ元大統領が、バイデン大統領は大統領選から撤退するべきだと公言したので、これはいよいよかと思っていたところだったので驚きはしませんでしたが…。

オバマ氏の『X・旧Twitter』での投稿は以下の通りです。
ジョー・バイデンは、アメリカで最も重要な大統領の一人であり、私にとって親愛なる友人でありパートナーでもある。
今日、私たちはまた、彼が最高の愛国者であることを再認識した。
16年前、私が副大統領探しを始めたとき、ジョーの公務における目覚ましいキャリアは知っていた。
しかし、私がそれ以上に称賛するようになったのは、彼の人柄だった。
彼の深い共感と苦労して身につけた回復力、彼の基本的な良識、そして誰もが重要であるという信念。

就任以来、バイデン大統領は、その人柄を何度も何度も示してきた。
パンデミックの終息に貢献し、数百万人の雇用を創出し、処方箋薬のコストを引き下げ、30年ぶりに銃の安全に関する主要法案を可決し、気候変動に対処するために史上最大の投資を行い、公正な賃金と福利厚生を求めて労働者が団結する権利を確保するために闘った。
国際的には、世界におけるアメリカの地位を回復し、NATOを活性化させ、ウクライナにおけるロシアの侵略に立ち向かうために世界を動員した。

それ以上にバイデン大統領は、ドナルド・トランプ政権を特徴づけていた混乱、虚偽、分裂の4年間から私たちを遠ざけてくれた。
信頼や誠実さ、優しさ、勤勉さといった昔ながらの価値観を重んじる国、民主主義や法の支配、説明責任を信じる国、誰であろうと声を上げ、より良い人生を送るチャンスを得るに値すると主張する国。

この卓越した実績が、バイデン大統領に再選に出馬し、自らが始めた仕事をやり遂げるあらゆる権利を与えた。
ドナルド・トランプを再びホワイトハウスに招き入れ、共和党に議会を支配させることになれば、彼が生涯をかけて闘ってきたすべてのこと、そして民主党が掲げるすべてのことが危険にさらされることになる。

私はジョーが戦いから決して引き下がらないことも知っている。
彼が政治情勢を見て、新しい候補者にバトンタッチすべきだと決断することは、彼の人生において最も困難なことのひとつであることは間違いない。
しかし、それがアメリカにとって正しいと信じていなければ、彼がこの決断を下すことはないだろう。
これは、ジョー・バイデンの国を愛する気持ちの証であり、また、真の公僕が再び、アメリカ国民の利益を自分の利益よりも優先させた歴史的な例である。

これからの数日間、私たちは未知の海を航海することになるだろう。
しかし、私は、党の指導者たちが、傑出した候補者が現れるプロセスを作り上げることができると、並々ならぬ自信を持っている。
すべての人に機会を提供し、寛大で繁栄し、団結したアメリカ、というジョー・バイデンのビジョンは、8月の民主党大会で存分に発揮されると信じている。
そして、私たち一人ひとりが、その希望と進歩のメッセージを11月、そしてその先へと引き継ぐ準備をしていることを期待している。

とにかく今は、ミシェルと私は、ジョーとジルがこの危険な時代に私たちを勇敢に導いてくれたこと、そしてこの国が建国した自由と平等の理想にコミットしてくれたことに、愛と感謝を表したい。

さっそくトランプ氏は『X』で、バイデン大統領のことを「インチキ野郎」などと罵倒していたようですが、その『X』を買収したイーロン・マスク氏はトランプ氏に、毎月72億円の献金をしているような人物なので、トランプ氏は今後も言いたい放題ができるのでしょう。

テレビ討論会後、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの主流メディア、そして民主党進陣営内でも「バイデン交代論」が主張されてきました。
傍目からでもパニック状態に陥っていることは明白で、仮にバイデン大統領が不出馬を決心したとして、じゃあ一体誰が出るわけ?と…ため息をつく我ら民主党支持者の大人たち。

バイデン大統領はハリス副大統領を指名しましたが、彼女では今のトランプ氏の勢いに勝るエネルギーを発出させることはできないだろうなあ。

以下は『X』に投稿されたバイデン大統領のメッセージです。

アメリカ国民の皆さん、

この3年半の間に、私たちは国家として大きな進歩を遂げました。
今日、米国は、世界で最も強い経済力を有しています。
私たちは、自分たちの国を再建するにあたり、歴史的な投資を行ってきました。
高齢者のための処方薬コストを引き下げ、そして記録的な数のアメリカ国民への、手ごろな医療制度の拡充のために、歴史的な投資を行ってきました。
私たちは、有害物質にさらされた100万人の退役軍人に、決定的に必要なケアを提供しました。
30年ぶりに、銃の安全に関する法律を成立させました。
アフリカ系アメリカ人初の女性を、連邦最高裁の判事に任命しました。
そして、世界史上最も重要な、気候変動法を成立させました。
アメリカが、今日ほど優れた形で世界の先頭に立てるのはかつてないことです。

このどれもが、アメリカ国民の皆さんなしには成し得なかったことです。
私たちは力を合わせ、100年に一度のパンデミックと、大恐慌以来最悪の経済危機を克服しました。
私たちは民主主義を守り、維持してきました。
そして、世界中の同盟関係を活性化し、強化しました。

皆さんの大統領として務められたことは、私の人生において最大の名誉でした。
再選を目指すつもりでおりましたが、私が退任し、残りの任期は大統領としての職務を全うすることのみに専念することが、党と国にとって最善の利益であると信じています。

私の決断の詳細については、今週後半に国民の皆さんにお話しする予定です。

今はひとまず、私の再選のために尽力してくださったすべての方々に、深く感謝申し上げます。
カマラ・ハリス副大統領には、この仕事すべてにおいて並外れたパートナーであることを感謝したい。
そして、私を信頼してくれたアメリカ国民に心から感謝します。
そして、米国民の皆様が私に寄せてくださった信頼と信用に心から感謝申し上げます。

今の私は、今までと変わらずに信じています。
私たちが力を合わせれば、アメリカにできないことなどはないと。
私たちはただ、私たちがアメリカ合衆国(団結した複数の州によって成り立っている国)であることを忘れてはならないのです。

ジョー・バイデン

石丸構文は何故生まれたのか

2024年07月17日 | 日本とわたし
石丸構文は何故生まれたのか。『公平性を保つ』は言い訳?メディアも変わらねばならぬ時。

石丸構文っていうのがSNSで騒がれて1週間。
モヤモヤしてたけど、古館さんが作ってくれた動画がわたしの思いを的確に言葉にしてくれていたので紹介します。

文字起こしはじめ(省略部分が多々あります😅)
ー前略ー
NHKから「今回の敗因は何だと考えますか?」と聞かれた石丸さん、「マスコミの報道が全くなかったことが理由ではないか」と答えた。

マスコミの選挙報道に腹を据えかねていた男だ。
選挙が終わり、落選が決まったとなった途端に、それまでは無視していたくせに、急に寄ってたかって石丸さんの人となりを聞いてみたり、政策の問題点をあげつらい始めた。

(まうみ注・日テレは同インタビューの中で、今回の都知事選は踏み台だったのか、売名行為だったのかなどという、1ヶ月余りの壮絶な選挙運動をやり遂げた本人と支援者、そして応援した有権者に対してリスペクトが微塵も無い言葉を投げかけた)。

古市憲寿さんのインタビュー、なんであんなふうに言うのかなっていうのが、俺の正直なところ。

古市
「出口調査で2位で嬉しかったですか?」
(古館注・落選して2位で嬉しかったかと言う質問は過分にして聞いたことがない)
(わたしとしては、街宣を220回以上行い、心身ともに疲弊し、開票結果で落選を知った直後の候補者に聞くことかと憤慨した)

石丸
「勝ち負けなどという候補者目線の小さな話はしていないです。
そういう煽り方をするから、都民、国民の意識がダダ下がりなんです。いい加減にわかってください」

険悪なムードを収めようと日テレの女性キャスターが横から入ってきて、
「石丸さんのおっしゃる政治屋の定義は何なんでしょう」と聞く。

石丸
「政治のための政治を行う、党利党略、自分第一、それらを言っている者、やっている者を政治屋と私は定義しています」

ここで古市さんが横から入ってくる。

古市
「世の中を変えるって言うんだったら、石丸さん、企業家、NPO、官僚とか色々ある中で、石丸さんが政治家にこだわる理由ってのは一体何なんですか?」

石丸
「いえ、こだわってませんよ」

古市
「いや、いわゆる石丸さんが否定されている政治屋と石丸さんとのはどこが違うんですか?」

石丸
「何か堂々巡りになっているんですが、先ほど定義の話、しましたよね」

古市
「いや、改めて定義を聞いているんですけども、どうなんですか?」

石丸
「同じ質問を繰り返してます。さっきお答えしましたけど」

古市
「だからその定義を聞いている、どうなんですか?」

石丸
「もう一回言えってことですか?」

古市
「いや、まだ答えてないから」

中略

石丸
「言葉の定義じゃなく相違点を聞いてるんですか?」
(まうみ注・ここで時間切れになり、スタジオでは「いやあ、答えてくれませんでしたねえ」となった)

政治屋っていうのは、石丸さんにいちいち聞かなくても、政治という産業で金儲けをする裏金議員たちのことを言うんじゃないの?
古市さんはそれよく知ってるはずなんだよ。
で、古市さんはこう言いたかったのかなと俺は想像する。
「石丸さんは、政治を生業にする政治屋と一緒なんじゃないですか?」と。

とりあえずみんなの前で、選挙の時に、石丸という人間が『政治屋一掃』って大見得切ってガツンと言ったんだったら、有権者はそれを一旦預かって、裏切られたら投票でまたドンと示せばいいだけのこと。

アベマTVのパックンは同じ趣旨の質問をもっとシンプルに行なった。

パックン
「長い政治生活の中で、石丸さん、もしかしたら今後石丸さんが政治家になるんだったら、政治屋になることはないんですか?」

石丸
「ないです、そうなるんだったら辞めます。私もしたいことがあるんで」と答えていた。

そういうことじゃないかと思う。

ここのところ、サブウェイ含めて石丸構文ってのが、表層だけ捉えて遊びで流行ってる。
あの石丸構文っていうのは、質問者の整理がついていない状態の、何だかよくわかんない質問と、あるいは整理をしないで自分の求めている答に誘導尋問していく時に発せられた言葉を見抜いて、『その手に乗らないよ話法』を石丸構文と言う。
だから、石丸構文というのは、質問者が作ったもんだってことを言いたい。
なにも石丸さん本人が作ったんじゃないんだ。
質問者が意地悪に、ここ突っ込んでやろう、政治の具体性があんたは希薄だって言ってやろうっていうのを、遠回りに遠回りに言ってたりするから、なに遠回りに言ってんだっていう時にブラック石丸が登場して、ドンと言う。
で、言いすぎたなって思ったら、次また別なテレビ番組に出て、ホワイト石丸を演じる。
これを繰り返して、ホワイト石丸、ブラック石丸って、いいじゃない別にそれ。
政治をエンタメ化するっていう手段を言ってんだから。
政治をエンタメ化するのが最終目標なら困るよ。
だけど、徹底的に自分を売る時の手段としてエンタメ化するのはいいんじゃないかと思う。

古市さんを悪者にしてこんなことを言わせてもらったけど、言ってる俺も碌なもんじゃないの、実は。
先に言っとくけど、報道ステーション12年やって、ためにする質問も政治家にぶつけた、バーっとね。
選挙速報、選挙特番やっていて、隣のTBSからポンと入ってきて、今度はまたイヤホンを付け直して、そして政治家の先生がワンショットになってる、そこでこれを向き合うってなった時に、まだ頭の中が質問整理されてない。
共産党からその他自民党とか、ポンポン変わっていくわけだ、政治家の人が。
こっちも整理されていない時に、必ず、ああ定番嫌だなって思うけど、選挙速報の時のコメンテーターや司会系の質問のね、3つのセリフっていうのが必ずあるの。
これを使っちゃっててどんだけ虚しい思いを常にしてたか。
まず、はい、選挙結果出ますけども、今の受け止めは。
選挙戦、どうであれ、手応えはあったんじゃないですか?
受け止めから手応えという言葉に変える。
色々と愚にもつかないことを聞いているうちに、最後は、ま、今回負けたとはいいうものの、風を感じたんじゃないですか?
必ず受け止めから始まって最終的に風で終わるんだよね。
こうやって、質問者もね、なんかある種の意地悪さを持ちながら、それも複数対単数でパーっとやるというのもどうかと思う、選挙特番の作り方として。

政策や政治活動が希薄だとか、政策がまだ具体性が見えないとか突っ込むんだったら、もっと前の選挙期間中にやれよって話なんだ。
放送法第4条ばかり言ってないで、最終的にトータルで公平性を保てばいいんだから、蓮舫さんにも小池さんにも、選挙期間中に、もっともっとインタビューを深くするべきだったんだよ。
討論会だって、テレビは1回しかやらないで、インタビューもじっくり聞かないで、選挙期間中だから、公平性だから、56人も出てるからって、そればっかりだったでしょう?
都政っていうメガロポリス大東京の政治をどうやっていくのかと考えてたら、国政につながる。国政のことやってたらメガロポリス大東京にグーっと連関してくるに決まってる。
神宮外苑の再開発問題、プロジェクションマッピング(40億円以上費やして都庁舎壁面に投影)、それから政治と金、小池さんに対して自民党隠し、その戦略が持ち込まれたいろんなアングルで報道することはいっぱいあったはずなんだ。
ー後略ー



好きでも嫌いでも

2024年07月17日 | ひとりごと
胡瓜の苗を3本買って植えた。
3本ともが元気に育ったら大変なことになるとわかっていながら、ついつい植えてしまった。
今年は鈴木農場の鈴木さんにアドバイスをしていただいて土作りをしたからか、例年以上に苗がすくすく育ち、とんでもないことになっている😅。
夫とわたしとではこの量は消費できないので、ご近所さんに配り歩いているのだけど、それでも追いつかない時はピクルスを作る。
胡瓜が体質に合わない夫の分もと、わたしは毎食ごとに一本、甘味噌をちょいとつけて丸かじりする。
キリギリスも真っ青なのである。

先日、トランプ元大統領が遊説中に狙撃されるという事件が起こった。
現場の写真を見た時に、一番先に思い浮かんだのは、やらせじゃないのか?だった。
彼だったら、銃声がしてしゃがんだ際に、血とそっくりの液体を入れたカプセルを耳の近くで潰すことぐらいはするだろうと。
いくら嫌いだからって、さすがにこれは酷い考えだとは思う。
けれども、屋根の上から撃つという、それこそなんでそんな所から?という場所に銃を抱えた犯人が立っていて、その様子を見て事前に報告した人も居て、なのに演説は中止されなかったっていうのは解せない。
トランプ氏の、右手を高々と振り上げて雄叫びする姿を見て、大勢の支持者が呼応する。
暴力を、銃所持を否定しない人たちが興奮の坩堝にハマっている姿を見て、心底恐ろしいと思った。
犯人が何を思い、何のためにあんな愚かな行動に走ったのか。
銃器には銃器を。
そんな考えがまた蔓延りそうで、本当にうんざりする。

先日、東京都知事選に出馬した石丸さんに、「殺害予告」なるものが届いていたのだそうだ。
届け先がわからないからか、その脅迫状は安芸高田市の役場に送られた。
石丸さん本人だけでなく、ご家族に対しても、殺害と放火の脅かしが記されていた。
警察に届が出され、捜査が始まっているようだけど、過剰に反応して悪い連鎖が起こらないようにと、石丸さんは何度も注意喚起していた。

政治家は好かれたり嫌われたりする。
中には極端に好かれたり嫌われたりする人もいる。
そんな強い思いに囚われて暴走する者から危害を加えられてはたまったもんじゃない。
落ち着け、落ち着け、好きでも嫌いでもどっちでもいい。
けれども過剰になってはいけない。
SNSで煽ることはもうやめて欲しい。
カオナシでもカオアリでも、どちらにしても煽ったり誹謗中傷したりするのはもうやめよう。

好きという気持ち

2024年07月08日 | 日本とわたし
以下↓は、石丸さんの街頭演説の中で一番好きな言葉です。

「好きという気持ちに間違いはありません。全部正解なんです。なので、その好きという気持ちをぜひ大事にしてください。そして同じように、誰かの好きという気持ちを大切にしてあげてください。
その関係の上で生まれるやり取り、その中にこれから先の未来があるんです。これから先、成長していける可能性はそこにあるんです。
これまでと同じことを続けてて、同じ関係性を繰り返したって、新しいものはなかなか出てきません。
だからこそです。
自分が何を考えているのか、人が何を考えているのか、これを、その正義を、せっかくなんで共有してみてください」

彼はいつも「投票に行ってください。誰に入れてもいい、選挙を大いに楽しんで投票に行ってください」と訴えていました。
街宣は実に220回を超えました。
マスメディアにはとことん、意図的に無視されていましたね。
「いよいよ最終日になって、よくぞお越しくださいました」
これ、6日の街宣時に、マスメディアに向けられた石丸さんの皮肉です。

石丸さんを知ったのは、一昨年の夏に日本に行った時、大阪在住の弟から教えてもらったのがきっかけでした。
それから以降、全く自分の暮らしに関係のない安芸高田市の議会中継を視聴してきました。
よくYouTubeで流れてる切り取り動画ではなく、安芸高田市の公式ホームページに掲載されている議会の中継ビデオを、根気よく視聴してきました。

彼がYouTubeを使って得た投げ銭は、全て安芸高田市の財源になり、全国に名前が知れ渡ったことから、ふるさと納税が何倍にも増えて、学校設備などに使われています。
(まうみ注・安芸高田市の市長選挙が行われ、常々石丸さんと対立していた清志会のメンバーが市長に当選したことから、チャンネル登録をやめる、ふるさと納税の寄付をやめるという人がワラワラと出てきています。
石丸さんと4年間一緒に頑張ってきた市の職員の方々、石丸さんに刺激されて市政に興味を持ち始めた子どもたちは、そういう現象をどんな気持ちで見ているか…。
逆に反骨精神を発揮して、そして自分の意思をしっかりと構築して、安芸高田という小さな市の存続につながるアイディアを見つけていって欲しいと願っています。
不思議なご縁で繋がった安芸高田市の市議会ウォッチングは、これからも続けていきたいと思います。)

さて、選挙が終わって、石丸さん、色々言われてますね。
支援する人たちが自民党の関係者だったり、大企業の偉いさんだったりしたことから、自民党や統一教会の回し者だとか…。
実際、彼を応援する人たちの中には、わたしが大いに嫌ってる人もいて、なんでこんな人たちと…と思ったこともあります。
でも、世の中を変えるという時って、そういう好き嫌いの枠を取っ払って視野を広げる必要があるのかなと、冒頭の石丸さんの言葉のように、
「自分の好きという気持ちを大事に、そして同じように、誰かの好きという気持ちを大切にする。
その関係の上で生まれるやり取り、その中にこれから先の未来があり、成長していける可能性はそこにある。
これまでと同じことを続けてて、同じ関係性を繰り返しても、新しいものはなかなか出てこない。
だからこそ、自分が何を考えているのか、人が何を考えているのか、これを、その正義を共有する」
という行為が肝心なのだと思ったのでした。
この言葉は実は、わたしと夫の関係性の改良にも役立ったんです。
深いなあと思います。
けれども気がつくと、わたしのXには、石丸さんに対しての嫌悪感や不信感を抱く人たちのツイートが蔓延していました。
初めて、あれ、わたしはXの世界ではハズレ者になったんだなあと感じました。
そして、こんなふうに誤解や曲解をされてしまっていることが残念でたまりませんでした。
でもまあ、彼のあのものの言い方、少し改めた方がいいかも知れません。
不快感は得てして大きな反発を招くし、真意が伝わりにくくなるからです。


安芸高田市の議会、もちろん全員ではありませんが、話題になっている一部の議員さんたちの態度や資質には、本当に問題があります。
さらにはその議員を擁護する議長などもいて、四面楚歌状態の議会でした。
YouTubeでバズっている切り取り動画は、のらりくらりと、要点を得ない質疑を延々と続ける議員に、これでもかこれでもかと懇切丁寧に説明を続けていた市長が、とうとうのとうとう堪忍袋の尾が切れた、という場面です。
居眠り議員を叱責した時も、その人はそれまでにも何度も居眠りをしていた常習犯でした。
反省するどころか、議長と一緒になって、目を瞑りながら聞いていたと言い返すことから始まって、延々とあーだこーだとゴネ続ける年配議員たち。
議場での態度や物言いが怠慢過ぎるのは国会議員でも同じで、わたしたちが国会を視聴している際に、そういう輩に1発ぶちかましてやりたくなるじゃないですか。
それを目の前の小さな画面の中で見せてくれる石丸さんを見ていると、胸がすく思いがしたものです。
まあ、年配の議員さんたちにしたら、今までなあなあでやってこられたのに、いきなり出戻ってきた若造にズバズバと容赦無く指摘されて、きっとカッチーンときたんだろうとは思います。
確かに言い方はかなりきついですから、言葉や口調を選んで欲しいという気持ちがわからないこともありません。
が、質疑時間を大幅に超過して延々とゴネ続けたり、意味不明だったり、しつこく絡んだりされたら、あれぐらいのキレ方は当たり前だと思います。
その時点までは本当に辛抱強く言葉を聞き、そのいちいちに対して繰り返し返答し続けているわけですから。
ただ、それをYouTube上で編集して、お祭り騒ぎのように煽っては登録者数を増やす人たちがいて、その行為が当事者である議員やそのご家族を深く傷つけたことも事実です。

彼は「日の丸を背負ってアメリカ大陸を上から下まで回っていた、その時に愛国心を強く意識した」と言っていました。
わたしも国を出て24年経ちましたが、彼の言う愛国心という感覚がとてもよくわかります。
俗に言う保守とか右寄りという言葉で括られない、もっと純粋な、アイデンティティというか、他の何者でもない、わたしそのものというか、まあそういう感覚です。
彼の場合はそれが利他的な行動につながり、故郷の市政に携わり、困窮する地方自治体の現実を目の当たりにし、東京一極集中を地方との連携という形に変えることで、弱っている地域の底上げをするという目標を立てました。
そういう目標が立てられたのは、アメリカ大陸9カ国を第一線の経済アナリストとして回っていた人だからこそだと思いますし、安芸高田市の存続と発展を心から願っているからこその目標なのだと理解しています。
故郷の、そして故郷のように弱っている自治体、さらには日本の再建のためなら自分の人生なんぞくれてやる。
そういう姿を見て、支援したいと人が集まり、それが今回の選挙運動に繋がったのではないかと思います。

日本から出てこちらで働き、社会人として生きていると、日本の政治の幼稚さ、マスメディアの稚拙さが目につくという気持ちもわかります。
特にテレビの人たち。彼らの軽薄さ、他人へのリスペクトの無さにはゾッとします。もちろん誰もがということではありません。

長々と書きましたが、そろそろ終わります。
ということで、石丸さんの思想や見解の全てに賛成しているわけではないですが、これからも続けて応援していきたいと思います。

2024年7月7日

メイソン・ジェニングスを聴きに行ってきた🎵

2024年06月30日 | 音楽とわたし
「誰かだけ特別なんて信じないな。僕らは大きな仲間の部分部分なんだ」
Mason Jennings(メイソン・ジェニングス)のバイオグラフィーより

彼のコンサートを聴きに、友人夫婦と一緒に、うちから車で1時間半ほどかかるフィラデルフィア近郊の町まで行ってきた。
彼のことはずっと前に夫が教えてくれた。
なんとも不思議な歌い方をする人で、最初はその微妙なズレが気にかかって仕方がなかったのだけど、一旦慣れてしまうと今度は中毒性のある不思議な魅力に変化して、彼がカルト的な人気を開拓しているという意味がうっすらとわかる。
メイソンはホノルル生まれ。2歳のときにピッツバーグに移住して、16歳で高校をドロップ・アウトした。
彼の歌を聴いているとボブ・ディランが思い浮かんでくる。

例えばこんな感じ。
Duluth

会場はとても古い劇場で、なぜか今回は最前列の、いわゆる”かぶりつき”のテーブル席を夫は予約していた。






かぶりつきなだけに、その一帯は猛烈なファンたちが陣取っていて、夫はともかくわたしは特に、部外者であることをひしひしと感じながらコンサートを聴いていた。
その列の人たち(特に女性)は、メイソンの曲の歌詞を全て、一言一句間違いなく覚えていて、コンサートの始めから終わりまでずっと、彼と一緒に歌っていた。

舞台の上には一本のギター、そしてハーモニカ。

彼はギターとピアノを演奏しながら、自作の曲を次々に歌っていく。




彼の歌の和声はとてもユニークで、おいおいそこに行くか!とつっこみたくなることがよくあるのだけど、なぜか納得してしまう不思議な力がある。
客席が3分の1ぐらいしか埋まらなくて、なんか申し訳がない気持ちになったのだけど、彼もファンたちも楽しそうに声を掛け合っていて、なんともいい気分のコンサートだった。
それにしても、あれだけの数の曲の歌詞をきちっと覚えて歌えるってすごいなあ。
って、感心するとこそこ?😅

初夏の独りごち

2024年06月30日 | ひとりごと
わたしの髪の毛は直毛で太く、数が異常に多くて美容師さん泣かせだったが、ここ数年シャンプーをするたびに大量の毛が抜けるから、前よりはかなり減ってきたように思う。
さらに髪の毛そのものが痩せてきたからか、ちょっとでも湿気たり濡れたりすると、毛先がピンピンはねて収拾がつかない。
最近特に汗っかきになったので、いくら丁寧にカットしてもらっても、汗をかいた途端にあらゆる方向に跳ね上がる。
なんとかなだめようといろいろと試すのだけど、一旦はねると輪ゴムでぐるぐる巻きにしてもピンで止めてもまるで効果がない。
水の中に入っている間は気がつかないが、プール以外の場所でちょっとでも運動や作業をすると、いわゆる”滝汗”をかくようになった。
だからどんなにブローしようがセットしようが、汗をかいたらハイそれま〜で〜よ、である。
鏡を見るのが恐ろしいぐらいに髪の毛がぐちゃぐちゃになってしまう。
いっそのこと、夏の間だけ超がつく短髪にしてしまおうかと夫に言うと、う〜ん、美容師さんによく相談した方がええんとちゃう?という答えが返ってきた。
どうせまた、めっちゃダサい姿になる可能性が大きいと思っているんだろう。
わたし自身もその可能性は否定しない😅

脇毛はとうの昔から自然消滅し、眉毛も端から徐々に薄くなってきた。
左側だけだったほうれい線は今や右側にもくっきりと現れ、目の下のたるみは女版宍戸錠、いや、今だと女版真田広之か、とにかく半端なくタレ膨らんでいて目障りったらない。
口元は気をつけていないとへの字口になるので、気がついたらギュッと上に上げるのだけど、それも気づいた時だけだから時間にしたらしれている。
二の腕を隠せない水着姿で参加するアクアビクスのクラスでは、タプタプと盛大に揺れる両側の肉のカーテンを、人様の前に曝け出さなくてはならない。
ちなみにこの振袖二の腕は、加齢とか運動不足とかじゃなくて、高校時代からすでにこんな状態で、だから若い頃からどんなに猛暑であっても、ノースリーブの服は絶対に着ない。
半袖もだめで、肘まで隠れる袖丈でないと心が落ち着かない。

加齢に伴うもの、加齢とは無関係なもの、体質的なもの、遺伝で避けようがないもの、いろんな理由があるのだろうけど、やはりまあ、しょーもないと思いつつ、けれども気になる今日この頃(いや、今日この頃に始まったものではないが)のあれやこれやなのである。


一昨年去年と、2年連続でランタンフライの幼虫に襲撃された胡瓜を守ろうと、ネットの情報を集めては一つ一つ試したが、どれひとつうまくいかなかった。
そこでついに、網で囲うしかないという結論に達し、とりあえず言葉通り網で囲ってみたのだけど、雷雨と暴風で荒れた夜が明けて見に行くと、見るも無惨なことになってしまっていた。
こうなるともうこれしかないと、100ドル近くもする囲いを購入した。
最初からそうしていれば良かったのだが、自分たちだけのための超小規模な菜園の、それも胡瓜だけのために、そこまでお金を使っていいのかという気持ちが拭い切れず…ケチって損をするとはこういうことだ。

組み立ては単純作業だったのだけど、説明書がいい加減で、何度もやり直さなければならなかった。

あの毒々しい真っ赤な体に白と黒の斑点があるランタンフライの幼虫が、今年はただの1匹も食いついていない。やった!

毎日まだ生暖かい採れたれの胡瓜を、ゴマだれなどをつけていただいている。

茄子とししとう、それから枝豆も、どんどん大きくなってきた。

隣の葉っぱもの限定の菜園では、小松菜と水菜、それからアルゴラが、植え替えもしてもらえずにぎゅうぎゅうの雑居状態で育っている。

米国「2024年大統領選挙のためのテレビ討論会その1」事情

2024年06月29日 | 米国○○事情
昨日の夜9時から、大統領選挙に向けた第一回目のテレビ討論会が行われた。
場所はジョージア州アトランタ。
観る前からハラハラドキドキしていた。
バイデン氏は現職大統領としてうまく立ち回れるだろうか。ボロが出ないだろうか。
高齢であっても次期大統領として健康で、バリバリと職務を全うできるスタミナがあるのか。
そのことを有権者たちは最も重要視しているわけなのだから。

彼が会場に登場してきた時、ああだめだこりゃ、と思った。
歩く姿がヨボってるし、両手はだらんと垂れ下がったままだ。
まるで入院中の、病院の廊下を歩く患者みたいだ。

演説が始まった。
声がいつもより掠れている上に弱々しい。口ごもったり、長い時間俯いたり、口を開けたままぼんやりしていたり(していなかったのかもしれないけどそう見えた)、老いて覇気を失った爺さんという印象を与えてしまっている。

二人に向けられた質問はまず「経済」、そして「中絶」、「移民」、「ウクライナやガザでの戦争」と続き、2021年の1月に起こったトランプ氏の支持者たちによる「連邦議会の襲撃事件」、「トランプ氏の34件の有罪判決」、「環境」に至った。

トランプ氏は相変わらずの調子で、平然と虚偽発言や差別発言を繰り返していたが、今回は候補者のマイクの音源を主催者側がコントロールしていたので、発言の順番を守らなかったり時間超過をした際には、即座にプッツリ切られた。
なので双方ともに、発言時間や順番を守らざるを得なかったので、4年前のテレビ討論会のような不快さは感じずに済んだ。
バイデン氏は、社会保障制度を維持するために富裕層の負担を増やす、住宅建築を増やし価格を引き下げ家賃を制限する、中絶の権利は法的に守られるべき、などと発言し、夫もわたしも大いに納得した。
けれども冒頭で言ったように、弱々しい掠れ声の上に何度も口ごもったり、大事な数字を言い間違えたりする。
これでは発言の内容よりも見た目の印象が票に影響するのではないかと不安になった。

トランプ氏がしつこく繰り返したデタラメ発言の最たるものは、「民主党寄りの州では、妊娠9ヶ月が過ぎても、出生後でも妊娠中絶(殺人)を可能にしたいとしている」というもので、出生後の妊娠中絶ってなに?と思いつつ、よくもこんなウソを堂々と言い放てるもんだと、久しぶりに呆れた。
トランプ氏は、中絶薬の入手については阻止するつもりはないが、中絶の規制は州が決定すべきであると言った。
それに対しバイデン氏は、中絶を週の裁量に委ねるのは、市民権の保護を州に委ねることになると反論した。
トランプ氏は、バイデン氏の移民政策が、テロリストや麻薬中毒者、犯罪者を簡単に呼び寄せることになり、米国の暴力犯罪の要因であると言い切った。
「移民=テロリスト&犯罪者」の復活である。

トランプ氏は今、34件もの有罪判決を受け、中絶問題や連邦議会議事堂の襲撃事件についても大いに追及されるべき立場にある。
そして事実無根の暴言。
そういう彼に対してバイデン氏は、キレッキレの反論ができなかっただけでなく、声はかすれ、動きがしばしば止まり、両目がまるでマネキンのように光を失っていた。
これはまずい、非常にまずい。

トランプ氏は34件もの有罪判決を食らったことを逆手にとって、彼の支持者から支援金を受け取り、今やバイデン氏のそれを上回る額になった。
自身の落選は政治的暴力を受けたことになると言い切り、もし彼が前回のように落選したら、同じような行動(支援者たちによる荒っぽい反撃行為)を呼ぶ可能性もある。
もちろん移民に対する風当たりも強くなる。

誘導睡眠剤が必至の夜となってしまった。

夏の小確幸

2024年06月17日 | ひとりごと
気持ちがぐわんぐわんと上下左右に揺れた10日間だった。
ここに書き残しておきたい気持ちは山々だけど、公の場で話せるようなことではないので書けない。
あ〜でも書きたいなあ…😅

というような心持ちなので、全く関係のないことを今日はお話ししようと思う。
大阪の弟がお楽しみ箱を送ってくれた。
わたしが好きそうな番組を録画してくれたDVD、え?今時はスナックがこんなコンパクトな容量になったんか?!と一瞬ビックリしたおもろいティッシュ😆、

相方のFちゃんが買ってきてくれた高級佃煮、

わたしが厚かましくリクエストしたアオサ、これで朝ご飯のなんちゃって味噌汁を美味しくいただくことができる。😭

それからわたしの大好きなATSUKO MATANOさんの猫タオル。



裏庭をいい感じに整えたい気持ちはずうっと抱えているんだけど、1年のうちの90%は手付かずのままの野原状態😅。
階段を直してもらった時に、古い石段を廃物利用しようと思って、けれども長いままだと重くて大人二人でも持ち運べないので三等分しておいてもらったのだけど、それをどんなふうに配置しようかとずっと迷っていた。

とりあえず並べてみた。
この小さな(といっても一辺が40センチ以上はある)石が、これまためちゃくちゃ重いのである。
とてもじゃないが両手で持ち上げることなんてできない。
なのでまず横に立たせて、それを転がして?行ったのだけど、いやあ、実に大変だった。

次に庭のあちこちに埋まっている石やボードの破片も集めて並べてみた。
てんでバラバラ😅。

ゴールはまだまだ先…。

去年まで一つか二つの、それもとても小さな花しか咲かなかった紫陽花さんが、今年はこんなに咲いてくれた。

先代猫のショーティの最期を一緒に過ごしてくれた紫陽花さん。
彼女は亡くなる前日まで、この紫陽花の花に抱かれるようにしてじっと座っていた。


土作りをしっかりとした菜園で、茄子、胡瓜、枝豆、トマト、シシトウなどを育てている。
苗はいつもと同じく、鈴木農場から購入したものなのだけど、やはり育ち方が違う。いつもより力強い。
みんなすくすく育ってくれているのは嬉しいのだが、胡瓜の茎が太くなるにつれて、ランタンフライの襲来をどのようにして防ぐかを考えなければならない。
奴らはウリ系と柑橘系の野菜や木が大好きで、どんなに追い払ってもすぐに戻ってきて、茎が見えなくなるほどに隙間なくしがみついて養分を吸う。
一昨年はそのことに気づくのが遅過ぎて、胡瓜は全滅。
去年はそれこそいろんな手を使って戦った結果、そこそこの収穫は得られたのだけど、シーズンが終わる頃には疲れ果ててしまった。

なので今年は蚊帳で中に入れないようにしようと思い、手製の胡瓜専用蚊帳を作ってみた。



奴らがどこからも入り込めないように、網をホッチキスで止めたり杭を打ち込んだり、汗水垂らして数時間もかけて作ってみたけど、なんだかとっても頼りがない。
我ながら不満足な出来なのだけど、如何せん、体力も気力も尽き果ててしまった。
まあこれでしばらく様子を見ようと思ってたら、その日の夜にいきなり雷を伴う暴風雨に見舞われて、翌朝に見に行くと、案の定柱のあちこちが折れたり外れたりしていた😭。
結局、高額だから(100ドル近くする)と買うのを迷ってたブツを購入するしかないと諦めて注文をした。
はっきり言って、これは全く採算が合わない。
苗が成長して実が成り始めると、一日2本ずつ食べたとしても追いつかないので、ご近所さんに配って歩くことになる。
1本が1ドルとして、100ドル分の元をとるには100本もの胡瓜を食べなくてはならない。
夏の暑い盛りには、もぎたての胡瓜に鯛味噌などをつけてポリポリ食べるのも乙なものだが、毎日だと食べ飽きてくる。
もちろん漬物にしたり、炒め物に入れたり、他の使い道を考えるわけだが、それでもやはり100本はキツい。
菜園は採算度外視の、ジリジリと照りつける太陽の下、土をいじり、雑草を抜き、水をやり、野菜を育てる楽しみを味わうための空間なのだなあと思う。

というわけで、まだまだ収穫には程遠いので、鈴木農場の野菜をネットで注文した。
胡瓜をいっぱい入れてくれてたのでピクルスを作った。


かぶらと大根の葉っぱはふりかけに。


パティオでの初めての食事。

メインはこれ。


やらかしました😅

2024年06月06日 | ひとりごと
近所のYMCAの、火曜日の正午から始まるアクアビクスクラスに間に合うように、隣町の大きな通りを車で走っていたら、白いSUVの車が一旦停止を守らずに左折しようと飛び出してきた。
追突を避けようとしてクラクションを鳴らしたり、ブレーキをかけたり、ああもうこれは間に合わないと思って逆に逃げるためにアクセルを踏み込んだりしたけど、結局当てられてしまった。
当たりはそれほど強く無かったので、車が少し右側にぶれたけれども、身体的な傷は無い。
けれども気が動転しているからか、体が小刻みに震えるのを止めることができなかった。
相手はすぐにわたしの方にやって来て、ごめんなさい、本当にごめんなさい、あなた大丈夫?どこも怪我していませんか?と尋ねてきた。
とりあえず車を側道に停め直し、お互いに外に出て、ぶつけたところを確認し合った。
彼女の車は頑強で、バンパーの角に固い金属の補強があったので、そこにかすり傷がついた程度だった。
わたしの方は夫の父からのお下がりで、しかもその車は父に認知の症状が出始めた頃に運転していたので、車体のあちこちにぶつけた跡があって、だから彼女がつけた傷や凹みがどれなのかが判断しにくくて、お互いに苦笑いした。
わたしはそこで彼女の車の傷とわたしの車の傷を写真に撮っておくべきだったのだが、頭の中がフワフワしていて、そういうことに気が回らなかった。
さらに、こういう時は警察にまず連絡をし、それから保険会社に事故の報告をするべきなのだが、相手の女性はどうしても彼女の娘を迎えに行かなければならないので、自分の情報(住所、氏名、電話番号と彼女の免許証と保険証)を教えるから、あとはあなたの好きなようにしてくれ、と言って去ってしまった。
わたしは彼女がスーパーのレシートに走り書きした彼女の名前と電話番号、そして免許証と保険証の写真を撮った携帯電話を手に、しばらくぼうっと立っていた。
車に戻り夫に連絡すると、家に戻っているところだからあと5分ぐらいでそこに行ける。だからそこで待っているようにと言われたのだが、現場は家から車で2分もかからないところだし、もうYMCAに行く気力も無くなったし、とりあえず家に戻ることにした。
家のドライブウェイに車を停めたのだけど、家の前の道路が長年の(少なくとも15年以上)住民の陳情を遂にとりあげてくれて、大体的に整備し直している最中だったので、この通りに住む人たちの車は、一筋向こうの通りに止めなければならなかったことを思い出し、駐車しに行ったのだった…。
当てられた事故から20分ぐらい経った時のことだ。
わたしはバックで空いているスポットに車を停めようとしていた。
数秒後に、ものすごく大きな破壊音がして、わたしの車がガタンと揺れて止まった。
何が何だかわからなかったけど、何かにぶつかったのは確かだった。
バックミラーを見ると、グレーのセダンが見えた。
え?ぶつけた?わたしが?誰かの車に?
呆然として車から降りて後ろに回ると、無惨に割れたテールランプの赤いプラスティックの破片が道に散らばっているのが見えた。
相手の車は後ろのバンパーが少し車体から外れている。
わたしの車はバンパーがグシャリとへこみ、たった15分前に当てられたところがどこなのかもわからないほどに破損している。
そう、全く同じところを当ててしまったわけで、わたしはそのことにショックを受け、しばらくちゃんと息を吸うこともできなかった。

散らばった破片を片付けることもせず、その場に居た堪れなくなってまた家のドライブウェイに戻ってしまった。
そこに夫が戻ってきて、その顔を見た途端、あまりの情けなさに涙が込み上げてきた。
夫は最初訳が分からなくて、泣きじゃくるわたしの肩を抱いてくれていた。
わたしは普段、そんじょそこらのことで泣いたりしない。
だから今度は夫の方が狼狽始めた。
ことの次第を話すと、とにかく警察に連絡しようと言って電話をかけてくれた。
やって来た警官に事故の説明を始めたのだけど、はっきり言ってこんな奇妙な連続事故は理解し難い様子だった。
最初の事故は近所とはいえ別の町なので、彼がリポートできるのはわたしがぶつけた事故の方だけだ。
最初の事故の相手の保険会社に、一体どう説明したらいいのだろうか。
あのですね、今日の正午近くに、◯◯さんに車をぶつけられて、ご本人は全て自分が悪かったのでちゃんと直してもらってくださいとおっしゃっていたのですが、その15分後に、今度はわたしがご近所さんの停めてあった車にぶつけまして、◯◯さんがつけた傷がどこなのかわからなくなってしまったんですよね、えへへ…。

自分の保険会社と相手の保険会社に、夫の助けを借りて電話をした。
わたしがぶつけた車の持ち主(この通りに最近引っ越してきたばかりのゲイカップル)に、お詫びを言いに行った。
とんだ"welcome to our neighborhood!"である。
彼らはとても穏やかに、もちろん苦笑いをしながら、仕方がないことだと言ってくれたけど、やっぱり車の破損や修理は面倒なことだから、胸の内は複雑だろうと思う。
車の持ち主ではない方の彼は音楽家で、教会でオルガンを演奏していると聞いていたのだけど、別れ際に、あ、ちょっと待って、まうみに渡したいものがあると言うので待ってくると、楽譜を手渡された。
君んちにはピアノが2台あるでしょ。これ、バッハの曲なんだけど、一緒に弾きたいと思って。あ、僕はセコンドパートね、ファーストを弾けるような技術は無いから。
曲は「Sheep may safely graze」。とても心休まる、美しいテーマだ。
もしかしたら彼は、今のわたしの心をなだめるためにこの曲を選んでくれたのかもしれない。
ありがたいなあ。

事故ってほんと、一瞬のことで起こる。
自分の不注意が原因の時もあるし、どんなに用心してもたまたまその場に居合わせただけの時もある。
わたしも中二階から地下の入り口に真っ逆さまに落下したり、車に轢き逃げされたり、急な階段を頭から落ちたり、何度か死にかけた。
事故の後、あの時〇〇していたらとか、〇〇していなかったらとか、考えても全く仕方がない、何の役にも立たないことをあれこれと考えた。
今回の最初の事故はともかく、2回目の事故については、〇〇していたら、〇〇していなかったら、という思いがドドっと押し寄せてきて溺れてしまいそうになった。
まずは夫の言うことを聞いて、事故現場に留まっていたらよかった。
次に、家に戻ってドライブウェイに停めておけばよかった。
通りに駐車するときに、いつも欠かさずやっているように、後ろの確認をするべきだった。
それにしても恨めしいのは、家の通りのノロノロ工事だ。
これがちゃっちゃと済まされていたら、そもそもわたしは…いやいや、もうやめよう。
気が動転している時には思いもよらないことが起こりがちなのだ。
それを肝に銘じておこう。

ようやく始まった家の前の通りの舗装のやり直し工事。

普段お目にかかれない車がどんどんやってくる。