ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

ACMA演奏ミーティングにて、ステュアートとぽりぃさんのこと

2009年03月14日 | 音楽とわたし
今日は月に一度の、ACMA演奏ミーティングの日。

今年に入ってから、コミュニティバンドで知り合ったクラリネット吹きのステュアートに伴奏を頼まれて、うちで何回か演奏したところ、
いつの間にか、音楽についてのレッスンみたいになってしまって、近頃ではちょいとうるさい教師に捕まった可哀想な生徒っぽい合わせが続いていました。
気分直しと元気づけを兼ねて、ACMAの演奏ミーティングに出演してみる?と尋ねたところ、出る出る!と嬉しそうな返事が返ってきたので、即登録!

ニューヨーク室内楽協会でも演奏している彼には、もともとの伴奏者がいて、わたしに普段の練習用の伴奏を受け持ってもらえないか、という話でした。
そういう気楽なことなら、ということで、気楽に引き受けたわたし。
合わせている時も、お手伝いのつもりで、突っ込んだことも言わずに(というか、立場上言えずに)楽しくやっていましたが、
伴奏者を変えたくなった。あんたに専属の伴奏を頼みたい、と頼まれたその日から、それじゃあそのつもりでと、態度が豹変しちゃいました。
これって詐欺?

とりあえず、彼と一緒に演奏しながら(彼の担当の伴奏者さんはお気の毒だ)と呑気に同情していた部分を取り出し、拙い英語で必死に説明しました。
メロディを心の中で歌いながら演奏すること、テンポを足で取らないこと(彼のテンポは途方もなくマイペース)、音符の長さをきちんと数えることetc、
それと、疲れたからっていきなり止まらないでってことも……。
彼のクラリネットの先生は、ものすごい量の曲を演奏させてくれたのだけど、音楽的なことは一切教えてくれなかったそうで、
ちなみにその先生は、演奏家としてはいい線いっている方だそうで、たま~にいるんですねえ、優れた演奏と教えることが全くつながっていない先生……。
かなり底深い渓谷にピィ~ンと張られた一本の綱渡り的な今日の本番でしたが、さすがに大勢の人を目の前にしたからか、最後まで止まらずに演奏してくれたステュアート。
今日は彼のお気に入りのシューマン作曲『三つのロマンス』を演奏したんですが、長距離走がいきなり短距離走になったり、まだわたしが次の曲のためにページをめくっている時に独り始まっちゃったり(焦っ!)、
すべては昨日の最後の合わせで口を酸っぱくして言い、忘れそうだったので色鉛筆で無理矢理書いてもらったのに……ちょっと泣けました、はい。
でも、わたしもずっこけたとこがちょいとあったのでお互いさま。まだまだ修行は続きます。

さて、今日の演奏会が最後となったぽりぃさん。このブログのドビュッシーの記事を見て、遊びに来てくれたのがきっかけて知り合った彼女。
今日はとても美しいメンデルスゾーンの無言歌とショパンのノクターンを聞かせてくれました。
繊細に、丁寧に、一音一音を大切に歌いながら弾く彼女の姿を見ながら、心の中でさよならを言いました。
あ~あ、暖かくなったら絶対、連弾ごっこしようとワクワクしてたのに、ご主人の会社の陰謀で、急きょ日本に戻ることになったぽりぃさん。
でもきっとまた、いつか逢えるよね。きっと遊びに来てくれるよね。その時に、今回叶わなかった連弾ごっこ、いっぱいいっぱいしようね。