今年に入ってから、仕事でちょっと失敗したり、人間関係でちょっとイヤなことがあったり、悪夢ばかり見てるし、幸先が良くない年始めだなあとプチ欝です。ヤな予感や暗い不安を吹き飛ばすような吉事、起きてほしいなあ。
と願ってたら、私を通り越して家族の一人に、今すごく良いことが起きようとしています。それが早く幸せな現実になればいいなあ。とりあえず今は、自分自身の幸福は置いといて、そう願わずにいられません。正式に決まれば、ここでも発表したいと思います。
「列車に乗った男」
列車から、さびれた田舎町の駅に降り立った男。彼は、ひょんなことで知り合った元国語教師である老人の屋敷に宿泊することになる。互いに孤独と秘密を抱える男同士の心は、静かに通い始めるが...
パトリス・ルコント監督は、男同士の友情を描くのも上手ですよね。夢や希望や恋愛などで、ピチピチ&テカテカな若者・壮年の男と違って、晩節期の男の疲れや絶望、諦めで枯れた男心が、切なくわびしい。そんな黄昏男ふたりの、運命のような出会いが、ドラマチックでも熱くもなく、淡々と悲哀に満ちてるけど優しく描かれていて、しみじみさせられます。
なにげないシーンや台詞で、人生って残酷で皮肉、でも歓びがないわけではないものだなあ、と思わせてくれます。特に印象的だったのは、食堂のシーン。大騒ぎして迷惑な若者の客に、昔なら黙っていないが今は勝てないことが分かってるから、とクールに無視しようとする男。あきらめてばかりだった自分を変えるチャンスと、老人は注意しに行く。でも、相手は自分の元教え子だと判明、あっさり謝罪されてしまい、ホッとするやらガッカリするやらの老人。今でも教え子に慕われていたことは、老人の人生が決して得るもののない虚しいものではなかった証拠で、心温まる。けど、どんなに強く決意し勇気を出して行動に出ても、もう何の結果も生まない現実は虚しい。そんな人生の光と影が重なったようなシーンに、いろいろ考えさせられました。
老人は病気。男は銀行強盗の計画。お互いの深刻な事情に気づきながらも、相手の心にズカズカ入りこんだりせず、かといって見て見ぬふりをするわけでもなく、痛い核心に無遠慮に触れないよう、心配したり理解しようとしたりする、二人のやりとりの機微も、細やかで心に沁みます。劇的なシーンや美しすぎる台詞で感動させようとするのはやはり安易だなと、こういう映画を観ると思ってしまいます。
老人役は、ルコント監督作品の常連、名優ジャン・ロシュフォール。上品でウィットに富み、ユーモアを忘れないけど哀愁があって、それでいて純真な少年っぽさの残る可愛さも感じさせる、おちゃめで味わい深い爺さまです。
謎の男役は、ジョニー・アリディ。フランスの国民的スターと言われてる彼の演技、初めて見ました。し、シブい!激シブ!チョイ悪おやぢなんて、甘っちょろいもんじゃないです。まさに夜露死苦!なド不良おやぢ。黒い革ジャンを、あれほど違和感なく着ることができるおやぢ、なかなかいません。どっからどー見てもカタギじゃないオーラびんびんですが、カッコいいです。超クールで超寡黙。まさに、男は黙って、なキャラ。雰囲気ですべてを語ってます。演技が巧いだけの俳優では、出せない魅力かもしれません。ちなみに、「石の微笑」や「ゼロ時間の謎」など最近よく見るローラ・スメットは、彼がナタリー・バイとの間にもうけた娘。スメットというのは、ジョニー・アリディの本名だとか。
男の銀行強盗と老人の手術が交錯し、絶望的な終焉を迎えたと思いきや...やはり静かで淡々としてるけど、二人が生命と人生を交換したような、ちょっとファンタジックな感じのラストで、驚かせ感動させてくれるルコント監督の手腕、さすがです。
と願ってたら、私を通り越して家族の一人に、今すごく良いことが起きようとしています。それが早く幸せな現実になればいいなあ。とりあえず今は、自分自身の幸福は置いといて、そう願わずにいられません。正式に決まれば、ここでも発表したいと思います。
「列車に乗った男」
列車から、さびれた田舎町の駅に降り立った男。彼は、ひょんなことで知り合った元国語教師である老人の屋敷に宿泊することになる。互いに孤独と秘密を抱える男同士の心は、静かに通い始めるが...
パトリス・ルコント監督は、男同士の友情を描くのも上手ですよね。夢や希望や恋愛などで、ピチピチ&テカテカな若者・壮年の男と違って、晩節期の男の疲れや絶望、諦めで枯れた男心が、切なくわびしい。そんな黄昏男ふたりの、運命のような出会いが、ドラマチックでも熱くもなく、淡々と悲哀に満ちてるけど優しく描かれていて、しみじみさせられます。
なにげないシーンや台詞で、人生って残酷で皮肉、でも歓びがないわけではないものだなあ、と思わせてくれます。特に印象的だったのは、食堂のシーン。大騒ぎして迷惑な若者の客に、昔なら黙っていないが今は勝てないことが分かってるから、とクールに無視しようとする男。あきらめてばかりだった自分を変えるチャンスと、老人は注意しに行く。でも、相手は自分の元教え子だと判明、あっさり謝罪されてしまい、ホッとするやらガッカリするやらの老人。今でも教え子に慕われていたことは、老人の人生が決して得るもののない虚しいものではなかった証拠で、心温まる。けど、どんなに強く決意し勇気を出して行動に出ても、もう何の結果も生まない現実は虚しい。そんな人生の光と影が重なったようなシーンに、いろいろ考えさせられました。
老人は病気。男は銀行強盗の計画。お互いの深刻な事情に気づきながらも、相手の心にズカズカ入りこんだりせず、かといって見て見ぬふりをするわけでもなく、痛い核心に無遠慮に触れないよう、心配したり理解しようとしたりする、二人のやりとりの機微も、細やかで心に沁みます。劇的なシーンや美しすぎる台詞で感動させようとするのはやはり安易だなと、こういう映画を観ると思ってしまいます。
老人役は、ルコント監督作品の常連、名優ジャン・ロシュフォール。上品でウィットに富み、ユーモアを忘れないけど哀愁があって、それでいて純真な少年っぽさの残る可愛さも感じさせる、おちゃめで味わい深い爺さまです。
謎の男役は、ジョニー・アリディ。フランスの国民的スターと言われてる彼の演技、初めて見ました。し、シブい!激シブ!チョイ悪おやぢなんて、甘っちょろいもんじゃないです。まさに夜露死苦!なド不良おやぢ。黒い革ジャンを、あれほど違和感なく着ることができるおやぢ、なかなかいません。どっからどー見てもカタギじゃないオーラびんびんですが、カッコいいです。超クールで超寡黙。まさに、男は黙って、なキャラ。雰囲気ですべてを語ってます。演技が巧いだけの俳優では、出せない魅力かもしれません。ちなみに、「石の微笑」や「ゼロ時間の謎」など最近よく見るローラ・スメットは、彼がナタリー・バイとの間にもうけた娘。スメットというのは、ジョニー・アリディの本名だとか。
男の銀行強盗と老人の手術が交錯し、絶望的な終焉を迎えたと思いきや...やはり静かで淡々としてるけど、二人が生命と人生を交換したような、ちょっとファンタジックな感じのラストで、驚かせ感動させてくれるルコント監督の手腕、さすがです。