まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ひざまずくのは貴女よ

2019-09-29 | イギリス、アイルランド映画
 「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」
 18歳で未亡人となり、嫁ぎ先のフランスから故郷に戻ったスコットランドの女王メアリーは、従姉であるエリザベス女王に親愛を示しながらも、イギリスの王位継承権を主張。エリザベスはメアリーへの警戒心と情愛の間で苦悩するが…
 劇場に観に行きたかったのに行けなかった作品を、ようやくDVDで。時代劇大好き、特にイギリス王室ものは大好物!血で血を洗う骨肉の権力争い、複雑で愛憎にまみれたロイヤル人間関係は、凡庸な平民の私からするとファンタジー以上の別世界。美しい非日常にいざなってくれます。英国王室には映画やドラマにうってつけの史実が豊富ですが、中でも最も有名かもしれないのはエリザベス女王とメアリー・スチュワートの悲劇的な対立でしょうか。「女王陛下のお気に入り」のアン女王もでしたが、栄光と栄華の代償は人間として女としての幸せ。それを剥奪され、常に奈落の底に落ちそうな崖っぷちを歩いている不安と恐怖を味わい尽くさねばならない不幸な人生で、ちっとも羨ましくありません。凡庸な平民でよかった!と心の底から安堵します。

 イギリス王室ものといえば、負ければ問答無用に斬首の権力争いなのですが、この映画は私が好きな血なまぐさい陰謀劇ではなく、エリザベスとメアリーという二人の対照的な女性の、それぞれの女ならではの感情や苦悩、悲しみがメインテーマになっていました。現代の女性とカブる部分も多々ある描き方をされているので、それ私もあるある~と共感できるのはいいのですが、そういうのって私はちょっと苦手なんですよね~。日本の大河ドラマじゃあるまいし、女子受けを狙ったスウィーツさやライトなフェミニズムではなく、もっとシビアでハードな政争が見たかったです。

 エリザベスもメアリーも、女王なのにいるいるこんな女~なキャラでした。エリザベスはコンプレックスの塊で、自信のなさと不安で欝々としてるけどギスギスと強がってるメンヘラ女。あの時代、よい精神科医いなかったのでしょうか。ウジウジとメアリー処断を迷う姿にイラっとしました。自分よりすべてにおいて上な女は、不愉快だけど憧れるので仲良くしたい…そんな悩める女子高生みたいでした。

 一方のメアリーは、魅力的だけど人に愛される魅力ではなく、自分だけ輝ければいい的な身勝手な魅力。エリザベスと仲良くしようとしてたけど、あれって美人がブスを手なずけて自分の引き立て役にしようとするのに近いアプローチ。かなりKYで、結婚や出産といった自分の幸せアピールに、未婚のオールドミスであるエリザベスがどれほど複雑な気持ちになるかなんてまったく忖度なしな無神経さに、エリザベスじゃなくてもイラっ。最初で最後の対面シーンでは、はっきり言ってましたもんね~。私のほうがあんたより上!と。自尊心は誰よりも強いけど、女王としては無能。常に相手より優位に立つことに固執するあまり自滅する、愚かなマウンティング女みたいでした。

 感情的で狭量。これだから女ってダメなんだよ…そんなトホホ女王たちでした。誇り高い=自分の我を通す、我慢するぐらいなら周囲を巻きこんで自爆、じゃないと思うのだけど。宮廷劇としてはイマイチでしたが、ガール映画としては面白かったです。善い女よりヤな女のほうが見ていて面白いもんね。二人の女王を熱演したのは、同じ年に違う映画でそれぞれアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた旬の女優、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビー。シアーシャを見たのは、彼女が少女の時にオスカー候補になった「つぐない」以来久々。まだ少女っぽい透明感は残ってますが、ムチムチした体つきとかはもう熟女みたい。シアーシャからは何となくですが、ジョディ・フォスターやシャーリーズ・セロンみたいな男まさり、男嫌いのにおいがするのは私だけでしょうか。
 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でのチャーミングな好演も記憶に新しいマーゴット、なぜアメリカ女優の彼女がエリザベス女王役?と思ってましたが、なかなか堂に入った女王ぶりでした。美貌とともに女であることもかなぐり捨てて、どんどんバケモノみたいな面相になっていくのが怖かったです。白塗りメイクと赤毛、まるで昔のマクドナルドのマスコットキャラだったピエロみたいで笑えましたが。

 メアリーの二番目の夫となる貴族の青年ヘンリー役は、最近お気にの英国男子ジャック・ロウデン。この映画の彼もすごくカッコカワイかったです!優しそうで背が高くて、スラっとした長身に貴族の衣装が似合ってました。でも役は、とんでもないクズ男、情けないダメ男!メアリーをロマンティックに口説いて結婚したかと思いきや、すぐに本性を現すんですよ。軽薄で節操のないヤリチン、しかも相手は女ではなく男!BLキター!つっても、男同士のラブシーンなどはなし。ヘタレで無能なくせに欲張りで、メアリーほんと男運がないというか男を見る目がないというか。まあ、気が強い賢女にかぎって、ダメ男にハマっちゃうってことよくあるみたいですが。取柄はイケメンなことだけという最低な亭主だけど、ロウデンくんが可愛いので何か憎めないキャラになってました。

 もう一人、注目のイケメンが。エリザベスの恋人ロバート・ダドリー役は、「女王陛下のお気に入り」にも出ていたジョー・アルウィン。柔和なロウデンくんとは逆に、目つきが鋭く悪賢そう。ダークな貴公子として悪だくみするわけでもなく、いてもいなくてもいいような存在だったのが残念。エリザベスの側近セシル役は、大好きなガイ・ピアース。枯れたシブい熟年になりましたけど、まだまだ女っけのある役もイケそう。
 時代劇といえば、やはり楽しみなのが衣装とかセット。イギリスは質実剛健というか、華美ではなく派手でもないところが好きです。スコットランドの荒涼としつつも美しい自然にも魅了されます。スコットランドにもまた行きたいな~。
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フレンチな緊急取調室!

2019-09-23 | 欧米のドラマ
 ネットフリックスのオリジナルドラマ「クリミナル」は、イギリス編、フランス編、ドイツ編、スペイン編とヨーロッパ各国で製作されたインターナショナルな企画ドラマ。好きなスターが出てるフランス編を観ました~。全3話、1話完結という超コンパクトさが私にピッタリ。
 第一話:テロに巻きこまれた女性は、実は現場におらず被害者給付金を騙し取っていたのではないか?第二話:建設中のビルで起きた転落は事故ではなく、建設会社の女性幹部による殺人ではないか?第三話:路上で殴り殺されたゲイの男性。容疑者の男は同性愛者を嫌悪する差別主義者なのか?
 事件捜査ものは和製も洋ものも食傷気味で、よほどな新しい切り口か、好きなスターが出てるかじゃないと、最近は観なくなってしまってる私。このドラマは後者だったので観ました(^^♪第二話に大女優ナタリー・バイが、第三話にはジェレミー・レニエが容疑者役で出演してます。

 ナタリーおばさまもすっかりおばあさんになりましたが、さすがフランス女優というか、ばばあ臭は全然しません。年下の男と恋愛してるバリバリの現役女役も不自然ではないところがスゴいです。見た目はシックでフェミニンだけど、内面は男よりも強く毅然とした豪胆なところが、いかにもフランス女性です。ラスト、悲しい真実を突きつけられ、泣き崩れるようなことはしないけど、苦悩から一気に老婆になってしまったかのような表情が印象的でした。

 ジェレミーもすっかりおじさんになりましたが、レオナルド・ディカプリオとかと同じで、少年っぽさも残ってる可愛いおじさん。雰囲気や体つきが男らしいところが好き。同性愛差別主義なゲス野郎かと思いきや。意外な正体が悲しかったです。世界でいちばんLGBTの人々が生きやすい国だと思われてるフランスも、実のところはまだまだ彼らにとってはイバラ状態なんですね。

 「変態村」や「レミング」のローラン・リュカが、すっかり枯れたシブい熟年になってて驚きました。登場人物は5人の取調官と容疑者だけ、ほぼ取調室だけでドラマは展開する舞台劇のような内容。劇的な展開はありませんが、容疑者との激しい攻防、取調官同士の軋轢など、緊張感があって退屈しません。それにしても、尋問が挑発的すぎ攻撃的すぎ。すごい失礼で無礼なんですよ。もし容疑者が事件に無関係だったら、後で訴えられそう。チームを指揮する若い女警部が、メンバーから嫌われすぎて可哀想だった。そんなにヤな女じゃなかったけどなあ。若い女、美人、有能なエリート、ということが男からも女からもやっかみや敵愾心を受けちゃうんでしょうね。テロや労働問題、同性愛差別など、事件に重く暗い社会問題を絡めていたのも、いかにも面白おかしく作ったフィクションっぽさのないリアリティをドラマにもたらしていました。 

 ↑ ジェレミーの新作は、イザベル・ユペールの息子役を演じた“Frankie”が楽しみ(^^♪
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レオ&ブラピ キネマの天地

2019-09-20 | 北米映画 15~21
 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
 1969年のハリウッド。かつては主演スターだったが、今はTVドラマの悪役で食いつないでいる落ち目の俳優リック・ダルトンは、自分のキャリアに悲観的でアル中気味、演技にも支障が出る始末だったが、スタントマン兼世話係のクリフ・ブースに支えられ何とか仕事を続けていた。そんな中、リックの隣家に新進気鋭の映画監督ロマン・ポランスキーとその妻シャロン・テートが引っ越してくるが…

 クエンティン・タランティーノ監督待望の新作は、レオナルド・ディカプリオ&ブラッド・ピットという超大物スターの競演!リック&クリフというフィクションと、カルト教団によるシャロン・テート殺害事件というノンフィクションを融合させ、60年代ハリウッドの業界人たちの姿をタラちゃんらしい独特の趣向と演出で描いています。

 60年代のアメリカンなファッションと音楽がまず目に耳に楽しい!ヲタクなタラちゃんらしく、当時の映画やTVのネタ満載。あまりにもマニアックすぎるし、さすがにリアルタイムでは知らないので、ちょっとついていけないところも多々ありましたが、面白かったし勉強にもなりました。タラちゃんが誰もが知ってる名作とか意識高い系アート作ではなく、くだらなそうでチープなB級映画やドラマをこよなく愛してることが、すごく伝わってきます。

 当時のハリウッドの大通りや撮影現場を再現したセットが、大規模かつ精巧。CGだらけ映画を観狎れてしまってる目を、およそ驚かすばかりです。いろんな出演作でいろんな役やってるリックの衣装だけでも、相当の製作費がかかってそう。あと、当時の車!私は車には全然詳しくないのですが、どの車もレトロかつオシャレ。特にポランスキー監督とシャロン・テートが乗ってた二人乗りのミニが可愛かった!車好きの人も必見映画です。リックの出演作のポスターとかにも、タラのこだわりが感じられました。それにしても当時のアメリカ人って、セレブも庶民もテレビドラマが好きだったんですね~。
 
 この新作は、いつものタラ作品より小粋さが増していて、タラちゃんもすいぶん円くなったな~と思いきや、いよいよシャロン・テートが…なラストになって、思いもよらぬ展開そして阿鼻叫喚のヴァイオレンス!最後の最後に、タラちゃん節炸裂!過激すぎて大笑い!ブラピとレオの大暴れも愉快豪快でしたが、クリフの飼い犬が驚愕の大活躍!あんなにおとなしく賢い名犬だったのに、ご主人さまを助けるため最恐の狂犬に!そして火炎放射器!なんでそんなもんが家に?!まるで岡田あーみん先生の漫画みたいな狂ったパニックが笑えました。犯人たちが哀れすぎ!

 これからシャロン・テートが惨殺されるのか~と、恐怖と緊張感を抱かせておいて、え!?何?どーいうこと?!な予想外すぎる展開と結末に、うう~んそうきたか~!とニヤリとさせられるタラの脚本、やはり冴えてました。話の面白さだけでなく、主演スターの魅力を活かしつつも他の作品の彼らとは違う面や演技を引き出すところも、タラちゃんは天才的です。レオナルド・ディカプリオは「ジャンゴ」、ブラッド・ピットは「イングロリアス・バスターズ」ですでにタラ作品に出演済みですが、落ちぶれることなく今なお第一級のスターであり続けている二人の顔合わせ、さぞや演技の火花を散らしてることだろうなという期待は、いい意味で裏切られました。二人とも、ただもうカッコいい、可愛い。ヘンな力みがなくて、軽やかで楽しそうだった。
 まずはレオ。オスカーを受賞した「レヴェナント」以来、久々のお仕事復帰。
 
 レオもすっかりおじさんになったけど、可愛いおじさん。エキセントリックな役や演技がほとんどなレオですが、今回はメソメソしたりイジイジしたり情緒不安定、コミカルにネガティヴなレオが新鮮でチャーミングでした。台詞が出てこず泣きそうな顔になるレオが可愛すぎ!デカくて貫禄も恰幅もある風貌と、内面の大人になりきれないナイーヴな少年っぽさのギャップもレオの独特さ、魅力です。プライベートと仕事で衣装とっかえひっかえなレオ七変化も楽しい。リックだけでなくリックが演じる役のシーンもたくさんあったので、撮影たいへんだっただろうな~。ダメ男だけど演技に真摯なリックに好感。落ち目なのにあんなプールつきの豪邸に住めるなんて、ハリウッドスターの稼ぎってやっぱ桁外れなんですね。
 クリフ役のブラピは、顔はおじいさんだけど、カラダと雰囲気は若い!

 優しさと男気、そして危険な香り。女は惚れる男も憧れる、そんなカッコいい役はブラピぐらいのスターじゃないと、演じても説得力ありません。カッコいいけどカッコつけておらず、ひょうひょうとラフな明るさがまた素敵。笑顔がすっごく優しいんですよね~。Tシャツとジーパンがあれほど似合うアラフィフ男優、ブラピの他にいません。屋根のアンテナを修理するシーンでは、上半身裸になるファンサービスも。四捨五入で60歳になるおっさんの体とは思えぬ肉体美です。

 クリフに甘えるリック、リックを甘やかすクリフ、ほとんどハリウッド版おっさんずラブでした。二人の友だち以上恋人未満な関係は、BLでもゲイではなく流行りのブロマンスなところが、腐女子受け間違いなしです。リックとクリフ、きっと爺になっても同じ調子で仲良くやってそう。
 シャロン・テート役を、今ハリウッドで最もアゲアゲな女優、マーゴット・ロビーが好演してます。セレブ感がありながら、すごく気さくで気が善いシャロン。自分の出演作を独りで映画館に観に行って、スクリーンの中で転んでパンツ丸見えとか、かなりチープでアホな自分の姿を楽しそうに見てる彼女、おおらかで明るくて可愛かった。いい人の役だけど実際は性格悪いんだろうな、と思わせる女優が多い中、マーゴットは美人だけど人柄も良さそうで好きです。

 ↑ レオは今作で、ブラピはもうひとつの新作「アド・アストラ」の宣伝でそれぞれ来日してくれました。二人ともいい感じにおじさんになって、若い頃とはまた違った魅力。日本の某事務所のおっさんアイドルたちも、年齢にふさわしい仕事すればいいのにね…
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こんな小春日和の…

2019-09-17 | 映画雑記
 なかなか来てくれなかった秋も、ようやく近づいてる気配が。暑い夏は外に出るのも命がけでしたが、こんな小春日和の穏やかな日は~♪by 山口達也じゃない山口百恵 映画館にも軽やかに足を運べそうです。たくさん観るゾ!と意気込んだのはいいが、そんなに観たい映画がなくてトホホ。今秋に日本で公開されるこの5本は、何とかして観たいのだけど。

   グレタ

 イザベル・ユペールが親しくなった若い女性に執着するストーカー未亡人役を怪演。イカレた役だけどやっぱどこかスットボケた感じみたいで、ユペりん面目躍如。秀作「クライング・ゲーム」のニール・ジョーダン監督作品。

  フッド:ザ・ビギニング

 「ロケットマン」での快演も記憶に新しいタロン・エガートンが、新解釈のロビン・フッド役でまたまた魅力発揮。製作者のレオナルド・ディカプリオは出演してません。

  ファイティング・ファミリー

 最近お気にの英国イケメン、ジャック・ロウデンが何と!プロレスラー役!似合わねえ~!けど、意外とイケてるかも?こっちの製作者、ドウェイン・ジョンソンはちゃんと出演してます。

  WEEKEND ウィークエンド

 「さざなみ」など英国の俊英、アンドリュー・ヘイ監督の旧作が日本公開。ゲイカップルの日常や葛藤を、リアルに繊細に描いてるそうです。ちなみにヘイ監督は、ゲイであることをカミングアウトしてます。

  惡の華

 注目のイケメン、伊藤健太郎くんが中学生!役。しかも変態役!あまり過度な期待はしないようにしつつ、伊藤くんは果たして役者魂がある俳優なのか、それともワラワラいる単なるイケメンなだけの俳優なのか、見極めたいと思います。

 皆さまは秋、何をご覧になる予定でしょうか。おすすめがあれば教えておくんなまし!
 
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守ってあげたい

2019-09-11 | 欧米のドラマ
 イギリスのTVドラマ「ボディガード 守るべきもの」を観ました~。全6話。
 アフガニスタンでの過酷な任務で心身に深い傷を負い、PTSDに苦しんでいる元軍人の警察官バッドは、列車での自爆テロを未然に防いだ功績により法務大臣ジュリア・モンタギューの警護に抜擢される。野心的なジュリアの政治姿勢に反感を抱きながらも、暗殺の危機に瀕する彼女を守り抜くバッドだったが…
 BBCのドラマは映画に比べても遜色なし、いや、ヘタな映画よりクオリティが高いです。全6話というのも、ダラダラと長々しいシリーズものが苦手な私にピッタリ。緊張感とリアリティがあり、余計なエピソードもキャラも極力排除してギュっと濃縮されてたので、集中力に欠ける私も一気に観ることができました。そうできたのはドラマの面白さもですが、主演のリチャード・マッデンによるところも大きかったです(^^♪♪

 「ロケットマン」でエルトン・ジョンを骨抜きにし食いものにする色男マネージャーを演じたリチャード・マッデン略してリチャマに、myイケメンレーダーはビビビと激しく反応。他の出演作も観ねば!と奮い立ったのですが、いちばん有名&人気の「ゲーム・オブ・スローンズ」は、とてもじゃないが長すぎて私には無理でもこのドラマは6話とコンパクトで、しかもBBCドラマ史上最高視聴率を記録し、主演のリチャマがゴールデングローブ賞ドラマ部門の主演男優賞を受賞と、まるで特典だらけのお買い得商品みたい。観ない理由がない!

 リチャマ、ロケットマンの胡散臭いダンディ色男とは役も見た目も別人。硬派で精悍な闘う男リチャマも超カッコよかったです短髪だといっそう男らしく、そして若々しい。ビシっとしたスーツ姿、警護中の姿勢の美しさに惚れ惚れ。そんなに大柄ではないけど、ガッシリと屈強そうな体格、シャープで俊敏な動きやストイックな雰囲気が、命がけの任務を遂行する男の役にピッタリ。

 いい男だけどカッコつけたヒーロー然としたところは全然なくて、心に傷と闇を抱えた男の暗さや虚無もデリケートに演じていて、役者としての力量も遺憾なく発揮していました。寡黙で無表情なんだけど、すごい悲しそうな顔、せつない目をするので、可愛く見えるんですよ。こんな男に守られたい、そして守ってあげたい、と強さと弱さで女心をグワシと鷲掴みなリチャマです。

 ジュリアとの年の差、身分違いのロマンスも、なかなかの大人テイスト。ラブシーンも美しくてセクシーでした。情事の後ベッドから出るシーンで披露する、リチャマのすっぽんぽんも見どころです。それにしても。二人が美熟女、イケメンだから発展した恋なんだろうな~。辻本清美大臣、ジャイアンツの田口警護官みたいな組み合わせだったら、抱きたい抱かれたいにはならないでしょうし。

 テロをめぐって内務省、警察、保安部が三つ巴の主導権争いと対立、そしてそれぞれの内部での権力争いが複雑に絡み、出し抜こうとしたり足を引っ張ったりの暗躍も面白かったです。それにしても。お偉いさんたち、権力と保身のためには国民の命や幸福なんてどーでもいいのね。いつどこでテロや暗殺が起きても不思議ではないロンドン、住んでみたいけど危険すぎるのでやっぱやめといたほうがいいかもね

 今の風潮に合わせての意図的な配慮でしょうか。女性と有色人種が地位の高い有能な役を担っていました。法務大臣のジュリアを筆頭に、バッドの上司、捜査を指揮する警察のトップ、バッドに協力する刑事、冒頭のテロ対策チーム長もスナイパーも、みんな女性でした。逆に、ジュリアと対立する首相や政治家、ジュリアの地位を狙う副官、その手先となる官僚、保安部長とその実行部隊、犯罪組織のボスなど、悪い連中はみんな悪そうな白人男性だった。

 策謀や陰謀に奔走するお偉いさんたちではなく、ザコだと思ってたキャラがラストに重大な関与、意外な正体を現すどんでん返しも秀逸でした。中途半端にハートウォーミング、たまにコミカル、なんて生ぬるさは一切なし。内容も演技もシリアスでハードなドラマでした。冷酷で醜い政治の世界、宗教と人種の社会問題、大人のロマンス、リアルなハードボイルド。どれも日本のドラマでは味わえません。同じボディガードドラマでも、ちょっと前にあったキムタク版とは大違い!だいたいキムタクみたいなチビで貧相なおじさんが要人警護なんてありえんし。実際にTVに映る、政治家の警護や犯人連行してる警察官って、みんなゴツくて勇猛そうでカッコいいもんね。

 危険すぎるけど、やっぱロンドンには憧れます。英国映画ファンにはおなじみのロンドンの風景も、ステイタスの高い人々が客のハイソなレストランも、庶民的なパブやカフェも、ロンドンまた行きたいな~と思わせてくれました。シーズン1、とあったから、まだ続くのかな?楽しみだけど、あれで終わりでも良いのではとも。私がバッドなら、もう警察辞めるわ!命がいくつあっても足りん!

 ↑ いい男!リチャード・マッデンパトリス・ルコント監督の「暮れ逢い」や、TVシリーズの「チャタレイ夫人の恋人」など、旧作もチェキってみよっと(^^♪



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ディナイアルの女!

2019-09-08 | イギリス、アイルランド映画
 「否定と肯定」
 アメリカのホロコースト研究者リップシュタット教授は、ナチス研究者のアーヴィングから名誉を棄損されたとイギリスで告訴される。リップシュタット教授と彼女の弁護団は、アーヴィングの著書や主張が誤っていることを法廷で立証しようとするが…
 ナチスを断罪する世紀の大裁判かと思いきや、荒唐無稽なトンデモ思想おじさんに因縁つけられたプライドの高い女教授が、自分こそが正しい!と必死になっておじさんを叩き潰そうとするだけの小さい話でした。そもそもホロコーストなどなかった!ユダヤ人虐殺などナンセンス!という説がトンデモすぎて、よく一笑に付されなかったなあ、こんなのが大真面目に扱われるなんて、と驚かされました。日本人に向かって広島に原爆は落とされなかった!と言ってるようなもんですし。とはいえ、ユダヤ人にとってはタワゴトとして笑って無視できない、被害者を愚弄し軽視するにもほどがある暴言・暴挙。理性的に論破するというより、怒りにかられての反撃みたいな裁判でした。

 最初っから相手は頭のおかしい危険なネオナチで、こんな説が認められるわけがないと分かっているので、裁判の行方や勝敗がどうなるかハラハラ、なスリリングさが全然なくて予想通りすぎる展開と結末は、映画としてはちょっと物足りませんでした。え?ほんとはホロコーストはなかった?!と、少しは観客に疑念を抱かせ胸がザワつく内容にしてほしかったかも。ネオナチなんてまったくもって理解不可能で、キ〇ガイとしか思えない連中ですが、この映画は正しいはずの女教授と弁護士団のほうが、歴史を歪曲してるアーヴィング氏よりも何だか感じが悪くて不快でした。

 アーヴィング氏はもうトンデモすぎて、UFOやUMAがいると大真面目に唱えてる変人みたいで失笑するだけでしたが、女教授と弁護士はインテリ特有の上から目線な自信と高慢さが鼻もちならなかった。法廷でのアーヴィング氏へ向ける冷ややかな蔑み、嫌悪の目線や素振りが感じ悪かった。氏への攻撃も、トンデモ説よりもだんだん氏自身の人格否定になっていって、氏のほうが名誉を棄損されまくって哀れだった。もしアーヴィング氏が文在寅みたいな見た目とキャラだったら、ざまあ!と少しは溜飲がさがったかもしれません。おかしなネオナチ発言してる時以外のアーヴィング氏は、トボけた感じの人の善さげなおじさんだったし、法廷では弁護士もおらず孤軍奮闘、孤立無援だったので、何だか弱い者いじめに見えてしまった。
 この映画を観たのは、最近気になる英国イケメン、ジャック・ロウデンが出演してるからです(^^♪

 若手弁護士役のロウデンくん、メガネ男子で可愛い!誰といても頭ひとつ高いスラっとした長身にスーツやコートがよく似合って、ブリティッシュの香り高い優しさと品のよさ。画面にはよく映るのですが、台詞はほとんどなくモブに近い役です。でも可愛いので目立ってます。小さくて地味な役でも目を惹く、役者はやっぱこれが大事です。

 ヒロインのリップシュタット教授役は、「ナイロビの蜂」でオスカーを受賞し、今年は「女王陛下のお気に入り」でも強い印象を残したレイチェル・ワイズ。精神力と行動力がある気が強いインテリ女の役が似合う女優ですね~。ギスギスカリカリした役でもそんな感じを与えず、颯爽としつつフェミニンな魅力も備えたハンサムウーマン(死語)なカッコよさが、さすが英国女優です。その英国女優の彼女が、イギリスの司法や国民性に当惑したりイラついたりするアメリカ人女性の役とか、何で?アメリカ女優じゃダメだったのかしらん?

 アーヴィング氏役は、英国の名バイプレイヤーのティモシー・スポール。大真面目にトボけた感じで何か憎めない不思議おじさんを珍演してます。狂気的な信条の持ち主というより、お騒がせキャラ、注目され目立つことが目的なのかなと、うっすら思わせるセコさもなかなか珍妙。そういう演技ができる俳優も貴重ですよね~。弁護士役のトム・ウィルキンソンも味わいあるいぶし銀の存在感。英国のいい役者たちのいい演技、そしてロンドンの街並み、いかめしくも美しい裁判所の外観と内装も、英国映画ファンの目を楽しませてくれます。

 ↑ 「ファイティング・ファミリー」(プロデューサーはドウェイン・ジョンソン!)が11月日本公開のロウデンくん。何とレスラー役!似合わねぇ~!けど、きっとそれがまた可愛いに違いないので早く観たい!
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自虐と栄光のYOUR SONG

2019-09-04 | イギリス、アイルランド映画
 「ロケットマン」 
 少年レジーは両親に愛されずに育ったが、音楽の才能には恵まれていた。ロックに傾倒しバンド活動を経て作曲家となったレジーは、作詞家のバーニーと組みエルトン・ジョンという芸名でソロ歌手としてデビュー。「僕の歌は君の歌」が大ヒットし、アメリカでの公演も大成功を収め瞬く間にスターとなるエルトンだったが…
 フレディ・マーキュリーの次はエルトン・ジョンだ!大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディー」の2匹目のドジョウを狙ったかのような、英国レジェンド歌手の自伝映画。ガンガン使用される大ヒット曲と派手なライヴパフォーマンス再現、ピアノ、ゲイ、容姿へのコンプレックス、ジェットコースターな成功、悪い色男に惚れて食いものにされて信頼していた人たちと軋轢・断絶、クスリとアルコール、孤独と挫折、そして復活。ボヘミアンと内容も展開もほぼ同じです。でもテイストが全然違ってました。ボヘミアンは、かなり関係者に忖度してる感じの、NHKドラマ的いい人いい話な映画でしたが、ロケットマンのほうはまだご健勝のエルトンがよくOK出したな~エルトンの家族や関係者の許可よく得られたな~と驚くほどズバリ言うわよ!な告白&暴露映画でした。

 エルトンご自身がこの映画のプロデューサーと知り、驚くとともに納得も。ご自分の不幸でスキャンダラスな人生を、惜しげもなくネタとして差し出して映画ビジネスでもガッポリ儲ける。音楽の才能のみならず、商才にも恵まれてるエルトンは本当にスゴい人。壮絶な半生を可哀想な話、お涙ちょうだいな感動秘話にしてなかったことに好感。フツーの男女だと絶対に耐えられない絶望や失望、心身の痛みを笑いのネタにできる自虐とメンタルの強さを尊敬。とにかくエルトン姐さん、数本は映画が作れそうなほどネタ宝庫な人生です。

 その富と栄光、波乱万丈で破天荒で激しくて悲しくたくましい生きざま、同じ人間に生まれてもこれほどの差があるなんて。淡々と地味な我が人生を顧みてしまいますが、羨ましいとは思えないんですよね~。あんな人生、しんどすぎるわ。でも、音楽の才能には羨望。あんな風にピアノを弾けたり曲を作れたり、まさに神さまからのギフトです。

 フレディもですが、不幸な私生活は才能の代償だったのでしょうか。明らかにカネ目当てな男たちに騙され利用されるのも、金もってるオネエが避けて通れない道。マツコデラックスやイッコーさんも、同じような目に遭ってそう。もしバーニーがゲイだったら、エルトンも幸せで穏やかな人生を歩めたかもしれませんが、その代わりに数々の名曲も生まれなかったかもしれませんね。孤独でズタボロだったからこそ、多くの人に胸に響く歌を作れて歌えたんだろうな~。

 ボヘミアンとの決定的な違いは、この映画が完全にミュージカルだったことでしょうか。エルトンも他のキャラもみんな歌って踊って、感情や心情がエルトンの名曲に合わせて伝わる演出になってます。アメリカでの初ライヴシーンでエルトンも観客も宙に浮かんだり、コンサートシーンでエルトンがロケットになって飛んでったり、沈んだプールの底でエルトンがレジーと出会ったり、ファンタジックなシーン満載で目に楽しいです。私が特に好きなのは、少年から青年になったレジーが初めて現れる、遊園地での「土曜の夜は僕の生きがい」シーンです。ノリノリで心踊るウキウキ感!ここで主演のタロン・エガートンが登場するのですが…

 タロン、か、可愛い!キングスマン」シリーズの彼も好きですが、ここまで才ある役者だったとは!と、その入魂の熱演に瞠目。ボヘミアンのラミ・マレックと違って、タロンは全部自分で歌って、しかも踊ってるのが驚異。ラミよりタロンが劣っているとは思えません。タロンにもオスカーを!渾身の演技もですが、見た目もチョベリグ(死語)なタロン。

 キュートなメガネ男子!デブ&ハゲおやぢ化しても、可愛さは損なわれてないんです。ムチムチガッチリしたガタイがええわ~。歌って踊りながら着替えるシーンでは全裸も披露。容姿に自信がないブサイク設定にはちょっと無理がある。レオナルド・ディカプリオとクリス・プラットを足して二で割ったようなイケメンだし。雰囲気が男らしいしオネエっぽい言動もしないので、ゲイっぽさは希薄でした。

 男同士のラブシーンも頑張ってたタロン、エルトン姐さんにはまったく似てませんが、見ているうちにエルトンに見えてくるのが不思議。タロン起用は正解。非現実的なほどキレイな美男だと失笑するだけだし、エルトンそっくりなブサイクだと観る気起きないだろうし。トンデモ衣装も見事に着こなしてます。それにしてもエルトン、ステージ衣装もプライベートファッションも、唯一無二というか唯我独尊な趣味ですよね~。紅白に出て欲しい。美川憲一なんか敵じゃないセンスだし。バーニー役のジェイミー・ベルもすっかり大人になって、しかもちょっといい男にもなってました。バーニーとエルトンのブロマンスがビタースウィートでした。

 エルトンの恋人兼マネージャー、ジョン役のリチャード・マッデンが、濃厚な色男!こんな男が甘い言葉で近づいて来たら、エルトンじゃなくてもクラっとくるわな。もう出てきた瞬間からエルトン気を付けて!騙されないで!と観客のほうが警戒しちゃう怪しさですが、善人は本当の意味で色男になはれないんですよね~。悪くて危険な香りこそ色男の必須条件です。エルトンの骨までしゃぶる狡猾で不実な蛭野郎を好演した、TVドラマで人気のリチャード・マッデンの匂いたつ色気ときたら!わしも惚れたわ~ゲスいけど下品さがなく、スマートでダンディなところが素敵でした。

 ジョンもですが、エルトンの毒親も非道いんですよね~。あの無関心さと無神経さ、立派な精神的虐待です。ジョンもご両親も存命なの?訴えられたりしないのか心配。ボヘミアン同様、誰もが耳にしたことがある有名な曲がたくさん使用されてます。あ、これもエルトンの曲だったのか!な発見も、ボヘミアンの時と同じ。私が大好きな「ダニエル」が、チョコっとだけ歌ってすぐに暗い!とプロデューサーにダメ出しされてガクっクイーンもでしたが、エルトン・ジョンの熱烈なファンというわけではなく、存在は知ってるけど詳しくは…な私みたいな映画ファンのほうが、あれこれ細かいことが気にならなくて楽しめる作品かもしれません。

 ↑ タロンはもう一本、ロビン・フッドを演じた「フッド:ザ・ビギニング」が近日日本公開!ぜったい観に行く!「キングスマン ゴールデン・サークル」にゲスト出演したエルトンおばさん、タロンにロックオン!タロン逃げてー!

 ↑ 「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ボディガード」などTVシリーズで人気のリチャード・マッデン。い、いい男じゃの~今まで知らんかったなんて、迂闊じゃったわ。ベネディクト・カンバーバッチ共演の新作や、ゲーム・オブ・スローンズで共演したキット・ハリントンも出てるアメコミ映画もめっちゃ楽しみ!
 
 ↑ こんなイケメンが出とるゲーム・オブ・スローンズ、やっぱ観んといけんのお。長いドラマはでも苦手なんよのお~
コメント (5)
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