まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

おっさんずアモーレ

2024-02-29 | イタリア映画
 「David's Birthday」
 精神科医のマッテオとその妻フランセスカは、友人のディエゴ夫妻と共に海辺の別荘で夏を過ごすことに。そこにディエゴ夫妻の18歳の息子デヴィッドが海外から帰国し加わる。マッテオは美しいデヴィッドに心を奪われ…
 イタリア版おっさんずラブ?といっても、こちらはシリアスで破滅的な大人のBLです。日本のおっさんずラブは正直、もう観るのがキツくなってきてるんですよね~。同性の恋愛や結婚、性生活に、何の障害も苦悩もないなんてファンタジーすぎる。もう男女の話と同じだし。春たんを女にしても成り立つ話になってるような。男も女も関係ないという内容は、確かにLGBTの理想形だとは思うのだけど、男と男ならではの試練や葛藤の欠如はやはり不自然だし、それらに傷ついたり乗り越えたりする姿を描けば、もっとLGBTに寄り添った感動的なドラマになったはず。

 BLはやはり、禁断と苦しみが似合います。そのほうが現実的、かつ映画的でもあります。このイタリア映画、社会的ステイタスと美しい妻がありながら、若いイケメンに夢中になってしまうという設定は、おっさんずラブと同じ。さしずめマッテオが黒澤部長でデヴィッドが春たん、といったところ。違うのは、マッテオが少年に恋する自分に独り戸惑い煩悶し、必死になって自分を抑え想いを隠そうとするところと、デヴィッドの態度が誘惑的なところ。デヴィッドの一挙手一投足が気になって仕方がない様子、デヴィッドを追う目、ギャルと仲良くしてるデヴィッドに嫉妬しイライラ、デヴィッドの着替えをこっそりのぞいてる時の表情…大人の思慮分別を失い、どんどん危険領域へと踏み込んでいくマッテオが狂おしすぎて、何か笑えてしまいました。

 デヴィッドの誘惑も、わかりやすくセクシーすぎて笑えてしまった。マッテオの前では、だいたい裸。着替えだけでなく、エロすぎる自慰行為まで。それをのぞき見てしまったマッテオも、バスルームで狂おしく自慰。男同士の恋にあるはずの濃密な肉欲の臭いが、この映画ではちゃんと漂っていました。ラスト近くにあるマッテオとデヴィッドのセックスシーンも、ライトな腐にはちょっと刺激的かもしれない濃厚さでした。まずは性的な欲望や衝動、なのはいかにも男同士だとは思うけど、マッテオとデヴィッドの間にもうちょっと心が惹かれ合うエピソードもあってよかったのでは、とも思った。デヴィッドがただの気まぐれなイケメンっぽかったのが残念。心に闇や傷を抱えたミステリアスな美青年にしてほしかったかも。

 映画は悲劇的な結末を迎えるのですが。フランセスカが可哀想すぎる。彼女がなぜあんなことになったかを、マッテオとデヴィッドはディエゴ夫妻に告白したのかどうか、もしそうしたら夫妻は息子とマッテオに対してどう出るのか、それは観客の想像に委ねられてます。まあ、おっさんずラブみたいなライトでハッピーな展開には、絶対ならないでしょうね。それにしても。セックスする場所とタイミングが悪すぎ。何で今?そこで?と呆れてしまった。冷静になれない、切羽詰まった愚かさもまた恋の怖さではあります。

 マッテオ役のマッシモ・ポッジョが、いい男!ポール・ウォーカーを濃ゆくした感じの顔?まだ若々しくて、おっさんって感じではないのもBLをジューシーにしていました。優しい夫&パパの時も、悶々と恋する男の時も、大人だけど少年っぽい繊細さがあって素敵でした。シャワー自慰やデヴィッドとのセックスシーン、フランセスカを素っ裸で追っかけるシーンなど、日本の俳優だとありえない脱ぎっぷりのよさでした。
 デヴィッド役の俳優は、美しい肉体のイケメンなんだけど、顔がちょっとジョン・トラボルタ似で私の好みではありませんでした。フランセスカ役は、タランティーノ監督の「パルプ・フィクション」に出てたポルトガル女優のマリア・デ・メデイロス。独特の可愛らしい顔。けなげな奥さんを好演してました。
 モンテ・チルチェーオのふもとにあるビーチハウスや海辺の、シンプルだけど優雅なリゾート感、小さな海沿いの町のイタリアンな風情など、私もあんなところで静かに楽しくヴァカンスしたいと思いました。
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癒しの村

2024-02-23 | イギリス、アイルランド映画
 「ひと月の夏」
 第一次世界大戦で心に深い傷を負ったバーキンは、ヨークシャーのオズゴッドビーで教会の壁画修復の仕事に就く。村人や牧師の妻アリス、村で発掘調査をしているムーンとの交流は、バーキンの心を静かに癒していくが…
 ヘレン・ミレンがカンヌ映画祭女優賞を受賞した佳作「キャル」のパット・オコナー監督作。空前?の英国美青年ブームが起こった80年代後半、「アナザー・カントリー」で人気美青年リスト入りしたコリン・ファースの初主演作。1987年の作品だから、コリン当時27歳!当然ですが、わ、若い!お肌つるつる&すべすべ!韓流アイドルやイケメン俳優と違い、メイクばっちり感がない自然な美白肌は、まさにイギリス美青年。輝くばかりの若さですが、元気溌剌!な若者ではなくて、もう人生の酸いも甘いも嚙み分けたような沈着と憂いは、すでに老成した紳士の風情。27歳でこんなに大人っぽい俳優、日本にはいません。40過ぎてもアイドル芸な自称俳優はいますが。

 すごい気難しそうなところは、現在と変わってませんね。性格が悪いのではなく、すごく内省的で不器用なため誤解されやすい、そして心に傷や闇を抱えているバーキンのような役は、コリンの十八番でしょうか。いかにも苦しんでいる、悲しんでいると周囲や観客に訴えてくるような演技ではなく、寡黙さの中に何げない表情や仕草で心の痛みを伝えてくる演技が秀逸です。悲惨な戦争体験のトラウマで、吃音になってしまったバーキン。コリン、後年オスカーを受賞した「英国王のスピーチ」でも、吃音に悩む役でしたね。

 でもほんと、若い頃のコリンってスマート!無駄な肉が全然なさそうな長身痩躯。ピクニックシーンで寝そべって伸ばしてる足、長っ!今回は元従軍兵士役ですが、コリンもまた上流階級の役が似合うイギリス俳優なので、ビンボー臭さや不潔感なんて微塵もなし。教会の鐘楼に住み込んで、お風呂もほとんど入ってないはずのバーキンだけど、いつも小ぎれいで清潔な紳士に見えるのは、やはりコリンのきちんとした個性のなせるわざでしょうか。バーキンがもし軽薄で卑しげな小汚い男だったら、誰も彼に近づいてこなかったでしょうし。孤高だけど善良、そしてイケメンなバーキンなので、勝手に人が寄ってくる。彼らとの交流もベタベタした人情話にはならず、優しさの中にも礼節や思慮があり、距離感を保つやりとりになっていたのも、いかにもイギリス、そしてコリンって感じでした。

 ムーン役は、これまた若い!ケネス・ブラナーですよ!コリンと同い年だから、彼も当時27歳!これが記念すべき映画デビュー作だって。若かりしコリン&ケネスを拝めるだけでも、一見の価値ありな映画です。ケネスはイケメンではないけど、人懐っこい笑顔が可愛く温かく、見ていて癒されます。ムーンも悲しい戦争体験の持ち主で、死にたくなるような辛さだろうに、明るく振る舞ってるところが返って痛ましかったです。同性愛スキャンダル!で軍を追放、というのがこれまたイギリスらしい。実は同性愛者のムーンですが、全然ゲイゲイしくはないです。でも、時々バーキンに向ける上目遣いとか、ピクニックでのちょこんとした座り方とか、これまた何げない乙女っぽさの出し方が、さすが当時英国演劇界の神童的存在だったケネスです。バーキンとムーンが、BLな関係に発展するのかなと期待しましたが、残念ながらバーキンとムーンの別れも、静かだけど切ない余韻。夏は毎年来るけど、必ず終わる。同じ夏は二度と来ない…

 アリス役は、大女優ヴァネッサ・レッドグレイヴの娘、ナターシャ・リチャードソン。ママそっくりですが、ママよりも柔らかく優しそう。若くして亡くなったのが惜しまれます。これといった事件や劇的な展開、シーンなどはいっさいなく、終始静かに淡々としてる映画なのですが、それがとても心地よくもありました。そしてあらためて思った。イギリスの田舎、最高!主役は人間ではなく、田舎の美しい風景や自然かも。明るく優しい陽射し、静かな森、庭の木々や草花、古い教会、ティータイム、鉄道etc.英国のカントリーライフ、憧れる!住めば私の荒んだ魂も、きっと浄化される。ヨークシャーにも行ってみたくなりました。

 ↑ 二人とも今では貫禄あるシブい大物俳優になってますけど、こんなに可愛い青春真っ盛りな頃も。また共演してほしいですね(^^♪
 
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皇后と私

2024-02-20 | ドイツ、オーストリア映画
 「Sisi & Ich」
 オーストリア皇帝の皇后エリーザベトの侍女に選ばれた伯爵家の娘イルマは、家族と離れ公務を放棄しギリシャのコルフ島で隠棲生活を送っているエリーザベトのもとへ。自由奔放で気まぐれな皇后に翻弄されるイルマだったが…
 シシーの愛称で知られる皇后エリーザベトは、フランスのマリー・アントワネットと並ぶ有名な人気王室ヒロインなのでは。シシーが登場する映画やドラマ、舞台はあまたありますが、やはりシシーといえばロミー・シュナイダーですよね~。「プリンセス・シシー」三部作と、ヴィスコンティ監督の「ルートヴィヒ」でのロミーasシシーの美しさ、高貴さは他の女優の追随を許さぬものです。シシーといえばロミーと完全にインプットされてるので、この映画のシシーにはちょっと面食らってしまいました。

 この映画のシシーも美人なんですけど、気品とか高貴とかいった感じは全然なくて、かなりワイルド。見た目もキャラも柔らかなフェミニンさがなくて、かなり豪快というか粗野というか。皇后というより酒場の女主人みたい。こんなのシシーじゃない~!イメージ壊さないで~!と、ロミーのシシーに魅せられた人なら違和感や憤懣も覚えるかもしれません。実際のエリーザベトの肖像画や人柄、生涯をググってみると、ひょとしたらロミーのシシーよりもこっちのシシーのほうが史実に近いのかな?と思いました。宮廷から逃げて自由で贅沢な外国暮らし、体型を異常に気にしての厳しいダイエットと食生活、過食と嘔吐の繰り返し、衝動的で不安定な情緒…シシーのメンヘラぶりが、かなり克明に描かれていました。

 宮廷でどんな苦労や悲しみがあったかは説明されていないので、何もかもうっちゃって外国で遊び暮らしてるシシーは、こんな皇后はイヤだ!と庶民からしたら思わずにはいられません。国民が納めた税金があんなふうに浪費されてるとか、私がオーストリア人なら許せんわ~。我が国の皇室とカブって、あらためて某宮家に対する不信感と不快感が募りました。悲劇的な最期を迎えるシシーですが、マリー・アントワネットと同様に国民を蔑ろにしたバチが当たったかのような末路でした。ラスト近くのシシーは完全に精神コワレ人になっていて、まるで自殺のような死に方が新解釈でした。

 男装の美しい娘たちを小姓にして愛しんでたり、イルマとの親密すぎる関係など、直接的な性愛シーンなどはないけど、かなり同性愛色の濃ゆい内容でした。大好物のBLと違い、女性同士の恋愛はちょっと苦手なので、見ていて心地悪くなることもありました。まるで女子高生同士のように仲良くなっていくシシーとイルマ、それがコミカルに描かれているのですが。いい年をした熟女たちが、と冷めた目で見てしまい笑えませんでした。
 イルマ役は、「落下の解剖学」で今年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされてるザンドラ・ヒュラー。ザンドラさん、やっぱユニークな女優ですね。「ありがとう、トニ・エルドマン」での衝撃的なまでの名演(珍演?)で強烈なインパクトを残した彼女、今回もなかなか独特な味わいでした。大真面目に珍妙な、グロテスクになるギリギリ手前の演技が絶妙。いい女優!
 ギリシャのコルフ島やアルジェリア、イギリスなど、シシーとイルマが滞在する国々の風景や屋敷、衣装などがそれぞれ美しく、イビツなメンヘラ熟女のお話の薄気味悪さを薄めてくれました。使われてる音楽が現代のポップミュージックだったのが、ちょっと斬新でした。

 
 
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愛されすぎた女!

2024-02-12 | フランス、ベルギー映画
 「L'Amour et les Forêts」
 教師のブランシェは、理想的な男性グレゴワールと恋に落ちて結婚する。愛する子どもにも充実した仕事にも恵まれるブランシェだったが、やがてグレゴワールが偏執的な独占欲の持ち主であることに気づき…
 ヒロイン役のヴィルジニー・エフィラは、「年下のカレ」や「ヴィクトリア」」などラブコメで人気を博し、最近は「エル ELLE」「ベネデッタ」と連続してヴァーホーヴェン監督の変態映画に出演し、「パリの記憶」で昨年度のセザール賞主演女優賞を受賞。主演作が引きも切らず、名実ともに今やフランスのトップ女優。熟女だけど童顔で、すごく親しみやすい可愛さ。ちょっとブリトニー・スピアーズ似?お高くとまった感じが全然なくて、悪女役とかは似合わなそうな明るさと温かみがあります。でもすごい大胆なところも彼女の魅力。ベネデッタとか、AV女優も真っ青な脱ぎっぷり、痴女っぷりでした。この映画でも、ヘアも見せる全裸でのラブシーンあり。ムチムチした熟女ヌードがエロすぎる。人気女優なのに何でここまでやる?でもそういう惜しみなさが、彼女の人気の理由だとも思います。

 大人可愛いエフィラさん、今作ではDV被害者役をシリアスに演じてます。何の落ち度もない、いい人を絵に描いたような彼女が、イカレ亭主から理不尽で残酷な仕打ちを受ける姿が、悲惨で痛ましい。ブランシェとグレゴワールが出会って恋に落ちて結婚するまでは、ロマンティックで情熱的なラブストーリーとして描かれているのですが。ブランシェが子育てと仕事の両立を始めた頃にグレゴワールがヤバい本性をあらわし始め、破局へと向かって不気味で激しい愛憎ドラマにシフトチェンジ。とにかくグレゴワールが、サイコ野郎すぎて戦慄。

 夫からのDVに苦しんでいる女性の話を見聞きするたびに、何でそんな男と結婚を?何で別れない?と、そんな悲劇とは無縁な私なんかは安易に思ってしまいますが、当事者にとってはそんな簡単に白黒つくような状況とか関係じゃないんですよね。ブランシェじゃなくても、グレゴワールにはよほどカンが鋭い人、疑り深い人でないと騙されますよ。エリートの美男子で、人当たりがよく家庭的、奥さんを心の底から愛してる、という表の顔も演じてるのではなく真実の彼なところが、厄介で怖い。ブランシェにだけドス黒くネチネチした独占欲や嫉妬を見せて、決して肉体的には傷つけず、怒鳴ったり物を壊したりして恫喝したり、執拗かつ攻撃的で陰湿な言葉攻めでモラハラ、ブランシェが自己否定や罪悪感を抱くよう仕向け彼女の心を壊して支配しながらも、やり過ぎるとハっとなって僕が悪かったと泣いて許しを請うたりと、グレゴワールの狂気的だけど悪賢いDVの手口を見てると、なるほど世の中からDVされ妻がいなくならないわけだ、と悲しい納得。

 愛しすぎるのも愛されすぎるのも、過ぎたるは及ばざるがごとし、でしょうか。愛も適度がいちばん、むしろ無縁なままでいいわと、この映画のカップルの修羅場を見ていて思いました
 グレゴワール役はメルヴィル・プポー。「夏物語」や「ぼくを葬る」の美青年も、すっかりイケオジ俳優に。おじさんになったけど、若い頃とは違う円熟の魅力と、若い頃の名残の美しさで往年のファンを魅せてくれました。DV男って、ブサイクがやるより美男がやるほうが怖さが増しますね。アラフィフになっても、官能的なラブシーンができるところがトレビアン。日本にも彼みたいに、大人な役と演技ができる熟年俳優がいたら嬉しいのだけど。熟年とはいえメルヴィル、キムタクより年下なんですよね~。
 ブランシェの同僚役で、懐かしのロマーヌ・ボーランジェが出演してます。言われなきゃ誰だかわかんないほど、枯れたおばさんになってます。ブランシェとグレゴワールの、庶民よりちょっと上なライフスタイルがおしゃれでした。双子の姉妹二役を演じてるエフィラさん、お姉さんのブランシェはシンプルだけど上品でフェミニン、妹はカッコカワイイ大人ギャル風と、彼女のファッションがハイセンスで素敵。
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号外!汚れっちまったイケメン記者

2024-02-09 | フランス、ベルギー映画
 「幻滅」
 19世紀前半のフランス。詩人として立身したい青年リュシアンは、愛人関係にある貴族の人妻ルイーズに伴いパリに出るが、貧しい田舎者であることを上流社会の人々に嘲られ、ルイーズにも見捨てられてしまう。そんな中、新聞社の編集者エティエンヌと出会ったリュシアンは、エティエンヌに導かれるまま記者となるが…

 セザール賞で作品賞など7部門を受賞した話題作、やっと観ることができました。大好きな時代劇というのも観たかった理由のひとつですが、最大の目的は主演のバンジャマン・ヴォアザンです(^^♪「Summer of 85 」や「社会から虐げられた女たち」などでのイケメンぶり、そして大胆な演技はかなり印象に残るものでした。さすが20代のフレッシュさ、美しさ可愛さなんだけど、いろんなことをもう経験済みみたいな倦怠感と色気が、日本の若い俳優と違う大人っぽい魅力。主役に抜擢されたこの時代劇でもバンジャマンくん、日本の若い俳優もこれぐらいはやってほしいと思える演技で魅せてくれました。

 竹内涼真をねっとりと眠たげに退廃的な感じにしたような顔のバンジャマンくん、喜怒哀楽どの表情も可愛い!その可愛さに何となく粘着質な色っぽさがあるところがすごい好きです。衣装もどれも似合ってて、モダンなおしゃれさ。脱ぎっぷり、濡れっぷりもハンパないです。全裸シーン、一回や二回じゃなかったぞ。女優たちとのラブシーンも、これでセックスしたといいたいのか?な手抜きや稚拙さ、思い切りの悪さに呆れる男優ばかりの中、性の悦びを大胆に自然に演じることができるバンジャマンくんを、私は心から讃えたい。ここまで脱ぐ必要ある?抱く必要ある?とは、ちょっと思ったけど

 どん底から成り上がり、何をやってもイケイケドンドン状態で調子ぶっこき、あっという間に転落。リュシアンの激しすぎるアップダウンライフが、めくるめく華やかさとスピードで描かれています。19世紀の話ですが、現代ともかなりカブる内容。今も昔もマスコミって、百鬼夜行の醜い汚い世界なんですね。才能よりも金とコネ、劇中で横行するフェイクニュースとか情報操作、ステマ、やらせ、腐敗など、当時の行われ方の描写が面白かったです。リュシアンが商品広告のコピーライターをしてたのも興味深かった。精神的にも肉体的にも踊り踊らされて消耗疲弊して毒されるメディアや芸能界は、私のような一般人からすると狂気の世界。そんなところで元気に輝き続けることができる人たち、ほとんど魔物です。

 若いバンジャマンくんを盛り上げる脇役もトレビアン。エティエンヌ役はヴァンサン・ラコスト。俗悪だけどどこか憎めない茶目っ気がある男を好演して、セザール賞の助演男優賞を受賞。リュシアンのライバルだけど理解者でもある作家ナタン役は、人気監督のグザヴィエ・ドラン。イケメンだし、役者としても魅力的なドラ美さん。監督業引退宣言は本気なのかしらん。ルイーズ役のセシル・ド・フランス、いい女優。でもルイーズみたいな女よりも、強くて誠実な女性役のほうが似合う風貌。ジェラール・ドパルデュー御大も顔を出してます。新聞社にいる猿が可愛かった。

 時代劇の醍醐味は、やはり当時を再現した衣装やセットです。この映画も随分それらにお金をかけてます。社交界や劇場、屋敷など上流社会が華やかだけどド派手な成金っぽさとは違う、優雅で落ち着いた色彩や装飾で描かれていたのも素敵でした。原作は文豪バルザックの小説。バルザックも田舎出身で作家として芽が出る前は、リュシアンみたいにコピーライターや記者をしてたとか。自伝的な作品なのかな。

 ↑ 主演作であるアンドレ・テシネ監督の“Les âmes soeurs”日本公開が待たれます

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親日死すべし

2024-02-07 | 韓国映画
 「復讐の記憶」
 80代の老人ピルジュは、進行する認知症により記憶が失われる前に、日本の占領下時代に家族を死に追いやった者たちへの復讐を決行しようとしていた。何も知らないアルバイト仲間の青年インギュは、ピルジュの運転手を気軽に引き受けるが…
 ナム・ジュヒョク目当てで観ました~(^^♪ジュヒョクくん、やっぱ可愛いですね~へたな女優より可愛いけど、ぜんぜんキャマっぽくなくて、男の子!って感じがチョアチョア。若い韓流俳優やK POPアイドルって、メイクばっちり感や整形感がすごくて気持ち悪い人が多いけど、ジュヒョクくんは人工的なところがなくてナチュラル。すごいシンプルなあっさり顔も好き。たまにチョイブサに見えるところもご愛敬。ジュヒョクくんの最大の魅力は、やはりあのハンパない透明感と清潔感でしょうか。悪役とか汚れ役、生々しい役ができなさそう。

 シンプルな童顔も朝鮮系っぽさがなく、どことなく日本人みたいで親近感。でも、貧相な日本人アイドルを見慣れた私たちの目には、同じ人間とは思えぬほどのスタイルのよさ。顔、小さっ!背、高っ(187㎝!)!この体格だけでもう人生勝ち組ですわ。同じほっそりした長身でも、日本の俳優のヒョロっとした軟弱さと違い、筋骨が堅そうなところがさすが韓流男子。何着ても似合ってて、ファミレスの制服もユニクロっぽい普段着もモデルみたい。

 カッコカワイい見た目だけでなく、演技もよかったです。ちょっとアホっぽくて無邪気な笑顔や、老人に振り回されてアワアワ周章狼狽な様子も、ひたすら可愛い。ピルジュとのやりとりを見てると、こんな孫ほしい!と思わずにいられませんでした。腹をくくったら命がけ!な勇姿もカッコよかったです。でも、ジュヒョクくんじゃなくてもいいような、若い俳優なら誰でもできるような役だったのが、ちょっと物足りませんでした。

 ピルジュ役は、名バイプレイヤーのイ・ソンミン。数々の映画やドラマの脇役でいい仕事してる彼の主演作って、初めて観たかも。彼ってちょっと杉良太郎似?まだ50代のソンミン氏が、老けメイクをして老人を演じてるのですが、さすがにちょっと強引だわと思えるシーンも多々あった。やっぱ何げない動きとか雰囲気が、老人じゃないんですよ。それにしても。いったい何者?元スゴ腕工作員か何かだったの?なピルジュの必殺仕事人っぷり、トム・クルーズも真っ青なミッション遂行も、カッコいいけどありえなさすぎて笑えた。あと、暗殺実行中にピルジュが記憶を失くすという設定も、あまり巧く活かされてなかったような。

 刑事さん役やピルジュを支援する医師役も、韓流映画やドラマでおなじみの俳優さんたち。殺されて当然みたいな極悪人の親日韓国人、それよりもさらに凶悪卑劣な日本人の描写も、笑うしかない反日なステレオタイプとデフォルメ。悪い日本人役を韓国人がド下手な日本語で演じるのも、もうお約束になってますね。あんな日本人役、日本の俳優に頼んでも引き受けてくれないから仕方ないのでしょうねそれはそうとこの映画、クリストファー・プラマー主演の「手紙は憶えている」のリメイクだとか。イルボンリメイクなら、ピルジュは片岡仁左衛門、インギュは竹内涼真がいいかも(^^♪

 ↑ 現在兵役中のジュヒョクくん。復帰を待ちながら、まだ観てない彼の映画やドラマで寂しさを紛らわせるニダ!
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崩壊天国の男!

2024-02-04 | 韓国映画
 すねこすりさんのベトナム旅行記を拝読していると無性にベトナム料理が食べたくなり、ジミーを連れてK市に最近できたベトナム料理店でランチ(^^♪

 スナックが多い場末感ある裏通り、雑居ビルの2階にあるNgon(ンゴン)というお店。どう見ても日本人ではない先客さんたちがベトナム語?で話してたり、インテリアや販売されてるベトナムの雑貨や食品など、異国情緒ある店内。流暢な日本語の店長さんもベトナム人?ベトナムといえばやはりフォー。私は鶏肉、ジミーは牛肉のフォーランチセットをオーダーしました。フォー、揚げ春巻きと生春巻き、サラダ、デザートはチェー(緑豆のぜんざい)、食後にベトナムコーヒー。

 全体的にあっさり低カロリー、でもお腹はふくれるので、女性向きかも。チェーが珍しくて美味しかったです。こってり好きの大食漢肥満児ジミーには、ちょっと物足りなかったようです。

 ↑ 次回はこれに挑戦してみたいです(^^♪

「コンクリート・ユートピア」
 突然の大地震で壊滅状態となった韓国のソウル。崩壊を免れた団地の住人たちの代表に選出されたヨンタクは、住人たちを率いて外部の人々を排除し始める。若い夫婦のミンソンとミョンファは、過激化するヨンタクの暴走に危機感を募らせるが…
 私の韓流最愛男、イ・ビョンホンの最新作、やっと観ることができました(^^♪2022年は「南山の部長たち」、2023年は「非常宣言」と、ここ数年の新年最初の映画鑑賞は、イ・ビョンホンの主演作になっています。まさに初春男なビョン吉さまです。最近のビョン吉さんは、脱いい男路線を驀進中。今回も豪快にぶっ壊れてイカレまくってました。こんな役、こんな演技、キムタクとか西島秀俊とか日本の同世代の俳優は絶対やらない、ていうかできない。

 最初は冴えない地味なおっさんとして登場するビョン吉さん、カリスマスターのオーラを完全に消し去ってるところも見事。取るに足らぬ小市民のおじさんだけど、何となく怪しい?危ない人かも?と思わせる目つきとか表情とか、ほんと巧妙!どんどんヤバい人と化していく変貌も、プッツン演技も鬼気迫る怖さ、何だけど、明らかに笑いも狙ってる怪演なんですよ。よそ者に出てけー!!と絶叫する時の顔とか、ノリノリのカラオケとか笑えたわ。滑稽で異様なビョン吉さん、往年の男前な彼が好きなファンはショックを受けるかもしれませんが、男前を超越したステージへと到達し、役者としてさらなる進化を遂げた彼を、私はますます好きになりました。

 ビョン吉さんの狂気的な激烈演技に圧倒されますが、色濃ゆい男の哀愁や、悲しみをたたえた美しい瞳、口汚い台詞でさえ聞き惚れてしまう美声など、悪くても狂ってても見る者を惹きこむビョン吉の魅力は、今回も褪せてませんでした。ビョン吉さんの役者っぷりには驚嘆感嘆するばかりですが、男前崩しだけじゃなく本来の素敵熟年な役や演技でも、たまには魅せてほしいものです。

 この映画最大の話題、売りは、イ・ビョンホンとパク・ソジュンという、新旧韓流スターの競演。ソジュンくん、私にはイケメンにも美男子にも見えないけど、極小な顔とスタイル抜群の長身はまさに非一般人的。小柄なビョン吉のみならず、誰と一緒のシーンでも頭ひとつ二つ出てるほど背が高い。人気を博した数々のTVドラマの時と違い、フツーの青年役を奇をてらわずカッコつけず演じていたのが、新鮮で可愛かったです。でもあまりにもフツーすぎて、若手俳優なら誰がやってもいいような役にも思えた。もっと演技の成長や挑戦を感じさせる役にしてあげてほしかったです。

 壊滅的な大震災という、日本人には気が重くなる、動揺せずにはいられない内容。排除や不公平不平等、疑心暗鬼や陥れ、略奪、暴動など、生き残るために人々が繰り広げる闘いの醜さ、峻烈さにも暗澹とさせられました。窮地に陥ると人間って、ここまで卑劣で非道になれるのかと。それにしても。この映画のような極限状態じゃなくても、実際にも韓国人って喜怒哀楽が激しすぎて血の気が多く、民度の低い行為が多いけど。震災後も整然とルールやモラルを守る姿が讃えられた日本人も、あんな風になっちゃうのかなあ。サバイバルのために汚いことも厭わないヨンタクより、自分は手を汚さずきれいごとばかり言ってるミョンファのほうが、偽善的で卑怯に思えて不快でした。

 韓流版「おっさんずラブ」なら、黒澤部長がビョン吉さん、牧くんはソジュンくんがいいかも(^^♪春たんは?見た目だけ考慮なら、田中圭とカブるチソンとかチョン・イルですかね~。個人的にはチョン・ジョンミョンがチョアなんだけど
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