まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

TAKE FIVE③~⑦ Love Robbers

2013-05-31 | 日本のドラマ(連続)
 「TAKE FIVE 俺たちは愛を盗めるか」第3話から7話まで観ただよ♪

☆相棒が…
 笹原刑事が組まされている矢野刑事が、ほんと見た目も性格も頼りなさ過ぎて…彼、あんなにヘタレで無能で軟弱なのに、よく刑事になれたよなあ。ちょっとキャマっぽいのがキモ可愛いけど。演じてる千葉雄大くん、黒の女教師やレジデントや平清盛(高倉天皇役の彼、すごくキレイだった)では全然キャマくなかったけど。

 ↑キャマっぽくてヘタレすぎる矢野刑事、ちょっと前までは美しく高貴な帝だった
☆燃えろいい女~♪
 第5話のゲスト出演、世良正則の顔のデカさに驚きました。超小顔の唐沢さんと並ぶと、同じ人間とは思えぬサイズの違いです。
☆トーリのケツが…
 世良正則と夜道を歩くシーンのトーリくん、後ろ姿のスタイルのよさに加え、ジーパンのケツの形のよさに見とれてしまいました
☆似てない姉妹
 笹原の妹が、何か可愛くない。ファッションセンスも変だと思う…

☆おんな殺し
 研究室の情報を得るため、ターゲットの助手との合コンを設定するタモツ。必殺のキラキラ笑顔とスウィートな台詞で女子たちをメロメロにし、情報を聞き出す晴澄。そんな彼に『怖い男…』と呆れるタモツが笑えた。
 チャラいトーリが、めっちゃ可愛かったん~?な彼のアヒルな口元とか、低く甘い声とか。あんな男子に口説かれてみたいわ。
☆晴澄、おまえやっぱり…
 正義の代わりに、急遽晴澄と組んで研究室に忍び込むことになった岩月。大学で講義しながら晴澄と岩月を遠隔操作?する正義、正義の指示通り動き赤外線をくぐる岩月&晴澄のマトリックスダンス?が珍妙で笑えました。キメポーズで、晴澄が岩月を抱き寄せ、お姫さまだっこ!

 唐沢さんに続いて、今度は稲垣メンバーとホモホモしいシーンなトーリくん。おバカなギャクシーンになってるのが笑えて楽しい反面、腐心が萌えるようなBLの匂いは微塵もないのが残念でもあります。稲垣メンバー、ハングリーでも向井理と似たような怪しい絡みがありましたよね。
☆母親と元嫁がキモい
 悪い商人役で、元若乃花こと花田虎上がゲスト出演。何で彼が?でも、胡散臭い小悪人役、似合ってました。
☆垢西じゅんは今
 ニセTFの紅一点役で、黒木メイサがゲスト出演。東南アジア美女って感じですよね。出産直後であのスタイルは素晴らしいと思います。
☆海老名みどりは今
 ニセTFの首領役が、なぜか峰竜太。最近またドラマとか出始めてるみたいですが、もうバラエティタレントとしてしか認識できない。

☆夜明けの男ふたり
 正義と晴登が二人きりで歩く夜明けの埠頭、何だか美しくロマンチックなシーンでした。
☆稲垣メンバーのバーターくん?
 峰竜太を殺して絵を盗んだ容疑者役、松村北斗くんはジャニーズなの?彼、矢野刑事役の千葉雄大くんと一緒に黒の女教師にも出てましたよね。
☆稲メンの夢芝居
 刑事ドラマ「古株者」(笑)の主演俳優役で、梅沢富美男がゲスト出演。彼の演技やドラマの演出にダメ出ししまくる岩月刑事が笑えた。稲垣メンバー、この回でも美味しいとこどりでしたね。富美男を通して事件の真相を暴く正義さん、あんた名探偵コナンかよ!と笑えた。
★総括
 盗むための計画とか道具とか、すごいお金がかかってそうだけど、誰が資金出してるんだろう。ターゲットや依頼人に結構大っぴらに接触してるよなあ。なんて、いろいろ気になることはあるけど、そんなのツッコんでチャチ入れるのは野暮というもの。ルパンやコナン観てる感覚で楽しんでます。コミカルで小粋な味わいも好きです。
 TFのメンバーがみんな魅力的。中でも想定外の好演をしてる稲垣吾郎。さりげなく珍妙で目立つ彼、ユニークな俳優になりましたね。

 ↑ヘタレっぽいタモツですが、実は逞しい肉体派なのです。私にも食らいついてイってほしいものです♪

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根の深い木(19)~(24) つはものどもが夢のあと

2013-05-26 | 韓国のドラマ
 フランスの名匠&大女優映画祭、ちょっと一休み。

 「根の深い木 世宗大王の誓い」第19話から最終話まで観ただよ♪

☆まさかの恋
 冤罪で拷問され、宮殿から追放されてしまうソイと仲間の女官たち。でもそれは、ハングルを流布させるため仕組んだイ・ドの計略。そうとも知らず、ミルボンのメンバーたちは可哀想にと彼女たちに同情。中でも驚かせてくれたのがユンピョン。あの…女官たちをミルボンに引き込んだらいいんじゃないでしょうか…と、ハンにオズオズと提案するユンピョン。ピーンとくるハン。おまえ、ソイに惚れてるんだな!とゲラゲラ笑ってからかうハンに、ち、違います!と狼狽えるユンピョン。いつもはキモい暗殺ロボットみたいなユンピョンが、初めて可愛く見えました。
☆イケてるブサメン
 女官たちとハングル流布ミッション遂行中のパクポ&チョタク、ウキウキと楽しそうです。デレデレしてる二人に、女官たちもまんざらでもなさげ。宮中ではイケメンコンビのサム&ペンと働いてた彼女たちですが。両方から同日にコンパに誘われたら、すげー迷うだろうなあ。チョタクとパクポ、ブサイクデブだけど愉快だし女に優しいし強いし、中途半端なチャラいイケメンなんかより、よっぽど魅力的です。

 ↑この3人組、いい味だしてたなあ

 ↑この2人も入れて、合コンしたいわ
☆ミルボン崩壊!
 ハングル阻止に固執する首領カリオンに反発し、ついに造反するシム・ジョンス。それを知りほくそ笑むイ・シンジョク。一枚岩で理想や志を共にし続けるって、やっぱ難しい。イ・シンジョクのズルさが冴えてました。
☆ケパイ無双
 ムヒュル、ユンピョン、イ・バンジ、明のスパイ軍団。つわものどもを次々と叩きのめし畏怖させ、最強キャラ認定のケパイ/カルペイ。ブサイクなのが残念。鬼のように強い彼が、幼女には超優しいのが微笑ましい。
☆ヒョギは超真剣なんだけど
 ケパイの放った矢が当たり、崖から転落するソイ。彼女を必死になって探すチュユン。そのシーンのヒョギ、ものすごい形相すぎて笑えた。ヒョギってどんな役、どんな演技してても、いつもお口ぽっかんでほんとアホみたいな顔してますよねえ。アホに見えてもカッコいいのが不思議な男。
☆おんなの生きざま、死にざま
 世のため人のため、自分の人生や愛、そして命を犠牲にして強固な意志を貫いたソイに感服&共感。悲劇だけど、不幸とは思えない。彼女みたいに生きられたらカッコいいですね。
☆そして誰もいなくなった
 ハングル計画を成功させるイ・ドですが、そのために払った代償はあまりにも高かった。夢の実現と引き換えに、敵のみならず愛する人々をすべて犠牲にしたイ・ドの孤独が悲痛です。でも彼も不幸には見えず、誇り高い王さまとしてドラマを終結させたのが素敵でした。

★総括
 すごーく面白かったです!韓流時代劇では、今まで観た中で最高かも。ベタベタしい恋愛要素や家族愛要素がほとんどなく、ミステリーと陰謀とアクションに重点が置かれていたのが秀逸でした。時代劇ファンとしては、要所要所でチャンバラが挿入されてたのが良かった。
 ハン・ソッキュの演技と存在感がチョンマル素晴らしかった!前は苦手だったけど、すっかりファンになってしまいました。いい俳優ですよね。日本にもああいう役者がほしいところです。
 チャン・ヒョクも期待以上のカッコよさでした。アクションはもちろん、エモーショナルな演技も巧くなってて、いい俳優に成長したなあ。今後もますます楽しみな韓流スターです。
 さあ、韓ドラ完観恒例、イルボン理想妄想リメイク、イってみよ~♪

 イ・ド … 井浦新
 チュユン/トクパル … 坂口憲二
 ソイ/タム … 木村文乃
 シム・ジョンス … 小澤征悦
 クァンピョン王子 … 福士誠治
 王さまの秘書 … 平山浩行
 チョタク … ケンドーコバヤシ
 パクポ … 松本利夫
 ユンピョン … 石垣佑磨
 トクパルの父 … 中川家剛
 声帯模写の男 … 中川家礼二
 女官 … ハリセンボン、アジアン
 サム … 上遠野太洸
 ペン … 千葉雄大
 イ・ド(少年時代) … 中川大志
 イ・シンジョクの側近 … 鈴木一真
 ケパイ/カルペイ … 趙民和
 明の女スパイ … 壇蜜
       ・
 先王 … 吉田鋼太郎
 行首 … 余貴美子
 チョ・マルセン … 杉本哲太
 ハン … 渡辺いっけい
 イ・シンジョク … 相島一之
 イ・バンジ … でんでん
       ・
 ムヒュル … 仲村トオル
 カリオン … 堤真一

 こんなん出ましたけどぉ~?
 大河ドラマ「平清盛」で、上品で不気味で悲しい高貴な崇徳院を熱演したARATAは、イ・ド役もイケるのでは。イ・ド役にはちょっと若すぎて貫禄に欠けてるかもですが。
 ガタイが良くて運動神経抜群、陽気で熱血でアホそうな男前の坂口ケンちゃんは、ヒョギとキャラがカブるし適役ではないでしょうか。
 カリオンは、「キング」のジョン・マイヤーと同一人物なので、そのまま堤真一で。

 「太陽を抱く月」もそろそろ終盤に。次はユチョンの「屋根部屋のプリンス」と、録りだめしてるコン・ユの「ビッグ」鑑賞予定ニダ♪
 
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老いらくの純愛

2013-05-21 | フランス、ベルギー映画
 カンヌ映画祭がたけなわですね♪
 夢見る映画ファンとしては、オスカーやカンヌに日本人タレントが現れると、いい意味でも悪い意味でも夢の世界が身近に感じられて、複雑な気持ちにかられます。今年は福山雅治とか松嶋菜々子とか大物がカンヌ入りしてるので、例年より日本でも話題になってますね。タキシード姿もイケてた福山さんですが、日本では天下のイケメンな彼も外国だと地味ですねえ。彼の両側にいた女優二人も、一般人にしか見えなかった肌露出ドレスで気合入れてた7子も、地味で無駄にデカい…福山さんの作品も7子のも、あんまし観たいと思えないのが残念。
 コンペティションで観たいと思う作品は、フランス映画“Le Passe”とアメリカ映画“Behind The Candelabra”かな。前者はタハール・ラヒム、後者はマット・デーモンが出てるから♪特にマットは、ゲイ役!だし。全裸シーンやラブシーンもあるらしいし!相手がマイケル・ダグラスってのが、ちょっとアレですが。病気だったダグラス氏が、この復帰作で男優賞を獲るのでは?と、デーブ・スペクターが予想してました。まさかまさかの福山雅治男優賞受賞!とか衝撃的結果になると、日本騒然でしょうね。福山さんご自身が、誰よりも困惑しそうですが…

 フランスの名匠+大女優映画祭⑥
 「とまどい」
 無職の夫の代わりに家計を支えているネリーは、自伝を執筆中の実業家アルノー氏の助手となる。気難しいが情味のあるアルノー氏に、ネリーは親愛を抱き始めるが…
 「愛を弾く女」に続いての故クロード・ソーテ監督とエマニュエル・ベアールのコンビ作品。ソーテ監督のお気に女優となっていたこの頃のベアールは、美しさも演技も最盛期を迎えていて、本当に魅惑的でした。この作品でも、情感と色香にあふれた演技で魅了してくれます。小娘にもない熟女にもない、しっとりとした芳しい大人の女の魅力。日本の女優は老いも若きも、女に媚びた不自然なカッコつけサバサバ系と、男に媚びた気持ち悪いブリッコばかりなので、ベアールのような女優が皆無に近いのが残念。派手で下品でチャラい女優がほとんどなハリウッドにもいないし、やっぱフランス女優っていいなあ。

 お人形のような顔は無表情に近いのに、ネリーの繊細に揺れる感情が伝わってくる演技も秀逸だし、地味な服や水着姿でも身体のラインがエロい。ちょっと所帯疲れしたムードが、これまた男の好き心をソソる風情だったり。慎ましくクールだけど、1ミリもスキのないガードが固すぎる無粋な女でもなく、誘うような色っぽさも漂わせている。上品かつ色気のあるシニョンが素敵だった。あれって、人を選ぶ髪型ですよね。ともかく、女はやっぱこうなりたい!モテる女は努力なんかしなくても、勝手に男が寄ってくるもんなんだよなと、ネリーのナチュラルなモテ女ぶりには、羨望するのみで実生活には全然参考にはなりません(笑)。

 アルノー氏とネリーの関係が、すごく感動的でした。性別、世代を超えた友情と親愛で結ばれる二人が交わす会話の中にある、大人の小粋さと分別が楽しく切ない。世俗的な男女の仲を超越したネリーとアルノー氏の絆は、奇跡的で崇高です。夫や恋人のような男とは、別れてもいつだってまた出会えるけど、アルノー氏のような男には二度とめぐり合えない。だからこそネリーとアルノー氏との別れは、いっそうホロ苦く切なかったです。
 アルノー氏の、謎めいて複雑な性格と人生が、どこかミステリータッチに描かれていたのも、ストーリー展開を面白くしていました。若く美しいネリーに父親のように接しながらも、やはり男の感情は隠せない、でも抑えることはできる、というアルノー氏の老いらくのプラトニックラブが、時に滑稽で時に哀切。ネリーが美人じゃなく醜女だったら、ぜったい助手に雇わなかっただろうと確信できるアルノー氏のキャラには、年をとっても男は男だよな、と苦笑してしまいますが。アルノー氏を好演しセザール賞主演男優賞を受賞した名優ミシェル・セローも、クロード・ソーテ監督も、今はもう亡き人たちなのが、悲しくて残念です。

 この映画、脇役にも要注目です。ネリーのダメ夫役がシャルル・ベルリングで、恋人役は最もイケてた頃のジャン・ユーグ・アングラード。ネリーの友人役で、大好きな男前ジャン・ピエール・ロリもチョコっと顔を出してます。あと、アルノー氏を恐喝してる爺さん役、マイケル・ロンズデールがいい味だしてます。脅迫者なのに妙にもの悲しげで、アルノー氏だけでなくこっちまで心配になってしまうユニークな存在感です。
 
 
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こんな田舎で暮らしてみたい

2013-05-17 | フランス、ベルギー映画
 交流戦に入って、カープ絶好調ですね♪
 今夜のオリックス戦、驚異の12対1でボロ勝ち一時は最下位にまで転落したけど、いつの間にか3位に浮上。エンジンがやっとかかったみたいですね。鯉のぼりが昇るのは、いつ?今でしょ!
 最近知ったんですけど、カープって女子人気が高いとか?イケてる選手が多いもんね。この点に関しては、巨人に圧勝してると思う。試合では勝てませんが(汗)。
 ぜんぜん話は変わるのですが…今ニュース観てるのですが、ビツクリ。維新の会の西村議員のトンデモ発言。よくこんなこと公の場で口に出せるなあ。思ってること何でも、場所を憚らず言うなんて、小学生でもしませんよ。西村氏みたいな無神経な差別主義者がいるから、いつまで経っても韓国や北朝鮮から日本が敵視されるんですよねえ。思いやりとデリカシーを失わないように気をつけたいです。

 フランスの名匠+大女優映画祭⑤
 「五月のミル」
 1968年のフランス、南仏。ヴューザック家当主夫人が死に、長男のミルの娘カミーユとその子どもたち、ミルの姪クレール、ミルの弟ジョルジュら親族が葬儀のために集まる。彼らは亡き人のことよりも、遺産のことやパリの五月革命のことで頭がいっぱい。屋敷を売り払おうとするカミーユやジョルジュに、ミルは怒りを爆発させるが…
 「死刑台のエレベーター」や「さよらな子供たち」などの名匠、故ルイ・マル監督の晩年の佳作です。
 田舎が舞台のフランス映画を観るたびに魅了されるのですが…フランスの田舎って、ほんと美しく、そしてぬくもりに満ちているので、殺伐とゴミゴミした汚らしい街から離れて、こんなところで暮らしてみたいなあと、うっとりしてしまいます。おまけに、出てくる料理が美味しそう!この映画でも、そんなフランスの田舎の素晴らしさを堪能できます。

 当主の葬式に、いろんな思惑や事情をもった親族がぞろぞろと集合して、骨肉のすったもんだ!というのは、よくある話ですが。一族のメンツがそれぞれ個性豊かでキャラ立ちしていて、呆れたり共感したりプっと笑えたりと、極上のフランスワインのような人情喜劇に仕上がってます。みんな欲やエゴはあっても、悪意がない善人。ゆえに、とても愉快で爽やかな後味を残してくれます。
 市原悦子が覗きそうなブルジョア一家の遺産争いも、ギスギスドロドロではなく、どこかコミカル。実際に、ルイ・マル監督はブルジョア出身なんだとか。皮肉と愛をこめて、ブルジョアの実態が描かれてます。ストのせいで葬式ができず、遺体をほったらかし状態になったり、とんでもない状況なんだけど、みんな妙にのんきで陽気で笑えます。五月革命で、ブルジョアは殺される!という噂に怯えて、一家そろって山へ逃げたり。大真面目だけど、どこかトボけてる人々が、とても人間味豊かに描かれています。田舎の澄んだ空気や、清らかに温かい陽光は、人をおおらかに優しくする力があるんですね。

 食べるシーンがやたら多いので、空腹時に観るのはやめたほうがいいです。ザリガニ料理とか、美味しそうだった。のどかに優雅なピクニックも、いかにもブルジョワって感じ。あと、フランスのストって、ほんと驚異ですよねえ。容赦がないというか。日本では考えられません。五月革命の混沌も興味深かったです。
 主人公のミル、子どものように純真で朗らかで、あんな爺ちゃんいたらいいなあと思わせてくれます。演じてるのは、名優ミシェル・ピコリ。ちょっと怖いイメージのある彼が、こんな愛すべき爺さんをナチュラルに演じるなんて。やっぱ名優ですね。

 カミーユ役は、大好きな女優ミュウミュウ。現実的でドライだけど、どこかトボけた感じもあって、クスっと笑わせてくれます。名コメディエンヌの面目躍如です。短いプラチナブロンドが、超可愛くておしゃれ!ミュウミュウって、若い頃の不思議セクシー娘時代もウルトラキュートでしたが、クールにトボけた熟女な今もラブリーですよね。こんな風に年を重ねたいと憧れる女優です。カミーユの子どもたちも、なかなか味わいのあるガキンチョどもでした。
 レズビアンなクレール役のドニミク・ブランの好演もトレビアン。彼女とミュウミュウのケンカシーンが笑えました。
 
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プラトニック騎士

2013-05-16 | フランス、ベルギー映画
 昼休み、近くのコンビニへランチを買いに行きました。
 レジ周辺に、ガラの悪い男子高校生の群れが。こ、こわい…近づかないほうが身のため。と思い、違うレジに行こうとすると、何ということ!男子のひとりとぶつかってしまったのだった!ひえー!因縁つけられる~!と青くなって立ち尽くす私に、『あ。すんません』と少年は明るく謝り、何とレジの順番を譲ってもくれたのでした。ええ子やん!人を外見で判断してはいけないと痛感しました。でもこういった例は稀で、逆のパターンのほうが頻繁ですよね。すごく優しそうな人が、実は超意地悪だったり。上品そうな人が、とんでもなく下品だったり。真面目そうな人が、変態だったり…って、あれれ?これって、ぜんぶ私のこと?見たまんまの人より、面白いギャップがある人のほうが素敵なのさ♪と、勝手に自己肯定する初夏の夜なのでした…

フランスの名匠+大女優映画祭④
 「プロヴァンスの恋」
 1832年のフランス。イタリアから亡命し、プロヴァンスに潜伏していた軍人アンジェロは、謎めいた貴婦人ポーリーヌと出会う。夫のもとへ向かうポーリーヌの旅にアンジェロは同行し、彼女を守ることに。数々の危難を乗り越え旅を続ける二人は、いつしか強く惹かれ合うようになるが…

 ジャン・ジノオの小説「屋根の上の軽騎兵」を、「シラノ・ド・ベルジュラック」などの名匠ジャン・ポール・ラプノー監督が映画化。腕に覚えのあるイケメンとワケアリな美女が、守り守られしているうちに愛し合うように…なボディーガードものは、定番の萌え系なラブストーリー。この映画も、美しい南仏の風景の中、ロマンチックにドラマチックにストーリーは展開されるのですが、期待してたほどラブの部分が薄口だった。男の騎士道精神が強すぎて、女は触れなば折れんな風情なのに、一線は越えない…という、二人の抑えに抑えた切ない恋心がイマイチ伝わってこなかったのはなぜか。コレラに罹った女を、男が全裸にしてマッサージするシーンとか、本当なら切なくエロチックなものになるはずなのに。すぐヤるのがフツーな、恋愛肉食人種フランス人が作ったとは思えぬ内容だった。こんなインポ恋愛もの、韓流ドラマでしか観られないと思ってました。
 全体的に何となく感じる違和感。それは、主役を演じた二人がミスキャストだったせいかもしれません。

 ポーリーヌ役のジュリエット・ビノシュが、気品高い美貌の貴婦人に見えない!JBさんは、「存在の耐えられない軽さ」とか「トリコロール青の愛」とか、オスカーを受賞した「イングリッシュ・ペイシェント」とか、役にハマれば本当に素晴らしい女優なのですが、たまに分不相応な美女役をやったりするので、トホホ。しかもイケメンにモテモテな役なんか嬉々としてやっちゃうから、女から嫌われる女優リストの上位にランクインするんですよねえ。優雅なドレスも似合わなかった。コレラになって死にそうな顔は、鬼気迫る凄絶さで怖かったです。名匠や鬼才と呼ばれる監督の作品なら、どこにだって飛んでって出演する貪欲なJBさんって、ほんと女優の鑑だと尊敬してる私ですが、彼女がゴジラのリメイクに出ると聞いて、おいおい~そんなところにまで手を伸ばすのかよ~と苦笑。
 アンジェロ役は、この映画が公開されたころは“フランスのブラピ”として売り出されてたオリヴィエ・マルティネス。

 マルちゃん、カッチョE~私、いっとき彼にハマってたことあるんですよね。ワイルドでチョイワルで、触れば火傷する男。そんなイメージなので、ジゴロとかホスト、ヒモ、愛人、チンピラやらせたらピカイチなんだけど、ストイックな騎士なんて何かの冗談としか思えないほど、マルちゃんに似つかわしくない役です。女を守るどころか、女をダメにしちゃう男。それがマルちゃんなので。せっかく女をたらしこみ骨抜きにする魅力を備えてるのに、もったいない!
 当然のように、この映画の競演がきっかけでデキちゃったJBさんとマルちゃん。そんな肉食な二人がプラトニックな恋人同士の役だなんて、観てるほうはシラけちゃいますよ。別れた後も、互いにとっかえひっかえな恋愛を楽しんでた二人。特にマルちゃんは、常に自分より格上な大物女をメロメロにさせて、ろくに仕事もしないモノホンのジゴロぶり。カエリー・ミノーグの後は、ハル・ベリーとデキちゃって彼女を妊娠させる、なんて今なお武勇伝を続行中です。

 ↑この頃のマルちゃんは、ほんとイケてたよなあ~。今カノのハル・ベリー共演の「ダーク・タイド」が近日日本公開
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ヴェルサイユ炎上!エスプリの乱

2013-05-15 | フランス、ベルギー映画
 今日はデイオフでした。
 習い事しようかな。独りドライブもいいな。料理とか庭いじり始めるのも悪くないな。休みの日は、アレもしたいコレもしたいと、いろいろ楽しい夢想をするのですが…結局何ひとつ実行せぬまま、ダラダラと一日を無為に潰してしまうのが常となっているのでございます今日も外に一歩も出ず、自室にこもって録りだめしてたドラマ観てました♪
 ああ~もっと上手に時間を使いたい。人生も残り少ない年齢になってるのでますます切実に思う。けれど…誰にも会わず気を使わず、ダラダラまったり孤独な時間を過ごすのが、とてつもなく幸せに感じているのもまた事実。このままじゃいけない!どっぷり浸かってる心地よいぬるま湯も、いつかは凍える冷水になる!と分かってはいるんですけど…
 なので、夏休みは旅行にでも行こうかな~なんて思い立ってます。吉田修一の「路」読んだら、台湾に行きたくなった。また夢想で終わらなきゃいいけど

 フランスの名匠+大女優映画祭③
 「リディキュール」
 「仕立て屋の恋」や「髪結いの亭主」などで日本でも人気のパトリス・ルコント監督初のコスチュームプレイ。
 革命前のフランス。地方の領主ポンスリュドンは、干拓計画で起きた問題について陳述するため、ヴェルサイユ宮殿へ向かう。そこでは、王を取り巻く貴族たちが言葉遊びでエスプリを競いながら、熾烈で過酷な権力争いを繰り広げていた…
 切ない男女の官能ドラマや男同士の友情もの、皮肉のきいたコメディなど、ルコトン監督は様々なテーマを扱った映画を作ってますが、この時代劇はそのすべてが含まれています。いつの時代も人間って、男と女って、愚かで悲しい滑稽な生き物…という真実を、華やかに軽やかにシニカルに描いている悲喜劇です。
 言葉遊び。遊びといっても、そこには教養やセンス、人格が表れるため、恋愛や社会において自分の価値を認知させる手段にもなる。ヴェルサイユ宮殿のエスプリは、日本でいうと平安時代の和歌にようなものでしょうか。どちらも当意即妙さが必要不可欠。本当は優雅なはずの上流社会の言葉遊びは、野心や保身のための生臭い闘いにもなる。この映画は、文字通り地位も名誉も命さえも賭けた、フランス貴族たちの壮絶な茶番劇です。はっきり言って、何やってんのこいつらと呆れてしまいます。スティーヴン・フリアーズ監督の「危険な関係」もそうでしたが、ヒマと金を持て余したら人間ってロクなことしないよなあ、他にやることあんだろ、と羨ましいやら腹立だしいやら。宮廷人が、ほんとロクでもない連中ばかりなんです。華麗な衣装や化粧の下に隠してる、醜悪で腐りきった性根がおぞましいです。腹黒いこと、残忍なこと、悪知恵に富むこと、エゲツなく卑しすぎて笑えるほどです。汚らしい欲望や悪意、怨みが渦巻くヴェルサイユ宮殿は、まさに伏魔殿。

 言葉遊びにうつつを抜かし血道をあげる貴族たち、はたから見れば滑稽そのものなのですが、本人たちは大真面目。失敗すれば何もかも失う命がけのゲームなので、軽薄さと深刻さが表裏一体のスリリングさに引き込まれます。それにしても。知識が豊富で頭の回転が速くないと生き残れない宮廷は、何だか日本のバラエティ番組とカブります。センスと瞬発力が必要なお笑いタレントも、ブレイクとサバイバルのために命がけでウケを狙ってるんだろうなあ。ウケれば天国、スベれば地獄。おちゃらけたバライティ番組も、実は殺伐とした決闘の場。何とかして自分だけ目立とう、何とかしてライバルが自分より劣って見えるようにしよう、というお笑いタレントたちのドス黒い胸の内が透けて見えて、心から笑えなくなってしまいます。
 この映画の重要なテーマとなっている、エスプリについても考えさせられました。エスプリって、大ざっぱに言えば頭を使って人を“笑わせる”機知や知識を駆使した笑いなのでしょうか?おバカを装って人に“笑われる”のが、ハリウッドのコメディや日本のお笑いの主流ですが、頭の良さをひけらかすような気取ったウィットとかよりも、私は体を張ったギャグのほうが好きです。
 ルコント監督らしい、ちょっぴりスケベなおっさん視点も随所に見受けられ、ニヤリとさせられます。キャストもシブく、個性あふれるキャラクターをそれぞれ好演しています。

 主人公のポンスリュドン役は、シャルル・ベルリング。今はすっかり熟年俳優な彼ですが、映画デビューしたばかりだったこの作品では、さすがに若々しくてキビキビと溌剌した躍動感があります。魑魅魍魎、百鬼夜行なヴェルサイユ宮殿に迷い込み、妖怪どもに侮られながらも誇りを失わないキャラに好感。ポンスリュドンをサポートしてくれる老貴族役に、ルコント監督作の常連ジャン・ロシュフォール。軽妙かつ哀感ある演技はさすがです。
 そして何と言っても、ヴェルサイユ宮殿の女番長みたいなバイヤック伯爵夫人役のファニー・アルダンの、強烈かつ魅惑的な存在感に圧倒されます。したたかに狡猾に権力を握り、他人を操り利用し弄ぶ悪女を、熟女の色気と毒気と貫禄たっぷりに快演してるファニーおばさま、思わず憧れてしまうほどカッコいい悪女です。「危険な関係」のグレン・クローズを彷彿とさせる魔女っぷりですが、冷酷で性悪すぎるグレンおばさんに比べるとファニーおばさまの悪女は、どこか茶目っけもあったり、若い女への嫉妬、褪せていく女の魅力への焦燥感や虚無感など、女のイヤらしさや哀しさがより人間的で、単なる悪役になってないところがトレビアンです。
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悼む男

2013-05-13 | フランス、ベルギー映画
 フランスの名匠+大女優映画祭②
 「緑色の部屋」
 1920年代のフランス東部。雑誌で死亡欄記事を書いているジュリアンは、墓地にある廃れた礼拝堂を買い取り、そこで死んだ妻や親しかった人たちの霊を祭り、死者との交流に心慰められていたが…
 今は亡きフランスの名匠フランソワ・トリュフォー監督の作品は、フランス人らしい恋愛至上主義的な内容のものがほとんどなのですが、恋愛ではなく“死”をテーマにしたこの「緑色の部屋」は、数あるトリュフォー監督作品の中でもかなり異色で、そして深淵で美しく忘れがたい映画でもあります。
 スピルバーグ監督に熱望されて「未知との遭遇」に科学者役で出演したり、自身の作品でもチョコチョコ顔を出してたトリュフォー監督。「緑色の部屋」では、堂々の主演までやってのけてます。敬愛していたヒッチコック監督の影響なのか、それとも単に出たがりさんだったのか。

 トリュフォー監督の作品を観るたびに、監督って病的なまでにロマンチストで根暗だったんだなあ、と思わずにはいられません。トリュフォー監督自身が演じた主人公ジュリアンって、一見まともだけど、やってることはかなりヤバい性格破綻者だし。死んだ妻が忘れられず、その死を否定して妻の写真や遺品を後生大事にしている様子は、完全に病んだ人。亡妻のみならず、親しかった亡き人々の死を祭る祭壇まで作って、彼らを悼むことに憑かれ始め、死者のことを忘れて未来を生きようとする人たちのことを憎み、とことん厭世的になっていくジュリアンの、静に鬼気迫る姿に戦慄。ジュリアンの言動は、天童荒太の直木賞受賞作「悼む人」を思い出させました。亡き人々を追慕し、忘れずにいることは大切だと思いますが、生きている自分や周囲の人たちを、そして現世の幸福や希望を否定してまで死者に執着するのは、本末転倒というか狂気の沙汰。誰にも迷惑をかけてないからいいじゃないか、とも思いますが、ジュリアンの死者崇拝は宗教の狂信者とカブります。
 ジュリアンのように愛されるのって、果たして幸せなのだろうか。はっきり言って、気持ち悪い。あそこまで想われたら、成仏できないよ。私がジュリアンの奥さんだったら、草葉の陰で不気味がると思います。ラスト近くになると、死者を悼むというより死に憧憬しちゃってたし。死者があの世でどう思うかなんてお構いなし、自分の妄執で破滅してしまった男の悲劇は、あまりにも独りよがり、なんだけど…死という観念が、とても清らかに静謐に美しく描かれているので、生きてるのが厭な人が観たら危険な映画かもしれません。

 この映画で特筆すべきなのは、トリュフォー監督の「アメリカの夜」「恋愛日記」で好演し、今作ではヒロインに抜擢されたナタリー・バイの魅力です。当時30歳ぐらいの彼女、すごい美女ってわけではないんだけど、大人の女のしっとりとした優しさ清楚さが素敵。劇中、彼女にハっとなるシーンがあります。特にラストシーン。ロウソクの灯火に照らされ静かに涙を流す彼女は、まさに聖なる美しさ。ああいう奇跡的な一瞬を撮ってもらうのは、女優冥利に尽きるのではないでしょうか。トリュフォー監督の作品で好演を続けたナタリーおばさまが、後年スピルバーグ監督の「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」に出演したのには、何か感慨深いものがありました。彼女の起用は、スピルバーグ監督のトリュフォー監督へのオマージュなのでしょうか。
 この作品でのナタリー・バイをはじめ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャクリーン・ビセット、イザベル・アジャーニ、ファニー・アルダンなど、トリュフォー監督は女優を美しく魅惑的に撮るマエストロだったんだなあ、早世が惜しい、もし存命ならどんな女優を使ってどんな映画を作ってただろうかと、あらためて愛惜せずにはいられません。

 ↑今年のフランス映画祭の団長であるナタリーおばさまの新作は、メルヴィル・プポーが美しきオネエマン役を熱演している「わたしはロランス」です。早く観たい!
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あね、おとうと

2013-05-12 | フランス、ベルギー映画
 今年のフランス映画祭(こちら)で上映される作品のラインナップが発表されましたね♪
 ロマン・デュリス、メルヴィル・プポー、マリク・ジディなど大好きなボーギャルソン出演作や、フランソワ・オゾン監督の新作など、どれも観たい垂涎の作品ばかり。映画祭に行けない田舎暮らしが、つくづく恨めしいです…
 映画祭には行けないので、個人的に独りフランス映画祭を開催することにしました。フランスが誇る大物女優が名監督と組んだ8作品をピックアップ!

 フランスの名匠+大女優映画祭①
 「私の好きな季節」
 最近、アンドレ・テシネ監督の作品って日本で公開されなくなりましたよね。本国フランスでは、魅力的なキャストで面白そうな作品をコンスタントに発表してるみたいなのに。残念でなりません。私、テシネ監督の作品がすごく好きなんです。愛や人生の機微を繊細に深く、でも決して難解には描かない作風には、いつも魅了されていました。カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・アジャーニ、エマニュエル・ベアール、ジュリエット・ビノシュ、サンドリーヌ・ボネール、キャロル・ブーケなど、いつも大物女優をヒロインに迎えてるところも大きな魅力。数あるテシネ監督作の中でも特にマイフェイバリットなのが、このホロ苦くも優しい家族ドラマ「私の好きな季節」です。
 エミリーは、美貌、家庭、社会的ステイタスにも恵まれた中年女性。幸せな人生を送っているかのように見える彼女だが、離れて暮らす老母とは確執があり、夫と娘とはどこか距離のある関係となっていた。脳梗塞で倒れた母を引き取ることにしたエミリーは、疎遠になっていた弟のアントワーヌと再会する。優秀な医師だが、エミリー以外の女性に興味がなく独身のアントワーヌ。彼の屈折した愛は、姉の家庭や心に波風を立て始めて…
 生きるか死ぬかの恋、狂気の愛、破滅へまっしぐら、が専売特許みたいなフランス映画にしては珍しく、現実的な家族の物語です。老人問題、夫婦間の冷却、世代の断絶などに直面した家族の姿を、ヘンに生々しく深刻に描かず、終始優しく淡々とした展開で織り成しています。恋愛だけじゃないフランス映画は新鮮です。

 登場人物もみんな、普遍的かつ個性的。私たちの近くにもいそうだけど、ああやっぱフランス人だなと呆れたり感心したりする人々の、悲喜こもごもな群像劇。エミリーとアントワーヌ姉弟のママみたいな我が強くて依怙地な婆さんとか、エミリーの旦那みたいな優しさが表面的でメンドいことを上手に避ける男とか、いるいる~と苦笑いを誘われます。
 できれば見て見ぬふりをしたい、避けて通りたい現実に行く手を阻まれ、オロオロしてしまう姉。大人になりきれないシスコン弟。二人のやりとりは、時に滑稽で時にイタい。特にアントワーヌは、かなりエキセントリックでヤバいです。大嫌いな義兄に食ってかかって大げんかしたり、発作的に窓から飛び降りて大けがしたり、メンドくさすぎるトラブルメーカーぶり。あんな弟いたら困るよな~。エミリーの、感情や本音をほとんど表に出さない、どこか冷感症的な性格と言動は、確かに愛する人たちを苛立たせたり不安にさせたり、時には傷つけもするよな~とも思えた。オロオロしてるようで、実は彼女こそ周囲を狼狽させてる張本人に見えました。人を愛せず、人に愛されるだけの人の怖さ、孤独がエミリーには滲み出ているようでした。

 どこかフツーじゃないエミリーとアントワーヌの関係ですが、近親相姦を匂わせるようなものではありません。変わってるけど、すごく仲がいい姉弟、仲がよすぎてお互いが解かりすぎてイヤになったり面倒くさくなったり、みたいな関係。姉弟の関係も、母子も夫婦も、その間にある問題や葛藤は日本人にとっても共感を抱けるものなのですが、対応の仕方、考え方は異なるところが面白いです。フランス人ってホント、自分の意思や主張、価値観を大切にしてるんだなあ。舌鋒激しく鋭く、本音を容赦なくぶつけ合うフランス人って、一緒にいたら疲れる人種ですよねえ。日本人の慎ましさって、やっぱ美しいわ。
 エミリー役は、大女優カトリーヌ・ドヌーヴ。いつもの完全無欠な華麗なるヒロインではなく、現実問題に揺れるフツーの(つっても、やっぱ美しさとオーラは尋常じゃないが)中年女性役を、しみじみと演じていて好感。アントワーヌ役は、フランス屈指の演技派ダニエル・オートゥイユ。見た目だけでも強烈な個性派です。姉ちゃん命な子供っぽい変人を、ちょっと怪しく、でもトボけた感じにキモオモロく熱演してます。それにしても。ドヌーヴとオートゥイユが姉弟役だなんて、かなり無理があるぞ。ちなみにテシネ監督、ドヌーヴとオートゥイユの3人が再結集した「夜の子供たち」は、ブノワ・マジメルを初めて知った作品。ブレイク前のブノワが、めっちゃカッコいいの!ブノワのみならず、テシネ監督の作品には新人時代のギャスパー・ウリエル(「かげろう」)、アレクシス・ロレ(「溺れゆく女」)、マリク・ジディ(“Les Temps qui changent”)が。イケメン発掘の名手でもあるテシネ監督なのです。
 エミリーの内気な娘役は、ドヌーヴの実娘であるキアラ・マストロヤンニ。これがデビューだとか。パパの故マルチェロ・マストロヤンニとクリソツです。あと、チャップリンの孫娘とかも出てます。エミリー夫婦の養子役の男子がイケメンだった。
 家族の関係と心の変化を、春、夏、秋、冬それぞれの季節のうつろいに重ねた構成と、美しく撮られた四季の風景も素晴らしいです。特に、初夏の清涼感あふれる新緑と、クリスマスの雪景色が好き。静かで優しい余韻を残すラストシーンも印象的です。
 蛇足ですが。この映画、DVDの邦題が「背徳の囁き」…JAROに通報ものな酷いタイトルをつけらてちゃってます。エロい禁断ものを期待して観て、何じゃこりゃー!と激怒された被害者(?)、結構いそうですね
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自由が丘の大統領

2013-05-07 | 北米映画 08~14
 「リンカーン」
 今年のアカデミー賞で最多ノミネートされた、スティーブン・スピルバーグ監督作品。
 1865年、アメリカを内戦状態に追い込んだ南北戦争は4年目に突入。大統領に再選されたエイブラハム・リンカーンは、奴隷制度を廃絶するという自らの理想のため、多くの若者たちが戦場で命を散らしている現実に苦悩していた。憲法修正に必要な票を獲得するための議会工作に乗り出すリンカーンは、息子のロバートが北軍への入隊を志願していることを知り…
 南北戦争を描いた壮大なるドラマ、リンカーンの激動の人生、を描いたドラマティックな映画かと思ってたのですが、ぜんぜん違ってて驚きました。政治家たちの憲法改正をめぐっての駆け引きや裏工作を重厚に、熱っぽく描いた内容でした。「風と共に去りぬ」を観た程度しか南北戦争については知らなかったので、奴隷制度撤廃の裏話はとても興味深かったです。池上さんの番組じゃないけど、そうだったのか!みたいな。でも…勉強になったけど、政治ドラマよりも、人間ドラマのほうにもっと焦点を当ててほしかったかも。リンカーンは有名ですが、日本ではそんなに馴染みのない偉人だし、アメリカの歴史にも詳しくないので、憲法や選挙システムを知ってることが前提な内容に、ついて行けなくなることもしばしば。真面目で清廉すぎる内容も、かなり優等生的で堅苦しかったです。舞台劇のようで、ちょっと閉塞感も覚えました。華やかで波乱万丈な歴史ドラマが好きなので…
 議会で議員たちが繰り広げる白熱の議論、が映画のほとんどを占めてたような気が。おじさんたちが舌鋒鋭く、激しく感情的に攻撃、罵り合う姿は、朝まで生テレビみたいで楽しかったです。でも私、老け専・枯れ専じゃないので、やっぱおっさんより若い男前、イケメンのバトルのほうが萌えますわ
 この映画最大の見所は言うまでもなく、スピルバーグ監督に懇願・切望されてリンカーンを演じ、オスカー史上初、3度目!の主演男優賞を獲得した、映画界の至宝ダニエル・デイ・ルイスです。

 目を奪う息をのむ大熱演!とは、また違うんですよね。DDLは、そんな類の俳優じゃないんだよなあ。とにかく、静かで深いんです。見た目も内面も、怖いほどの憑依的な役作りなんだけど、フツーに演技が巧い男優と違い、頑張ってる感バリバリで暑苦しく押し付けがましい熱演になってしまわないところが、DDLの素晴らしいところ。どんな役を演じても、雰囲気、オーラが神秘的で高貴なんですよね。これって、どんなに演技が巧くても他の男優では、絶対に醸し出せない。気品と威厳あるたたずまいが美しい!指先とか、小さな部分の動きさえ美しい!声も美しい!魔法のような声で、あんな風に優しく熱をこめて説得されたら、そりゃ誰だって折伏、マインドコントロールされちゃうよ。人事を尽くして天命を待つ姿の重々しさだけでなく、穏やかで紳士的でユーモアがあって、ちょっと不思議さん入ってる(議論吹っかけられたり要求されたりしても即答せず、関係なさげなお話を始めたり)リンカーンを、ミステリアスに品よく演じていたDDLです。これまでのオスカー受賞作「マイ・レフトフット」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を経て、もはや前人未到の深く高い境地へと到達してしまった感のある、現代最高の名優DDLの偉大さを知らしめる映画です。次はどんな作品が、滅多に働かないDDLに重い腰を上げさせるでしょうか。
 助演の俳優たちも、印象的な好演と熱演。地味だけど堅実な俳優たちが演じた政治家の中では、やはりオスカーにもノミネートされたトミー・リー・ジョーンズが傑出してた。日本ではすっかりBOSSの人として認知されてる彼ですが、現れるだけでドーン!という効果音が聞こえてきそうな強烈な存在感です。ヅラをとったらツルッパゲなのが笑えた。リンカーンの妻メアリー役は、2度のオスカーに輝く大女優サリー・フィールド。彼女の神経症ちっくな鬼嫁ぶりもインパクトあり。今年のオスカー授賞式で、司会のセス・マクファーレンとオバカなコントやってた、大物なのにノリがよすぎるサリーおばさんも素敵でした。
 リンカーンの息子ロバート役のジョセフ・ゴートン・レヴィットが、カッコカワイかった
 
 彼って、どんな映画でも初登場シーンは、あ!ヒース・レジャー?!とドキっとさせるんですよねえ。ほんと似てるわ。見た目だけでなく、感受性が強く繊細そうなところも似てるし。ヒースよりも、メンタルは強そうで明るくオフビートな感じですが。あんまし出番と見せ場がなかったのが、ちょっと残念。彼も今年のオスカー授賞式では大活躍でしたね。踊ってる時のニコニコ笑顔が超可愛かった!
 あと、美術も素晴らしかったです。議事堂内とか屋敷とか街並みとか、セットとは思えないほど。さすが巨匠スピルバーグ監督のハリウッド映画。金のかけかたがハンパない。金同様、ハリウッドの威信もかかった作品です。日本の大河ドラマや韓流時代劇とは、やっぱ違います。オスカー美術賞も納得。

 ↑ダニエル・デイ・ルイス、オスカーの歴史。気高く優しく深く。美しく年齢を重ねる見本のようですね

 ↑ヒース・レジャー、たまに井浦新とカブるジョセフくん


 
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太陽を抱く月⑦~⑭ 凍える太陽、燃える月

2013-05-06 | 韓国のドラマ
 GWは韓ドラ三昧じゃった
 「太陽を抱く月」第7話から14話まで観ました。

☆ヒロインが可愛くない
 ヨヌ/ウォルが、ガチャピンみたいな顔で可愛くない…彼女の忠実なしもべ、男装の少女ソルのほうが可愛い。
☆大殺界
 悪い衛兵に、あんた地獄に堕ちるよ!みたいなこと言って脅し、屈服させるヨヌ。細木カズコかよ!
☆男同士ならいいってもんじゃないんです…
 イ・フォンのお側離れずの護衛ウン。そんな二人に、男色の噂が。うう~ん。二人ともタイプじゃないので、BL萌えできない~!
☆これも一種のプレイ?
 王妃に冷たく意地悪なことばかり言うイ・フォン。ドSでイケズな王さまが素敵ですが、あれって立派な精神的DVですよねえ。
☆男に寄りかかる女
 ヨヌの兄ヨムに嫁いだミナ王女が、超ウザい女と化してます。こんなお荷物しょわされて、ヨムもヨム母も可哀想!ハイテンションで甘えん坊なミナ王女に、うるさい!と怒鳴りたいけど、ぐっと我慢してる母子の困惑迷惑顔や作り笑いが、何か笑えます。

☆オツムが足りない設定なのかしらん?
 ヨヌの妹分、チャンシルもウザい小娘。不思議ちゃんキャラ、苦手なんですよねえ。
☆そこまで美男子じゃないような…
 大人になってからも、山田太郎ものがたりチックに女官たちをウットリさせる後光男ヨム。うう~ん?ゴリラにしか見えないんだけど…
☆死んでも男を離さない女
 ヨヌが遺した手紙を発見し、悲しみで心が千々に乱れるイ・フォン。うう~ん。あんな手紙、男の心に爪あと残すだけだよなあ。愛する男に幸せになってほしかったら、私のこと絶対忘れるな!といわんばかりの手紙なんか、遺すべきじゃないと思うのです…
☆子作りnight
 占いで、王と王妃が子作りするのに吉な夜が決まる。名づけて、合歓の礼!衆人環視で夜の営み、やんごとなき御方も大変ですよねえ。イ・フォンがグズグズと王妃を抱かないので、王妃同様私もイライラする!インポかよ!
☆低予算ドラマ?
 王宮内のセットが、かなり安普請。どう見てもダンボールに色塗ってるだけな部分もあったり…善徳女王や根の深い木では、そんなに気にならなかったけど。

 ↑めちゃくちゃ過酷だったらしい撮影。寒いし眠いし、ほんと大変そう…でも和気藹々で頑張ったんですね~
☆極寒
 真っ白な息を吐きながらの演技、寒さがこっちにも伝わってきます。役者もスタッフも大変そう!
☆撮影裏話
 15話放送の前に、特別編で今までのダイジェスト&主な出演者のインタビューが。
 イ・フォンことキム・スヒョンくんと、ヨヌことハン・ガインが司会進行。二人とも、やっぱ役の時とは違いますね。スヒョンくんは(顔、小さっ!目がきれいですねえ)明るくて元気な男の子で、ドラマではガチャピンなハン・ガインは素だとかなり美人。時代劇が似合わないだけなのかな。少年っぽいスヒョンくんに比べ年上で既婚者のガインは、さすがに落ち着いた大人の女性って感じ。二人に加え、ヒョンソン役のチョン・ウンピョさんが参入。3人の仲良さげなトークが楽しかったです。
 ヤンミョングン&ウンの対談も微笑ましかったです。ドラマではあんましカッコよく見えない二人ですが、爽やかで優しそうなチョン・イルくんも、ワイルドなソン・ジェリムくんも、素のほうがイケてます。
★総括
 ドラマティック&ファンタスティック、展開が速くて面白いのですが、主要男キャラの見た目がイケてないのが惜しい…と思ってたら、特別編で素の彼らを見て、イケてるやん♪と見直しました。

 ↑最初の頃は???だったけど、見慣れてくると可愛くなってきたキム・スヒョンくん。ドラマの次は、いよいよ銀幕で彼と会えます。韓国で大ヒットした豪華キャスト映画「10人の泥棒たち」が、ついに日本公開スヒョンくんは、TAKE FIVEでいう松坂桃李くん的ポジションなのかしらん?楽しみですね♪
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