まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

男狩り

2018-02-22 | 中国・台湾・香港映画
 「マンハント」
 大阪に滞在中だった中国人の国際弁護士ドウ・チウは、何者かの罠により殺人犯に仕立て上げられてしまう。警察の追跡と謎の殺し屋の襲撃をかわしながら、ドウ・チウは事件の真相を探ろうとするが…
 中国で空前の大ヒットとなった高倉健主演の伝説の映画「君よ憤怒の川を渉れ」を、若い頃から日本映画フリークだったというジョン・ウー監督がリメイク。
 久々にコテコテの香港アクション映画を観たような満腹感。かつて「男たちの挽歌」などで一時代を築き、今なおコアなファンも多いジョン・ウー監督ですが、その独特な味わいが不変で健在だったのが、往年の香港映画好きには嬉しい一作でした。とにかく新作でも、ストーリー&登場人物ともにいたって大真面目なんだけど、起きることやってることはほとんどギャグに近いほどハチャメチャで愉快痛快、というジョン・ウー節が炸裂してました。舞台が日本の大阪というのも、ありえなさに拍車をかけ、笑いのスパイスになってました。

 銃弾が一発でも発射されたら、車が一台でも暴走したら大ニュースになる、秩序が保たれている平和な日本で、アナーキーすぎる怒涛の銃撃戦やカーチェイス!まるで戦争みたいなことが大阪で起きてるのに、マスコミも警察も政府もほとんどスルー。ここは本当に日本?!日本をイメージしたパラレルワールド!?かなり強引ながら、手を変え品を変えのノンストップアクションは、スローモーションとストップモーションを駆使したスタイリッシュさ、でもハリウッドアクションとは違う香港テイストなドロ臭さ。ジョン・ウー監督といえばのお約束の白いハトも、なかなか効果的かつ心憎く使われていました。

 アクションのハチャメチャさはゴキゲンでしたが、お話のメチャクチャさは失笑ものでした。オープニングから、もう何なんこれ?の連続です。ド演歌が流れる中、ドウ・チウが立ち寄った居酒屋の女将と女中(女殺し屋コンビのレインとドーンの変装)が、カタコトの日本語とか。中国語、日本語、英語が交錯するのですが、まったく統一感がなくてメチャクチャなんですよ。日本人に育てられたはずのレイン&ドーンの日本語も変でしたが、日本人と中国人のハーフで、日本で牧場を経営している麻由美なんか、もろに日本人声優の吹き替えで超不自然だった。麻由美の牧場の従業員が、みんな中国語を喋ってたのもわけがわからんかった。いったいどういう牧場なの?!細かいことを列挙すればキリがないほど、すべてがかなり雑です。悪い日本人が中国人や韓国人を非道い目に遭わせたり、支配したり操ったりしているという設定に、ちょっとだけ反日なテイストも。スーパーサイヤ人を生み出す人体実験も、も、大真面目にやってるのが笑えます。

 キャストは、なかなか魅力的です。主人公のドウ・チウ役は、「グレートウォール」でも激シブだったチャン・ハンユー。この映画でも、めっちゃシブかった!鋭い眼光、熟年男の濃密な色気がハンパないですね。小柄だけど引き締まったメタボ無縁な体で、おじさんとは思えぬほど俊敏な動きもカッコよかったです。タキシード姿も似合ってて素敵でした。でもドウ・チウ、エリート弁護士にしてはマヌケすぎだし、身体能力が高すぎ!

 ドウ・チウと呉越同舟となる大阪府警の凄腕刑事役に、福山雅治が起用されたのが日本ではこの映画最大の話題、見どころでしょうか。泥だらけ、傷だらけになって大暴れしてる福山さんは、なかなか新鮮でした。でも、ぜんぜん凄腕のアウトロー刑事に見えなかったわ~。スマートすぎて乱闘シーンでも迫力がないし、50近いのに何か軽くて薄く、シブさとか硬派な魅力が皆無。顔も何かちょっとむくんでいて、メイクのせいで蝋人形みたいだった。いつまで経っても何やっても福山雅治なのは、キムタクと双璧ですね。それはそうと。この映画にはイ・ビョンホンの出演も噂されていたのですが、結局実現せず残念。何の役だったのだろう?福山雅治と違って、キレッキレのアクションと男の色気で魅せてくれたでしょうに。
 主役の男二人よりも、女殺し屋のレイン&ドーンのほうがカッコよくて魅力的だった。特にレイン役、私が韓国女優の中でいちばん好きなハ・ジウォンの、鋭くもフェミニンな女豹っぷりに、彼女演じるレインが主役の映画を作ってほしい!と思ってしまった。

 私がこの映画を観に行ったのは、福山さんではなくハ・ジウォン目当てです。韓国ではトップ女優の彼女が、ヒロインではなく脇役、しかも悪役、というのも楽しみでした。これでハリウッド映画出演とか言うなよ~と苦笑してしまう日本人俳優みたいに、どーでもいい扱いだったりチョコっと出だったりなのなと思いきや、ほとんどヒロインな美味しい役もらってました。

 ジウォンさんのあの鋭い目が好きなんですよね~。「チェオクの剣」や「シークレット・ガーデン」などアクションも得意な彼女、この映画でも華麗に銃ぶっぱなしバイクかっとばし、キャットファイトでは鮮やかな格闘も。敵をバッタバッタと倒していくジウォンさんですが、強いといってもゴリゴリのアマゾネスではなく、毅然としてしなやか、たおやかでもあるところが彼女の魅力です。それにしてもジウォンさん、老けないですね~。あの伝説のドラマ「バリでの出来事」の頃と、ほとんど変わってないし。

 悲しい宿命を背負った女アサシン、レイン&ドーンの物語をもっと見たかったです。二人の死と隣り合わせな運命共同体、これって女じゃなくてイケメン同士だったらさぞや萌え~だったろうな。ドーン役のアンジェルス・ウーは、何と!ジョン・ウー監督の実娘!ぽっちゃり系で女芸人風ですが、ドウ・チウに惚れて弱気になる妹分のレインを叱咤激励するクールな姐御っぷりと、ド迫力の大暴れで存在感抜群でした。
 日本人キャストでは、悪の親玉役の國村準が「哭声 コクソン」に続いての国際的な怪演。その息子役の池内博之も、スーパーサイヤ人になったりと濃ゆい珍演。パーティーのシーンで踊る彼が可愛かった。テロリスト役で、こんなところにも出てきたよ感がハンパない斎藤工が、意味不明で不必要な出演。何しに出てきたんだよ?な、あっという間の退場が笑えた。その他、竹中直人とか田中圭とかが顔を見せてました。

 ↑ハ・ジウォンといえば、やっぱ弟のチョン・テスの急死。最近知って、本当に驚きました。自殺?ジウォンさん、ショックで「マンハント」のPR活動をキャンセルしたとか。「トキメキ☆成均館スキャンダル」のチョン・テス、カッコよかったな~。姉に負けない活躍を期待してたのに。ご冥福をお祈りします…
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君と羊とBL

2018-02-20 | イギリス、アイルランド映画
 「ゴッズ・オウン・カントリー」
 イギリスのヨークシャーにある辺鄙な土地で、脳梗塞で身体に障害が残った父の代わりに牧羊をしている青年ジョニーは、孤独で荒んだ日々を送っていた。そんな中、手伝いに雇ったルーマニア人の季節労働者ギョルゲと、ジョニーは衝動的に肉体関係を結ぶ。戸惑いながらも、しだいに心優しいギョルゲに心を開くようになるジョニーだったが…
 農場が舞台のBLといえば、「ブロークバック・マウンテン」」や「トム・アット・ザ・ファーム」を思い出しますが、この作品は狂気とか悲劇モードはなく、どちらかといえばビタースウィートでロマンティックでもある、王道に近いBL映画でした。でも、荒涼とした自然や厳しい生活環境が、甘さよりも苦みを強くしています。あんな環境では、フツーの男女でもまともな恋愛は難しいでしょう。そしてこの映画、BLそのものよりも、ヨークシャーの厳しくも美しい自然と、過酷な牧羊のリアルな描写が見どころかもしれません。

 子羊の出産シーンや、死んだ子羊の皮を剥ぐシーンなどは、実録だったんだろうな~。石塀のフェンスを作る作業も、大変そうだった。酪農って、相当な体力気力がないとできない仕事だな~と、あらためて思いました。あと、現代の話とは信じがたいほど、原始的な暮らしぶりも興味深かったです。ネットも携帯もない、まるで世界から孤絶しているような寂寥や不毛の空気は、人や物で溢れた大都会よりも返って息苦しく、ジョニーの閉塞感がよく理解できました。田舎暮らしには憧れるけど、ジョニーみたいな生活は1日たりとも耐えられないでしょう。

 過酷な牧羊だけでなく、親父が厳格なだけでなく寝たきりになってしまい、その介護まで背負わされるとか、どんだけ~(死語)な気の毒すぎる、不運すぎるジョニーの青春無縁さですが、決して地獄な日々には見えなかったのが不思議。それはおそらく、目を洗うような自然の美しさのおかげかも。華やかさ派手さなどかけらもない、寂しく陰鬱な風景はとてつもなく清らかで静謐で、私たちの生活や人生には余計なもの、不必要なものが多すぎるんだよな~と、ジョニー一家のシンプルな清貧生活を見ながら思い知りました。
 羊の世話、羊の出産や死など命の貴さも、感動しろしろな動物映画やドラマと違い、ドキュメンタリータッチのリアルな描写で伝わってきました。ギョルゲが生まれたばかりの子羊を、人間の赤ちゃんのように大切に扱う姿に、ほっこり心温まりました。子羊が超可愛い!大きくならないなら、犬じゃなくて羊を飼いたいです。
 英国BL映画といえば、「モーリス」や「アナザー・カントリー」など耽美で優雅な美青年や上流社会がお約束ですが、この映画のカップルはごくフツーな見た目で、特別な才能があるわけでも数奇な運命の中にいるわけでもなく、貴族やブルジョアとは真逆な身分なのですが、切なくも微笑ましく、生々しくも優しいBLを奏でていました。

 ジョニーは、青春を犠牲にして家業の牧羊、そして父の介護と、本当に可哀想でいじましいのですが、不器用というかかなりのダメ男でもあって、見ていてイラっとします。ブサイクじゃないけど、これといって特徴や魅力のないフツーのルックス。ギョルゲが放っておけない、優しくせずにはいられない見た目とキャラにしてほしかったかも。逆に、ギョルゲは見た目もキャラも、なかなかの男前。濃ゆく男くさく寡黙でワイルドな風貌の彼が、ダメ男のジョニーを静かに優しく支えるのを見ながら、こんな恋人、夫がいたらいいな~と心底思いました。何でそこまで?と首を傾げたくなるほどの、ギョルゲのジョニーへの献身と忍耐に感銘。ジョニーを乙女扱いするのが萌え~でした。ジョニー役のジョシュ・オコナー、ギョルゲ役のアレック・セカレアヌの大胆かつ繊細なBL演技も、日本の自称俳優のCMタレントには不可能な素晴らしさでした。 

 男同士だとやはり、愛とか恋とかよりも先に性欲、なんでしょうか。ジョニーとギョルゲも、え?もうヤるの?なスピード合体、しかも明るい朝の屋外で。あんな寒そうな中、全裸で激しく絡み合う男ふたり。アソコが縮まないほどの強く衝動的な欲望(笑)。ヤった後、ぎこちなくもゆっくり心も近づいていく過程が、微笑ましくハートウォーミングでした。それにしても。行きずりの男相手に性欲処理したり、外国人と恋に落ちたり、あんな田舎でゲイ同士が出会う確率が高いのが不思議だった。私が気づかないだけで、周囲には結構BLが繰り広げられてるのかしらん?

 ↑ルーマニア出身のアレック・セカレアヌ、男前でした!他の出演作の彼にも会いたいものです
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怒りの看板おばさん

2018-02-15 | 北米映画 15~21
 「スリー・ビルボード」
 ミズーリ州の田舎町で、少女がレイプされた上に焼き殺されるという凄惨な事件が起きる。犯人が逮捕されないことに業を煮やした被害者の母ミルドレッドは、三つの看板に警察署長のウィロビーを非難する意見広告を出す。ウィロビーを敬愛する部下のディクソンや町民たちは、ミルドレッドに激しい敵意を抱く。それはやがて、思わぬ事態を引き起こすことに…
 来たるオスカーの最有力作と目されている話題作を、ついに観ることができました!マーティン・マクドナー監督の「ヒットマンズ・レクイエム」「セブン・サイコパス」が好きなので、この新作もすごく楽しみにしていました。高い評価も納得の、すごくユニークでインパクトある秀作でした!
 レイプ殺人に人種差別、暴力、末期がん、家族崩壊etc.描かれている悲惨で暗い人間関係や社会の病巣には、フツーなら気が滅入ってしまうところなのですが、この映画の不思議さというか面白さは、深刻で悲痛なドラマなのにプっと笑ってしまうダークでブラックなユーモアにあります。こんな話がコメディになってしまうなんて、日本ではありえません。

 悲惨で苛烈なシチュエーションなのに、ミルドレッドとディクソンのブチギレ大暴れっぷりが笑えるんですよね~。非道いけど、ある意味痛快でもあって。あんなに正直に堂々と、ムカつく相手に手や足を出してみたいものです。ほとんど殺人未遂な暴力を振るいまくってるのに、そんなに大事にならないところが怖い。あれぐらいの暴力は、アメリカでは日常茶飯事なのでしょうか。どのバイオレンスシーンも激烈かつ珍妙なのですが、私が特に好きなのは、ミルドレッドが歯医者の指にドリルで穴を開けるシーンと、ディクソンが看板管理者をボコボコにして窓から放り投げるシーン。とにかく触るな危険!な二人がヤバすぎて笑えました。

 ヴァイオレンスなミルドレッドとディクソンに関わる人々も、みんな強烈で味わい深いキャラばかりでした。ディクソンのママとか、この息子にしてこの母ありな、とんでもないクソババア、なのにムカつくよりも笑えるナイスなキャラになってるんです。ミルドレッドの元夫のGFも、アホだけど微笑ましい、ちょっとホっとさせるキャラになってたし。私が最も好きなサブキャラは、ミルドレッドに気があるドワーフのジェームズ。彼の優しさと哀しみが、すごく心に沁みました。「ペネロピ」などの人気ドワーフ俳優ピーター・ディンクレイジが、今回もいい味だしてました。
 笑える暴力が独特ですが、登場人物たちが滲ませる哀愁、悲哀が、押し付けがましくなくしみじみと伝わってくるところも、マクドナー監督ならではでした。脚本が今回も秀逸で、まったく展開が読めません。正義を求めていたミルドレッドが、まさかの?!とか、とんでもないクソ野郎だったはずのディクソンが、まさかの?!とか。ラスト近くになって、まさかのタッグ!とか、最後まで観客を楽しく驚かせてくれます。レイプ殺人の犯人が、ついに?!な急展開、そして真相も、ああ脚本が巧いな~と感嘆しちゃいました。脚本の巧妙さが、とにかく劇中あちこちできらめいてます。大やけどを負ったディクソンが、病室で一緒になった患者は…とか、そうきたか!と膝を打ちました。病室でのシーン、笑えるけど感動的で、ホロっときたわ~。

 この映画のテーマは、赦し合うこと、理解し合うことの難しさ大切さ、でしょうか。この映画は今の殺伐と混沌としたアメリカ社会への、痛烈かつ優しいメッセージのように思えました。憎しみや暴力は、結局のところ不毛なだけ。身も心も傷だらけになり、怒涛の紆余曲折を経てそれに気づいたミルドレッドとディクソンの姿に、一抹の希望を見ることができました。ラストシーンの二人、彼らが選ぶ道はきっと…観客の想像に委ねる終幕も、しみじみと深い印象を残します。
 脚本同様、キャストも素晴らしいの一言に尽きる!もう学芸会邦画なんて観てられなくなりますよ!ミルドレッド役を激演した名女優フランシス・マクドーマンドは、オスカーを受賞した「ファーゴ」以上のディープインパクト!クズどもバカどもに容赦なく鉄拳をくらわす豪胆さ、迫力ときたら!一匹狼のハードボイルドおばちゃん、キレるけど常に冷静で無表情なのがシブくてカッコいい!まったくキレイに見せようとしてない風貌だけでも、生半可な女優では不可能。荒々しくも悲しく、かつかなりズレてて笑える前代未聞のヒロインを、世界広しといえども演じることができたのはマクド姐さんだけ!オスカーは彼女以外ありえないのでは。
 「セブン・サイコパス」でも好演してたサム・ロックウェルとウディ・ハレルソンが、この映画で仲良くオスカーの助演男優賞にノミネートされています。

 マクド姐さんとほぼW主演と言っていいのが、ディクソン役のサム・ロックウェル。凶暴なんだけど、何か憎めない可愛さ、哀切さもあって、そのヤバさにドン引きしつつ、愛しくもなるチャーミングな名演でした。小柄でちょっとユルい感じの体型も、親近感たっぷり。決して悪人ではなく、生まれ育った環境ゆえに、人種差別は交通ルールを守ることと同じような常識、みたいな感覚を自然に身に備えてしまった怖い天然さが、その激情的かつピュアな表情から伝わってきて、否応なく惹きこまれます。ウィロビー署長役のハレルソン氏は、誰よりもヤバそうなコワモテ風貌ながら、もっとも優しく悲しい役でした。彼のミルドレッドとディクソンに遺した思いと願いは、まさに世界中の憎しみや恨みにまみれた人々への愛のメッセージのようでした。ミルドレッドの息子役のルーカス・ヘッジズくんの好演も印象的でした。
 それにしても。レイプしたあげく焼き殺すなんて、犬畜生にも劣る赦しがたい所業ですよね~。日本でも三島女子大生殺人事件、岡山の元同僚殺人事件とか、映画に酷似した酸鼻をきわめた凄惨すぎる事件がありましたね。両事件の鬼畜どもは、当然のことながら死刑執行になりましたが…とても二つの事件をブラックコメディになんか、日本ではできないだろうし、してほしくないですね~…
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明日の君がもっと好き①~④ 城崎ハルヒの憂鬱

2018-02-11 | 日本のドラマ(連続)
 連ドラ「明日の君がもっと好き」第1話から4話まで観ました~♪

☆草食ヤンキー
 主人公の亮は、元ヤンとしか思えないガテンな見た目と違って、コミュニケーションが苦手で植物や昆虫撮影が趣味のシャイな青年。市原隼人をドラマで見るのは「カラマーゾフの兄弟」以来久々。可愛かったイッチーも、もう30過ぎか~。イカチビ(イカツいチビ)で黒目がちの遠い瞳が、今でも可愛いです。『自分、言葉が…』とやたらとコミュ障アピールするわりには、ポエムな台詞をサラっと言うのが笑えます。

☆熟女狩り
 ヒロインの茜にアプローチしてくる年下のイケメンエリート社員、城崎遥飛がトンデモキャラすぎて爆笑!爽やかで人なつっこいワンコイケメンかと思いきや、実は幼少期に母親から受けた虐待のせいでサイコ男に成長、子どもがいながら遊んでる熟女を憎悪。彼女たちを誘惑しては、恐怖のお仕置き!殴るわ縛るわ煙草の火を押し付けるわ、『恥しらず!』『ゴメンなさいって言いなさい♪』など言葉攻め!いや~まさかこんな展開になるとは、ぜんぜん予想してなかったのでビツクリ。

 恐怖の熟女ハンター遥飛を演じてる白洲迅くん、初めて知りましたが超可愛い~♡あの顔でドSなイケズは卑怯!上半身裸もきれいで眼福!もうハルヒにクギヅケ状態です!

 ↑突如あらわれたトンデモ男子ハルヒに今、ZOKKON命になりつつある私
☆濃ゆいキャラばかり
 茜の妹、梓は姉から奪った男と結婚。でも旦那とはうまくいっておらず、たまたま入ったガールズバーの店員、香と惹かれ合う仲に。香は亮とは兄妹同然の幼なじみで、性同一障害に悩む彼女は梓と亮のどっちが好きなのか苦悩…ありえなさすぎる奇遇で複雑な関係、深刻なはずなのに笑えるのは、明らかに確信犯的な脚本と演出のせい。梓役の志田未来は、ちょっと前までは14歳の母とかやってたのに、もう人妻役、しかもかなり性悪でキツい性格で、略奪愛やレズシーン、夫とのカーセックスシーンなど、すっかり大人の女な演技、だけど見た目がまだ幼いので、何かヤバい感じがスリリング。可愛いし演技も巧い!茜の元カレで梓の旦那役の渡辺大も、なかなかの怪演。顔も声も、お父さんにそっくり!
☆変態タクシー
 茜につきまとうタクシー運転手が、キモすぎるけど爆笑キャラ。なぜかオネエ口調なのもツボ。

☆老人虐待!
 濃ゆいキャラはまだまだいます。茜と梓の祖母は上品だけど、むかし自分を苦しめた寝たきり夫にわざと熱湯をこぼしたり、かなりの問題人物。三田佳子も濃ゆい怪演。
☆ハルヒの熟女いじめ
 引っ掛けた熟女をその気にさせて、いきなり『ホテルに行くとでも思った?うぬぼれてる~』『(相手してあげたので)一万円ください』『香水がキツすぎるんだよ』可愛い笑顔でイケズがたまりません。私もハルヒにお仕置きされたい~♡

 さらにさらに。飲み屋で浮かれた熟女グループに逆ナンされたハルヒ。またまた彼女たちをその気にさせて、いきなり『息、臭っ!』『ケツがたれてる、干し柿』『アップで見るとシワだらけだな』『白髪がまだらに浮いてるし』etc.非道いけど、ちょっと溜飲がさがるんですよね~。軽薄なおばさんに喝!みたいで。ハルヒが携帯で撮った熟女いじめ現場が素敵すぎる!

☆夫婦に刺激
 夫婦関係が冷めていた梓と旦那ですが、梓が香と秘蜜な仲?と疑う旦那は、怒るどころか性的に興奮。車が揺れるほどのカーセックスや、梓に電話して『どんなイヤらしいことしたんだよ、言えよ』ハアハアとカーオナニーも。大河ドラマのパパより、息子のほうがインパクトある演技してます。
☆デカすぎる月
 いい感じになる亮と茜のバックには、まるで今にも地球に激突しそうな巨大な月が(笑)。
☆草食ヤンキーVS変態タクシー運ちゃん
 突然家に押しかけてきた変態タクシー運ちゃんに拉致られそうになる茜。そこに居合わせた亮は茜を助けようとしますが、オネエ運ちゃんに瞬殺されてしまいます。強そうなのに実は超ヘタレな亮が、トホホで可愛かった。

☆ハッシュタグ嫉妬
 バカにしてた同僚からの復讐で、熟女いじめのヤバい画像が社内に流出し、ハルヒ大ピンチ!引きこもりになったハルヒを心配して、彼の部屋を訪ねる茜。彼女に頼まれて同伴する亮。三人は仲良くお鍋をつつきます。高学歴のエリートである茜とハルヒはニーチェなんか話題にして、中卒?の亮は置いてけぼり。空気を読んで、亮にイクラ好きだよねと話題を変える茜ですが、ハルヒとはニーチェで俺とはイクラの話…と、ひそかに傷つく亮が可愛い!ハルヒといい感じになる茜を見て、初めて嫉妬という感情を知る亮なのでした。

☆もうカオス!
 娘の性的苦悩を理解できない親父・柳葉敏郎は、香が転がりこんだ梓の実家へ亮を伴って押しかける。そこで出会った美老女・三田佳子に…えええ~!?今度はあんたたちかよ?!な、もう完全に明日どころかあさってな方向へ爆走する人間関係!面白すぎるぞ!
★総括
 めちゃおもろいです!ハマっちゃった!病的な人間関係や心と体の問題を、こんなに笑えるネタにしていいのかな~?なところが、私にはツボなんですよね~。脚本は、あの伝説のBLドラマ「同窓会」の井沢満先生!納得の独特ワールドです。
 濃ゆいキャラ、ポエムな台詞も秀逸。キャストもみんな好演、怪演。中でも強烈でチャーミングなのは、やはり必殺熟女仕置き人ハルヒと、それを演じてる白洲迅くん。白洲くん、可愛いですね~。役は「きみが心に棲みついた」の向井理に似てるのですが、白洲くんのほうがはるかにイっちゃっててハイレベルです。なぜか毎回、お約束のように上半身裸シーンがあるのも楽しみ。可愛くコワレていくハルヒこそ、このドラマの主役だ!
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ひと夏の痴情

2018-02-05 | イタリア映画
 「胸騒ぎのシチリア」
 声帯の手術を受けたロックスターのマリアンは、年下の恋人ポールとシチリアのパンテッレリーア島で静かな休養生活を送っていたが、突然押しかけてきた元パートナーのハリーと、その娘ペンに翻弄され、ポールとの関係にも波風が立つが…
 「君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノ監督の2015年の作品。同じくイタリアを舞台にした恋愛映画ですが、瑞々しく甘美な青春映画だった君名僕と違って、こちらは大人の恋愛、ていうか、痴情のもつれドラマです。ヒロインが今カレと元カレとの間で揺れる想い~体じゅう感じて~♪ by ZARD な話なのですが。若い男女ならどんなシチュエーションでも、何やっても何言ってもキラキラやドキドキ、切なさで胸ムズキュン♡になるところを、中年のおじさんおばさんだとすこぶる不潔で浅ましく見えてしまいます。そもそも、ヴィジュアル的にもおっさんおばさんのラブシーンは正直キツい。いくつになっても男と女、性的な悦びに生きてる実感、にはあまり憧れません。爽やかに枯れて、男でも女でもなくなるのが個人的な理想です。幸か不幸か、それに限りなく近づいてる今日この頃の私です

 痴情をもつれさせるマリアンたちですが、愛とか恋とかいったものではなく、みんなどこか精神的に破綻していて、それに誰かを巻き込まずにはいられない危うさや不可解さが加速して、じわじわと破局へ向かう展開がスリリングではありました。お話よりも、イタリアの避暑地の美しさを堪能する映画かもしれません。君名僕は、インテリなブルジョアの優雅なヴァカンスでしたが、この映画はセレブの優雅で倦怠的な隠棲生活でした。何をするわけでもなく、ひねもすゆったりのんびりと、気ままに泳いだりドライヴしたり、外食したりセックスしたり…夏休みだから思いっきり楽しまなきゃ!なガツガツ感がないところに憧れるわ~。私もあんな風に、美しく気候のいい場所で優雅に金とヒマを持て余してみたいものです。
 パンテッレリーア島に行ってみたい!と、この映画を観たらきっと誰もが願うことでしょう。人を明るく放埓な怠け者にしてしまう太陽の陽射し、泳いだら気持ちよさそうな海、街の情緒ある狭い裏道、情熱的で開放的なお祭り、民家での手作りチーズ、山のレストランetc.イタリア政府はグァダニーノ監督を観光大臣に任命すべきでしょう。

 キャストが通好みのシブさです。マリアン役は、超個性派オスカー女優のティルダ・スウィントン。相変わらず見た目だけでインパクトあり。妖気と豪快さが彼女の魅力でしょうか。大胆すぎる熟女フルヌードや、屋外屋内問わずのファックシーンなど、お盛んだけどどこか虚無的で渇いてるといった生々しい女の業が、怖くて悲しかったです。モテモテなティルダ姐さんでしたが、彼女を抱ける男ってスゴいと思うわ。よほどの度胸がないと無理でしょう。ティルダ姐のシンプルだけど、一般人には絶対着こなせないディオールのファッションが、目に楽しかったです。

 ポール役は、大好きなベルギー男優のマティアス・スーナールツ。相変わらずのゴリマッチョ!カメラマン役なのですが、どう見ても現役プロレスラーです。肉々しい全裸を彼も惜しげもなく披露してます。デカいケツがたまらん!おじさんおばさんの情痴といっても、30代のマティアスは雰囲気も肌も水を弾く若さがまだありました。キムタクBGなど一発で、いや一睨みで瞬殺してしまいそうな凄みのあるヌオオ~っとした風貌なのですが、マティアスって怖い役より優しい役のほうが似合うんですよね~。コワモテのマティアスよりも、性悪そうで意地悪そうな中居や大泉洋のほうがよっぽど怖いよ。「君と歩く世界」や「フランス組曲」など、一見ヤバそうだけど実は優しい男役がオハコのマティアス。年上の女の世話を細やかに焼いたり、彼女のヤリたい時にはいつでもOK!だったり、常に受け身で寡黙だけど男らしい、まさに理想の恋人なマティアスが素敵でした。ウザいハリーにも我慢して文句ひとつ言わないところや、ぐっと感情を抑えてる様子も、いじましくて可愛かった。怒らせたらボコボコにされそうな怖さもあるところが、やっぱマティアスでしたが。

 ハリー役のレイフ・ファインズは、すっかりおっさんになりましたね~。かつては英国を代表する美男演技派俳優だった彼ですが、このハゲー!!とマリアンが怒鳴らないのが不思議なほどウザいおっさんを、ハイテンションにエキセントリックに熱演してました。マティアス以上にフルチンになってました。名優から怪優へと進化したファインズ氏です。ペン役は、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のSM娘、ダコタ・ジョンソン。おじさんおばさんを翻弄する、クールでミステリアスなペンのキャラは魅力的なのですが、地味で若さの感じられない疲労顔が、小悪魔役にそぐわず残念。もっとピチピチした美ギャル女優を起用してほしかったかも。
  
 ↑たくさん新作が待機してるマティアスですが、とりあえず近日日本公開なのはジェニファー・ローレンス主演の「レッド・スパロー」です。最近は英語圏映画の出演がほとんどなマティアスですが、フランス語を喋る彼にもまた会いたいものです
 
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スパイボーイ、スパイジェントルマン2

2018-02-02 | イギリス、アイルランド映画
 「キングスマン:ゴールデン・サークル」
 秘密スパイ組織キングスマンのメンバーとなったエグジーは、同じ訓練生だったチャーリーに襲撃される。謎の麻薬組織ゴールデン・サークルがチャーリーの背後にいることを突き止めた矢先、キングスマンは急襲を受け壊滅に陥ってしまう。生き残ったエグジーとマーリンは、アメリカのスパイ組織ステイツマンの本部で、死んだはずのハリーと再会するが…
 ブリティッシュ・スパイアクションコメディの快作「キングスマン」待望の続編!前作は飛行機の中で観たせいか、こういう映画はやっぱ映画館で観なきゃな~と、あらためて実感いたしました。第2弾も、ノリノリでキレッキレなアクション、大人向けの笑いに満ちたゴキゲンな仕上がりになってました。

 とにかくこのシリーズ、すべてが目まぐるしいんですよ。まるでカメラが踊ってるみたいな感じ。グルグル回ってビュンビュン跳ぶカメラワークなので、車酔いする人やジェットコースターが苦手な人が観ると、気分が悪くなってしまうかも。私は大好き!ハチャメチャだけど創意工夫を凝らしたアクションの数々は、相変わらずスタイリッシュでおよそ目を驚かすものですが、前作でたっぷりその斬新さを味わったためか、今回はお約束的が出た!な楽しさでした。おなじみのハイテク装置や武器、秘密兵器も漫画チックで楽しかったです。セットや小道具に金かけてるな~と今回も感嘆。でも、スパイ版マイフェアレディな味わいもあった前作に比べると、ブリティッシュテイストがちょっと薄まってたような。英国ファンには、そこが物足りないかも。

 キャストはスケールアップ!お馴染みのイギリスのスターに加えて、アメリカの大物俳優たちが参戦してます。英米あわせて4人もオスカー俳優が出演してます。ぶっちゃけ2017年版「オリエント急行殺人事件」より豪華かも。
 主人公エグジー役のタロン・エガートン、すっかり主役が板についてました。自信と余裕が感じられました。英国男子といっても、高学歴で名門出身の美青年じゃなくて、どう見ても高卒な下町の不良少年っぽいところが、返って個性的です。以前より逞しくなって、前作では七五三みたいだった英国高級スーツが、今回ははちきれそうなほどピチピチ!ガタイが良くなりすぎ?すごいガッチビ男子(ガッチリしたチビ)。イケメンではないけど、愛嬌ある童顔で可愛いです。たま~に、顔が丸くなって可愛くなった高橋由伸監督に見えた…のは目の錯覚?それにしてもエグジー、凄腕エリートスパイになっただけでなく、本物の王女さまと恋人同士になって、ラストには文字通りのシンデレラボーイに。すごい出世!高級スーツ姿やプリンスファッションよりも、下町ストリートボーイな時の彼がいちばんイケてました。ノシノシしたイカツい歩き方も、男らしくて好き。

 エグジーの師匠、ハリー役はもちろんコリン・ファース。彼なしの続編は考えられなかったけど、でもどうやって再登場させるの?な前作だったので、まさに驚喜な復活でした。ちょっと強引な気もしたけど、まあキングスマンの世界はナンデモアリですから記憶を失って、まるでボケ老人のような風貌と言動が、笑えたけどすごい切なくもあった。覚醒後も、ブランクのせいで鈍ったままなのが滑稽かつ痛ましくて。素敵な英国熟年だったハリーが、すっかり衰えた老人な感じになってたのも、エグジーの若さと成長とは対照的でした。大物ぶらずに主役を立てサポートに徹していたようなファース氏は、やはりハリウッドの強欲で目立ちたがりなスターとは違うな~と好感が増しました。マーリン役のマーク・ストロングも再登板。シブくてカッコいい彼がオチャメな演技、というギャップが素敵です。

 アメリカ側のスパイ組織ステイツマンの面々は、ジェフ・ブリッジズ、チャニング・テイタム、ハル・ベリーと華やかで濃ゆいメンツ。でも3人とも、そんなに出番も見せ場もありません。踊り病?に罹ったチャニングが、下着姿で踊る姿が笑えた。パンツのもりあがりのスゴさが平常時であれってステイツマンの秘密兵器は、カウボーイのムチや野球のバット&ボール爆弾、というのがアメリカンでした。イギリスがスコッチ、アメリカがウィスキーというのも初めて知りました。悪役である麻薬組織の女王ポピー役のジュリアン・ムーアは、極悪で狂ってるんだけどウフフ~ラララ~なフワフワな、すごく楽しそうな演技。彼女の60年代のアメリカンガールなファッションがインパクトあり。人間ミンチハンバーグとかロボット狂犬とかも狂ってるけど笑えた。

 並み居る大物たちよりも、まだ世界的にはそんなに知名度が高くない俳優たちのほうが、美味しい役、目立つ役を与えられていたような。中でも私の目を惹いたのは、前作でエグジーと同じスパイ候補生だったチャーリー役のエドワード・ホルクロフト。訓練で脱落して外道落ち、ポピーに改造人間?にされて、悪の手先になり果てたチャーリーですが、なかなかの活躍ぶりでした。「ロンドン・スパイ」での好演も忘れがたいホロクロフトくん、今後が楽しみな英国俳優です。ステイツマンの一員ウィスキー役のベドロ・パスカルも、かなり美味しい役でした。でも、最も強烈だったのは、ポピーに誘拐された英国の超大物歌手…

 エルトン・ジョンが、ご本人役!ド派手な橋田壽賀子?!まるで大阪のおばちゃんなキャラや、おネエ丸だしな設定など、よく引き受けたな~と感嘆。ちょこっカメオ出演なのかなと思いきや、ステイツマンの面々より出番も見せ場も多かった!めちゃくちゃ口が悪いのも笑えた。最終決戦シーンでは、ハリーを助けて大暴れ!エルトン御大、はっちゃけすぎ!私の大好きな名曲「ダニエル」を、ちょこっとだけ歌ってくれて嬉しかったです。
 パート3はあるのかな?トゥービーコンティニュードな終わり方だったけど。次はフランスのスパイ組織あるいは悪組織がいいな!ピエール・ニネとかタハール・ラヒムを起用して!
コメント (4)
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