秋の夜長の国際BL映画祭⑤ イギリス
「さすらいの人 オスカー・ワイルド」
人気作家としての華やかな暮らしから一転、男色の罪で投獄され、富も名声も失ったオスカー・ワイルドは、パリで孤独な日々を送っていたが…
オスカー・ワイルドの人生は、彼が書いた小説に負けず劣らずな数奇と波乱に満ちていたようで、映画化にはもってこいな題材です。この作品は、刑務所から出た後にオスカー・ワイルドがたどった、没落と失意の日々を描いています。
それにしても。当時のイギリス、「モーリス」とかでもそうでしたが、同性愛が犯罪だったなんて、今では考えられない理不尽さ、非道さです。作家としてみんなからチヤホヤされてたのに、同性愛者と知れると手のひら返しの迫害。人権なんかあったもんじゃない仕打ちに戦慄。今でも芸能人や野球選手など、身の処し方を誤った人気者があっという間に転落、袋叩きに遭う怖さは不変ですが、彼らの才能や活躍同様、スキャンダルで堕ちていく姿もまた関係ない一般人にとっては、面白おかしい話題でしかない。ちょっと調子に乗ってる?と感じられる有名人には、あまり驕慢にならず油断せず活動してほしいです。一寸先は闇、その闇も一般人より深いだろうから…
オスカー・ワイルドの堕ちた没落の闇も、なかなか深くて痛ましかったです。病身だったのもですが、お金に困ってたのがイタかった。元ファンの女性や旧友、元恋人のボジーにまでお金をたかる姿がみじめ、なんだけど、本人はそんなに気にしてなさそうで、もらうのが当たり前、みたいな感じなんですよ。これが凡人との違いなのでしょうか。自己嫌悪とか自己憐憫とは無縁な自信と超然とした態度。たかりなんて卑しいマネできない、と考えてしまうところがもう卑しい凡人な証拠なのかなと、ワイルドを見ていて思いました。多くの人同様に、もっと卑屈ままでにへりくだったり忖度したりして生きてたら、きっと静かで清い晩年を送れたかもしれないけど、そんなつまんない性格や人生じゃないからこそ、歴史に残る作品を生み出せたんでしょうね。出所後は断筆してたのが惜しまれます。
天才あるあるですが、敵も多いけど味方も多いワイルド。みじめな没落生活や病床の中でも、献身的に支えてくれる人たちがいる。不幸にした奥さんや子どもたちも、離れ離れでも変わらずに愛してくれている。厄介で迷惑なおっさんだけど、一緒にいたら楽しいし、放っておけない危なっかしさもご愛敬で、確かに憎めない魅力的な人物ではありました。才能にも魅力に愛にも恵まれた幸福な人に、私には思えました。
オスカー・ワイルド役は、80年代に英国美青年ブームを牽引したルパート・エヴェレット。主演と監督を兼任しています。そのキャリアと私生活が、オスカー・ワイルドと何となくカブる部分があるエヴェレット氏、なかなかの入魂の演技と演出でした。見た目はグロテスクな怪人っぽいけど、ふとした瞬間に往年の美麗さが垣間見える、うらぶれても誇り高く知性は研ぎ澄まされている、それでいてどこか浮世離れしていて、皮肉めいたお気楽さがあるエヴェレットasオスカー・ワイルドでした。落剝しても結構楽しそうに遊んでる姿には、ユーモアと不屈さがあってチャーミングでした。語学が堪能なことで知られるエヴェレット氏、フランス語の台詞もまるでネイティヴのように流暢に。
ワイルドの友人役で、コリン・ファースが出演してます。エヴェレット&ファースって、伝説の「アナザー・カントリー」コンビじゃん!アナカンファンには感涙ものなツーショット。
二人が一緒のシーンは、どうしてもアナカンと比較してしまうので、二人ともじいさんになったな~と隔世の念。気難しそうだけど実はとっても善い人な英国紳士、というコリンといえばな役でしたが、出番は少なく友情出演っぽかったです。ワイルドの妻役はエミリー・ワトソン。彼女も少ない出演シーンながら、印象に残る好演でした。
ワイルドを囲む若い男たちは、みんなイケメン!さすがエヴェレット氏、お目が高いボジー役のコリン・モーガンは、「ベルファスト」にも出てましたね。ベネディクト・カンバーバッチを優しく可愛くした感じの顔?友人(元カレ?)ロビー役のエドウィン・トーマスも、優しく誠実そうな好男子でした。ワイルドがパリで親しくなる花売りの少年ジャン役は、何と!「Summer of 85」前のバンジャマン・ヴォアザン!
可愛い!当時22歳ぐらいなので、まだ少年って感じ。底辺社会でたくましく生きてる、スレてるけど優しい男の子役で、チョイ役かなと思ったけど結構出番は多く、なかなか美味しい役をもらってました。ちゃんとお金払って彼と援助交際してるところが、さすがワイルドでした。バンジャマンくん、堂々としたすっぽんぽん姿も披露。男たちの全裸シーンは多いけど、性的なシーンは全然ないです。
↑ アナカンの頃のルパート&コリン
↑ アナカンから34年後
両手にイケメンでご機嫌なエヴェレット氏
「さすらいの人 オスカー・ワイルド」
人気作家としての華やかな暮らしから一転、男色の罪で投獄され、富も名声も失ったオスカー・ワイルドは、パリで孤独な日々を送っていたが…
オスカー・ワイルドの人生は、彼が書いた小説に負けず劣らずな数奇と波乱に満ちていたようで、映画化にはもってこいな題材です。この作品は、刑務所から出た後にオスカー・ワイルドがたどった、没落と失意の日々を描いています。
それにしても。当時のイギリス、「モーリス」とかでもそうでしたが、同性愛が犯罪だったなんて、今では考えられない理不尽さ、非道さです。作家としてみんなからチヤホヤされてたのに、同性愛者と知れると手のひら返しの迫害。人権なんかあったもんじゃない仕打ちに戦慄。今でも芸能人や野球選手など、身の処し方を誤った人気者があっという間に転落、袋叩きに遭う怖さは不変ですが、彼らの才能や活躍同様、スキャンダルで堕ちていく姿もまた関係ない一般人にとっては、面白おかしい話題でしかない。ちょっと調子に乗ってる?と感じられる有名人には、あまり驕慢にならず油断せず活動してほしいです。一寸先は闇、その闇も一般人より深いだろうから…
オスカー・ワイルドの堕ちた没落の闇も、なかなか深くて痛ましかったです。病身だったのもですが、お金に困ってたのがイタかった。元ファンの女性や旧友、元恋人のボジーにまでお金をたかる姿がみじめ、なんだけど、本人はそんなに気にしてなさそうで、もらうのが当たり前、みたいな感じなんですよ。これが凡人との違いなのでしょうか。自己嫌悪とか自己憐憫とは無縁な自信と超然とした態度。たかりなんて卑しいマネできない、と考えてしまうところがもう卑しい凡人な証拠なのかなと、ワイルドを見ていて思いました。多くの人同様に、もっと卑屈ままでにへりくだったり忖度したりして生きてたら、きっと静かで清い晩年を送れたかもしれないけど、そんなつまんない性格や人生じゃないからこそ、歴史に残る作品を生み出せたんでしょうね。出所後は断筆してたのが惜しまれます。
天才あるあるですが、敵も多いけど味方も多いワイルド。みじめな没落生活や病床の中でも、献身的に支えてくれる人たちがいる。不幸にした奥さんや子どもたちも、離れ離れでも変わらずに愛してくれている。厄介で迷惑なおっさんだけど、一緒にいたら楽しいし、放っておけない危なっかしさもご愛敬で、確かに憎めない魅力的な人物ではありました。才能にも魅力に愛にも恵まれた幸福な人に、私には思えました。
オスカー・ワイルド役は、80年代に英国美青年ブームを牽引したルパート・エヴェレット。主演と監督を兼任しています。そのキャリアと私生活が、オスカー・ワイルドと何となくカブる部分があるエヴェレット氏、なかなかの入魂の演技と演出でした。見た目はグロテスクな怪人っぽいけど、ふとした瞬間に往年の美麗さが垣間見える、うらぶれても誇り高く知性は研ぎ澄まされている、それでいてどこか浮世離れしていて、皮肉めいたお気楽さがあるエヴェレットasオスカー・ワイルドでした。落剝しても結構楽しそうに遊んでる姿には、ユーモアと不屈さがあってチャーミングでした。語学が堪能なことで知られるエヴェレット氏、フランス語の台詞もまるでネイティヴのように流暢に。
ワイルドの友人役で、コリン・ファースが出演してます。エヴェレット&ファースって、伝説の「アナザー・カントリー」コンビじゃん!アナカンファンには感涙ものなツーショット。
二人が一緒のシーンは、どうしてもアナカンと比較してしまうので、二人ともじいさんになったな~と隔世の念。気難しそうだけど実はとっても善い人な英国紳士、というコリンといえばな役でしたが、出番は少なく友情出演っぽかったです。ワイルドの妻役はエミリー・ワトソン。彼女も少ない出演シーンながら、印象に残る好演でした。
ワイルドを囲む若い男たちは、みんなイケメン!さすがエヴェレット氏、お目が高いボジー役のコリン・モーガンは、「ベルファスト」にも出てましたね。ベネディクト・カンバーバッチを優しく可愛くした感じの顔?友人(元カレ?)ロビー役のエドウィン・トーマスも、優しく誠実そうな好男子でした。ワイルドがパリで親しくなる花売りの少年ジャン役は、何と!「Summer of 85」前のバンジャマン・ヴォアザン!
可愛い!当時22歳ぐらいなので、まだ少年って感じ。底辺社会でたくましく生きてる、スレてるけど優しい男の子役で、チョイ役かなと思ったけど結構出番は多く、なかなか美味しい役をもらってました。ちゃんとお金払って彼と援助交際してるところが、さすがワイルドでした。バンジャマンくん、堂々としたすっぽんぽん姿も披露。男たちの全裸シーンは多いけど、性的なシーンは全然ないです。
↑ アナカンの頃のルパート&コリン
↑ アナカンから34年後
両手にイケメンでご機嫌なエヴェレット氏